束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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此処までやると寧ろ感心するわ

 

 

 

「ふぅ……銓母上がこの為だけに呼んだとは思えないな」

 

 20人以上が同時に入っても余裕がある檜の浴槽に1人、浸かりながら若菜はそうボヤく。

 母屋から少し離れた離れの建物に大浴場がある。門下生を多く抱えている為に男湯と女湯に分かれており、入浴時間が重なると言うラッキースケベ的な事故は早々起こらない。

 

「…………。さて、今は誰も居らんよ?」

 

『e983bde59088e3818ce889afe38184e3828f』

 

 煩雑であり雑音か環境音か判別が難しい人工音声が聞こえて来た。また、口調が変わっている。『変数』の懸念から一致させる訳には行かないのだ。

 

「さて、断首魚(アレ)は何だ?」

 

 前置も歓談も不要。ただ、本題さえあれば良い。それは篠ノ之 文(あいて)も理解している。

 

『4f54e382b7e382b9e38386e383a0e381aee8a9a6e9a893e9818be794a8』

 

「……にしては随分と偏っているな」

 

 相手が篠ノ之 文ならば把握されても仕方あるまい。何せ1番最初に持ち込んで来たのは他ならぬ彼女だ。

 篠ノ之 束(・・・・)と同条件(・・・・)の行動は考慮して然るべきだろう。

 

『e4beb5e89d95e381aee7a2bae8aa8de38081e6b4bbe794a8e6b395e381aee6a8a1e7b4a2』

 

「…………成程。アレは搭乗……いや初めから(・・・・)か?」

 

『e3819de38186e38082e7b5b6e5afbee5a4a9e695b5e38288e3828ae4bd8ee382b3e382b9e38388』

 

「…………とてもそう思えないな?」

 

『e8a385e794b2e38288e3828ae38282e4babae99693e381aee696b9e3818ce5a297e794a3e38197e38284e38199e38184』

 

「普通は逆だろう……。まぁ、其方だと挿げ替え(・・・・)る技術は確立してんだろうな。技術が進歩すればする程、反比例する様に地獄が広がるとか何かの皮肉かよ……」

 

 気分の良い話とは言い難い。

 いいや、欲望(エゴ)が肥大化し続けた結果なのだろう。……昇華して畢竟へと至った1つの末路とも言える。

 

『e5bb83e59381e4babae99693e381aee5868de588a9e794a8e38082e3808ee68190e68096e3808fe381aee887aae68891e6848fe8ad98e38082e3819de38197e381a65654e382b7e382b9e38386e383a0e381a84f54e382b7e382b9e38386e383a0e381aee5bf9ce794a8』

 

 狂気しか存在しなかった。

 篠ノ之 束が『天才』ならば篠ノ之 文は『天災』だ。

 狂気を孕んだ狂人は幾らでも見て来たつもりではあったが……彼女は指折りの狂人と言える。

 そしてコレまでの付き合いで見えて来た事で最大の問題が本人が『大真面目』に狂っている事である。

 

『e3819de3828de3819de3828de69982e99693e38082e6ae8be9aab8e381afe59b9ee58f8ee38197e3819fefbc9f20e5868de588a9e794a8e38292e68ea8e5a5a8e38199e3828b』

 

「…………そうさせて貰おう。此方も逆上(のぼ)せて来たわ」

 

 その言葉で篠ノ之 文との通信が途切れた。

 伽羅さんならば姫舞やケーニヒスベルク達に久里達を使って実験する事を許可するだろう。

 そろそろ本気で人外の部位が生成されても可笑しく無いだろう。人間を辞める日も近いやも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋敷の離れの一角。野暮ったい程に広い間取りの広間の1つを束は自身の研究室として確保した。少々、風通しが良いのが気になるのだが色々な機材を持ち込む為、取り敢えずの機密性を確保する。周りが純和風である中、この場所だけ近未来的な部屋になってしまったが、仕方ないと割り切る。

 その場所にて束は若菜が撃破した『断首魚』の残骸を解体していた。

 

「……うっわ。発想がエッグいね」

 

 腐臭があるのは致し方ないが、それよりも気になる事が多々見受けられる。それは冒涜と見るべきか或いは喧嘩状と受け取るべきか。

 それとも考える事(・・・・)は同じと言うべきか?

 

「それから……」

 

 同時に並列作業でクラス代表対抗トーナメントで黒糖 久里がフォルタの意識体を発現させた際に採取したデータを確認する。

 この絶対天敵は新種……と見做すよりもあり違う存在と捉えた方が良いだろうか。

 言葉にすれば報告にあったOVTSやOTSに近い。その変異レベルは雲泥の差と言えるだろう。

 

「くふふ……コレは面白い発想が浮かびそうだよ」

 

 実際双方のデータには類似性が見られた。

 まだ形にはなっては居ないが理論上では抽出する事が出来ればOTSの機能を活用して現出させる事が可能かも知れない。

 現状、エストレヤを始めとした惑星国家と絶対天敵との戦況は拮抗と言って良い。束との邂逅により撃退から撃破する事は可能となっているが根源の解決には至っていない。使える手段は多ければ多い程、良い。

 

「…………。犬とハサミは使いようと言うよね? そもそもOTSも同じ理屈だ。それに実験台は幾らでもあるしさ?」

 

 丁度、『IS(ちから)』が欲しくて堪らない連中が溢れかえっている。契約同意書を用意して精読させれば責任は『自己』となる。

 強制するつもりは全く無い……ただ、欲望(エゴ)と言う名の餌を見せるだけである。

 

「……取り敢えず今日中に理論を纏めなきゃいけないね。はぁあ、束さん。毎日忙しいよ〜(>ヮ<)」

 

 応用出来れば或いは——。

 

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