束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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遊びは終わりにしようか?

 

 

 

 若菜達が議事堂でライブを開催しているその頃。

 

「いやはや、若菜さんは実に行動が分かりやすくて本当に助かりますね〜。それに加えて地球人の行動も予想し易いのはお手軽で何よりですよ」

 

「発案者はシノアちゃんだけどね〜。でもでも、弟くんのネームバリューは抜群だね〜♪ 学園内の殆どの人間が弟くん達の所に行っちゃったんだもん♪」

 

 若菜達のライブを耳に聞き付けたIS学園内の人間、生徒や教員。他にも警備員に至るまでその殆どが議事堂の方へと行ってしまっていた。いや、仕事しろよと言いたくなる為体であった。

 その為、少ない時間ではあるが学園内。それは生徒達には秘匿されている地下区画の警備までもが手薄となる。それはもう露骨なまでに。

 

「……そのお陰でこんなに簡単に侵入出来たね♪ 如何に熱光学迷彩と電気信号改竄があるとは言えど、それはあくまで脳の処理能力の欺瞞に留まるからね。完璧とは言い切れない」

 

「まぁ、定温が高温の方とか居ますしね。若菜(・・)さんとか」

 

 警備が手薄となったIS学園の地下区画。本来であれば限られた教員のみ立ち入る事が出来るその機密区画に姫舞とケーニヒスベルクの2人は侵入していた。目的はIS学園地下に存在する緊急時避難経路の場所の特定及び掌握である。

 IS学園島は伽羅が無理矢理、漁船で接岸している箇所以外でのアクセスは日本国本土とIS学園島を繋ぐモノレールしか存在しない。だが、緊急避難用の経路は用意されている。それが緊急避難用の地下トンネルである。

 そのトンネルを掌握しておく理由は8組担任教師である伽羅と共謀し来る『クラス代表対抗トーナメント』同日にて行う『定期考査』への準備である。

 この考査の結果次第では……例えクラス代表であろうと落第、つまり殺処分となる。赤点も無ければ補習も無い。生きるか死ぬかの2択である。

 伽羅の見立てではこの考査ですら(・・・)生き残れない様ではこの先、宇宙でも生きていける見込みは無い。絶対天敵に敵う見込みも無ければ同族達(・・・)と争える見込みすら見出せない。正義とは往々にしてそう迫るのだから。

 

「……っと姫姉さん。此処の様ですね」

 

「流石。大規模移動を想定しての大型地下トンネルに通じる隔壁だね。耐久性も申し分ないかな♪ 地球基準だと」

 

「あの〜、姫姉さん? 若菜さんと同じノリでぶっ壊す真似は止めてください。貴方は若菜さんの暴れぶりとは比較になりません。文字通り軽く地球の国の1つや2つ、絶滅(・・)します」

 

「それでも大陸が残っているから大丈夫、大丈夫♪」

 

「……。何故、こう言う類の人程、行動力が高いんでしょうか……? 生命における設計ミスですよ」

 

 ちっとも安心できない物騒な台詞である。姫舞基準ならば生命が残っている大陸が存在するならば国が多少、絶滅しても誤差の範囲と捉えているのだろう。恐ろしい限りである。

 

「……さてと、制御室は何処かな〜?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い。この俺様を待たせるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒。一言で言えばその印象が大きい。黒いボディコンか水着かと思うくらい布面積が少ない服と言うのも憚れる衣を纏った少女が苛立ちを隠さず不遜な物言いの下、仁王立ちしていた。露出度で言えばケーニヒスベルク以上だが、燦爛と煌めく赫い瞳孔を見る限り恥ずかしげも無く意中に介していない。

 服装も異様ではあるが1番の目を惹きつけるのはその頭。銀色の髪の頭部から伸びるは太く湾曲した豪壮な双角が伸びていた。

 ケーニヒスベルクが小振りな角であるのに対して此方はかなり太い角である。

 

「あ〜島風ちゃ〜ん♪」

 

「俺様を子供扱いするな。全くどいつこいつも俺様をタクシー代わりに使うんじゃねぇ。ほらよ、要件のブツを持ってきてやったぜ」

 

 島風はそう言いぶっきらぼうに連れて来た要件人間を乱暴に投げ付けた。

 

「……オイオイ、もうちっと丁寧に扱えや。パーフェクトな私が傷物になったらどうすんだ?」

 

 乱暴に投げられた要件人間……Dr.レーキュは空中で体勢を立て直して鋼鉄製の床を火花を散らせながら滑りつつ着地し、そう文句を宣う。

 

「……見た目と言動がミスマッチ感がえげつなさ過ぎて脳がバグりますねぇ」

 

「「あ?」」

 

 レーキュも島風も見た目が美少女なのだが口調は完全にオラついた不良のソレであるから違和感バリバリであった。

 

「……要件は済んだ。ついでに閣下(アイツ)の要件を済ませるか。金剛め……あの方向音痴、いつまで油を売ってやがる」

 

 島風がそうボヤき瞬きした刹那。その姿は既に其処には居なかった。それは目に留まらぬ速さで移動した事を意味している。

 

「……んで? わざわざ島風に頼んでまで私を呼んだ理由は何だぁ?」

 

「……件の調整。やっぱり現場でした方が良いでしょ?」

 

「否定はしねぇな。私も1枚噛んでるしな。既に若菜(クソバカ)とは手を打ってある。ドレを寄越すとかは指定していなかったからなぁ……‼︎ 人体実験し放題、使い潰しても文句は言われねぇ……‼︎ 最高だな、オイ‼︎」

 

「あ、その前にこの隔壁を開けて欲しいな♪」

 

「あいよ。そもそも制御室は何処だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……次のニュースです。今年に入ってから全国の行方不明者が増加傾向にあります。比率は圧倒的に女性が多く、地域によっては人影が極端に少なくなった街並みも』

 

「見て見てわーくんッ‼︎ 完成したよー‼︎ うに姫ちゃんも手伝ってくれたから予想よりも早く完成したー‼︎(/>ヮ<)ノシ」

 

「うにーっ(/>ヮ<)/」

 

「……母上。夕食の最中に精密機械を持ち出さないでください。あとおチビ姫もはしたないから母上の真似は止めろ」

 

「キサマァァァァァァァ‼︎⁉︎ 王女殿下の御好意を無碍にするとはそれでも人間、グボウォア⁉︎」

 

「若菜さん。食卓が汚れるんで刃傷沙汰は勘弁して欲しいっス。邪教徒の相手するだけ時間の無駄っスよ。幾らでもリスポーンしてくる連中は単なる時間の浪費役なんスから」

 

「……さっきから頭に6回くらい包丁をブッ刺しているのに何故、立ち上がって来れるのよ……?素直にキモいわ」

 

「若菜。急所を外れているわ。脳天を狙いなさい」

 

「ちゃんと狙っているんですがね⁉︎」

 

「ふ、フフフフフ……王女殿下への信仰心が尽きぬ限り、我々は何度でも蘇るゥゥゥゥウウウウ‼︎‼︎」

 

「不老不死でももうちょい潔いぞ。そもそも誰が好き好んで邪教徒(テメェら)と食卓囲むか、莫迦共」

 

「キサマが我らが王女殿下に不躾な真似をしないか常々、監視せねばならぬのごおわぁあ‼︎⁉︎」

 

「若菜君。始末する時は返り血が飛ばない様にしてくれないかな?掃除が大変ですよ?」

 

「いずれにせよ掃除しなければならない事に変わりは無いのでは?」

 

 今日の篠ノ之家の夕食はカオスであった。束とその子供達、伽羅とフィウはお馴染みとして、更に追加がいた。

 いつの間にか、災害王女のウィキッドが転がり込んでおり、呼応する形で『ウィキ姫を愛でる会』の邪教徒軍団が出現した挙句に地球上で繁殖していやがった。一応、常識は弁えて身辺警護の邪教徒は1人にするとの事だが、普通に邪魔だ。

 

「それで、母上。この場で聞くのは少々、憚れはしますが完成したと?」

 

「うん☆ ウィキ姫ちゃんが手伝ってくれたから、予定の1週間早く出来たよ♪ 概ね、わーくんが解読してくれた通りの内容だね」

 

 束は自身の膝の上に座らせているウィキッドの頭を撫でながらそう続ける。

 

「何すか何すか? まーた面白い事を企んでいたスか?」

 

「まだ1個だけどね。コレである意味、あの子達の感情を示す事が出来るだろうね。ただ、この装置が女性権利団体(カスども)IS委員会(のうなし)共の手に渡ってしまった場合の対策としてコア達と意思疎通が出来なきゃ無意味と言う安全装置を組んだんだよね」

 

 流石、母上。対策は打ってある。母上に頼んだシステム、それは感情の発露ではあるがある種の『専用機』のイメージを抽出する。分かり難い? 簡単に言えば専用機を顕現させると捉えると分かりやすい。

 

「束博士。実にタイミングが良いわ。ちょうど、コア達の方から8組の生徒達に意思疎通を図ったわ。仮に何らかの形で失敗して廃人化や廃棄処分となっても問題ありませんので実験台としては最適かと」

 

 人体実験に失敗は付き物。例え廃棄処分となる程の損壊が生じる可能性がある。

 

「……うん♪ きゃららんがそう言うなら、任せようかな。そうそう、わーくん。この装置の名前はどうするの?」

 

 名前?もう既に決めていた。

 

「……Over Trance.通称OTシステム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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