バンビーズみんなのバスターでバインバインしたかっただけなのに   作:カナダ次元

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『再活性化する・新しい活力を与える』


REVITALIZE

.

 

 

 

 

 

すきだよ

 

しぬほど

 

 

 

 

 

BLEACHアニメ千年血戦篇  第○○話「REVITALIZE」

予告ポエムより

(イラスト:ジゼル・ジュエル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしっ。これでリルの新しい『G』の聖文字、『ジェネレイド(Generaider)』の付与は完了よ」

 

「ああ。ありがとう」

 

「しっかし『ジェネレイド』ねぇ・・・今ある『食いしんぼう(Glutton)』と組み合わせたら色々とエグイ事が出来そうね」

 

「まァな。色々と新技の考案はある」

 

「で、最後はジジだけど・・・アンタは本当にこの『Z』でいいの?」

「他にもっとマシなのあるでしょ。『十二獣(Zoodiac)』とか、アンタの事ならいっそ『アンデット族(Zombie)』でもいいじゃない」

 

「いやぁ、流石に前者は似合わなすぎでしょ」

「あと後者に関してだけど、ボクはキャンディほど安直にはなれないかな」

 

「なっ!?誰が安直だ誰が!!」

 

「それもそうね」

 

「バンビも納得してるんじゃねーよ!!」

 

「騒ぐな鬱陶しい」

「まっ、俺はいいと思うぜ。そもそも『Z』で始まるテーマもあんまり無いしな。これはある意味ジジに合ってんじゃねーのか?」

 

「あ?どーゆー事だよリル」

 

「どーせコイツは保険としてチョイスしたんだろ。俺達用に」

 

「あっ、そーゆーコトですか~」

 

「そーゆーコトだミニー」

 

「???あたしはさっぱりわかんねーぞ?」

 

「キャンディちゃんはそのままでいいと思うの~」

 

「・・・・・・ハハハ、やっぱりわかっちゃうんだ?」

 

「当り前だ。露骨すぎんだろ」

 

「・・・そっかー」

 

「ジジ、あんた・・・」

 

「そんなカオしないでよバンビちゃん」

「大丈夫、わかってるよ。コレはあくまで保険だから。使わない事には越したことはないけど、後悔はしたくない」

「だからお願い。コレをボクにちょーだい」

「ボクはみんなに生きていて欲しいんだ」

 

 しばらくの間、返事は無かった。

 

「・・・・・・わかったわ」

 

 長考の末、バンビエッタは胸のバッジを手に取り彼女の"妹"へと新しい能力を与える為にその術を行使する。浮かび上がるハート形のアクセサリー。それは徐々にカチャカチャと機械的に変形していき、やがて小さい八面体へと姿を変えてゆく。

 

 

 

 

 

完現術(フルブリング)、発動 』

 

糾罪巧(エニアクラフト)

 

 

裁誕(リバース)始導(リリース)

 

「ジゼル・ジュエル」

 

「アナタに捧げる、チカラは―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ッ!?また行き止まりだと!?」

「誰もおらぬ・・・敵どころか人ッ子一人・・・」

「おのれ・・・!おのれジゼル・ジュエル!!また我を謀りおったなァ~~~!!!」

 

 悔しそうに大声で叫ぶヴァイキング風の兜を被ったその男、ジェラルド・ヴァルキリー。諦めきれないのか、彼はもうしばらく周辺の壁や天井を見渡す。しかし周囲に誰もいないことを再度確認する事しかできなかった。これ以上ここに留まるのは無意味であるのを理解した彼はトボトボと背を返しその場から去って行く。

 

「・・・・・・ふ~。よーやくまいた・・・」

「まったく、シツコイったらありゃしないね」

 

 ジェラルドが去ってから数分、誰もいなかったはずのその空間から"少女"の声がこだまする。洞窟の壁の一部が崩れ去り、その背後から"彼女"は姿を現す。ジェラルド・ヴァルキリーが血眼に探していたジゼル・ジュエル、その本人である。

 

 ここはリルトットが作り出した「王の舞台(ジェネレイド・ステージ)」の一つ、鉄の世界ドヴェルグス。ファンタジー創作物において非常に有名な種族の一つある"ドワーフ"、その語源と同じ名前を冠するこの叫谷はそのドワーフが住む地下世界を限りなく模した世界だった。謎の光によって照らされたこの果てしなく続くような炭鉱の世界はまるで迷路のように非常に入り組んでおり、その構造を理解していなければ侵入者は簡単に迷ってしまう。さらにリルトットにより一時的にこの舞台(ステージ)の"管理者"として設定されたジゼルはその地形をほんの少しではあるが操る事が出来る。

 

「次はどうすっかな~」

 

 だがそれらの機能をフルに駆使してもジゼルはジェラルドの追跡をギリギリのところで振り切る事しかできなかった。あの男、頭は悪いはずではあるのだが勘が鋭いところがあり、ジゼルは何度も彼に見つかってしまいこの逃走劇もこれで5回目になる。ジェラルドのあまりものしつこさにジゼルの気力もそろそろ底を尽きかけていた。バンビエッタがユーハバッハを倒すための時間稼ぎを目的としてるとはいえ、たかが時間稼ぎ、されど時間稼ぎ。ジゼルは親衛隊を相手をするのにこれほど苦労するとは思わなかったのだ。

 

「・・・・・・バンビちゃん」

 

 ふと、ジゼルは彼女の名前を呟いた。彼女は今どうしてるだろうか。ユーハバッハを相手に一人で戦って、はたして上手くやれているのだろうか。たしかにあの姉は自分達全員分の能力がある。それを存分に使いこなせば勝算は皆無というわけではない。しかし彼女が相手にしているのはユーハバッハ。千年以上の時を生きて来たあの化け物なのだ。ジゼルは自分の中の不安をどうしても拭えなかった。

 

 だが、これは皆と決めたことなのだ。

 

 すべてはユノワールを、守る為にと。

 

「・・・・・・ん~、駄目だ駄目だ!暗い方へと考えるのはやめよう!ボクはボクのやるべきことをやる!それでいいじゃないか!」

 

「ほう?つまりようやく我と戦う覚悟が出来たという事か!」

 

「げっ」

 

 気合を入れなおしてた隙を突かれたのか、いつの間にかジェラルドが目の前に立っていた。しかも憎らしい事に今いる場所は一本道。ジゼルは袋小路に追い詰められてしまったのだ。

 

「貴様の快進撃も最早これまで!ここから先へ通りたくば、我を倒して行くがよい!」

 

「なんでここが自分の領域(テリトリー)みたいな言い方してるの?」

「ったく、調子狂いっぱなし・・・だね!」

 

 ジゼルは腕をかざし地面に影を召喚する。影から這い出るは有象無象の死神達。一次侵攻と二次侵攻でジゼルが集めた、モブ死神のゾンビ軍団だ。

 

「むうう!また貴様の『死者(ザ・ゾンビ)』による雑兵か!!」

「亡者共の後ろに隠れおって!貴様!恥ずかしくないのか!!」

 

「はぁ~?恥ずかしいって、ボクの能力なんだから恥ずかしくないにきまってるじゃーん」

「恥ずかしいってのはボクみたいな丸腰の女の子を追いかけまわしているアンタみたいなコトを言うの!男がすたる、みたいな!だっさー」

「やっちゃえゾンビーズ!」

 

「・・・・・・?」

「女だと?何を言っている」

「貴様、男だろう」

 

「は?」

 

「貴様から嗅ぎ取れるその汗の匂い、どう考えても男のものだろうが」

 

「・・・・・・汗の匂い、だって?」

「なにそれ。まるで犬じゃん」

「まさかそんなことで・・・」

「・・・ハハハ」

 

「ブッ殺す」

 

「フハハハハハハ!」

「よくわからないが、ようやくいい顔になったじゃないか!!ジゼル・ジュエル!!」

「我は『奇跡(ザ・ミラクル)』!!ジェラルド・ヴァルキリー!!」

「さあ!!かかってくるがいい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その少年は「愛の孤児院(リーベ・ヴァイゼンハウス)」というこの狂気の施設で"補充要員"として生まれ、そこで育った。父と母は知らない。たがおそらくは彼が生まれた後に他の大多数の孤児たちと共に交流戦で死んでしまったのだろう。それに関して彼は思う所はなかった。だってこの場所では()()()()()()だったのだから。

 

 一応、交流戦自体には年齢制限と言うモノが設けられておりここで生まれ育った子供は四歳に育つまで班分けはされずに交流戦への参加は免除されていた。だが「見学」自体は義務付けられており、それによりその少年は赤ん坊のころからその狂気の殺し合いを見て育った。たくさん見た。殺し、殺される孤児たちを。四歳になる頃には彼にとって死とはもはや身近にあるものであり、ただただ()()()()()()だった。

 

 四歳になり、2の班に配備され、識別のための名を与えられた彼は班分けされた後で知り合ったある一人の女の子とすぐに仲良くなった。彼と同じ黒髪で背格好がどことなく似ているその女の子は孤児院の「外」から連れてこられた子であり、彼の一つ年上でその事でいつもお姉さんぶっていた。授業では共に滅却師の技法をいとも簡単に身につけメキメキと実力を上げていった。彼は今までの「見学」で死合に出ていた孤児を参考に技法を学んでいたので吸収は早かったのだが彼女は正真正銘の素人。彼は彼女がそれでも自分に食らいついてこられる事に驚き、同時に喜んだ。彼女が自分に似ているせいか、彼女の功をまるで自分自身の事のように嬉しく思えたのだ。

 

 時は流れ、三か月後。彼ら2の班の初めての交流戦がついにやってきた。

 

「ねえ、○○。約束して」

 

「ん?なぁに、G2(ジーツー)?」

 

「生きて」

 

「・・・・・・?いきるって、どういうこと?」

 

「死んじゃダメってことだよ」

 

「え?でもしぬのってあたりまえだよね?」

 

「あたりまえじゃないの。ココはなんかオカシイんだ」

 

「ん~~~?よくわからないけど、わかった!」

 

 そして開始されたその交流戦。前の班が全滅し、新たに成立された2の班はこれがリニューアル後のデビュー戦だった。しかしくじで決められたその対戦相手は不幸にも「愛の孤児院(リーベ・ヴァイゼンハウス)」の院長であるペペ・ワキャブラーダ自らが最高傑作と呼ぶ孤児たちの集団。結果は火を見るよりも明らかだった。

 

 彼女は確かに天才だった。全くの無知の状態からたった三か月でここまで戦えるまでに成長した事は素直に賞賛するべきである。しかしG2(ジーツー)の名を与えられた彼女はたかが五歳の女の子。交流戦の終了時間間際まで粘りはしたが、彼を庇った彼女は彼に覆い被さるようにしてついに息絶えた。

 

 仲良くなった彼女の死体の下敷きにされた彼はなにがなんだかわからなくなった。ついさっきまで意気揚々に喋ってて動いていたのに、事切れた彼女はまるで糸の切れた人形の様。矢によって全身を射抜かれた彼女の体から流れ出た血はビシャビシャと絶えず自分を汚す。

 

 なんだろう、この感情は。

 

 ()()()()()()なのに、()()()()()()じゃないような。

 

 不快感は無い。しかしなにか大事なものを失った気分がする。その感情の正体が何なのか彼には解らなかった。

 

 交流戦が終わり2の班は全滅したと思われた。終了後、闘技場に勤務している清掃班が死体の片付けをしてる際にとある死体の下からまだ生きている孤児を発見するまでは。

 

「お、おい、コイツまだ生きてるぞ!」

 

「ハァ!?マジかよ、面倒だな・・・」

「おいクソガキ。テメェの名は?どの班所属だ?」

 

「・・・なまえ?」

 

 ああ、そうか。

 

 ようやくこの感情がなんなのかが分かった。

 

 どことなく自分と似ていたG2(ジーツー)。その似ている彼女がいなくなった事で自分は寂しいんだ。

 

 ならばどうする?簡単だ。

 

「ボクは・・・・・・G2(ジーツー)だよ」

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 こうして"彼"は、"彼女"になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあさあさあ!!どうしたジゼル・ジュエル!!貴様はまだまだこんなものじゃないだろう!!」

 

「くっ・・・」

 

 ジゼルは早くもジェラルドと戦う事を選んだことを後悔していた。

 

 確かに相手は精鋭ぞろいの親衛隊ではある。決してその事を過小評価した訳では無いが、自分だって決して弱くはない。むしろ曲者ぞろいの聖章騎士の中でも能力を含めて上位に位置する実力を家族全員が持っていると自負していた。それでもこれ程の差。今の所ジェラルドからの攻撃はゾンビ共に肩代わりさせてたので直撃を食らってはいないが、ゾンビの全体数はすでに一割までに減っていた。そしてあれほど大量に動員したのにゾンビ達は全くといっていいほどジェラルドにダメージを与えてなかった。

 

 それに、仮にジェラルドにダメージを与えたとしてもそれを逆手に取るのがユノ経由で聞いたジェラルドの能力、『奇跡(ザ・ミラクル)』である。その能力とは"傷を負ったものを「神の尺度(サイズ)」へと交換する"、ようするにダメージを与えれば与えるほど回復し巨大化する反則的な能力だ。自分の能力も割と大概ではあるものの、ジェラルドのは理不尽を通り越して余り有るものだと今さらながら実感していた。

 

 やはり、あの噂は本当だったという事なのだろうか。

 

 石田雨竜が星十字騎士団へと合流する前、神赦親衛隊(シュッツシュタッフェル)の実質的な統括隊長は部隊長であるリジェ・バロであった。彼はユーハバッハが初めて聖文字(シュリフト)を与えた滅却師であり、その立場は揺るぎないものだった。しかし神赦親衛隊(シュッツシュタッフェル)の中に二人ほどユーハバッハから力を与えられていない滅却師がいる。一人はペルニダ・パルンカジャスであり、もう一人が目の前にいるジェラルド・ヴァルキリーであったのだ。

 

 皇帝候補者は全員「与える者」であり、彼らは既に持っていた力になぞらえてユーハバッハが聖文字(シュリフト)を決めただけで彼らもユーハバッハから力を与えられていない。しかしペルニダとジェラルドは皇帝候補者でないにもかかわらず彼らも元々持っていた力があり、それで聖文字(シュリフト)が決められた。そのせいで二人に関して妙な噂が絶えなかった。

 

 曰く、ペルニダは「霊王の左腕」であると。

 

 曰く、ジェラルドは「霊王の心臓」であると。

 

 ペルニダに関してはニキータ・デスロックが依り代となっていたため事実であることがついさっき確認された。となるとやはりジェラルドは「霊王の心臓」であるということなのか。だとするとあの理不尽さにも一応の説明がついてしまう。現状の打破についてまったく貢献しない考察ではあるが。

 

「・・・・・・やっぱり、この方法しかないか」

「しょーがない」

 

「む?」

 

「褒めてあげるよジェラルド・ヴァルキリー」

「ここまでボクを追い詰めたのは・・・キミで二人目だよ」

 

 一人目は自分が唯一死んだ事がある、あの忌々しい交流戦での相手だ。

 

「ほう!それは光栄だな!!」

「追い詰められた貴様は、一体我に何を見せてくれる!?」

 

「出てきていいよ―――ッ」

 

「・・・・・・!!」

「こ奴らは・・・!」

 

 

 

 

護廷十三隊 三番隊隊長

鳳橋(おおとりばし) 楼十郎(ろうじゅうろう)

 

護廷十三隊 九番隊スーパー副隊長

久南(くな) (ましろ)

 

護廷十三隊 九番隊隊長

六車(むぐるま) 拳西(けんせい)

 

護廷十三隊 十番隊副隊長

松本(まつもと) 乱菊(らんぎく)

 

護廷十三隊 十番隊隊長

日番谷(ひつがや) 冬獅郎(とうしろう)

 

 

 

 

「隊長格共か!!それも五人も・・・!!」

 

「さァて、せっかく制服も与えてカッコよくコーディネートしてあげたんだ」

「期待しているよ?隊長さん達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初の交流戦以降、G2(ジーツー)となった"彼女"はしばらく手持ち無沙汰になった。いくら弱くてもエリート教師たちにより教育された孤児院の班は最低でも数回は交流戦をこなしてから全滅するものであり、2の班がこうも早期に壊滅したのは院長であるペペをもってしても予想外だった。更には全滅判定を食らったにもかかわらず生き残りがいたという始末である。次の補充要員も育ち切っておらず、G2(ジーツー)はしばらくの間班には配属されずに中途半端に浮いた状態になってしまった。

 

 では再配属されるまでにG2(ジーツー)は何をしていたかというと、闘技場の清掃班の手伝いをしていた。もはや"見学"では足りない。"彼女"とより近くなるように、彼女が息絶えた死が渦巻くこの場所でG2(ジーツー)は出来るだけ時間を過ごしたかった。()()()()()()()()()()のを、()()()()()()にするために。

 

 そしてその手伝いをするにつれ、G2(ジーツー)は少しではあるがこの孤児院についての真実に触れ、そして自分が"女"になった事を心底喜んだ。何しろ"男"のままであったのなら孤児の補充の為に()()()()()()()()可能性があったのだ。あのようなキモチワルイ姿になるぐらいなら死んだ方が・・・いや、それは駄目だ。なにしろG2(ジーツー)には約束がある。何が何でも生き延びる。それが彼女と交わした最後の誓いなのだ。

 

 一年半後、ようやく再配属されたG2(ジーツー)はそこで初めてB2(ビーツー)と出会う。衝撃的だった。何しろ彼女は"彼女"とまるでそっくりだったのだから。自分は"彼女"となんとなく似ていただけで、B2(ビーツー)ほどそっくりではない。B2(ビーツー)のその性格や技能は"彼女"とは似ても似つかなかったが、その無二なる外見。"彼女"が自分の元へと戻ってきたと、G2(ジーツー)は密かにはにかんだ。そして同時に歓喜した。B2(ビーツー)が死ねば自分はB2(ビーツー)に成れる。そうすれば"彼女"に自分はさらに近づく事が出来る、と。

 

 だから自分の新たな同僚となったL2(エルツー)から生き延びる為の作戦を聞かされた時、コレだと思った。自分の生存を確保できるだけではなく、いつでもB2(ビーツー)を捨て石に出来るとなればB2(ビーツー)の生殺与奪は自分達が握ったようなもの。意気揚々とL2(エルツー)の仲間になった。L2(エルツー)には自分が実は男だという事はすぐにバレたが彼女はその事をそれ以上追求してこなかったのでその事もプラスに働いた。C2(シーツー)は非常にからかい甲斐があったし、M2(エムツー)も自分みたくどこか壊れていたので同類である事からの親近感を感じた。ああ、これが仲間か。G2(ジーツー)は毎日が本当に楽しく感じられた。

 

 そしてそれはU3(ユースリー)がやって来た時も変わらなかった。合流後の交流戦でB2(ビーツー)が死ななかったのは残念ではあったが、その後のU3(ユースリー)が行った関係修復の為の行動はまるで小動物が必死に動き回っていた様で見ていて愉快だった。L2(エルツー)は自分の計画が邪魔された事で終始不機嫌だったが自分は構わずにU3(ユースリー)を積極的に手伝った。どっちにしろB2(ビーツー)の生殺与奪は依然自分たちが握ったままなのだ。むしろ心を開いたB2(ビーツー)が自分に裏切られた時どんな顔をするのかを想像しただけでゾクゾクした。

 

 その認識が全て覆されたのは、とある夜。ふと目が覚めたG2(ジーツー)はトイレに行こうと自分の部屋を出ていった。しかしその帰り道、U3(ユースリー)の部屋の前を横切るとなんと彼女の部屋から声を押し殺したすすり泣きが聞こえたのだ。

 

「―――お母さん・・・!」

 

 らしくもない。U3(ユースリー)はいつも元気に皆を引っ張っていこうとする存在だ。なぜか無性に気になったG2(ジーツー)は彼女の部屋のドアを軽くノックする。

 

U3(ユースリー)?どうしたのー?」

 

 返事を待たずにドアを開けるとそこには備え付けのベッドの上で涙で枕を濡らし、目が真っ赤になっていたU3(ユースリー)がいた。

 

「ジ、ジジ!?じゃなくて、G2(ジーツー)!?すすす、すみません、なんでもないです!!」

 

「・・・?なんでもないならなんで泣いていたのさ」

 

 これまでG2(ジーツー)は泣き叫ぶ孤児達を交流戦で何度も見て来た。それは恐怖から、痛みから、そして絶望から来たものだ。だが目の前にいる女の子はそのどれにも当てはまらない。()()()()()()()()()()()()()()G2(ジーツー)にはどうしてもわからなかった。

 

「いえ、それは―――」

 

「お母さんって聞こえたけど」

 

「!」

 

「もしかして寂しいの?」

「ここに来たって事はU3(ユースリー)のお母さんも死んじゃったからなんでしょ?」

 

「寂しい・・・はい、それもあるかもしれません」

「でもなにより、私は―――」

「悲しいのです」

 

「カナシイ?」

 

 カナシイ?カナシイって・・・何?

 

「なんでU3(ユースリー)は・・・カナシイの?」

 

 その質問を投げられた彼女はキョトンと、困惑した表情を返した。

 

「・・・・・・?」

「いえ、だって当たり前じゃないですか。私はお母さんを失ってしまいました。だからこそ私は心が痛いし、辛いし、寂しい。もう二度と会えない。だから・・・だからこそそれを思い起こしてしまった私は、泣いてしまったのです」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・あの、G2(ジーツー)

 

「ん?なぁに、U3(ユースリー)?」

 

「約束、してくれませんか?」

 

 ピクリと、G2(ジーツー)はその言葉に反応する。

 

「約束?」

 

「生きてください」

 

「え?」

 

「死んじゃダメって事です」

 

「・・・なにを」

 

「私は、貴女達も大切です。お母さんみたいに貴女達も失いたくない」

「だからこそ約束してください。生きる、と」

 

「生きて・・・」

 

「!!」

G2(ジーツー)!?どうして、貴女が・・・!」

 

「え?」

 

 指摘され、あわてて頬に手を当てると自分の目から涙があふれ出ていたのを感じ取った。

 

「あれ・・・なんで・・・」

 

 ああ、そうか。

 

 "彼女"が居なくなって、自分は寂しかったんじゃない。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 本当は、悲しかったのだ。

 

 その日、G2(ジーツー)は泣いた。戸惑うU3(ユースリー)に構わず、彼女と抱き合ってたくさん泣いた。"彼"はその日、初めて"彼女"の死を正面から受け止める事が出来たのだ。ひとしきり泣いた後、G2(ジーツー)は本当にスッキリとした気分になった。孤児院で生きてきて、初めて生きた・・・いや、生き返った気分になったのだ。

 

 その後、"彼"はジゼル・ジュエルという名前を得た。バンビーズという家族も得た。孤児院からの卒業もあとわずかまでに迫った。今、自分は生きている。ジゼルはなにもかもが宝石(ジュエル)のようにすべて輝いて見えた。

 

 それらが全て塗り替わってしまったのは、あの運命の交流戦。

 

 ユノワールの頭がはじけた。リルトットの胸が射抜かれた。ミニーニャの首が折られた。キャンディスの胴が両断された。本当に一瞬の出来事だった。ジゼルは、何も。何もできなかった。

 

 ――――いや。

 

 出来る事は、一つだけある。

 

 トン、と。隣でショックを受け動けないでいた姉を押し倒す。

 

 あの日、"彼女"が自分にそうしたように。

 

「え・・・」

 

「生きて、バンビちゃん」

「約束だよ」

 

「ジゼ―――!!」

 

 死ってまっくらなんだなーと、ジゼル・ジュエルは最後に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ったく。分かってたとは言え、メチャクチャやってくれるなぁ・・・!」

 

 ジェラルドと隊長達との戦いは、ジゼルのほぼ予想通りに進んだ。

 

 この鉄の世界ドヴェルグスの大部分は叫谷内に存在する巨大な山の下にある鉱山だ。当然、そこは狭いエリアが大部分を占めており一番空間が広い場所でも縦幅はわずか3メートルほどしかない。そんな世界で致命傷を受ける度に復活して制限なく巨大化する存在が居たらどうなるか。

 

 そう、鉱山の完全崩壊である。

 

「あとちょっとで生き埋めになる所だったよ、もー」

 

 五人の隊長格は期待通りの動きを見せてくれた。卍解を持つ隊長は卍解を解放し、それを持たない副隊長も自身の隊長をサポートし効率的な打撃を順次敵へと加えていく。その中でも十番隊の隊長と副隊長は自分の期待以上の連携を披露して見せた。まさかこれ程早く鉱山が崩落し、山全体が崩れるとは。思いもしなかった成果にジゼルは複雑な感情を抱いた。

 

「・・・・・・たわい無い!」

 

 巨大化したジェラルドの声が辺りへと響く。

 

「護廷十三隊隊長格と言えど、我が『奇跡』の前ではこんなものか!」

「霊圧すら小さすぎて、最早殆ど感じ取れぬ!」

「この神釈(しんしゃく)の体で瓦礫の中から見つけ出していかねばならんのか。全く、砂中の蟻を踏むに等しいな。最早不可能に近い・・・」

「だからこそ見つけられる!!!」

 

「ヤバッ――」

 

 ジェラルドが繰り出したその平手の攻撃をジゼルは避けきる事が出来ず、直撃を食らってしまう。ジゼルは叫谷内の空へと吹き飛ばされた。

 

「不可能ならば見つけ出せぬと思ったか!?不可能を可能にしてこその『奇跡』だ!!」

 

「奇跡奇跡って、本当にいちいちウルサイなぁ・・・!」

「コイツを黙らせて!隊長さん達!!」

 

 

大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)!!」

 

 

「むう!!また貴様か小僧!!」

 

 よしっ、陽動成功だ。小さな隊長に気を取られたジェラルドの隙をつき、ジゼルは崩壊した山の瓦礫の下へとまた隠れる。

 

「――――でもやっぱり、このままじゃダメか」

 

 いい加減自分にも限界が来てるのをジゼルは誰よりも理解していた。自身の能力、『死者(ザ・ゾンビ)』でゾンビ化を施すためにはその相手の霊圧によって血液の必要量が変わる。そこら辺の一般モブ死神相手なら血の一滴でゾンビ化を成功させることができるが、隊長格となると侵入させた血液が心臓へと達し全身に行き渡らないとゾンビ化させることが出来ない。彼らの肌が赤黒く濁っているのもそのためだ。その上、各隊長格の性能を無理矢理引き上げる為にも必要以上の血液を自分は彼らに与えている。彼らがジェラルドの攻撃を食らい、彼らを修復するためにも血液は必要だ。ただその血液が足りなくなってきてる。これ以上彼らに血を与える事はジゼルは出来なくなってきてるのだ。

 

「・・・・・・あ~あ。まさか、死神にこの能力を使う羽目になるとはねー」

 

 ジゼルはすでにジェラルドの倒し方を把握していた。

 

 言ってしまえば簡単だ。()()()()()()()()()()()()()()。ジェラルドがもっともっと巨大化すればいずれ彼はこの叫谷の世界よりも大きくなる。するとどうなるか?ジェラルドの存在を支えきれなくなる叫谷はその存在を維持できなくなり消滅する。そしてその中に居る存在はその消滅に巻き込まれ、()()()()()()()()()()()

 

 だからこそジゼルはありったけの強化を隊長格のゾンビ達に与えた。ジェラルドの巨大化を加速させるために。だが先ほどから隊長格がどれほどジェラルドに攻撃を加えても一向に彼は大きくならない。ジェラルドの強化に隊長格が追いつけなくなってきてるのだ。故にゾンビ達はこれ以上の強化が必要になる。その為には皆の為に身につけた、バンビエッタから貰った新たな『Z』の聖文字の能力。それを使うしかない。

 

 その能力。それは対象を()()()()させ、一定時間無敵とも言えるほどの強化を相手へと施す。

 

 ―――()()()()()()()()()()()

 

「対象は五人・・・っと。さーて、これで後戻りは出来ない」

「幸せになってね、ユノちゃん」

 

 

 

 

 

智天(セフィラ)

 

神星龍(トーラ・グラマトン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?珍しいですねジジ、わざわざ貴女が情報開発部隊(コッチ)の隊舎部屋へ来るなんて」

 

「え?リルから彼女の名前の意味を聞かされたから自分のも聞きたいって?」

 

「説明口調すぎる?いや、なんとなく言わなくちゃって衝動に駆られたというかなんというか・・・」

 

「えっと、話を戻しますね?ようするにジジも自分の名前の意味を知りたいから来たと」

 

「あー・・・ちょっと恥ずかしいんですけど。笑わないでくださいね?」

 

「ジゼルというのは、ドイツ語からです。"約束"という意味があります」

 

「ええ、はい。覚えてますよ、あの日の事。ジジがあれだけ泣いたのは後にも先にもあの時だけですからね。ごめんなさい」

 

「なんで謝ったかって?いや、なんかジジの黒歴史を掘り起こしているようで申し訳ないと言うかなんというか・・・」

 

「でもでもですよ?今でもその想いは変わらないですからね?これだけはハッキリと言わせてもらいます」

 

「・・・そんなことより自分の事をもっと心配しろって?ハハハ、ごもっとも」

 

「私もみんなと比べたらまだまだ弱いですからね~。あ、言ってて悲しくなってきた」

 

「でもその時になったらジジは私を守ってくれるんでしょう?」

 

「そして私もその時が来たらジジを守ります!」

 

「当然ですよ!だって私達は家族なんですから!」

 

「これからも、よろしくね!」

 

「ジゼル姉さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ご清覧、ありがとうございました。これにてジゼル回は終了です。

 なんか今回の回を書いてたらいつの間にかオリキャラが生えて来た。なんでだ。あ、一応言っておきますと今回登場した"彼女"はバンビエッタとなんら関係ありません。ただ見た目が似ているだけのモブキャラです。一応過去の回で言及があったジゼルの付き人に彼女を当てようかとも考えましたが死んだままにしておいた方がいいと思ったのでその案は没。ちなみにジゼルの付き人の出番は今後もありません。あしからず。

 以下今回登場した遊戯王要素解説。


 遊戯王簡易解説、その2:セフィラ【 Zefra 】

 2015年2月14日に発売された第9期第4弾のパック「クロスオーバー・ソウルズ」でカテゴリ化された「セフィラ」と名のついたカード群。旧約聖書に登場する生命の樹、ユダヤ語で「セフィロトの樹」をモチーフとしたテーマ。モンスターすべてに白い羽が生えているのが特徴。

 ちなみに英語名が「Sephira」ではなく「Zefra」なのは自分が知る限りハッキリと明言はされていないが、まあこちら側(海外)の大人の都合による可能性が大。流石に宗教だとね・・・

 第9期の遊戯王は「遊戯王ARC-V」が放送されていた時期であり、セフィラは当時最先端の召喚方法である「ペンデュラム召喚」を駆使して戦うペンデュラムテーマ。ペンデュラムスケールが当時としては規格外だった1と7のみで構成されたテーマでもあり(簡単に説明すると数字の差があればあるほど召喚しやすい)当初の期待値は割と高かったが、いざ発売されて蓋を開けてみると「セフィラ」と「セフィラ以外の自身の属するテーマ」しかペンデュラム召喚出来ない余計な制約がついて来てるし、カード効果もなんとも判断に困る微妙な効果持ちが多い事が判明。早々と産廃の汚名を着せられました。

 一応「秘竜星(ひりゅうせい)-セフィラシウゴ」や「セフィラの神託」と「セフィラの神撃」はまだまだ使える効果持ちのカードではあったので戦える事自体は出来ましたが、如何せん余計な制約のせいで他のペンデュラムテーマとの混合構築が難しく、後になって登場したエースである「智天の神星龍(セフィラ・トーラ・グラマトン)」でようやく形になった面白集団。「セフィラエンディミオン」という奇跡的にペンデュラムテーマ同士でかみ合った構築で一時的に環境テーマに上り詰めた実績もあります。

 今の環境の相手?ハハッ、寝言は寝て言え。

 今作品ではエースである「智天の神星龍(セフィラ・トーラ・グラマトン)」をジゼルが使えるドラクエで言ういわば「メガザル」的な技で表現。ちなみに技を使うと蘇生された対象はユーハバッハが原作漫画で聖別を使って親衛隊を蘇生させた時みたいに対象に白い羽が生えます。つまりこの世界線ではエンジェルシロちゃんが見れるという事に。いや、エンジェル拳西のインパクトの方が強いか?エンジェルローズは絶対ノリノリ。


 次回は『T』。

 ではまた。
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