今回、新たに『デート・ア・ライブ』の二次創作を執筆することとなりました。
見切り発車感がありますので、色々と至らぬ点があると思いますが、よろしくお願いします。
本作では、オリ主と原作キャラの関係が原作とは異なる場合があります。
例としましては、十香や四糸乃といったヒロインが、士道ではなくオリ主に好意を持つなど(あくまで例です)です。
よって、そういった物に抵抗がある方はブラウザバックをおすすめします。
なお、本作を執筆するにあたり、またたび猫様の『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』のオリキャラの設定を使用させて頂いております。
使用のお許しをして頂いたまたたび猫様に、この場を借りてお礼を申し上げさせて頂きます。
プロローグ
―――音が聞こえる。
パキッパキッという、焚火の時に聞こえるような音と、周囲にいる人たちが上げる悲鳴や怒号。
―――色が見える。
ただただ赤い地獄のような光景が広がっている。
そんな地獄絵図のような景色こそが、青年の覚えている一番古い記憶だった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
天宮市のある一軒家の一室。
閉じられたカーテンから差し込む朝日が部屋を照らしている。
そんな一室の出入り口であるドアが開かれ、緩いウェーブの掛かったセミロングの薄い桃色の髪の少女が足を踏み入れる。
部屋の奥側に置かれたベッドに横たわる青年の元に歩み寄ると
「涼。朝だよ」
腰をかがめて、優しい口調で青年……涼の体を揺する。
「んん……」
少女に揺られた涼は、僅かに身じろぎしてうめくような声を上げる。
そしてそのままゆっくりと目を開け、まだ半分眠った状態で少女を見上げた。
そんな涼に微笑みかけながら凜祢は言う。
「おはよう、涼。朝だよ」
「……ん……おはよう……」
ぼんやりとした様子で朝の挨拶をする涼。
寝ぼけ眼をこすりながら上半身を起き上がらせる。
「ほら起きて。もう朝ごはんできてるよ?」
「………………ありがとう」
少女の言葉に徐々に意識を覚醒させた涼は、まだ少し眠そうな声で礼を言い、ベッドから降りるとカーテンを開ける。
短めの黒髪に整った顔立ちで、中性的な容姿をしていた。
「うん、いい天気だ」
カーテンを開き、朝の日差しを浴びながら涼は呟く。
窓から見える外の景色は快晴で、雲一つない青空が広がっている。
その時だった。
『うわああああっ』
「今のって……」
「琴里ちゃん……だね」
突如、隣の家である五河家から聞こえてきた琴里の悲鳴に、涼は苦笑する。
「また士道が何かやったのかな?」
「あはは……そうかもね」
少女も苦笑を浮かべながら返す。
「……とりあえず着替えるから先に行ってて」
「うん、待ってるね」
涼が言うと、少女は笑顔で返事して部屋を出ていく。
そんな少女を見送ってから、涼はパジャマを脱いで彼が通う来禅高校の制服に着替える。
彼……園神 涼の朝は大体がこんな感じだ。
家族に起こされるか、先ほど聞こえてきた琴里の悲鳴によって起こされるかのどちらかだ。
そして制服に着替えた涼は、部屋を出ると階段を下りてリビングに向かう。
リビングに入るとすでにテーブルに朝食が並べられていた。
「いつも朝食用意してもらって悪いな」
「いいの、気にしないで。私がやりたくてやってるだけだから」
いつも朝食を用意させてしまっていることに謝ると、笑顔で涼にそう返すのは、緩いウェーブの掛かったセミロングの薄い桃色の髪の少女……園神家の次女である凜祢だ。
顔立ちは端正で穏やかな印象を受けるが、どこか不思議な雰囲気を纏っているようにも見える。
「ほら、早く食べないと遅刻するよ?」
「ああ」
凜祢に促され、涼はテーブルの席につくとそれに倣うように凜祢もまた寮の向かい側の席に着く。
「いただきます」
そして朝食を食べ始める二人。
今日の朝食はご飯に味噌汁、焼き魚といった和食だ。
「どうかな?」
「うん、美味しいよ」
「そっか、よかった。ちょっとだけ味付けを変えてみたから不安だったんだ」
自分の作った料理を褒められ嬉しそうに微笑む凜祢。
「やっぱり凜祢は料理上手だよな」
そんな彼女を見て、涼は微笑みながら言う。
「ふふ、ありがとう。でも、涼だって料理は上手だと思うよ?」
「凜祢には敵わないけどな」
凜祢は照れ臭そうに笑いながら返すと、涼は苦笑しながら言うと、箸を進める。
”家事は全員で分担してやる“
それが園神家の家訓(という名の決まり事)だった。
おかげで涼と凜祢は家事全般ができるのだが、凜祢は家事全般が得意で、料理の腕は素晴らしく、その味は絶品と言っていいものだった。
涼の料理の腕前は、凜祢に劣っているのは、本人が一番よくわかっていることだった。
「そんなことないよ。それに私だって最初は失敗ばっかりしてたもん。それに涼の作る料理はどれもおいしいよ」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
微笑みながら言う凜祢に、照れくさそうに頬を掻く涼。
「ところで、姉さんは?」
そこで涼は、ふと思い出したように口を開く。
「涼香さん? 仕事があるからって戻って行ったよ」
「……そっか」
園神 涼香。
園神家の長女であり、凜祢の義理の姉であり俺の実の姉だ。
涼は小さいころに両親が他界し、親戚であった園神家が養子として涼と涼香を迎え入れたのだ。
園神家の……涼たちの義理の両親は、涼と涼香を実の娘である凜祢と同様、本当の娘のように接していた。
涼はそんな二人を実の父と母と同じように慕い、幸せな日々を過ごしていた……と思う。
だが、そんな日々にも突然終わりが来た。
それは、五年前のことだ。
天宮市南甲町で発生した大火災。
その時の混乱で発生した事故で、涼と涼香の(凜祢にとっては実の)両親が亡くなったのだ。
その災害の時に知り合った、隣に住む同年代の幼なじみの一家や、親戚が涼達の生活を支えていたことで、人並みの生活を送ることが出来たのだ。
園神家の家訓が家事は皆で分担してやる”というのも、そういった経緯があったからこそできた決まり事だ。
そして中学を卒業したタイミングで、涼の姉である涼香は涼達が進路などで悩まないようにと、遠方に引っ越し就職をしたのだった。
『二人は進路は好きに選びなさい』
そう言って、出ていった涼香は連休や涼達の夏期休暇などで帰ってきているのだ。
「ちゃんと見送れなくてなんか申し訳ないな」
「あはは……涼香さん、そんなこと気にしなくていいって言うと思うよ」
苦笑気味に告げる凜祢に、涼は何とも言えない表情を浮かべながら食事を続けるのであった。
「ごちそうさまでした」
それからしばらくして食事を終えた涼達は食器を流し台に置くと、食器を洗い始めていく。
涼が食器を洗い、凜祢が洗った食器を拭いていくという流れだ。
『続いてのニュースです。本日未明、天宮市近郊で空間震が観測されました』
「ん?」
凜祢と共に食器を洗っていると、つけっぱなしになっていたテレビから聞こえてきたュースに、涼が反応する。
ニュースでは空間震の規模が小さく、被害が軽微であることが伝えられていた。
「最近、やけに多いな」
「そうだね。何かあったのかな」
呟いた涼に、凜祢が同意するように言う。
空間震。
それは、空間の地震と称される突発性広域災害のことだ。
発生原因不明、被害規模不確定の爆発、振動、消失などの様々なタイプに及ぶ。
その始まりは、30年前にユーラシア大陸で観測された”ユーラシア大空災”だ。
死傷者はおよそ1億5千万人。
人類史上類を見ない大災害だった。
それを皮切りに、世界各地で小規模の空間震が定期的に発生している。
最初の空間震から半年ほど経った時に、東京都南部から神奈川県北部にかけての一帯で起こった”南関東大空災”を最後に空間震は途絶えていたのだが、近頃またそれが頻発するようになった。
「……よし。凜祢、洗い物は終わったぞ」
「うん、じゃあ、仕舞っちゃうね」
最後の皿まで洗い終えた涼が、濡れた手をタオルで拭いながら凜祢の方に向き直り声をかけると、凜祢は涼が洗った皿を食器棚に片付けていく。
「それじゃ、行くか」
「うん。そうだね」
後片付けを終え、時計を確認した涼は凜祢に声をかけると二人で鞄を持って玄関に向かう。
(今日から新学期か)
涼は心の中でそう呟く。
今日から始まる新学期。
二年生としての新たな学園生活の始まりだ。
と言っても、何も変わらないだろう。
いつも通り、平和に平穏無事に過ごすだけだ。
「「いってきます」」
家の中には誰もおらず、声が返ってくることはなかった。
それは二人も分かってはいるが、それでも毎朝必ず挨拶をして出ているのだ。
(今年も何事も無く平穏に終わるといいな)
そんなことを考えながら、涼と凜祢は靴を履き家を後にする。
そんな涼の思いとは裏腹に、この日を境に日常が大きく変わる事も知らずに。
次回から本格的に物語が始まりますので、楽しみにして頂けると幸いです。