自己解釈は許してね!
お疲れ様です!
まずはKP様と同卓者様に感謝を。
本当にありがとうございました。
とても、とても楽しかったです!
それではPLとしての感想を初めに書かせて頂きます。
もぉーーーー!!!!イブ可愛すぎか!????
ユミルとスイはてぇてぇしよぉ!
カレクサはもういたたまれなさすぎるだろぉ!!!
好きだー!!!!!
イブさ、天真爛漫で純情っ子で来るって言うから!
だからさ!赤ちゃんはコウノトリさんが運んでくるんだよって伝えたのに!スイさぁ!ほんとにさぁ!教えるんだったら最後まで教えてよぉ!結構細かく教えちゃったよォ!そんでもって「二人はいい感じって言ってたのです!」(要約)とかさぁ!まんざらでもなさそうな反応しちゃってさぁ!!大変だったんだよォ!!??
頭の中でさ!天使と悪魔が戦ってんの!わかる!????
天使キノ「ダメだよ!イブはまだわかってない!絶対怖がらせちゃうし、傷つけてしまう!」
悪魔キノ「大丈夫だって、ここまで満更でもなさそうなんだよ?」
天使キノ「ダメだって、こうなったら!裸を見せ合うことを伝えれば、恥ずかしがって諦めてくれるんじゃないか!?」
イブ「キノがしたいのだったらいいのですよ…///」
天使キノ・悪魔キノ「うわぁあああああああああああああああああああ!!!!!」
超悪魔神聖合体キノ「もうヤるしかなくなっちゃったよ…。」(佐川 司 風)
とか脳内で生まれたゲテモノぶん殴って耐えたんだぞ!!!
そのあとも、「もっとなのですよ。」「いやなのですか?」とかさぁ!
こっちの気も知らないで誘惑してくれちゃって
ほんとのほんとに可愛くて愛おしくて守りたくて永遠に隣にいたかった。
好きだよルル。好きだよイブ。
NPCにも言いたいことはあるぞ。
まずはカレクサ!
よくよく頑張った。
ありがとうね。
付いてきてくれて。
頼りがいがあるようでないような人だけど、心強かった。
一つ言いたいことがあるとすれば、誰かがカレクサって呼ぶたびに『アレクサ』に聞こえちゃって笑いをこらえてた場面があるんだ。ごめん。ほんとごめん。
スイ。
イブと仲良くしてくれてありがとう。
ユミルに愛を残してくれてありがとう。
叶うのであれば、カレー作りたかった。
あの四人で食べたかった。
でも一つ思うところがあるんだ。
イブを焚きつけたのにその後僕にぶん投げはひどくない?
ユミル。
辛かっただろう。
悲しかっただろう。
よく立ち上がって前を向いてくれたね。
君たちは本当に強い子で優しい。
最高の親友たちだ。
ありがとうございました。
最期のダイスはひどく残酷なもので、後悔がないと言えばウソになる結果ではありました。
ですがそれは彼らの運命だと。
終着点だと納得しました。
だから、書くね。
ここから下は俺の癖を詰め込んだSSとなります。
想像で書いているところもあるので、解釈違いなどはご了承お願いいたします。
では、彼らの行く末をどうか最後まで見届けてください。
===================================================
人が何かに対して感情を抱くのには理由がある。
当たり前なことだけど、重要だ。
なんで好きなのか。
なんで嫌いなのか。
なんで悲しいのか。
なんで怒るのか。
どれもこれもきっかけがあって初めて抱くものだ。
僕だって初めは何も知らなかった。
花はそこらへんに生えているただの植物で、
イブでさえ家族愛はあれど、異性としては見てはいなかった。
初めのきっかけは授業で出てきた童話だった。
題名は確か........あぁそう。
『ハナゴロシの怪物』
ストーリーはいたってシンプル。
周辺にいる人々や動物から避けられている醜い怪物が、丘の上に生えた一輪の花に一目ぼれをし、お世話をしていくというお話だった。
・・・・
・・・
・・
初め怪物はその花の扱い方がわからなかった。
だからひとまず見ることにしたのだ。
ただただ好きなものを観察していた。
自分とは違って美しく脆いその花を。
見ているうちに怪物は気が付いた、その花が生きる上でここは厳しい環境だということに。
花はとてもデリケートで、雨が降り続けるたり、逆に天気が続いても元気がなくなっていく。
強い風が吹けば折れてしまいそうなほどか弱い。
それに常においしそうな甘い匂いを発しており、虫や動物たちの標的になりやすい。
さらには、人間にとっても有益なようでたびたびこの花を摘みに来ようとする人間も現れた。
そんな花を怪物は守り続けた。
雨風が強い時はそれを防ぐ壁になり、
水が足りない時は、大きな手で湖から水を運び、
外敵を追い払った。
その身を挺して守ったのだ。
ある時、花の元気がなくなり始めていることに気が付いた。
怪物は気が付いたのだ。
葉や茎に白い斑点があることに。
それは病気だと知っている。
怪物は次の日に薬を持ってきた。
魔法の薬、どんな病気も治しちゃうすごい薬。
薬を持ってきた怪物の姿を見て花は微笑んだ。
それから怪物は花を傷つけないようにゆっくりと注いだ。
怪物はこれで治ると喜んだ、どうやら花も嬉しそうに笑っている。
けれど、花の様子はよくならない。
日に日に弱っていってしまう。
怪物は悲しんだ。
自分の好きなモノが居なくなってしまうのではないかと泣いた。
泣いても泣いてもよくならない花。
最期には茎も葉もカラカラになって初めの姿なんてもう残っていなかった。
ただ一つを除いて。
花は満開だった。
今まで見てきた中で一番きれいだった。
それが花が見せた最後の姿だったのだ。
何もかも人の言いなりで、逃げようともせずに自分で選ばせてもらえないままで生きてきた花。
怪物にたくさんのことを教わった彼女は、薬が自身にとって毒であることを知っても尚受け取った。
最期に満開の
怪物は花を埋めた。
涙を流しながら、自分のどこがいけなかったのかを理解できないまま泣き続けた。
《ハナゴロシの怪物》は今日もみんなに怖がられている。
・・・・
・・・
・・
この物語を見た時、僕は花の美しさを知った。
花はなぜ美しいのか…それは一筋の気持ちで咲いているからだ。
「キノ~!!何をしているのです??」
「ん?マーガレットの花が綺麗に咲いたから絵を描いていたんだ。」
「ふんふん!そうだったのですか!」
ふんふふ~ん♪と鼻歌交じりにこちらを見つめるイブの視線に少しこそばゆい感じがする。
「どうかしたの?」
「ううん!何でもないのですよ!ただ楽しそうなキノの顔を見ていただけなのですよ~!!」
「そっか…。楽しそうなイブの顔が見れて幸せだよ。」
「んふふふふ♪それならイブも幸せなのです!」
相変わらず、恥ずかしげもなくこちらが照れてしまうようなセリフを吐く。
少しのスキンシップでも顔を赤らめるのに。
こちらだけが照れているみたいで、少し悔しい。
気を紛らわすために花を描くことに集中する。
それでも頭の中を埋めるのはイブだ。
ちらりと隣で微笑むでいるだろう彼女へと目線を向ける。
「〜〜〜♪…んぅ?どうしたのですか?」
見れば見るほど綺麗な顔立ちだ。
長いまつ毛に、琥珀色に光る瞳。
長く長く伸びる美しい髪はキラキラと陽の光を反射する。
それでいて彼女は無邪気に笑うのだ。
可愛らしく怒るのだ。
身体全体を使って喜びを表すのだ。
庇護欲を掻き立てられる悲しみを見せるのだ。
まるで天使のような容姿が好きだ。
コロコロとぴょんぴょんと元気な声が好きだ。
天真爛漫な彼女の性格が好きだ。
でも、僕が彼女を本当の意味で好きになった理由は…
「ねぇ…イブ。またあの劇を見せて貰えないかい?」
その劇の名前は『じゃじゃ馬ならし』。
シェイクスピアが描いた喜劇の一つだ。
簡単に言えば、喧嘩して仲直りする。
そんな演劇だ。
「いいのですよ!!」
「だから目を離しちゃダメなのですよ!」
ほわほわとした柔らかい雰囲気から一変。
彼女はその場にあるはずの無い舞台に、
登場人物たちを生み始める。
「綺麗だなぁ…。」
本当に綺麗な子だ、と僕は思った。
じっと見ていると心のいちばん深い部分に小さな石を投げ込まれたような気がする。
そういう種類の美しさなのだ。
くねくねと穴が複雑に折れ曲がっているし、そのすごく奥の方だから普通なら届きっこないのだが、彼女はそこにきちんと小石を放り込むことができるのだ。
そう僕は、彼女が楽しそうに喜劇を演じる姿が大好きだ。
もちろん、彼女の表情、性格、声、容姿。
全て大好きだ。
血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、全身がきゅっと小さく、彼女はまるで神様が美しくこしらえた花のよう。
だけれども、劇を自分の思うように演じる姿には敵わない。
その姿に僕は惚れたのだから。
おんぎゃぁ
あぁ…なんて幸せなんだろう。
おんぎゃぁ…おんぎゃぁ
いつまでも見ていたい。
おんぎゃおんぎゃぁ
こんなことになってしまうのなら........
おんぎゃ…おんぎゃぁ
毎日
後悔する
口にするべきではなかった
ただの家族でいるべきだった
気付かなかったらよかった
甘かったはずの記憶が
叶うことのなかった慕情が
…きっとすべて間違っていた。
おんぎゃあ
________________________________
……最近すこぶる調子が悪い。
誕生日に近くなればなるほど苦しくなっている。
これが、大人たちの言っていた【呪い】なのだろうか。
残酷な話だ。
あと2日後に僕は
幼い頃からずっと一緒にいる家族。
僕が恋した唯一無二の人。
【呪い】が僕の心を踏み潰すように残酷な事実を突きつけてくる。
何故、大人たちは平気そうにしているのだろうか。
喰べるとは相手を、その肉体を、魂を自分の血肉に変えるという事では無いのか。
僕は嫌だ。
そんなの認めたくない。
僕は2人で外の世界を見てみたい。
長閑な場所でお花屋さんをやりながら、2人で笑いあって過ごしたい。
花に囲まれる彼女を見たい。
海を2人で見に行きたい。
遊園地と言われているところに行きたい。
…やりたい事が沢山あるけれど、それらは彼女無しでは叶えられない。
一緒に生きて行きたい、それが叶わないのなら僕は……
「んぅ~!!おはよーなのですよー!」
しまった。
予想よりも早くイブが起きてしまった。
できる限り体調不良が気づかれないようにふるまう。
心配をかけたくはないし、情けない姿は見せたくない。
いつにも増して元気だ。
その時ふわりと香る彼女の匂いになぜかよだれが出そうになる。
「今日もいい日なのですね!」
そう彼女はこちらに笑いかける。
あぁ、満開の花に見えるその笑顔を”喰いたい”。
そんな思考が頭をよぎる。
考えるな、彼女は食べ物ではない。
最近彼女のそばにいるとこれだ。
興奮したように体が火照り酷い飢餓にも似た口渇や満たされない感覚を覚える。
そんな考えを一蹴し、彼女を見る。
そこには頭をぴょんと元気そうに跳ねる寝癖があるではないか。
さて、いつも通り寝癖を直しに行こう。
「今日もぴょんぴょんなのですね。」
つんつん。と自身の寝癖をつつく姿に愛おしさを感じつつ、ベットから降りようとする。
「でも今日はキノもぴょんぴょんしてるのですよ。」
恐らく寝ぐせであろうそれをつまみながら彼女は言う。
全然気が付かなかった。
早急に取り掛からないと、配給どころか学校にも遅れてしまうではないか。
情けない姿を見せたくないと思ったところでこれだ。
恥ずかしい。
そんな心情なんか知らずに彼女は僕の寝癖で遊び始める。
これでは示しがつかないではないか。
髪を梳かしに行こう、そう提案しようとした瞬間。
ズキリ
頭痛が走る、先ほど感じだ口渇や満たされない感覚はより一層強くなり、頭痛、倦怠感もより一層悪化する。
そんな僕を見た、イブは心配そうに袖を掴み見上げてくる。
「顔色が悪い気がするのですよ。」
甘い匂いが鼻腔をくすぐり、絶え間ない欲が襲う。
そうかな。
なんてごまかしながら、僕たちはいつもの日常を過ごす。
あぁ…なんて。
・
・
・
・
この村にはルールがある。
一つ、成人するまでぬらの外に出てはならない。
二つ、ルルとルパは同じものを食べてはならない。
三つ、大人の許可なく、子供は大人区域に入ってはならない。
昔から、言われ続けてきた村の教え。
何も、違和感なんて無かったし、普通のことだと思ってた。
そんな考えが変わったのは、この日が始まって割とすぐのことだったのだ。
学校が終わった下校時間、イブと待ち合わせて一緒に帰路に就くはずだった。
いつも通りにイブはこちらを見るや否や、目を輝かせ、嬉しそうな笑顔を浮かべながらイノシシのようにとっこんでくる。
「ただいまなのですよ~♪」
そんなイブを受け止めたその時、異変が訪れた。
ズキリと頭痛が走り、貧血のようにめまいがして、足元がおぼつかない。
「…ッ」
思わず頭を押さえ、ふらついてしまう。
「キノ?…やっぱり体調悪いのです?」
心配をそうにこちらを覗き込んでくるイブに申し訳なさを感じながらも、おそらく彼女に向けているであろう飢餓感に嫌悪する。
くらり、と視界が回り、意図しないままに座り込んでしまう。
良かったことと言えば、それが手ごろな石だったことだろう。
しばらくすれば落ち着く。
そう考えていた矢先に、イブは僕の上に座った。
それは子供が親に甘えるみたくただ座るのではなくて、
まるでこちらを深い沼に誘うように、こちらに顔を向けて覗き込んできた。
困惑すると同時に、彼女の甘い香りに酔っていたのだろう。
僕はその後に起きることに対して、反応することはできなかった。
「…っん」
柔らかい感触が触れた。
彼女の顔が近づき、ごくあっさりと唇が触れた。
それに気が付いたときにはもう遅かった。
彼女を逃がすまいと、両手で抱え込み舌を入れる。
壜のなかの蜂蜜を舐め取ろうとする熊のように、口腔の内側を尖った舌で入念に探る。
口腔と口腔をつないでつくる小空間の内部で、ふたつの舌が 猛り狂ったように動く。
舌が肉片であること、硬くなったり柔らかくなったり尖ったり捻じれたり震えたりする熱く濡れた肉片であることを、異様なほど意識する。
息継ぎも忘れ、ただ快楽を感じ始めた頃_____
「んっんう.......きのっ…いきできないっ…」
背中を叩かれ、思考を埋めていた何かがサッパリと晴れた。
「っあ…ごめん。」
「…ううん。」
「だいじょぶなのですか…?」
僕の身を案じているイブは肩で息をし、瞳を潤ませている。
危うげなほど繊細な魅力が彼女のまわりをほんのりと蒸気のように包んでおり、
また、自身の欲があふれそうになるのを必死で抑えながら口を開く。
「そう…だね。」
「おかげさまで…ありが、とう。」
無理やりにとまでは言わないが、強引にあんなことをやったのにも関わらず、
彼女は僕の頬に両手を添えて優しく笑った。
「それなら.....よかったのですよっ♪」
そんな健気な姿に、罪悪感を一層覚え、抱きしめる。
「ごめん。」
「んぅ。」
「なんで謝られているのか、わからないのですよ?」
「そっか.....どこか痛いところは無かった?」
「痛くなんてなかったのですよ!」
「ちょっと苦しかったですけど…。」
「うっ、それは.....ごめん。」
そんなことは言いつつも、彼女は特に気にしていない様子で、
「息をするのって難しいのですね…。」
う~ん、と唸りながら、顎に手を当て神妙な顔をするものだから、自然と笑みがこぼれてしまう。
ふいにイブは僕を抱きしめると、こちらに顔を上げて微笑んだ。
「顔色。ちょっと良くなってよかったのです!」
こんなにも、僕を心配してくれることに嬉しさを覚えつつも、不思議に思う。
僕らは学校で、彼女を喰べなくてならなないこと、彼女自身が呪いであることを教わっている。
では、呪いである彼女たちは一体、
「体調は良くなったよ。ありがとう。」
「うん!どういたしましてなのですよ~♪」
なんて眩しい笑顔なんだろう。
「あ!でも!ちゅ~しちゃったのですねっ…!!」
そう頬を赤く染めながら、慌て始める。
相も変わらず、表情がコロコロと変わって愛らしい。
「ふふっ…そうだね。」
「今のが.....前に言ってた…ちゅう…。」
「そうだね.....好きな人同士がやる行為の一つだ。」
「じゃあじゃあ!キノのこと好きだから問題ないのですねッ!」
「そうだね。」
「僕もイブのことが大好きだから、問題はないかな。」
「嬉しいのですよ~♪」
まったく、キスだけでも照れるというのに、気恥ずかしいセリフをよくもまあポンポンと口に出せる。こちらが必死になって返した言葉も、にぱっと向日葵のような笑顔を浮かべて少し腹立たしい。
「…よし!」
「おかげで元気出てきたし、お家に帰ってサラダ一緒に作ろうか。」
「サラダかぁ…サラダスープなのですッ!」
「そうだね…そうしようか。」
「とっても美味しいスープを作るのですよっ~♪」
かわいらしい鼻歌を聞き逃さないようにしながら、僕たちは帰宅した。
あれからしばらくして、家の扉がノックされた。
開けばそこには、ユミルとスイの姿があった。
二人ともどこか真剣な面持ちで、少し困惑した。
「「お、お邪魔します。」」
「いらっしゃい。」
「いらっしゃいませ!なのですよ!」
「あ、そうだ、アイビー。」
「さっき言っていたカレー。よかったら食べて頂戴?」
「そうそう!キノの分も持ってきたんだった。あい!」
何かいい香りがすると思ったらカレーか。
「あぁ、ありがとう。」
「わぁ……とっても美味しそうなのですね!」
「きっと美味しいわよ!」
「あぁ!ちゃんと俺が作ったし、レシピはスイのだからな!ぜってー旨いから安心して食えよな!」
「うん、それは楽しみだ。」
ともあれ、それが目的ではないのだろう。
どこかぎこちなく、そわそわしている。
そんなことをしていると、ユミルが口を開く。
「それで…さ。相談なんだけど…。」
「「ふんふん。」」(←ここの相槌が重なったの最高にうれしかった。)
「なんなのですか?」
「そ…その、実はおれ、スイの事がす、す、っ好きなんだ!血を分けた兄弟かもしれないけど。
でも、それでもおれ……」
「スイと結婚したいんだ!」
スイの方も恥ずかしそうに顔を俯けているが、本気だということが伝わってくる。
「俺たち、いっぱい悩んで二人で話し合ったんだ。」
「俺は今後もこれから先も.......スイとずっと一緒に居たいと思ってる。」
「だから…その、俺たち!今夜、駆け落ちしようと思ってるんだ。」
その言葉に、あっけにとられてしまう。
駆け落ち?今夜?
「「.......」」
「儀式はしないってことですか?」
ユミルは歯切れ悪そうに目をそらす。
「あ~…まぁそういうことなんだけどさ。勿論不安だけど、あーえーっと……キノこっちきてくれ!」
「!?」
「な、なに~?」
そう、手を引かれ部屋の角まで連れていかれる。
「なあ、先生の言っていることが全部本当だと思うか?」
「だって、先生の片割れ、俺たち一度も見たことがねぇ…。」
「もし俺が大人区域で働いていたとしても、仕事終わりに迎えに行ったり、行事に参加したりさ。見かける機会は絶対あるはずだ。」
確かに全部が本当.......という訳ではないだろう。
「確かに、大人たちは3~5人で固まって動いていることが多いね。」
「そう。だから考えたんだ。」
「呪いを元に還さなければアウトってことだろ? なら少しずつでも還していけば、時間を稼げるかもしれない。その間に街におりて、他の治療法を探すんだ。勿論、根拠がないわけじゃない。」
「ふむ…その治療法に心当たりがある、と言うことかな?」
「えぇっと、その…」
途端に挙動不審になるユミルの姿に首を傾げていると。
「おしべとめしべがさぁ…!お、おれ大人になったんだよね?男として…
…へへ。そ、それでさ!何ていうか凄い体が楽になったんだよ。これが相手を喰って、呪い
が還ってきてるってことなのかな って思って。」
困惑。
おしべとめしべ.......??
____ッ!!もしかしてコイツらヤったのか!??
ま、待て。いったん落ち着こうじゃないか。
「な、なるほど?」
「正直、かなりリスキーだし、先生たちの言うことが正しいかもしれない。それでも、試して
みたいんだ。絶対にスイのことは守って、やり遂げてみせる。」
「応援しててくれよな!」
「それはもちろん。それが君たちの最善だと考えたのであれば、応援しないわけがないだろう。」
・
・
・
・
「そういうことだからさ、二人が来るんだったらその街で待ってるからな~!!」
「うん、待っててよ。必ず追いかけていくからさ。」
「ありがと。でも私たちは二人を巻き込みたいわけじゃないの。」
「だから、見守ってくれているとうれしいわ。」
「準備のために早めに大人たちが迎えに来るの。ユミル?そろそろ行かないと。」
「え~、もうそんな時間?まだ話してたかったのに…。」
「またあとでなのですよ~!」
「そうだな!キノ、アイビー宴でな!」
「そうね、また後で。」
「うん。」
「気を付けて行くのですよ~!!」
二人は仲睦まじく、僕たちの家を去っていった。
内容が衝撃的だったということもあり、少し疲れた気がする。
おもわず漏れ出そうになるため息を飲み込み、テーブルに置いてあった水で喉を潤す。
イブは彼らを見送った後、扉を閉めこちらに向かってくる。
僕とは対面に座り何やら頬杖を突きながら期待した眼差しをこちらに向けてきた。
「キノ、質問なのですよ~…。」
「スイから聞いたのですが…交わるっていうのは、なんの話なのです?」
「ブッフォァ!!ゴホッ…ゴホッ!!」
「スイが言うにはですね、おしべとめしべが…ふんたらかんたら…」
「っ~~~~!!!」
アイツら!!
そこら辺の説明の仕方が一緒とか!!
誤魔化すんだったらカミングアウトをするんじゃないよ!!
思わず水を吹き出してしまったじゃないか!
「だ、だいじょぶなのです?」
「ゴホッゲホッ__」
「びしょびしょなのですよ…」
「ご、ごめん、今拭くから…。」
「余計なことをッ!!」(ボソ)
急いで布巾を使い、水を拭う。
とんでもない地雷を残していったスイはどうしてやろうか。
そんなことを考えていると。
「えっと…よくわからないのですが、スイとユミルはそれをしたみたいで…」
「えっと、好きな人同士がすることらしいのですよ!!!」
「くっ____」
期待と羨望が混じった瞳をこちらに向けないでくれ。
僕はそれに弱いのだから!!
「それで!それで!ユミルも知ってたから、きっとキノも知ってるって言ってたのですよ!」
「知ってるのです?知ってるのです?」
「そ_れは…」
「なんなのですか~?なんなのですか?気になるのですよ~!!」
「大事なところを僕に全投げしたのかッ!!」
「なんでっなんで…何故っ!!」
頭を抱える僕の周りを何も知らないイブは回りだす。
「気になるのですよ~気になるのですよ~!」
こうなってしまえば彼女は引かない。
身を引いたとすれば、とても悲しい顔をしながら、拗ねてしまうだろう。
しかも今回、スイの説明で
そんな彼女に教えられないと断ってしまえば…。
ましてやイブの好奇心はすさまじい。
アレを他の誰かに教わりに行ったりでもしたら?
あぁ!想像すらしたくないぞぅ!
いいだろう、覚悟はついた!
家庭教師紛いは慣れっこだ、やってやろうじゃないか。
「ああ!知っているさ!知っているとも!」
「知っているのですか...!!」
キラキラとした目線が刺さる。
もう止まれない。
「正直、まだイブには早いと思っていた事なんだけどさ…宴から戻ってきたら勉強をしようか。」
「わぁ!勉強タイムなのですね!」
「ユミルとスイが何をやっていたのか、それの意味と本当の役割を。」
「ふんふんふんふん!!」
「じゃあ、帰ってきたら教えてほしいのですよ!」
「約束なのですよっ?」
「わ、わかったよ…。」
恨むぞ、二人とも。
・
・
・
・
・
日が沈んだ広場に出れば、周囲の木にモザイクガラスのライトが吊るされ、幻想的な光が
石畳を七色に照らしている。
大人たちが用意した豪勢な食事が並び、村中の子供と一部の大人が集まり賑わっていた。
中央に設置された舞台の傍にユミルとスイが座り、子供たちが祝いにと用意した花束など
を受け取っている。
他愛のない会話をしながらも僕たちは食事を楽しんだ。
そんな時、ルル達が集まり舞台へ上がっていくのが目に入る。
すると、ルルの一人であるユナがを手招きしてくるのが見えた。
イブもまざれば、美しいルルたちがしなやかな肢体を天へ伸ばし、軽やかな足取りで踊
り、歌う。それぞれが特筆した才能を証明するかのように七色の光に包まれて、幻想的な
光景を生み出している。
楽しそうに美しく歌うイブに見とれてしまう。
料理なんてそっちのけ、僕はスケッチブックを取り出して描き起こす。
「綺麗だ。」
思い出は、僕たちが辿ってきた道は全て残しておきたい。
瞬きをしてしまえば過ぎ去ってしまうそれらを大切にしたいのだ。
「戻ったのですよ~!」
「おかえり。」
「とても綺麗だったよ。」
「ほんとなのです?ほんとなのです?であれば、よかったのですよ!」
柔らかい笑顔。
その時改めて思ったんだ、彼女に恋をしていると。
・
・
・
帰宅した僕たちにはお互い別の空気があったのを覚えている。
「約束の時なのですよっ!」
フンスと鼻を鳴らしながら机の上にノートと筆記用具を早速広げている…。
意欲が高いことは素晴らしいとは思うけれど、やはり気は乗らない。
やるしかないんだけどね。
「じゃあ、授業を始めようか。」
「では、前に説明したところ…子供の作り方についてだ。覚えているかな?」
「えとえと、確か…好きな人同士が好きな気持で一杯になって、そしたらある時コウノトリさんが運んできてくれるのですよね!!」
「うん、そうだね。」
「以前はそう教えた。」
「ごめんね、あれは.......嘘なんだ。」
「ウソナノデスカ…!!」
「うん、気分を悪くさせちゃったかな?」
「嘘をついたのですか!?」
「ごめんて…本当に、悪気はなかったんだよ。」
「ここから先の本当のお話は、イブが知るには早いかなと思ってしまったんだ。」
不服そうに指をこちらに指しながら彼女は頬を膨らませる。
「私と!キノは!同い年なのですよ!!!」
「そういえばそうだったねぇ~。」
お揃いなのに…と少し寂しそうに俯く姿を見て、罪悪感がこみあげてくる。
「もう嘘はつかないし、他に嘘はついていないからさ。」
「じゃあ許してあげるのですよっ。」
「ありがとう。」
「じゃあ、授業に戻るんだけれども…」
教科書をめくり、とあるページにある挿絵を指さす。
「僕たちの体には、お互いにあるモノと無いモノが存在している__それがここなんだけれども。」
それは、男女の人体図…まあ、保健体育の教科書に載っているよくあるやつだ。
挿絵の下腹部辺りに指をさす。
今自分が、何をしているかなど考えない。考えてはいけない。
羞恥心で弾けてしまいそうだから。
しかも、イブは真面目に知識を取り込もうと「ふん、ふん!」と頷きながら真剣な眼差しを向けている。
.......確かに、彼女に教えるにあたって僕も真剣だった、でもそこには多少の下心がもちろんある。
だからこそ、考えてはならない。
「ひとまず、二人が言っていた”おしべ”と”めしべ”のことだね。」
「それはここの__男性であればここ。女性であればここの部分を指すんだ。」
「ふんふん…それが何なのですか?」
「これが、子供を作るのに必要な臓器?と言えばいいかな?」
「ふむふむ、なるほど?」
「この、おしべをめしべの中へ入れて種をまくんだ。」
「そしたら、女性のお腹の中で種が芽吹いて赤ちゃんができる。」
「はわぁ…痛そうなのですよ…」
「う~ん...どうだろう。経験がないからわからないかな。」
「おなかから…たね…」
「とはいっても、安心してよ。」
「男の子にはその種を作るための臓器があって、女の子には種を受け止める臓器がある。」
「だから口から出てきたりはしないよ。」
「おなかの中で赤ちゃんを育てる形になるんだよ。」
「はい先生!質問なのですよ!」
「つまりは、二人には子供が生まれるのですか?」
「どうだろう...100%じゃないんだよね。」
「100%じゃないのですか?」
「そう、女の子にある種を受け止める臓器の中には卵があってね、それに種が届かないといけないんだ。とっても難しいことなんだ。」
「なるほどぉ...」
「じゃあ、子供が欲しいって思ったら、一回じゃダメなんですね。」
「一回でできることもあるにはあるんだろうけど、難しいだろうね。」
どうだ、僕は最善を尽くしたと思うんだ。
間違ったことは言っていないし、彼女にわかりやすく例えた。
下心に従うこともなく、説明した。
イブの顔を覗いてみれば、満足げに頷いている。
よかった、これでこの話はおしまいにしよう。
「私たちもしてみるのですか?」
____今、なんて言った?
待ってくれ、僕が一体何のために我慢したと思っているんだ。
今まで沢山きっかけはあった。
一緒に同じ屋根の下、仕方がないことだろう。
朝起こしに行ったときに見る寝顔だったり、身じろぎをしたときに見える素肌だって。
かがんだ時や、体を乗り出す際に見えてしまった胸元だったり。
お風呂上がりの赤らんだ肌に、しっとりとした髪。
体を寄せ合ったり、抱きしめ会った時に感じるイブの体温も。
...彼女の笑顔ですら。
今回の
彼女の純粋さを再確認したし、だからこそなのか
僕は君に傷ついてほしくないのに。
「ん、どうしたのですか~?大丈夫なのです?」
落ち着くんだ。
今まで積み上げたものがすべて崩れてしまう。
「あ、あぁ。大丈夫だよ。」
「やっぱり体調悪いのですか?」
「そんなことは無いさ!大丈夫。」
「.......確かに”これ”は愛し合っている者たちが行う行為の一つ。」
「キスの延長線上と言っても…過言すぎるか?いや、過言ではない。」
「ふんふん、なるほど。過言では…ない。」
「けれど、初めのうちは痛いと聞いたこともあるし。」
「それじゃあ、慣れるまでなのです?」
「その時間も、僕たちには無い…だろう?」
「でも、やってみないと慣れないのですよ?」
ごもっともだ!
だが引き下がらないねぇ!
何がそこまで引き立てるんだ!?
仕方がない!
「それにほら、イブとかは恥ずかしいんじゃないかな?怖いと思うし。」
「う~ん…スイとユミルがやってることが怖いのですか?」
「想像してみてよ。自分の”アソコ”にこれぐらいの」
丁度良く手元にあった定規をイブに見せる。
「これくらいのものが、自分の中に入っていくんだ。わかるだろう?」
「なんとなくわかるのですが…だってだって、あの二人もしたのですし。」
「そうだね。」
「二日しか違わないですし!」
「そう…だね。」
「スイはその…いい感じだったって言ってたのですよ!」
「そう…かぁ。」
(スイ恨むぞ!スイィィィィィィ!!!)
「ほらそれに、そういうことをしないといけないってことは、お互いに裸にならないといけなくてさ!」
「はだっ…はだっ裸なのですか…?」
い、今更気が付いたのかイブ!??
「それは…そうだよ?だって、裸にならないと…普段隠れているモノじゃないか!」
「はだ…はだ…かぁ.......?」
彼女は頬を赤く染め上げていき、ちらりとこちらを見上げる。
「でもまあ…その、キノがしたいならいいですよ?」
じわり、ひたひた、と潮のように押し寄せ満ちてくるものがあった。
部屋の温度が急激の上昇し、耳の後ろに熱が軋む。
あぁ、どうしてこの未熟な体にコントロールできないほどの欲を宿したのだろう。
僕はそのほっそりとして滑らかな身体を
彼女と同じ部屋にいて、ベッドの上で
だんだん自分がちがう場所に押し流されていく。
「_______ッは!…ふぅ。」
「イブ!」
彼女の両肩を掴む。
「やさしくしてほしいのです…。」
「だからぁ!駄目だって、気軽にそういうことを言ってはいけないんだよ?」
「別に気軽じゃないのです…キノにしか言わないのです。」
「.......」
「ッ!!別にキノがしたくないのならいいのですッ!!」
渋っているのがわかってしまったのか、イブはふてくされたようにベッドに飛び込みそのまま眠りについてしまった。
「あぁ…怒らせてしまった、ただしかし傷つけたくないのは確かなんだ。」
なんだか少し、後悔が残りつつも自分のベットへ向かい。
就寝する。
その時、高ぶった欲を一人で処理したのは内緒の話。
・
・
・
酷い夢を見ていたはずだ。
胃液と唾液、精液に塗れたアレが自分たちの結末だとしたら。
そんな想像が頭をよぎる。
更には体調もよろしくない、これが呪いだとしたら度し難い生き物だ、僕は。
体を起こしてみれば、イブが僕の上に馬乗りになっている。
「イ、イブ?」
語りかけても、何も反応を示すことなく、ニコリとこちらに微笑むと唇に柔らかく、温かいものが触れた。
「んむっ!??」
引きはがす間もなく、熱く火照ったそれが僕の口内を蹂躙する。
「もっと…もっとなのですよ。」
一度離れたと思った彼女の顔を見てみてみれば、トロンと蕩けた表情で一目で様子のおかしいことが分かった。
咄嗟に彼女の肩を抑え、問いかける。
「ど、どうしたの?」
「もっとなのですよ。」
「もっと?」
「嫌…なのですか?」
「やめたいのですか?」
「もっとはだめなのですか?」
じわじわと脳の奥からあふれ出してくる。
何をしているのだと。
誰かがそれを否定する。
気が付けば、目の前は血でぬれた森だ。
「――姫の血により命令します。その面を、喰いなさい」
目も前に在るのは、友人を友人だったモノが喰い散らかす、そんな悪夢。
悪夢なんかではない。
これは現実だ。
僕が、僕が、僕が僕が僕が僕が僕が僕がッ!!!
視界が暗転する。
「…キノ??」
心臓がドクリ、大きく跳ねた。
魂をミキサーにかけられたような、これまでの記憶も感情も何もかもが蹂躙されて別のものに変わっていく。
自我を保つ?時間をかけすぎた、これ以上は無理だ。
息をするのも難しくなってきているのだから。
「______!!」
過呼吸気味になっている僕にイブが駆け寄ってくる。
「キノ!キノ!大丈夫なのですか!??」
「あぁ…この世界は__」
呪いばかりだ。
__あぁ、なるほど…識っている。
僕はこれを見たある。
この光景は、脱出の時だ。
村の秘密を知り、嫌になったんだ。
地下で見つけた赤ん坊を背負って、イブと隣で過ごしたいって思ったから。
それでも覚悟なんてしきれてない。
情けない男だ。
確か、今まで描いてきた絵をイブの懐に入れたっけ。
何時まで経っても、自分の保身しか結局のところ考えていなかった。
イブを好きな気持ちは本物だ。
イブを愛しているのも本物だ。
それ以上に僕は、人喰いになることを恐れていただけだった。
だから逃げようとしたんだ。
「イブ…。」
「なんなのですか!」
「離して。」
「嫌なのですよ。」
「なにをしようとしているのですか!?」
「駄目だ…。」
「なにがッ…なにがだめなのですか!!」
「僕は…誰も食べたくないッ。」
「置いていくのですか。」
「連れ出したのに、置いていくのですか!!」
「イブが…イブが、生きれるならっ!僕は…僕の中の最善を取る。」
「勝手に決めないでほしいのですよ!」
「一緒に出てきたのに!なんで一人で決めるのですか!」
「これは.......ただのエゴだ。イブとまだ一緒に居たい。」
「いろんなことをやりたい。」
「一緒に見れるのですよ?見れるのに…。」
「だけど.......僕はッ…食べれない、食べれないよ。」
「なんで…なんで、一緒に生きてくれないのですか?」
「大事なんだッ…一緒に生きていきたい!だけど、君を!人を喰べる僕の…共犯者にはしたくない。」
「連れてきた赤ん坊も…イブも僕には食べられない。」
「キノが、帰るのなら…イブも帰るのですよ。」
「あそこに居たら、どうなるかわかるでしょ?」
「わかっているのですよ。」
「でも....ルルたちは、アイビーたちは!イブは!ずっと....ずっとずっと!いつかキノに食べられるんだって!いつか食べてもらえるんだって!病気を治してもらって....元気に生きてもらうんだって!....思ってたのですよ!でも、キノがそうじゃなくて、一緒に外に出たいって言うからっ!イブは今....ここに居るのですよ。一緒に出てもいいかなって!きっと外はとっても素敵な場所で、今日も明日も....きっといい日になるのです。....ずっと思ってたのですよ!誕生日を迎える前だったとしても!もしキノが辛くなったら、直してあげられるように....今日で終わってもいいって思えるように。だから毎日言うのです....今日は最高の日だったって、今日も最高の日なんだって....そう思ってたんですよ。」
「でも....キノとならもっとずっと先の約束をしてもいいかなぁって思ってたんだけどなぁ…。」
そう、イブはちゃんと僕のことを考えていてくれたんだ。
当たり前のことなのかもしれない、それでも僕にはできなかったことだった。
半端な覚悟でいた僕が悪かったのだ。
こんなにも僕を見ていてくれたなんて、なんで気が付かなかったんだろう。
本当に__
「僕は自分勝手な人間だったんだな。好きと言う感情も、愛している気持ちも、これから先を願うその夢も....本当だった。けれど、それ以上に....
「怖いのですか?」
「あぁ…怖いよ。もし、一度でも”それ”を経験してしまえば、誰かを喰べてイブがいる世界に行ったとしても、人喰いなのは変わらない。極上のご馳走がある中で....放たれた獣はいつまで持つのか....無意識に今まで会った大人たちと自分は違うんだと考えていたのか。あぁ…醜いな。何もかもが中途半端だ。」
「キノ。私たちは二人で一つ....なのですよ。だから、一人だったら、半分かもしれないけど、二人揃ったら、一人前なのですよ。」
「....これからどうしましょうね?きっといろんなことがあるのですよっ。例えば、明日起きたら新しいお花咲いているのかもしれないですねっ!もしかしたら、あそこには無かったお花があったり、あそこには居なかった虫がいたり、ちょっと蝶々につつかれて怖くなっちゃったり、色々あるかもしれないのですよ。」
「キノはどうしたいのですか?」
「僕は....」
もう、やめにしよう。
目指していたのはなんだ。
イブと二人で暮らすことだったはずだ。
のどかな場所で、静かにお花屋さんを営みたいんだろう。
「中途半端はもうやめにしよう。」
「イブが好きだ、イブを愛している。これから先もイブと一緒にたくさんの所を見て回りたい。」
「うん!イブもキノのことが大好きなのですよ!」
「君を薬としても、食料としても見れない。けれど、この気持ちには嘘をつきたくない。」
どうやっても、イブを食べるのは無理だ。
夢をかなえるためにも、いやそれ以前に失いたくない。
ならば、夢を大切な人を得るためならば!
化け物にも悪魔にだってなってやろう。
「どこまでも一緒なのですよ。」
「ありがとう。」
そうして僕はゆっくりと、
――― ぐちゅり 子気味のいい音がした。
産まれてまもない、小さな果実を掻き取る。
薄い皮は牙を立てればすぐに裂け、熟れすぎた雛の肉のように容易くひきちぎれる。
甲高い音があがる。まるで煮立ったヤカンの笛のように、果実は悲鳴をあげる。
まだ未熟な種子が必死に暴れ、やめて、やめてとでも言いたげに、耳をつんざく声を立てる。
小枝を折るように腕を砕き、咀嚼。
小さな蔓をしゃぶり呑み込めば、その声はしだいに細く、弱くなっていく。
やがて命の灯が消える。
だが知ったことか。貴方は己のために
自分たちのために、自分たちだけでも生き残るために。
その後に果実としての未来を奪われたそれは、ただ静かに胃の中へ―――。
・
・
・
・
「a...gaaa」
いつから寝ていたのだろうか。
それにここは一体どこだろうか。
周りを見渡せば一面が木々に覆われており、空を見上げてみれば、夜空が広がり、満月ではなく弓張月が浮かんでいる。
あぁ、そうだ。イブは何処にいる?
見当たらない。
改めて周りを目を向ければ、芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。
これは....知っている匂いだ。
甘やかで鉄を思わせる匂い、まるで夏の畑で潰れた果実のようにこちらを誘う赤い香り。
今更ながらに、自身の空腹と渇きを自覚する。
考える暇もなく、その香りのする方へ体は向かっていく。
たどり着けば、夜なのにも関わらず美しく輝く湖と、熟れた果実が転がっているではないか。
自身の飢えと渇きを満たすため、それらを乱暴に掬い上げ口に運ぶ。
「....gaaaaaa!!」
口内に広がったのは、甘味でもうま味でもなく、腐敗匂の漂う吐しゃ物のような風味。
慌てて吐き出しそれを見やれば、そこにあったのは無残に殺された”人”であった。
居ても立っても居られなくなりその場から逃げだす。
自分はあれをオアシスと勘違いしたのかと思うとぞっとする。
がむしゃらに走っていれば、また湖を見つけることができた。
先ほどの気色の悪いモノをゆすぐためにも見つけた湖へと駆け寄り水面を覗き込む。
キラキラと光り、自身の顔でさえも反射するそれに感動をしつつ、手で掬い上げようとしたとき違和感を感じた。
ここまで自分の手は毛深かったろうか。
爪は鋭かったか?
ふと、見れる水面に自分の顔がうつる。
そこに居たのは、ただの化け物だったのだ。
人と獣が混ざったそれの中に、自分の面影を感じた瞬間に胃からこみあげてきた何かを吐き出す。
血と胃液、肉片であろうモノに混じった小さな欠片。
あぁ…僕は。
失敗したんだ。
・
・
・
どれだけ走ったかわからない。
広大な森、明けない夜。
イブを探して走り回る。
名前を呼ぼうにも、口から発せられる音は最早、声とは呼べないただの獣の唸り声へ変わり果ててしまっていた。
景色も何も変わり映え無いというのに、渇きと飢えは酷くなっていく。
そこらに転がる死体を喰えば楽になるのだろうかと、たびたび考える。
その旅薄れた記憶の中で、イブに言われたことを思い出すのだ。
あんな風にはならないで。
そう言われた気がするから。
あまりに耐えられない時は、自分の腹を裂いた。
腹がなければ、減らないと思ったから。
実際は激痛が走り、死がよぎったが、死ぬことは無く気が付けば傷がきれいさっぱりなくなるのだ。
死ぬことも許されないここは、もしかしたら地獄なのかもしれない。
気が付けば、走ることすらもできなくなって、ただ空を見上げている。
爛々と星々が輝き、半分の月光が僕を照らす。
もう、僕に朝はやってこないだろうと確信した。
薄れる意識の中、走馬灯のようによみがえる景色。
永遠の底に置き忘れてきた、澄んだ青色は今やもう届くことは無い。
どんな祈りも、言葉も近づくことはできてもつかめない。
「また会えるよね」
声にならない願いを抱いて残り僅かな涙をたらす。
最後の雫が落ちた時、夜が弾けた。
たまらず瞼を閉じ、ゆっくりと開く。
「おはよう....キノ。」
乾ききったはずの瞳から、涙が止まらない。
あぁ…ようやく、逢えたんだ。
洗いたての太陽は、優しく僕らを照らしている。
「おはよう....イブ!」
彼女の手を離さない様に、優しく握る。
これからは二人でこの大地を歩んでいくことを喜びながら。
という訳で、長らくお待たせいたしました。
自己満です。
最後の下りがやりたかっただけです。
分かりやすいね。
駄文も駄文。
自分のやりたいこと、書きたいことしか詰め込んでいないので、申し訳なさMAXですわ。
ちょっとね、やる気が出たらスチル?一枚絵?か、描きたいと思います。
期待しないでね。
本当にありがとうございました。
あれ以上のものは無いと確信しております。
動画の感想も、まとめて送るから覚悟してね。