束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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ボコボコにされる準備はOK?

 

 

 

 

「1組、2組はクラス代表は健在。ただ、1組のクラス代表。織斑 一夏の専用機『白式』の単一仕様能力、『零落白夜』の使用は『打鉄暴走事件』以降、確認されませんでした。尚理由に関してはは本人曰く発現出来なくなった旨の供述を確認しました」

 

 永世の報告を聞いて黒糖 久里は『1組 織斑 一夏』の下に脅威低下の文字を書き込む。

 

「了解。2組は?」

 

「AS弾の後遺症は見られず。各種装備の仕様も確認されました。初期の観測結果の誤差、凡そ0.05+です‼︎」

 

 燐芽の報告を聞き『2組 凰 鈴音』の下に要警戒の文字を書き込む。

 

「……一応、4組もお願いします」

 

「あー、完全に塞ぎ込んでしまったらしく授業にも出て来ない始末の様です。4組は完全に不戦敗コースとなっちゃうんだぜ‼︎」

 

 尸狼の報告を元に『4組 更識 簪』の文字にバツ印を書き込む。

 

「ドロン、報告‼︎ 3組は『打鉄事件』と担任が変わった影響で実技訓練に二の足を踏んでいるのか、消極的な態度‼︎ ただ追い詰められた狐は狂暴化しますので、ご用心を‼︎」

 

 天井から飛び降りてくる形で現れたミニスカートタイプのメイド服を纏い白いマフラーを巻いた銀髪の少女がそう報告する。

 

 白鳳 萌葱。ふにゃふにゃ気味ではあるが口調や身のこなしからNINJAを彷彿させその言動に恥じずフィジカル的な身体能力は8組最上位に君臨するニンジャガール。

 

「了解。人間、窮地に陥った時に真価を発揮すると言うっすからね。火事場の馬鹿力とは油断ならないモノです」

 

 『3組』には危険対象と言う文字を書き込んでおく。

 

「5組、6組、7組は完全に勝負を捨てとる状態やな。そりゃあ仕方あらへんわな。周りにヤベェもんに囲まれとるやさかいに」

 

 久里の背後に突如現れた黒髪にキレ目なスリット入りのスカートタイプのメイド服をその身に包んだ少女がそう告げる。そのスカートの裾は床に着きそうな程に異様に長い。8組の面々の中でも一際アレンジ色が強い。

 

「おお〜。名刀(なち)殿、いつ見ても見事な隠密術ですな。是非とも修得したい‼︎」

 

「ニンジャなら盗ってみい? せやけど簡単には盗らさへんで? つーか、忍べや」

 

 浅葱が目を輝かせて彼女に迫るが彼女、名刀 淡姫はやや呆れた様子で迫り来る浅葱を払い除ける。その光景を尻目に久里は残りの項目には脅威低と書き込んだ。

 彼女は所謂、影が薄い。尸狼との違いは彼女の場合は自らの意思で極限にまで自分の存在を隠匿する方針へと努めた結果、誰も気付かせない歩行術を体得するに至った。その技術を会得するに至った要因に関しては誰も聞かない。各々の背景は詮索しない、どんな燃殻(・・)が燻っているか分からないからだ。

 

「……改めて見ますとやはり1組と2組が最大脅威と見受けられますね」

 

 各クラスに配布された『クラス代表対抗トーナメント表』を眺める。選手名の下に今し方、書き込んだ注釈を含めて誰が危険な存在か分かる。

 

「そもそも一回戦目でいきなり1組と当たるとか、どう考えても学園側の作為的行為にしか見えねぇーな」

 

 トーナメント表を見ながら紫苑が呆れた様子でそう言う。第1試合かつ第1戦目の対戦カードが『1組VS 8組』と言うどう考えても作為しか感じられない組み合わせだ。

 

「……先生達は8組の代表が篠崎さんだと誤解していたみたいですから……」

 

「他にも各国から政府要人と言った人間が来るとの事で男性操縦者の姿をいち早く見たいと言うと思惑が重なった結果でしょう」

 

 とまあ結果はお察しの通りだが。

 

「あの、そう考えると私って結構、空気読めない状況に放り込まれると言う事になりますかね?」

 

「なるだろうな。其処は教師共の怠慢だろ。俺達が文句言われる筋合いは無ぇよ。それよりも、大将。例のアレは大丈夫なのかよ?」

 

 6日前、8組のIS実技訓練にてある『秘密兵器』が導入された。8組の面々の覚悟、能力、そして同調率を考慮した結果、伽羅は許可した代物。今日に至るまでその『秘密兵器』を用いた訓練に明け暮れた。相手は当然、若菜であった。偶にシノアやフィウが相手する事もあった。

 

 『打鉄暴走事件』の折に若菜が託され、複数人による協力を経て完成した。まだ数は揃える事は出来ないがいずれは8組の面々に用意出来るとの事。その1人目こそが8組の代表である黒糖 久里である。

 

「ええ。篠崎さんが持ってきて貰う事になっていますよ。今、準備中」

 

「黒糖。悪ぃ、待たせた」

 

 話題に上げていたタイミングで8組の教室に若菜とシノア、フィウの何時もの3人が入ってきた。

 

「いえ、丁度此方も情報の整理が終わった所です。それで出来ました?」

 

「ああ。ピアス、で良かったな?ノンホールピアス」

 

「ええ。指輪だと、流石に不自然でしょう?」

 

 久里は見た目から不良少女だ。指輪よりもピアスの方が自然に思える。『違和感』と言うのはそれだけ目立つ。自然と言うのはそれだけ擬態としての効力を発揮するのだ。

 

「君の意見を尊重している。君がそうだと言うのであれば文句は言わないさ。ほれ」

 

 若菜は『秘密兵器』こと久里にピアス状に製造し直された『OTシステム』を手渡した。久里はその場で耳朶にピアスを取り付ける。

 

「……相方は決めているのか?」

 

「敢えて言っていません? ええ、決めています。彼女の方から声を掛けてくれる筈ですから」

 

 そう言う意味では初戦の第1試合である事には有り難い。2試合目以降は状況に依るだろつ。

 

「……他の皆はまだ直ぐには用意出来ない。暫く時間が欲しい」

 

「はい、分かりました」

 

「あいよ。突貫工事するくらいなら、最高の奴を拵えてくれ」

 

 時計の針が良い時間を指していた。そろそろ試合会場である学園中央に存在する第1アリーナへと移動した方が良いだろう。

 

「……若菜君。何か忘れていない?」

 

「はい。伽羅さんが何か企んでいます、内容までは分かりませんが」

 

「あー、確かに……。この日に重ねて何かしら伽羅さんが企んでいるであろうから」

 

 若菜がそう言う途中で黒糖含み、8組の面々はその身に纏うメイド服のスカートを豪快に翻したかと思うとその手には多種多様の銃火器をその手には携えていた。完全に武装メイドじゃねぇか。

 

「……あの人がこんな日に『何も仕掛けない』筈が無いでしょう?」

 

「浮かれた奴から死ぬ。座学で散々習ったろ? 今更な事、言うんじゃねぇ」

 

「奇襲、強襲。対策済み、だよっ‼︎」

 

「何も無かったらそれこそ拍子抜けや。あんま舐めたらアカンで?」

 

「寧ろこう言う日こそ、大掛かりな『試験』が行われると思いますよ?」

 

 感極まっとるなぁ〜。と若菜は染み染み思う。メイド服の下に武器を隠し持っているとか、思考回路が完全にヤバい人のソレだろ。

 

「……。杞憂だった。舐めていた事を謝るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第1アリーナ。

 過去、若菜とOVTシステムとの戦闘の余波で付近のランドマークタワー諸共完全倒壊してしまったメインアリーナだが、今では完全復旧し各種設備は問題なく機能している。

 1番見栄えの良い席は各国来賓向けのVIP席となっておりその周囲が一般来賓席、それ以外が生徒向けの観客席となっていた。

 クラス代表である久里とは途中で別れ、若菜達8組の面々は観客席の方へと移動した。

 

「何、アレ……メイド服?」

「2人目の男子が居るって事は8組⁉︎」

「8組の制服って8組の先生の趣味でメイド服にされたんだって……」

 

 その為、他のクラスの生徒とかち合う事になり、否応なく視界に入る。そして当然ながら周りが制服姿だと言うのにメイド服の集団が現れれば嫌でも目立つ。非常に目立つ。

 

「……あ、あわわ。目立ってるよぉ」

 

「其処は仕方ありません。最も武器を隠すのに重装備のメイド服は有り難いのですけどね」

 

「それ以前に俺が1番、悪目立ちしているんですがね?」

 

 異様な視線が此方に向く中、空いていた空間を陣取り其処を定位置とした。前後左右にメイド服に身を包んだ生徒達が陣取っている為に他のクラスの生徒が滑り込む余地は無い。

 

「弾倉やセーフティの確認は済んだ?」

「問題ない。いつでも行ける」

「何処からでも掛かって来ても問題ありません。ニンニンッ」

 

 試合なんぞよりも『試験』の方に注釈しているようである。……8組生徒だなぁ。

 

 その時、第1アリーナ全体に響き渡るアナウンスが響き渡った。

 

 

『ご来校及び観客席の皆様にお知らせします。クラス代表対抗トーナメント第1試合の前に1組の織斑 一夏VS 8組の篠崎 若菜による『特別試合』を行います』

 

 

 全く持ってプログラムに組まれていない場外試合が持ち込まれて来た。誰1人としてそんな項目を認知していない内容であった。

 

「ほう……?」

 

 当事者なのに全く聞いていない若菜は驚く事も怒る事もせず、ただ関心を引いた。

 

「若菜君。知っていたの?」

 

「いや、初耳だ。どうやら何がなんでもゴリ押ししたい意図を隠していないな」

 

 余程『専用機』の情報が欲しいらしい。もはや病的なまでの強欲振りは清々しく思える。そう言う意思は嫌いでは無い。

 

「若菜。よっぽど、学園やその他諸々の連中は自分の思い通りに事が運ばないと気が済まないくらいの『餓鬼』みたいね。皆、良い?あんな大人になっちゃダメよ。醜いだけのゴブリンと言うのは醜悪なだけだから」

 

 其処へ伽羅が観客席へと姿を現した。どうやら伽羅も関与していないようである。この様子から学園側か或いはIS委員会や政府側からの圧力が掛かったかその辺りだろう。

 

「「「はいッ‼︎」」」

 

 威勢が宜しい事で。

 

「若菜。どうする? 此の儘突っ撥ねちゃっても良いわよ。その場合、IS学園側が大恥を被るだけよ」

 

「いや、此処は敢えて挑発に乗ってやりましょう。良い機会です、今のうちに試しておくのも悪くはありません。ちょっど良い的が現れてくれたので利用しない手はありませんね。

 最も俺にボッコボコにやられた挙句に試合でも黒糖にボロボロにされてしまった暁にはメンタルが持つかは知りませんが」

 

 その言葉に伽羅は人差し指を口に添えて悪どい笑みを浮かべる。

 

「ふふ、それも悪くないわ。若菜、今さっき連絡来たけど束博士からは『使用制限』は健在だけど、『OTシステム』は問題無いそうよ」

 

「ふむ。なら、正義を談る彼に対して俺達(・・)の正義を正当化しようじゃないか」

 

 『俺が皆を守る』、か。

 織斑 一夏はそう宣言したらしい。世界最強の剣を手にして自分が成し遂げると言う誓いを立てた……。だが、その道のりは決して楽ではなく険しく果てが見えない悪夢のような世界だ。果たして耐え切れるのか。

 見せて貰おうか。プロジェクトモザイカ、その成功体の力とやらを。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘中のシーン。作者が書いている時の楽曲とか知りたい?

  • 知りたい
  • 予想が付くので不要
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