束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
何なのよ……‼︎ 貴方は……‼︎
凍てついた学生寮前の広場にて更識 楯無は白と青を基調とした和服をその身に纏った
「……ッ‼︎」
対峙する相手は和服を翻す中、生身。冷気を集束させて氷の太刀を形成した。常人にはそんな芸当は不可能である事からナノマシンを用い、尚且つ展開の仕方がISの拡張領域から量子展開そのものであった事から、部分展開で対峙していると思われた。
「舐められたものね……‼︎」
ナノマシン制御で螺旋を渦巻く形で形成された水流のランスと氷の太刀が打ち付け合い弾かれ合う。
「舐めたつもりは無いわ。純然な事実よ」
和服の女性は涼しい顔でそう返して来た。
楯無はISを完全展開しての、シールドバリアから絶対防御を完備して望み、対する女性は部分展開と思われる氷の刀が一振りのみ。
『この程度で事足りる』と思われている事が明け透けに感じられた。
数回斬り結んだ後、華麗な跳躍で和服の女性は楯無から距離を取った。
「…………」
見た所、相手はまだ本気になっていない。
少なくとも彼女は自身を舐めている事は確か……。部分展開のみの状態……この周辺一体を氷河期に変えてしまうのだ。少なくとも『冷気』に関する特殊兵装を有する専用機……しかも、その出力は常軌を逸している。馬鹿正直に正面からかち合うのは得策では無い。
ならば……‼︎ 油断している内に、制圧するしか無い‼︎
接近戦は避けた方が良いと判断した楯無も更に距離をとってランスの鋒を向けた。そのランス、蒼流旋には4連装のガトリングガンが内臓されており、放たれた実弾の弾丸が一斉に彼女へと襲い掛かる。
「……ふぅ、一手、一手が遅過ぎるわね」
彼女は楯無の行動に嘆息し、氷の刀を振るう。
「嘘でしょ……⁉︎」
本来、マシンガンから吐き出される弾丸の奔流を真正面から受けて立っていられる生身の人間は早々居ない。
蜂の巣になって絶命するのが席の山。銃弾の1発、1発が身体の何処かに喰らっただけで運動性能が著しく低下する。
にも関わらず目の前の光景が信じられずに楯無は愕然とした。目の前の彼女は氷の刀を高速で振り回して自分に直撃する弾丸だけを打ち払って見せたのだ。
「銃弾の速度を見切る事が出来るって言うの……⁉︎」
内蔵弾を撃ち尽くした楯無は冷や汗を流しながら目の前の女性にそう言う。非常識すぎる真似だった。かの織斑千冬ならば出来るかも知れない。
「……貴方の行動の一手、一手が遅過ぎる。暗部の肩書きは飾りなのかしら? 本来貴方がすべき行動は……即座に狙撃ないし射撃をして殺す事よ。
間違っても相手の目の前に姿を晒すなんて真似は、三流のする事よ」
剰え和服の女性は楯無相手に『暗部』の在り方を説いた。敵に在るべき姿を説かれる……コレほどの屈辱は無いだろう。
「……有り難い忠告、どうも有り難う。貴方をボコボコにした後で改善させて貰うわね」
煽りにも取れる言葉に楯無は苦虫を噛み潰したような顔をしながらそう返した。
「出来るのかしらね? その
「……何……ッ⁉︎」
楯無は自身の両脚を見やった。自分自身の装甲を纏った両脚は氷の結晶が纏わりつき凍り付いていた。氷の塊は地面と繋がっており飛び上がる事は愚か動く事すらままならない。
「いつの間に……⁉︎」
「貴方が銃撃に夢中になっている時に仕込ませて貰ったわ」
それは奇しくも楯無が得意とする戦術と酷似していた。相手の座標にピンポイントで爆破する。それの冷気版と言えた。
「……くっ」
だが、手は無い訳では無かった。『水』を操るナノマシンの機能を応用した水蒸気爆発、『清き激情』。しかし……。
水のヴェールが凍り始めている……‼︎
楯無の纏う『霧纏いの淑女』を覆う水のヴェールが寒気に晒されて続けていた為か、凍りつき始めていた。この場所は凍り付いており少なくとも0度以下の気温。
即ち水が凍りつく温度であり、それは楯無の操るナノマシンが混入した水も例外では無い。熱を伝えるナノマシンだが凍り付く状況上、氷を溶かすに留まってしまう。
「……この程度で勝ち誇る方が三流じゃないかしら?」
両脚を止めた所で学園最強を制したと考えたのならばそれは間違いである。
「そうね。悪足掻きが
和服の女性を中心としその周囲に渦巻く風が吹いた。その刹那、積もっていた雪が吹き荒れて行く。凍て付くこの地は彼女が支配する領土。君臨するは——。
「来なさい。『
「……貴方……‼︎ それは、まさかッ⁉︎」
楯無は此処に来て、疑問が確信となった。
現実では断じてあり得ないと心の奥底では考えていた。
あり得ない、あり得ない。だが、現実として存在した……その矛盾は現実のモノと化した。
「……あり得ないわ……‼︎ 同じモノが2つ存在するだなんて……⁉︎」
模倣品?いいや、それはあり得ない。コレはオリジナルだ。仮に模倣が存在するのだとしたら自分に情報が入らない筈が無い。
「その顔が見たかったのよ。……自身の妹を見捨てた貴方が気に入らなかった……。わざわざ、来た甲斐があったわ」
和服の女性、■■■・■■■■はそう告げる。我ながら無駄な行為ではあると言う自覚はあったが……余りにも酷い姿は見ていられなかった。
「この瞬間、貴方は永遠を手にする」
女性が告げたその言葉の直後、楯無の『時間』が停止した。
「お、織斑先生……‼︎」
「どうした、山田先生?」
一方、その頃。苦渋の決断で千冬は第1アリーナに外部から救助ヘリを呼べるだけ要請し、観客席にいた人員を全て誘導している最中、管制室で状況を把握に努めている中、真耶が青褪めた顔で千冬に報告する。
「さ、更識さんのISの反応が途絶しました……‼︎」
「何ッ⁉︎ まさか、やられたのか⁉︎」
仮にも学園最強かつ国家代表の称号を持つ者が降されるとは考えては居なかった。万全の状態であるにも関わらず、負けた? いやそんな筈は無い。
「一瞬だけ所属不明のISの反応が見られましたが……すぐに消滅しました」
「第三者の襲撃が同時並行に発生しているのか……⁉︎ しかも所属不明のIS……‼︎ 束がライセンス制度を導入して、そんな存在があり得るのか⁉︎」
生徒会長が落ちた今、動ける者は限られている。考えられる要素は幾らでも出てくる。だが、今は優先するべきが事がある。
「くっ。放置は出来んが、優先するべき事がある‼︎ 至急、避難を完了させなければならん‼︎ 籠城するにしても限界がある‼︎」
現に襲撃者の人数も増える一方だ。此の儘では飲み込まれるのも時間の問題……そうなる前にIS学園島から避難を完了させなければならない。