束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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マイクチェック……40%、70%、90%、100%、準備完了。

音響装置、オールグリーン。

アンプ、問題なし。

拡張領域、異常無し。

照明、OK。

舞台装置、OK。

要確認項目、オールクリア。



若菜は『』
シノアは【】
フィウは《》
燐芽は[]
紫苑は〈〉



お借りした楽曲
 『Cradle』
 『カリギュラオーバードーズ』主題歌



心詩 Cradle

 

 

 伽羅と千冬と真耶の教師3人が開催場所である学園内議事堂に到着すると既に多数の生徒達で溢れ返っており、大変な混雑具合である事が予感出来る。

 

「近くで見ると凄い盛況振りですね……」

 

「それだけ、男性操縦者に対する注目度が高いと言う事だろう……。一夏ならば兎も角、篠崎となると外部への露出がかなり少ないからな……」

 

 明確に他のクラスの生徒の前に姿を現したのは先週の1組との合同授業くらいである。それ以前に8組生徒が接触を妨害している節があるとまで言われている。

 その為、8組以外だと驚く程にその顔を拝む事すら難しい状態が続いていたのだ。

 

「そもそもこの混雑具合で座る席は残っているのか?」

 

「織斑先生の威圧力があれば有象無象の生徒は散るでしょう」

 

 その言葉の通り議事堂への入り口へと近付くとその付近で屯していた生徒達はモーゼの如く道を開けた。伽羅は千冬の存在(いあつ)感を利用して特に労する事なく議事堂へと進入したのだった。

 

「……壇上はカーテンで仕切られているか。当然か」

 

「丁度、あの席が空いているみたいですね」

 

 伽羅が示した先には席が丁度、3つ空いていた。位置的には見渡しが良いとは言い難いがあるだけマシと言えるだろう。

 

『あー、テステス。間も無く開演となりまーす。ご来場の方は着席して不用意な離席はお控え下さいますようお願いしますですっ‼︎ 尚、終了まで議事堂の出入り口は閉鎖しますので、お手洗いは事前に済ませる様にお願いしますですっ‼︎ 目立ってる?目立ちました?存在感アップ?』

 

 議事堂の舞台裏の放送席からの放送だが後半で色々台無しだった。恐らく8組の生徒の誰かであろう事は分かるのだが、こんなドジな生徒も居たのだろう。

 

「さて、どんな内容かしらね? 予定が狂ったとは言っていたけど……」

 

 議事堂内放送の後、カーテンの幕が上げられた。壇上にはシノアを先頭に左右にフィウと紫苑、後方に燐芽と若菜が陣取る布陣となっていた。そして正面のメインであろうシノア以外の全員の近くにもマイクスタンドが置かれマイクが設置されていた。

 

「……MCは余り得意じゃないけれど。取り敢えず聞いてくれると嬉しいかな」

 

「いやいや、それは無いだろ……」

 

「あ、此の儘行くみたいです」

 

「え、ええー……。この流れで始めんのかよ」

 

 若菜の小声による呆れを他所に講義堂の照明が落ちると同時に前奏のメロディが掻き鳴らされる。焦燥感を焦るかのような激しいギターとドラムの音が鳴り響きAメロが始まった。

 

 

〈愛されたくて仕方なくて でも上手に出来ずに ごめんなさい〉

 

〈壊したくなんてなかったけれども 貴方が私を嗤うから〉

 

[こんなに醜い世界でさ こんなに醜い私でさ]

 

[望まれないと分かったその日から そいつ等は全部敵だ]

 

〔灰に変わった私の希望 此処には明日は無いみたい〕

 

〔のうのうと生きる罪の怪物は 名も無い地獄を知らぬふり〕

 

【たった一つの救いも光も 奪い弄び捨てるんだね】

 

【やっと見つけた陽だまりもね ああ どうせ見つかって汚すんだ】

 

 

 ドラム担当の若菜意外の独唱パート。歌詞の内容から感情的な思いが伝わってくる。次のパートから最後尾に陣取るドラムかつバンドマスターを担当する若菜が歌唱に加わる。

 

 

【〔(save me)〕】『きこえたよ』

 

【〔(save me)〕】『呪いと祈り』

 

【〔(save me)〕】『泣かなくていいよ』

 

〈[キミの奥まで 愛してあげるからさ]〉

 

【〔〈[行こう行こう]〉〕】

 

 

 電子キーボードの音が鳴り響いたかと思った直後、議事堂の壁がまるでガラスが割れるかの様に砕け散った。壁が砕け散った先に広がった光景は真っ白な地平線に快晴の蒼穹が広がっていると言うその奇想天外な光景に観客達は騒然となる中、Aサビへと突入して行く。

 実際に砕けた訳では無い。拡張領域と量子変換時の境目を用いて白い大部屋の『通り道』を形成して恰も破壊されて新たな世界が形成された様に見せかけているのである。

 

 

【ねえ、痛い?〔〈[痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?]〉〕】

 

【〔〈[怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖いよね?]〉〕】

 

[こっちにおいで 悲しかったね]

 

〈〔優しい夢にしよう〕〉

 

〔ねえ、もっと 見たい?【〈〔見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?〕〉】〕《I》

 

《I》〈ずっと居たい?【〔[居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居て]〕】〉

 

『『幸せ』 はね 許されること』

 

【〔〈[おかえり キミの為の クレイドル]〉〕】

 

 発狂に近い濁流のようなサビが終わると間奏に突入し電子キーボードが鳴り響く中、壁の向こう側の白い世界に多種多様の建築資材が集結していき様々な建築物が出来上がっていき1つの街が出来上がっていく。

 間奏が終わるとBメロに突入した。今度は混成パートからスタートとなった。

 

 

【[大好きなキミにしてあげる ずっと大好きでいてあげる】

 

【[苦しむ為に生まれたの? ねえ 報われたいと思うよね?]】

 

〔〈どっちが本当か嘘かってことで キミの幸福は決められない〉〕

 

〔〈キミの真実が許されないなら 狂っているのは世界だね〉〕

 

 

 歌詞の内容も狂気を帯びて行くような内容に変化して行く。正に訴え掛けているかのよう。

 

 

【〔(save me)〕】『望むたび』

 

【〔(save me)〕】『台無しになって』

 

【〔(save me)〕】『それでも願って』

 

【傷付いたでしょ?】〔気付いたでしょ?〕

 

【〔〈[もう 行こう行こう行こう]〉〕】

 

 

 Bメロへと突入する頃には絶えず形成されていた街並みは完成していた。それは今では女尊男卑の影響で『女尊男卑じゃない‼︎』と言う主義者によって喪われたかつての東京の街並みであり、その街並みを背景にBサビへと突入する。

 

 

〔ねえ、痛い?【〈[痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?]〉】〕

 

【〔〈[怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖いよね?]〉〕】

 

『報われもしないキミなんて嫌』

 

〈優しい夢にしよう〉

 

〈ねえ、もっと 見たい?【[〔見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?〕]】〉《I》

 

《I》〈ずっと居たい?【〔[居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居て]〕】〉

 

『『幸せ』にね 終わりはいらない』

 

【〔〈[おかえり キミの為の クレイドル]〉〕】

 

 

 激しい間奏が続いた後電子キーボードの音のみが静かに続いた後、ラストのサビが突入すると同時に遠方に聳えていた創造されたかつての東京都の街並みがなす術も無く倒壊して行く。

 

 

〔【〈[ねえ、痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?痛い?]〉】〕

 

【〔〈[怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖い?怖いよね?]〉〕】

 

〈もういいんだよ〉【二度と離さない】

 

[もう二度と 醒めないで]

 

〈[ねえ、痛くない 痛くない 痛くない もう痛くない]〉

 

【〔怖くない 怖くない 怖くない もう怖くない〕】

 

【こっちにおいで 悲しかったね】

 

[〈優しい夢にしよう〉]

 

〈【[〔ねえ、もっと 見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?見たい?〕]】〉

 

〈【〔[ずっと居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居たい?居て]〕】〉

 

『『幸せ』 はね 許されること』

 

【〔〈[おかえり キミの為の クレイドル]〉〕】

 

 

 終わりに近づく同時に周囲の空間に亀裂が入り砕け散る。砕け散って破片すらも量子変換で消滅すると同時に世界は議事堂の姿へと戻っていた。その直後、議事堂全体から拍手が巻き起こった。その拍手を背後にカーテンが降ろされた。

 

「随分と荒削りなライブではあったわね……」

 

 反響とは他所に伽羅の評価は辛辣であった。どうやら及第点には至らなかった模様。

 

「そ、そうなんですか……?」

 

「演出も雑に尽きるわ。もっとマトモなやり方があった筈だと言うのにね。量子変換の道は恐らくシノアの発案でしょうが、それにしてもあの演出はダメね。理解が出来ないわ」

 

「き、厳しいな……。あの壁が崩れて行く演出はISを使ったのであろう事は分かるが、それでも演奏や歌唱しながらの遠隔操作は並大抵の集中力が成立しないぞ」

 

「……なーにか、トラブった結果なのかしらねぇ。まぁ、理由はどうあれギリギリ及第点はあげれそうに無いわね。演奏は兎も角、演出面ではマイナス評価を提示する他に無いわ」

 

「……しゅ、趣味に対しても冷徹な評価を下すんですね」

 

「何事も本気で取り組めない者に本番は優しくなんかしてくれない。常々、万全の状態で臨めるとは限らないのですから。そう言う意味じゃあの子達もまだまだ子供ね」

 

 伽羅は若菜達に対してそう評価して席を立って一足先に議事堂を後にしたのだった。

 

 

 





 物凄く久し振りに歌詞表記を使った……。
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