束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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束は激怒した

 

 

 

 篠ノ之 束は激怒した。

 

 

 

「5年も経過したのに、何にも進展していないのは流石に愚か過ぎるんじゃないの⁉︎」

 

 篠ノ之 束はIS、『インフィニット・ストラトス』の開発者である。

 それを開発した理由、それは地球から宇宙へ、そしてその先へと飛び立つ為の『翼』である願いを込めてそう命名した。

 しかし、世界は束が思う以上に愚かであった。インフィニット・ストラトスには欠陥があった。それは女性にしか使えない。その根幹が故に『女尊男卑』の風潮に——。

 

「馬鹿過ぎるんじゃねぇの⁉︎ 何をどう間違えれば『女尊男卑』とか言う知性が感じられない思想が跋扈すんの⁉︎

 男尊女卑が失敗しているのに、逆が成功するとかどんな頭をしていればそんな発想に至んのさ⁉︎ なぁ、聞けよ⁉︎」

 

 束はある時、国連IS会議に突如、殴り込んだ。

 『インフィニット・ストラトス』を発表し、ISコアを幾つか製造した後、その行方を眩ませた。ISコアが無ければインフィニット・ストラトスたり得ない……その為、各国政府は必死にその行方を探していたが足取りが掴めぬまま5年が経過した今日、突如として各国の代表が集う国連IS会議の場に現れたのだ。

 束は現れるなり円卓の机に乗り上がり1番、頭にきている日本の代表の胸倉を掴みあげ咆哮に等しい罵倒を浴びせる。その剣幕に会議場にいる誰も動けなかった。

 

「最初はさ。資金力に勝る国家の連中に任せようかなと思っていたよ。だが、結果はこのザマだ‼︎ 何も進歩していない‼︎ 日本だけじゃねぇよ‼︎ お前ら先進国やアラスカ条約とかの参加国全部に言ってんだよ‼︎ 蚊帳の外や対岸の火事気分で居るんじゃねぇよ」

 

 束の怒りの矛先は他の国の代表にも向いていた。どいつもこいつも揃いも揃って盆暗揃いと来ればキレたくもなる。

 

「……そもそもさ。お前ら、ISの……インフィニット・ストラトスの本懐を理解してんのか?

 してねぇよな⁉︎ 女尊男卑の象徴……国防の要……女性の自尊心を満たすアクセサリー……巫山戯るなよ?」

 

 束は身体能力からして常人よりも遥かに逸脱している。掴まれている代表は脂汗が肌を伝う。

 

「兵器扱いは業腹だが認めてやるよ。武装を搭載してんのも、宇宙じゃ何が起こるか分からないから不測の事態に対応すると言う理由があった。

 けどさ、女尊男卑とかはどっから湧いて来やがった? 挙句の果てに自尊心を満たす為のアクセサリー扱いとか、真面目に腹立たしいんだよ。

 それにさ、優遇すんのは操縦者だけにしとけよ。何で貢献性ゼロの愚女まで優遇措置してんだ? はぁ? 他人の足を引っ張る事しか脳がない連中なんかより猿やチンパンジーの方がまだ可愛げがあるし、ゴリラの方が知性がある。分かるか? お前らは猿よりも劣ってんだよ」

 

 暴言は続く、束は胸倉を掴んでいた日本代表を粗雑に投げ捨てる。頭から落ちなかったのが幸いと言えるが強かに議会場の床に打ち付けられた。

 

「猿の玩具を造った覚えは無い。そんな連中の為にインフィニット・ストラトスは余りにも早過ぎた。この点は私の失敗だったな。

 お前らなんぞにインフィニット・ストラトスを使う資格は無い。今直ぐに全てのISコアを永劫に停止させる。

 誰1人として本懐を理解していない。仮にも全てのISは私の子供同然、なのに本懐を遂げさせる事が出来ないのにお前らのくだらないエゴの為に辱められ続けている姿は見るに堪えないんだよ」

 

 束のその言葉に議会場は騒然となり、各国の代表が批難の声や撤回を求める声を上げるが、相手はインフィニット・ストラトスの開発者。全てのISを強制停止させる事も当然、可能と言える。

 そして、束はインフィニット・ストラトスの生みの親であり無機物であろうと子供のように思っている。子供の幸福を願うのは親として当然の感情と言えるだろう。

 今や大半の国が国防の要にISを置いており、更にはIS業界も主幹部に置かれている。それらが全て機能不全に陥ると経済的に大打撃を被る事は想像に難くは無い。

 

「お前らの要職生命なぞ知った事か。この結末はお前らの行動の結果による帰路だろ?」

 

 ならばどうすれば撤回して貰えるか、融和的な譲歩を床に倒れ込んだ日本代表が机の上に立っている束にそう訊ねた。

 

「猿の教育は動物園の飼育員に任せるのが筋だと言いたいけど、お前らさ……何故、免許や資格制を導入しなかった?」

 

 ご尤もな意見が飛び出して来た。

 

「例を上げれば自動車だ。車は移動する能力があるけれど、時に凶器にもなり得る。だから免許制が導入されている。アホな連中が車を使うと凶器にしかならない。そんな事も理解出来なくなったか、猿共。

 そんな車よりもインフィニット・ストラトスの方が扱い方がなってない以上、危険過ぎるんだよ。だからインフィニット・ストラトスにも免許制を導入しろ。

 内容は私が決める、文句は言わせない。嫌ならば、場所を取る実物大プラモデルで一生、遊んでいろ」

 

 結果的に、国連IS議会及び各国は束の要求を受け入れた。

 拒否すれば全てのISコアを完全停止させる為に各国は受け入れざるを得ないと言う理由があったが、束の要求した内容的は当人の視点では正当かつ各国の国内情の女尊男卑の風潮を抑制、改善しなければ国内経済の観点から不利益が生じている事は分かっていた為に概ね受け入れられた(最も既に深刻なダメージが発生しており、今更過ぎるが)。

 

 

 

 

 先ず、IS関係者にはライセンス制が導入される。

 ライセンスは幾つかのランク分けがされ、このライセンスはIS適性値を参照しない事が前提条件となり、ISの威を借りる無能女が横暴に幅を効かせる事は出来なくなった。

 仮にIS適性がAだとしても試験に合格し、ライセンスを取得出来なければIS関連に属さない部外者となり、女尊男卑の抑制及び評判改善に期待が出来るとされた。

 試験内容は篠ノ之 束が直々に取り決め、不正防止の為に試験時に録画する事を義務付けた。

 

 政府としても女性権利団体を始めとした面々の横暴及びそれが要因で起こす社会問題に頭を抱えており、更には政治不信及び国民からの支持率低下、更には社会的信用の下落と踏んだり蹴ったりであった為に今迄の遅過ぎる閣議対応とは打って変わり速やかに施行された。

 この行動に女性権利団体はこの制度に猛反発したが、政府は

 

『ならば、ISは全て機能停止される。そうなれば貴様らはただの喧しい無能に成り下がるが? 最も、現時点でも充分、国益の役に立たんが』

 

 と一蹴したのだ。もう既にIS関連の産業は国内外問わず主要産業に食い込んでいる今、その根幹部であるISが完全停止されてしまえば経済界は大打撃、世界恐慌に陥る可能性も危惧される。

 ただ、篠ノ之 束から見限られている為、これ以上刺激しないようにしたい思惑もあり、それならば口先だけの女性権利団体を扱き下ろす方がマシだったと言う事情もあった。

 

 

 

 そして、束が要求したのはもう1つ。

 宇宙進出及び探索の拠点となる建物の建設地点の融通であった。

 束はもう完全に各国政府の無能さに呆れ返り、それならば自分でやると決めた。

 

 束は表社会から姿を眩ませてから移動式の研究所を建造していたが、表舞台に出る事を決めた。裏でコソコソやっても様々な点で限界があると理解していたからだ。

 束が姿を消していた5年の間に彼女は死に物狂いで株や投資で資産運用し資金を蓄え、適性のある者達をあるモノと共に各地で見繕って教育(束本人の贖罪の意味もあった)し、国連IS議会で啖呵を切るまでに相応の準備を進めていた為、残るは本格的に調査を行う為の拠点を用意するだけであった。

 

 この建設予定地に関してはかなり荒れに荒れた。何故ならば、性格に難があると言えどIS開発者である篠ノ之 束が本拠地を置くと言う事は、その本拠地がある国にとっては非常に大きなアドバンテージを得る事と同意である。

 故に各国政府は見限られている事を薄々ながらも承知で、熱烈に誘致活動を行った。

 

 だが、束は既に候補は決めていた。

 それは鹿児島県の地方都市から少し離れた地域であった。日本政府と距離が物理的に非常に遠い為、束から白地に嫌われている事が匂わされていた。

 

 束が建設地として目論んだ土地の周辺地域は閑散としており周辺の地域住民との衝突も少ないと言う理由でその場所に篠ノ之 束による宇宙進出及び探索の拠点である『ラビット・ラボラトリー』が建設される事になった。

 

 そして、その更に5年後。世界は新たな転換期を迎える事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界初の男性操縦者ァ? ………。いや、何でも無い」

 

 

 

 

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