束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
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織斑 龍一郎
『篠崎君のアカウント及びトークルームで間違いないかな?』
ヴェルメリオ
『…………。アンタは誰だ?そもそも、どうやって調べた? 然も俺の特務回線まで辿り着くとは、何者だ?』
織斑 龍一郎
『クラス代表対抗トーナメント以来だね。あの時は有望そうな娘達に横槍を入れられてしまったのでね』
ヴェルメリオ
『織斑の親父……か』
織斑 龍一郎
『確かに我々が集まった所で、天稟の領域たる篠ノ之博士の足元に及ばないだろう。しかし、凡人にも凡人なりに一芸の1つ位は備えているさ』
ヴェルメリオ
『……メッセージアプリを介してまでテメェの自分語りに付き合う程、俺は暇じゃねぇよ。束博士? あの人は色々とだらしないし、片付けも出来ないズボラな人だ』
織斑 龍一郎
『そう邪険にしないでくれたまえ。私は、いいや我々は君達に感謝の意を表明したいのだよ』
ヴェルメリオ
『はぁ……?今度はどんな妄言を語るつもりだ?』
織斑 龍一郎
『以前にも語った通り、我々は究極の人類を創造する事を目標に掲げている。……確かに君の指摘通りその『定義』は難しいのだろう。その指摘を受けて我々は協議した。……その結果、1つの結論が導き出された』
ヴェルメリオ
『ほぉ……?』
織斑 龍一郎
『我々は前日に至るまでは理想として掲げていた『究極の人類』とは1つの完成形であると定義していた。しかし……束博士の様に天稟も存在すれば君の様に『壁』を破る者も存在する、と』
ヴェルメリオ
『計画は棄却したのか?』
織斑 龍一郎
『いいや……やり方を変える事にしたのだよ。君自身が語った様に束博士も完璧では無いのだと。そして、人工的に創り出すと言うのは余りにもコストが高い。
これまでも999人程、産み出したのだが……何れも欠陥や問題が生じており、一定の水準に満たない子ばかりであった』
ヴェルメリオ
『…………』
織斑 龍一郎
『無論、 それが出来るのであればそれに越した事が無い。だが、幾千幾万の投資を行って成功例として生み出した息子が齎した結果は君が見た通りだ。
黒糖君だったかね? 彼女は凡人と言っても良く、何処にでも居る悲劇的な境遇の少女に過ぎないと我々は見做していた。
しかし、我々が何万通りの計算と研究を重ねて生み出した『成功例』の1体である不肖の息子を真正面から打ち破った。
いやはや、かの天瓦女史の指導力は舌を巻くしか無い。この時点で世界最強と持て囃されて恥ずかしい不肖の娘よりも有能である事の査証と言える』
ヴェルメリオ
『話が長い。自分語りはいい加減にしろ』
織斑 龍一郎
『これは失礼した。簡潔に言わせて貰おう。創造する事も継続して行う所存ではあるのだが、
ヴェルメリオ
『…………後天的に、か』
織斑 龍一郎
『故に計画を前進させるに辺り、手始めに丁度価値が暴落したIS学園を買収した。件の大多数の襲撃者に学園全体が蹂躙された事を機に出資者である日本政府は見切りを付けたタイミングでだ。相場よりも遥かに安く購入出来た』
ヴェルメリオ
『……買収、ねぇ。果たしてその学園が役に立つのか?』
織斑 龍一郎
『立たせて見せるとも。差し当たり私が新たな理事長と言う事になる事を改めて伝えよう』
ヴェルメリオ
『毎回、不毛な自分語りを聞かせられる身にもなって欲しいものだな』
織斑 龍一郎
『荒唐無稽だと思うかね?』
ヴェルメリオ
『いや? 馬鹿と天才は紙一重だと改めて思わせる真似だと言わせてもらう』
織斑 龍一郎
『褒め言葉として受け取ろう』
ヴェルメリオ
『しかし、究極の人類か。陳腐な響きではあるが、何故それを目指そうとする? 仮に誕生したとしてソレが会話が成立する存在とは限るまい』
織斑 龍一郎
『確かにそうだろう。人類は自分達よりも上位の存在を良しとしない……だが、今の人類はどうだろうか? 女尊男卑に溺れて腐敗が、静かにそして確実にこの地球を蝕んでいる』
ヴェルメリオ
『大層なお題目だな。…………』
織斑 龍一郎
『態々、沈黙を入力するとは君は意外と律儀な性格の様だね』
ヴェルメリオ
『今一度、確認させろ。アンタは新たなIS学園の理事長と言ったな? 買収した、とも』
織斑 龍一郎
『勿論。酔狂でこの様な事は発言しない』
ヴェルメリオ
『究極の人類の定義には興味は無い。そもそも探しても見つかりはしないだろうよ。ある概念を『是』としたとしても必ず何処かで矛盾が生じるだろう』
織斑 龍一郎
『例えば『不死』であるとしよう。死なない点は美徳ではあるが死ねないと言う欠陥でもある、と』
ヴェルメリオ
『……そう言う事だ。そして人間が定義する以上、その理解の尺度を超越する事はできない』
ヴェルメリオ
『おいおい……』
伽羅さん
『へぇ、随分と面白そうな話をしているみたいだね。悪い子だなぁ』
ヴェルメリオ
『秘匿回線に割り込んで来るとは……さてはリリアの差金ですか?』
伽羅さん
『さぁどうだろうね?さてと、初めましてかな?『プロジェクト・モザイカ』の発案者さん?』
織斑 龍一郎
『……そう言う貴方は天瓦女史ですかな? メッセージアプリ上での対面は心苦し限りですね』
伽羅さん
『さて、ログを見返させて貰ったけれど……ちょっと取引しません?』
織斑 龍一郎
『取引、ですか? 実はと言うと私も天瓦女史と一度、お話ししたいと思っていた所です。貴方の指導力を是非とも賜りたいですね』
伽羅さん
『ふふふ。私も貴方方の鮮やかな掌握能力は関心させて頂きました。私達は良き関係を築けそうですね』
織斑 龍一郎
『此方こそ、目指すモノは違うかも知れませんが……お互い良き関係になりたいものですね』
ヴェルメリオ
『ヤベー奴とやべー奴がヤベー会話をしてる……』
伽羅さん
『あ、若菜。此処から先は『大人の会話』よ』
ヴェルメリオ
『は?え? ちょ』