束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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無茶し過ぎですよ

 

 

 

『……ガイア。ちと無茶するぞ』

 

『キミ、定期的にアホな真似をしないと胃痛になる病気にでも掛かっているのかい?』

 

 判断は一瞬であった。現状のままで事態が好転する筈も無いのは分かり切っている。此の儘、追走戦を続けてエストレヤ近郊に飛び出すのも愚策だからだ。

 

『下手を打てば見知らぬ別次元……最悪の場合、虚数空間に突っ込む羽目になるぞ‼︎ ソレを承知の上か⁉︎』

 

 ガイアから警告が寄せられる。本気で焦っている事から本当に危険な行為である様である。

 

『なんとでも言え‼︎ 行くぞ‼︎』

 

 若菜は其の儘、右へと逸れていき、光の筋が渦巻く量子トンネルの『壁』へと見える場所へと突っ込んだ。洪水の様な重力の流れから逸れる行為、それは途中下車ならぬ滑落と同義であり文字通り『何処へ飛び出すか予測不可能』であり大変危険な行為。量子トンネル内で1番行ってはならない禁断の行動であった。

 

 荒狂うかの様な重力に晒されながら視界が眩い光に覆われ、痛覚すらも忘れそうな衝撃を浴びながら量子トンネル内から滑落した。

 

『我が息子、意識はあるか⁉︎』

 

『ああ……頭が割れそうだが、何とか意識はある』

 

 膨大な重力の流れに反する行為を量子トンネル内で行った代償で機体のエネルギーの残量は残り2割を切っていた。

 竜型の絶対天敵のその後の行動は流石に把握出来なかったが自分を狙っていたのならば其の儘、突っ込んで来たかも知れない。彼方は何処へ飛ばされたかまでは分からない。

 

『んで、此処は何処だ?』

 

 頭を振るいながら周辺宙域内を見渡す。大小数々の惑星が見受けられ、少し離れた位置に小惑星帯が視認出来た。少なくとも太陽系の周辺地域では無い。

 見覚えのある宙域でも無さそうな気がしなくも無い。少なくとも周辺に絶対天敵が沸いている訳でも無さそうだ。

 

『…………ダメ元で救難信号を出すぞ。反応が無ければ……』

 

 ガイアは其処から先は言わなかった。なまじその可能性は充分ある分の悪い賭けであった為に、敢えて言わなかった。

 

『……………………! 喜べ、若菜。反応があったぞ‼︎ しかも、私達の知っている識別信号。エストレヤ所属、キヴォトスだ‼︎』

 

 ガイアが歓喜の声をあげた。どうやら別次元の宇宙でも、完全に未開の銀河系でも無い宙域に放り出されたようだ。

 

『航路上に飛び出せたのは僥倖だったな。まぁ、確かに一か八かの賭けでもあったが、賭けに勝ったようだな』

 

『救難信号を受けて、回収しに来てくれるそうだ。全く……一時は如何なる事かと思ったぞ我が息子よ。次はもっと穏便な方法を選択してくれ。ヒヤヒヤする方の身にもなれ。私がISでなければ、胃痛に苛まれる所だったぞー』

 

『分かった、善処するよ』

 

 脳内に響くガイアからの有難い説教を他所に巨大な影が此方へと向けて接近してくるのがハイパーセンサー越しで確認出来た。

 それは宇宙を航行する航宙艦船であった。

 充分に近付いて来てから、公開通信を介して若菜へと女性の声が聞こえて来た。

 

『救難信号を受信しお迎えに参りました、ベルファストです』

 

『済まない、世話を掛ける。着艦ハッチを開けて欲しい』

 

『救難信号の識別信号から察して居ましたが……何故、この宙域に?』

 

『このバカが量子トンネルの壁を突き破る真似をしたんだ。後は察してくれ、我が娘よ』

 

『成程、納得しました。若菜様も閣下と同じく中々、破天荒ですからね』

 

『納得するんじゃねぇよ‼︎』

 

 妙に納得された事に憤りつつも若菜は航宙艦船に開かれた着艦ハッチへと移動して、艦内へと搭乗する。

 だが、ISは解除は出来ない。何故ならば宇宙艦船ではあるのだが、この宇宙艦船の艦内に酸素の類は存在しないからだ。その為、ISを量子変換で解除した直後に死亡は確約されるのだ。

 一応、重力発生装置は搭載されている為、ラビットコロニーと同じく小部屋と二重扉を抜けた所で重力が発生し床に足を付けた。

 

『此の儘エストレヤへと帰港致しますが、宜しいですか?』

 

『ああ、問題ない。元々、エストレヤへ向かう為に量子トンネルを通過していたんだが、トラブルが発生してトンネルの側面を突き破る真似をした結果、こうなった』

 

『…………改めて聞きましたが、中々な無茶を致しますね。普通に考えるならば希死念慮と思われても致し方なしかと』

 

『放っておいてくれや……』

 

 若干拗ねた若菜。否定しようにも出来る材料が見当たらないからである。

 艦内の内装は殺風景を通り越して何も無い。酸素の存在も取っ払われている以上、搭乗員も居ない。故に何処で休もうが環境は大して変わらないと言う事である。

 

『やれやれ、一時は如何なる事かと思ったぞ。本当に勘弁してくれよ?』

 

『それよりもあの絶対天敵は何処から湧いて来やがったんだ……?』

 

『確かにそれは疑問だな。白地にお前が量子トンネルに突入するのを見計らってから追って来たよな? コロニー周辺では絶対天敵の存在は感知出来なかったし、そもそも太陽系はエストレヤやその周辺系から見れば辺境も良い所だ』

 

『……今、考えても仕方ねぇな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お母様。若菜君、此方に来る途中で絶対天敵の強襲を受けたんだって。量子トンネル内で」

 

「え、それは本当?」

 

「さっき、エストレヤの貿易関連部署から連絡が入って……今、ベルファストに乗ってエストレヤの方へと向かっているんだって」

 

 エストレヤの第6階層にあるとあるカフェテラスにてシノアが小型の空間投影ウィンドウを見ながらそのメールを確認して、同席している束達にそう伝える。

 

「……何を如何言う経緯を辿ればそんな展開に発展すんのよ。アイツ、変な星の下に生まれたのかしら?」

 

「まーたトラブルに巻き込まれたんスかね〜」

 

「……なら、その絶対天敵の中枢機関とか外殻の一部くらい剥ぎ取って来て欲しいな〜」

 

「量子トンネル内だとそんな余裕は無いですよ、お母様……。若菜君。早く合流して……私はツッコミ担当じゃないんだから……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

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