束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
『凰、オルコット‼︎ アリーナの外壁が破壊され内部通路の侵入された‼︎ たった今から現地点の防衛線を放棄、アリーナピット前まで後退して救助が完了するまで時間を稼げ‼︎』
「外壁が破られたですって⁉︎」
「……アリーナの外壁を破壊するなんて、正気の沙汰じゃないわよ‼︎」
正面玄関前で何とか水際作戦で無数にも膨れ上がった無敵人間+狂信者達を相手に辛うじて食い止めて居た長時間による戦闘により疲弊していた鈴音とセシリアがその通信を聞いてそう毒を吐いた。ISのシールドエネルギーも残り3割を切っていると言う状況であった。
「此処を放棄……‼︎ 必然的に閉所戦闘になりますわね……‼︎」
指示に従い鈴音とセシリアは引き撃ちしつつ後退。そうなれば必然的に無敵人間の群勢が正面玄関を突破して雪崩れ込む形となる。
「逃げ場は無いぞ……⁉︎」
「お前達は……捨てられるのだ……‼︎」
「血と肉と化して、この星と一体化しろ……‼︎」
「血を流せ。贓物を撒き散らすは快感だぞ……? 分からないか? なら、分からせてやるよ……‼︎」
無敵化した群勢から怨嗟に等しい声が次々と発せられていく。凶器を片手に迫り来る幽鬼の群勢。
「ISがあると言うのに生身の人間を相手に後退しなきゃならないなんて……‼︎」
距離を取ってから衝撃砲で追ってくる無敵の人間達を吹き飛ばす。だが、人海戦術故の人間の多さ故に後続の無敵人間の存在故に然程、吹き飛ばず生き絶えた者達を蹴り飛ばし踏み越えて後続の無敵人間が前に出て来る。
『たった今、救助ヘリの編隊が第1アリーナの上空に到達した‼︎ 来賓、一般生徒の避難活動を行う‼︎ 専用機持ち達は何としてでも持ち堪えろ‼︎』
千冬からの通信。それはIS学園外からの救助ヘリがIS学園の上空に到達して救助活動が開始されたとの吉報であった。
「……イングランドの候補生‼︎ 天井を崩して時間稼ぎをするわよ‼︎」
「ッ‼︎ 分かりましたわッ‼︎」
無敵の人間に逐一攻撃してもキリが無い。閉所の通路上、天井を崩して封鎖する方が早い。
鈴音の策に従い、鈴音とセシリアは天井に向けて砲撃と銃撃を行い天井を破壊し瓦礫を落として眼前の通路を封鎖する事に成功する。
数に任せてアリーナの外壁を破壊したのだろうが、狭い通路では時間が掛かるだろう。コレで少しは時間は稼げる筈である。
「この程度の障害。我らにとっては小さな苦難に過ぎない」
「終わりが迫る時が来た。そして始まりへと向けて歩み出すのだ」
「姫君が示す後光こそが啓示となる。背信者は悉くその身を供物として捧げねばならない」
「委ねよ、崇めよ、腐臭極まるこの欲界に救済を‼︎
「我らは門弟。煉獄を歩み、燎原を歩む事を止めぬ。血潮の
「この苦しみを乗り越えた先に……新たな時代が待っているのだ……‼︎」
倒壊した瓦礫の向こう側で狂信者達の戯言が聞こえて来る。耳を貸すだけ無駄な行為であるのは明白なのは言うまでも無い。
鈴音は少し下がってから更に追加で天井を撃ち崩して瓦礫の残骸を落として封鎖領域を拡大させる。
「あのカルト宗教の信者みたいな連中は何処から湧いて来たのよ……⁉︎」
「カルト宗教……。往々にして過激団体になりがちですわ。それよりも織斑先生、避難状況は?」
残骸で封鎖された通路を前にして少し余裕が出来た。
『オルコットか? 凡そ、半分がIS学園から脱出に成功だ。苦渋の決断ではあったが、予想よりも多くの救助ヘリが来てくれたのは不幸中の幸いだ。このペースならば予想よりも早く完了出来そうだ』
「もう片方のピットは?」
『暴徒化した連中に通用するか分からなかったが隔壁を降ろしての抵抗した結果、迂回してくれた。今お前達が居る通路が唯一の侵入経路だ。其方の状況は?』
「天井を破壊して即席で封鎖しました。何時迄持つかは分かりませんが……幾許か時間稼ぎが出来るかと」
『了解した。お前達も其の儘、IS学園から離脱しろ。集合地点は先行した山田先生が専用機持ち各位に合流地点を指示する。其処で合流して今後の予定を協議する』
「「了解」」
『クラス代表対抗トーナメント』が開催されていたIS学園を襲った未曾有の大事件。
モノレールの大橋、関係者以外極秘の地下通路を介して大多数の襲撃者(言動や服装からテロ組織では無く『無敵の人』と化した人間達)が大挙として押し掛け後先を考えないテロが発生した。
学園島の至る所に襲撃者で溢れ返りに遭遇した生徒、教員が悉く襲われるに至った残忍な事件。
襲撃者達は生身で日常生活で手に入る道具を片手にIS学園へ殴り込み関係者達を虐殺して回るという地獄絵図が展開された。
緊急時の対応は織斑 千冬に一任されていたが故に当初は迎撃に主眼が置かれて居たのだが余りにも敵の数が多く甚大な被害を被った事を鑑み、異例とも言えるIS学園島を放棄して脱出する方針へと移行した。
本来であればIS学園は独立性を維持する為に諸問題は学園内の戦力で解決しなければならないが、その後の諸問題を承知の上で外部からの救援を要請し、生存している来賓者やIS学園の生徒達をヘリに乗せてIS学園外へと脱出させる事に成功した。
今回のテロの結果。多数の死傷者を出す結果となった。国内外からの来賓は半数が死亡。1年生は数十人。8組の生徒達はほぼ全員が最終的に連絡が取れず生死不明。学生寮に居た生徒達も逃げ切れず置き去りとなった。
2年、3年は専用機持ち含む9割が死亡。生徒会長も音信不通。と言う大惨事となり、歴史的なテロ事件として大々的に刻まれる事となった。
そして、IS学園島は狂乱化した襲撃者が跋扈する状態となる。……最も、滞在しようが籠城しようが数週間も経てば今回のテロに加担した全員が餓死する為に大きな問題にはならないだろう。ただ、破壊の規模から再建の目処が立たないのも事実。
そして、避難した者達はと言うと国外の来賓達は緊急帰国する事になりIS学園の生徒達は東京都にある今回のテロ事件の影響を受け解放された市民会館にて暫くの間滞在する事となった。
何せ全寮制であるが故に衣食住の確保が急務であったからだ。教員達は今後どうするかの協議に明け暮れる事となる。
其処は暗い部屋であった。
其処は
其処は
無数に浮かぶ空間投影ウィンドウ。其処に映し出されている光景からは悲鳴や嗚咽や咆哮や絶望が映し出されている。
電子光に照らされる床は無数の配線が這い回っておりそれを塗り付けるように撒き散らされて時間が経過したのか乾燥した血の跡が幾重にも塗られて本来の床の色は識別不能と化して居た。
その部屋の主は部屋の中央の椅子に腰掛けて無数に浮かぶ空間投影ウィンドウを表示させて消滅させる事を繰り返している。
「観測完了」
全てのウィンドウを消滅させた後、新たに別の空間投影ウィンドウを展開させる。電子光に照らされる黒い髪に白い肌には血が這い、雫となり其の儘床や、椅子の根元を伝い床へと滴り落ちて新たな『赫色』を広げる。
「……OTシステム。試作観測終了」
彼女は暝目する。閉じた瞼からも血が滴り頬を伝い顎の先端から雫となって椅子の座席の上に落ちた。落ちると同時にその双眸が開かれる。その眸は何も無機質さを宿して居た。
「……約68%のコスト削減に成功。以降、『絶対天敵』の生産コストの比率を確認し、改良及び改善点の模索。問題点が無ければ順次移行を検討」
無機質さを宿した声音。それがこの部屋に淡々と無慈悲に響き渡る。