束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

101 / 146
(・ω・)

 

 

 OVTシステムの遺したデータの解析をDr.レーキュに任せた若菜は研究区画を一時後にして下の階層である第9層の『製造区』へと向かう。

 この区域ではエストレヤで使われる各種日曜日から工業品や携行品、他にもISの装備やチューインガムから核弾頭に至るまでこの区画で製造されている為、各所に専門の大型装置が網羅されており非常に充実した環境となっている。

 この場所から搬出用の軌道エレベーターで第6層へと流通している。

 学院区の研究区画と直通の軌道エレベーターで繋がっているのでアクセスは良好……と言うか研究者気質の連中は開発も兼任している事が多いので、その兼ね合いである。

 

「相変わらず此処は何時、来ても壮観な光景だな」

 

「戦闘民族御用達の鉄火場ね」

 

 要件のある人物が管轄している区画。壁際の棚には多種多様の銃火器……ハンドガンは元より、アサルトライフルに加えてグレネードランチャー、マシンガンやらショットガンまである。

 反対側の壁際には太刀や脇差、他にも鈍器類としてフレイル型のモーニングスターやノコギリ、ハンマーや薙刀や槍と言った長物、忍者が使う様な小太刀、投擲用のナイフや、マチェット。珍しい所では大鎌や若菜が愛用している大鋏と言った武器も展示品の様に並べられている。

 正に世紀末世界のコンビニと、ファンタジー世界の武器屋もかくやと言わんばかりの光景。

 そう、此処は様々な武装を造る鉄火場であり若菜が訪ねる相手の職業は鍛冶師であるからだ。

 

「ぬおおおおおおおおぉぉぉぉぉ‼︎‼︎ 其処の御仁んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん‼︎」

 

 唐突に響き渡る野太い漢の様な咆哮。大部屋の奥から響き渡り若菜達の前に現れた2m越えの漢が聳え立っていた。黒い長髪に一重瞼の精悍な顔立ち……一言で言えば筋肉達磨で脳筋そうなイメージ以外、何も浮かばない。そんな漢であった。

 

「よう、十蔵寺。繁盛しているか?」

 

「ぬおおおおおおおおおお‼︎‼︎ その声は若菜殿ぉおおおおおおお‼︎‼︎ 良くぞ参られたぁぁああああ‼︎‼︎」

 

 双眸が熱血漫画宜しく炎が燃え上がっているかの様な……と言うか本当に燃え上がっておりそれ故に非常に暑苦しさが倍増していた。

 

 真田 十蔵寺。

 エストレヤ学院の生徒の1人にしてエストレヤで有数の刀工兼銃火器製作者兼武装開発者である。因みに若菜、シノア、ユリエ、フィーリリア、シャルロット、藍里と言ったエストレヤでも有数のストライカーの専用機体は基幹部をレーキュが担当し、機体造形をウィキッドが担当、そして武装を十蔵寺が担当している。

 無論、若菜が持つ大鋏『宵咲』も十蔵寺が拵えた武装である。特別な鉱物を取り扱える刀工はエストレヤでも十蔵寺くらいしか居ない。

 

「相変わらず元気そうだな。十蔵寺、『宵咲』の砥石を貰いに来た」

 

 若菜の愛鋏である『宵咲』は『フォーマルハウト』の機動力及び断熱圧縮による超高温に耐え得る強度を誇る為に並の砥石では砥石が逆に寸断されてしまう。その為、特別硬度が高い鉱晶による砥石が必要となる。

 そして、その砥石自体も既存認識を上回る加工難度を誇る為、それに見合う加工技術を持つ者はやはり十蔵寺しか居ないのが現状である。

 

「あ、私のも一緒にお願いするわ。此処に来たついでだし……融解しちゃうのよね」

 

 ユリエも一緒に来たついでに自分の得物の砥石をセットで求める事にした。

 

「委細承知致しましたぞ‼︎‼︎ では、暫し待たれぇぇぇぇえええええいぃぃいいいい‼︎‼︎」

 

 自分の得物なのだ。やはり自分で手入れをするのが当然である。扱う以上、信念を持って接さねば応えはしないのだ。

 

「相変わらず暑苦しい奴ね……」

 

「それが奴の良い所だ。信念を持って取り組めると言うのはそれだけで尊重される事だからな」

 

 その後ろ姿を見てユリエは呆れるも若菜はそう返した。

 

「うにーっ(/ーωー)/」ガシッ

 

 その時、若菜の背後からポフっとした音を立て何かが接触して来た。背中にしがみついて来た小さな影。それは余り会いたくない(副次的な意味で)人物であった。

 

「チビ姫。何処から現れたんだ?」

 

「天井にぶら下がっていて、落下して来たわよ?」

 

 背中にしがみついて来た小さな影の襟首を掴んで目の前に降ろしてやる。

 非常に長くふわふわのウェーブがあるボリュームの銀髪の髪(所々、赫い色が混入している)が特徴的な幼い体躯の赫い双眸の幼女。

 その身に纏っているゴシック調の服の丈が合っていないのか袖が余っており『腕章』は肩付近に着けられている。そして、1番の特徴は頭部側面に生えた羊を思わせる一対の渦巻く黒い角。赫い亀裂が仄かに明滅しているのが見て取れた。

 

「……うー(ーωー)」

 

 ウィキ姫こと、ウィキッド・ウェィメレン・アルゥツィオーネ。ブリテンの第一王女であり『ウィキ姫を愛でる会』の崇拝対象である。

 つまる所、邪教徒軍団の出没フラグが立ってしまった事を意味している。

 

「ユリエ。今すぐこのチビ姫をクレイジーナイトに返却しに行って来てくれないか?」

 

「嫌に決まってるでしょ⁉︎ 道中で邪教徒に捕まるのが目に見えて分かるじゃない⁉︎ アイツら幾ら燼滅させねも何事も無く復活してくんのよ⁉︎ どう言う身体の構造してんのよ⁉︎」

 

「俺だってあの邪教徒軍団の相手なんかしたかねぇよ⁉︎ 殴ろうが蹴ろうがそれこそ、姫姉の『冠罰』の直撃を喰らってもさも平然と立ち上がってくる連中なぞ命が幾つあっても足らねえよ‼︎」

 

 ウィキ姫と一緒に行動すると必ずと言って良い程に血狂った邪教徒が現れて襲って来る。然もコレがまた狂っており、蜂の巣にしようが建物の倒壊に巻き込まれようがそれこそ『兇星』の直撃を喰らおうが平然と何度でも立ち上がってくるイカれた耐久力を持っている。

 当事者曰く『ヒメの信仰心あらば何度でも立ち上がれる』との事。どう考えてもプラシーボ効果で片付けて良い問題では無い。

 

「うにうに(・ω・)」クイクイ

 

 その問題の渦中であるウィキッドは若菜の服の袖の先を引っ張って構って欲しそうにアピールしている。彼女は生まれつき声帯や脳に問題を抱えており言葉の発声が上手く行かないのだ。基本的に『う』と『に』しか言えないのだが『ウィキ姫を愛でる会』の構成員は彼女の言葉が読解出来るとの事。本当だろうか?

 その代わりなのか幼いながらも機械造形構築や、ISの操縦関連は極めて優れた能力を持っており、唯一無二の操縦技術を誇り他の者では到底真似出来ない……若菜もその光景を見た事はあるが真似しろと言われても『いや、無理』と言い切った。

 

「お待たせ致した……と、ウィキ姫殿も居られるではありませぬか‼︎ コレは失礼致した、直ぐに茶菓子を用意しますぞ‼︎」

 

 砥石を用意して戻って来た十蔵寺はウィキッドを見るや否や、また奥へと戻って行ってしまった。

 





ウィキ姫「(・〜・)」ゴクゴク(コーラルガブノミ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。