誰かの推しを殺す話 作:no name
『異能一蓮譚』には某ニチアサのように、代表的な悪の秘密結社が存在する。
いや、今はここが現実なのだから”実在する”と言った方が正確だろうか?
その組織は『大総統』と呼ばれる少女をトップとし、裏社会を支配し秘密裏に世界征服を画策しているマジモンの秘密結社であり、公表したり公式に声明を出しているわけでもないため、その存在を知っているのは一部の人間に限られる。
その悪の秘密結社さんが『ドミニオン』
原作主人公の
これは『原作主人公がドミニオンの悪事を止める話』ではなく『ドミニオンの攻撃に対して原作主人公が抵抗する』話なのだ。
ここまではOK?
対して、実は私も、個人的に作った組織の長をしている。
その組織の構成員の全ては私の異能によって生み出した”人造人間”であり、私に絶対の忠誠を誓っている可愛い可愛い子供たちだ。
「お戻りですか”お父様”」
「”お父様ぁ”、新しく作られた蟲はどうですぅ?使いやすいですかぁ?」
「ワイズマンただいま、待たせたようで悪かったね、今日も元気なようで何よりだ。ジーニアス、あの蟲は危険すぎる、日常生活では使う機会はなさそうだぞ」
ガジェット研究の大好きな科学者もいれば、経営手腕に特化した頭脳を持つやり手経営者もいる。
無論、それ以外にも戦闘に特化した”怪人”だっているし、労働力に特化した知性の無い獣もいる。
莫大な資金力と社会への影響力、そして隠れた軍事力を持ちながら、私という個人の目的を何よりも優先してくれるその組織の名は―――。
「
「「お父様?」」
「いやなに、少し大袈裟な組織名にし過ぎたかと思ってな」
「私は好きですよ」
「私も、お父様が創る次の世界がなんなのか、見てみたいですよぉ」
これだ。
私はあくまでも、原作主人公にちょっかい出せればいいと思っていただけなのに、大袈裟な組織名に、いやに知能の高い部下たちに囲まれて、どうやら可愛い我が子たちは、私に具体的な指針があると思い込んでしまっている。
そんなものないのに。
とはいえ、私が創造主であり、子供たちは絶対の忠誠を誓ってくれているので、割と行き当たりばったりで行動しても何とかなるしこれについてはそこまで考えなくてもいい。
私がどれだけの
「本日は何をなさいますか?」
ビジネススーツに身を包み、丁寧な口調で話しかけてくるのは私の第一子、
マンとついているが、生物学上の性別は女性に設定してある。
彼女には異能を与えていない代わりに、生まれながらに高い知能を授けており、ちょっとした作戦の立案なんかも任せる事もある。
「今日は戦力用の娘たちの出産予定日だ、そうだろう?」
「ええ、今日の午後20時より、
「創造主として、娘の誕生には立ちあおうと思ってね」
生物を作り出す異能とはいえ、0から成体の生物を産み出すのは時間もコストも計り知れない。
故に私は生物を胎児の状態で創り、”その胎児を成体にまで成長させるだけのための生物”を別に創り、そいつの
まぁ、正確には
「ジーニアス、【異能ノ女王】の戦闘データは残っているかい?」
「はぁいお父様。先日の異能力者、焔ノ園恵と戦ったときの戦闘データですよねぇ?もちろん残ってますよぉ、ご確認されますぅ?」
「いや、ジーニアスから見た意見を聞きたい」
「そぉですねぇ~……」
小柄な体にぼさぼさの茶髪を適当に結った丸眼鏡の少女。
まぁ見てわかる感じにイモっぽいマッドサイエンティスト風の外見で、間延びした口調の彼女はジーニアス。
私の第二子で、
彼女はそれはもう役に立ってくれている。
私なんかの凡庸で半端な頭じゃ考え付かない生物を考えてくれるし、なんか知らんけどいろんな論文発表してるし、その論文を時に権利ごと他社に売って資金調達にも協力してくれるしで、それはそれは大助かりだ。
「―――とまぁ、こんな感じですねぇ。結論といたしましてはぁ、失敗作にしては持った方……ですが、現在の量産予定は中止して、在庫も処分するかドミニオンさんに売ってもいいかもですねぇ」
「やっぱりそう思うか」
実は
どこでこの繋がりを見つけたのかは不明だが、まぁそのおかげで断片的であり、重要な情報は入ってこないものの、ドミニオン側の動きも多少はこっちに分かるようになっている。
いやぁ、便利で何より。
「とと、こちらですねぇ、今回生まれる子達はぁ」
「着いたか」
目の前には二つの半透明な円柱のカプセルがあり、その中は液体で満たされている。
その中には胎児のように体を丸めた姿勢の髪の長い少女が浮いていた。
ただ、そのカプセルの異常な所は、機械やガラスなどではない事。
円柱の足元に目をやれば、圧し潰されたように平たい体に短い手足を持ったバジェットカエルのような生物と、その半透明のカプセルは同化しており、カプセル自体も触れてみればガラスなどではなく水膨れのようにぶよぶよとした質感をしている。
この奇妙な生物こそ、私の作りだした生物
「そろそろですよぉ」
ジーニアスのその言葉が早いかどうかのタイミングで、
それと同時に、役割を終えた
外見こそ赤子じゃないにせよ、彼女らは初めてこの世界に生まれいでた。
言葉もしらず、立つこともままならない可愛い我が子にそっと歩み寄る。
まだ明るさ程度しか判別できないだろう目を漠然と開き、二人の少女はこちらを見上げた。
「誕生日おめでとう、”プラス”、そして”マイナス”私が君たちのお父様だよ」
「ぅ……ぁ……?」
「とぉ……?」
耳から聞こえた情報を、動き方を知らない声帯から絞り出す彼女らを見て安心した。
どうやら先天的な障害はなさそうだ、実験は成功といえよう。
「ジーニアス、プラスとマイナスを連れて行ってやってくれ」
「わかりましたお父様ぁ~、はぁい、お姉ちゃんがお世話してあげるからねぇ」
ジーニアスは双子を雑にバスタオルでくるむと、どこからか現れた重機系ガジェットに二人を載せて出て行った。
それを見届けると、私自身もこのフロアから去ることにする。
エレベーター前まで戻り、最後にフロア全体を見渡す。
そこには、フロア全体を埋め尽くすように、均等な感覚で
「いやぁ、本当に楽しみだな」