束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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淘汰を始める為に必要な事

 

 

 

 

「……成程。見えてきた。コレはまた……随分とまぁ思い切った真似をする」

 

  VTシステムはイカれていた……と言うのは定説。しかしこの世に『正解』も無ければ『不正解』も無い。あるのは『解釈』のみ。解釈が異なれば全く違う側面へと変ずる。

 

『我が息子……やっと終わったか。どれだけ熟考していたと思っているんだ?』

 

 精々1時間程か?

 

『違うわ、馬鹿‼︎ 既に48時間は経過している‼︎ 余程、複雑なコードだったんだな……』

 

「え?」

 

 48時間……?丸々2日は此処で考え込んでいたって言うのか⁉︎

 

 研究室の風景は当たり障りない光景である為に時間の流れが自覚出来ない。……なのだがよもや其処まで時間が掛かっていたのは流石に予想外であった。

 

「あー、やーっと終わったの〜?お連れのユリエはもうとっくに帰っちゃったわよ〜『意識が戻ったら伝えて』って言ってたわ」

 

 其処で夕張が声を掛けて来た。2日もぶっ続けで熟考していた若菜を放置して先に帰ったらしい。流石に待たせるのは悪かったか。

 

「そうか、まあその辺は仕方あるまい」

 

「それで、解答は出たの?」

 

「コイツはあるシステムのプログラムの観念だ」

 

 全く……此処まで想定しているとか、篠ノ之 文の思考回路はどうなってやがる?

 

「……あるシステム?」

 

「ああ。此の儘では使えないな。それに」

 

「それに?」

 

「……母上以外に完成させる事が出来ない。コレは完全にブラックボックス(イデア)に該当する内容だ」

 

「……ウチらじゃダメなの?」

 

「ダメ……と言うよりも、認知や認識、本能に関すると言えば言いかもな。逆に初期の段階の暗号化の場合は母上の思想では解凍する事が出来なかっただろう。

 更にバラバラにされた単語を組み立てる事が出来るのは……正直に言わせて貰うと奴と対峙し奴の信念を理解し尚且つ忌憚無き者で無ければ辿り着けない筈だ」

 

 天才にも方向性がある。それはこの世に完璧が存在し得ない理由でもある。

 

「……それはまた物凄く手が込んでいるわね」

 

「それぐらい『変数』が生じるのが嫌なんだよ。託して来た本命が」

 

 電気信号を改竄しなければ開けられない鍵。そしてOVTシステムと対峙した者でなければ理解出来ない暗号。そして束でなければ『形』にならないシステム。

 バラバラな形で仕組まれたコード。それは1人では辿り着けないと言うメッセージにも通じる。

 

「……若菜。アンタが裏で何かしら企んでいるのは知っているけどさ……まだウチらには言えない事?」

 

「『変数』が生じるからな。……それに約束もある」

 

 可能であるならば想定内で進めたい所ではある。ただ、確認のしようが無いのも事実。

 

「……そ。アンタがそう言う時は何を言っても無駄なのは知ってるわ。ただ……アンマリ無茶を重ねるんじゃ無いわよ。ウチらの実験サンプルになりたく無かったらね」

 

 その言葉は冗談では無かった。その時が来れば供養なぞせずに使い潰すつもりなのだろう。

 

「覚えておくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、束さんに完成させて欲しいって事? わーくん(っ・ヮ・)っ」

 

「有り体に申し上げればその通りですね、母上」

 

 地球の自宅へ戻って早々、タイミングが良かったのか偶々、束が家に居た為に若菜は要件内容を束に伝えた。

 

「……ふんふん。内容から察するにあのVTシステム(できそこない)の系列と思うけど……随分とまぁ過激な内容だね」

 

「母上もそう思いますか?」

 

 内容を組み合わせた結果、若菜も随分と……いや、どう考えても伽羅好みの内容だと言わざるを得なかった。客観的に見れば常軌を逸しているやも知れないが若菜も同意出来る内容と思えた。

 

(もち)‼︎ でもある意味、コレは使える(・・・)よ。それで、わーくん。出所は何処?」

 

 母上ならば、ある程度明かしても良いかも知れない。同じ概念だ……隠し立てても見破られるだろうから。

 

「先の件。俺がクレイヴ、パージ、フォルタ、ピリジを取り込んだOVTシステムの自我意識を司る基幹装置に遺されていた圧縮改竄されていたアーカイブからです」

 

「おー、IS学園(ごみばこ)の上空でわーくんが珍しく大燥ぎしていて相手していたガラクタかぁ。

 束さん的には異常に見えていたんだよね〜。だってわーくんが『フォーマルハウト』の刃を抜いたってのは、相当な理由だもん。まさか、 VTシステム如きがちーちゃんのみならず束さんの子供達の意識体を模倣するだなんてね……」

 

「用途は兎も角……彼の在り方は認めています。だからこのデータを受け取りました」

 

「……ふふん、成程成程〜。あのわーくんに其処まで言わせるなんて、ただのガラクタじゃあ無いようだね」

 

 まぁ……母上から見れば()当たるかも知れませんがね。

 

「それで形になりそうですか?」

 

「わーくん。この束さんを何だと思っているの?「生活力ゼロの鈍臭義母」わーくん、酷い‼︎ 世界広しと言えどこの天才の束さんをそんな形で貶せれるのはわーくんだけだよ⁉︎」

 

「言われるのが嫌ならばいい加減、部屋を片付ける事を覚えてください。効率的と主張するならばせめて移動可能箇所を確保してから宣ってください」

 

「ぶーぶー(ㆀ˘・з・˘)。兎も角……コレならあの子達もある意味、もっと理解出来るかも知れないね」

 

「はい。……『キヴォトス』のマテリアルボディの原材料は超希少品で尚且つ精錬が難しく数を揃える事が困難ですからね。仮にその問題が解決し確保出来たとしても……」

 

「エストレヤの様に種族が乱立している中で紫閣下の様な『独裁者』が統制している環境ならば兎も角、地球の様な民主主義が跋扈する環境じゃ……難しいだろうね」

 

 閣下はISの自我意識や人工知能に対しても明確な『人権』を与え、確固たる個人と言う地位を認めた。

 それは彼がエストレヤと言う『独裁国家』の独裁者であるからこそ出来た。コレが民主主義国家であればほぼ不可能であった事だろう。

 

「あー、脱線しちゃった。この件は束さんが預かるよ。この束さんが本気を出せば納得の行く形になるよ」

 

「ええ、其処の点は疑う理由はありません。寧ろ母上でなければ不可能だと断言します」

 

「ふふん、我が息子の期待を裏切る訳には行かないね☆ ただ、この点は利用させて貰おうかな」

 

「と言いますと……?」

 

「簡単な理由だよ。いい加減にちーちゃん達には現実(・・)を理解して貰わないとね。もう毎日毎日、政府とか委員会がギャアギャア煩くてさ」

 

 束は片手で頭を押さえながら呆れた様な所作を見せる。だがその片目からは獰猛な怒気が込められていた。

 

「自分達はISに選ばれた存在だと宣う女尊男卑やIS委員会の連中にはウンザリなんだよね。ISコアの『声』の存在を認知出来ないから捏造だの幻聴だの言うのは仕方ないけど」

 

 どうやら自分が知らない間でも『ISコアの量産化』の交渉は未だに続いている様である。

 

「……ただ、問題なのは地球人じゃあの子達を」

 

「いや、存外捨てたモノじゃ無さそうですよ? 少なくとも8組の面々は」

 

「……8組。と言う事はわーくんやしぃちゃんのクラスで、きゃららんが担当するクラスの事かな? きゃららんのオリエンテーションや特別試験を合格した……」

 

「ええ。少なくとも他のクラス(ゴミ虫)共よりかは遥かにマシです」

 

 一瞬、ほんの一瞬だけ若菜の言動が荒れた。

 

「…………。ま、確かにそうかも知れないね。それじゃあ……今度のクラス代表対抗トーナメントでこの束さんが直々に見定めてあげようかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」ゴソゴソ

 

 若菜達の自宅の部屋の一室。其処にポツンとダンボールがモゾモゾと蠢いていた。

 

「うにっ‼︎(∧・ω・)∧ 」ヒョコ

 

 ダンボールの蓋を突き破りいつの間にかウィキッド(さいがい)が若菜達の家に潜り込んでいた。

 

 

 

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