束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
「…………早急に何とかせねば……‼︎」
3月後半。世間一般では春休みに該当するであろう期間、此処出来る……IS学園でも、在校生の者達は春休みを満喫しており、教員達は新入生達を迎え入れる為の準備を進めていた。
だが、そんな矢先に又しても看過出来ない事態にIS学園は直面し、教員の1人である千冬はその件で頭を抱えていた。
『IS学園は此処5年にて
昨日、日本政府よりIS学園の運営の為の助成金を打ち切ると言う通告が来たのだ。
理由は単純明快であり、IS学園は過去5年間の卒業生の就職率、進学率も著しく低い。
その上、今ではIS業界で必須となるISライセンスの取得率は永遠の0の状態……。寧ろIS学園外の者の方が取得率が高いまである。
IS学園は最新鋭のセキリュティ、IS関連の設備を備え、校舎も学食、更には寮棟に至る全てに非常に高額な金が掛かっており、尚且つ莫大な維持費が掛かっている。
それらを学生納付金だけで賄うのは難しい為に、アラスカ条約に則り、学園の運営費用を日本政府が大部分を負担(殆ど国民の血税だが)していた。
それらが打ち切られるとなるとIS学園は今現在の体制を維持する事は極めて困難だ。それこそ解体、廃校も視野に入る事だろう。
『IS学園に存在意義があるの?
IS学園出身者はライセンスも取得出来る実績が見出せない。寧ろ民間人の方が確率が高いまである。その癖に一般企業関連の就職内定率は0に近い。考え得る限り能力があっても使えない人材しか輩出出来ない無駄金喰らい国立学校を維持するよりも、国で養成した方が安上がりじゃない?』
かつて束に言われた言葉が今、正に現実になろうとしていた。
そもそも教育機関と言うのは将来的に活躍出来る人材を育成する為の機関である。1人の生徒を育てる為に必要な金額は個人差は大きくあると思う。
ならば、IS学園の生徒ならば?それこそ、高い場合は億越えになるだろう。だと言うのに、そんな莫大な資金を先行投資したその結果……卒業生はIS学園を卒業したと言うのにISに搭乗するに必要なISライセンスの取得が叶わず、かと言ってIS業界以外の民間企業には見向きもされない。
生産性の向上以前に、何も使えない人材しか生まれて来ない。正に無駄金……しかも、国民の税金を使って出来たのは、ただの無能と言う始末。
人間は社会性動物、成熟した個体は生産性を伴わなければならない。それが出来ない個体は排除されるしかない。
何時の時代も非生産性の存在は疎まれてしまうモノである。
IS学園は今や女尊男卑と言うつまらないプライドと『
事実、IS学園に入学してくる者達は大半が千冬に対して憧れを抱いているか、女尊男卑思想故にそれが当然であるの言う邪な感情を抱いているかの2択だ。
「…………此の儘では、IS学園の存続が危うい以前に一夏の身が……‼︎」
千冬が恐れている事。それは、実弟である一夏の身柄であった。希少と言える男性操縦者の所属先で大いに揉めていた。その為、早急案として何処にも属していないIS学園へ入学させる事で一時は収束した。
だが、それは3年間の時間稼ぎに過ぎずそもそもIS学園の存続が危うくなってきた以上は、その猶予すらも信用ならぬ事態になってきたのだ。
それだけでは無い。
IS学園が解体となれば、当然在校生は他の学校等へ転校、転学となるだろうがご存じIS学園。一般企業からウケが非常に悪いと言う事は当然ながらIS学園以外の教育機関からのウケが悪い事は想像に難くは無いだろう。事実、IS学園から大学への進学が出来た生徒はやはり1割にも満たない事がその証明と言える。
教員達も他人事とは言えない。IS学園教師と言うキャリアが大いに足を引っ張ってくるのだ。IS学園の卒業生の就職率、進学率の低さは当然の如く教育関係者には知られており、この件で失職した以上は『この教員は教育者に向いていない』、『教員として問題があるのでは無いのか?』などと思われ他の学校への採用試験に臨んでも採用を見送られても仕方ないだろう。
特に織斑 千冬の場合はIS業界問わずその名が知られており、ソレ以外の科目には適していない。尚且つそれ以外の業界からも敬遠され、ぶっちゃけIS学園以外だと就職先が無い(挙げ句の果てに一夏から『ちゃんと働いていたの⁉︎』と思われていた程)。その為、千冬にとってもIS学園の存続は正に死活問題だった。
「……政府からの助成金の継続の為にはIS学園として実績を示さなければならない」
助成金の継続の為の条件。
日本政府としてIS学園に求めるのはやはり正式なIS操縦者の輩出である。ISコアや機体が有ってもそれらを扱える人材(ISライセンスを取得した人材)がいなければISの形状したプラモデルでしかない。
IS発祥の国(と政府が勝手に掲げている)としてのプライドから、そのような事態は回避したいのだ。
『次のISライセンス試験の合否発表日までに男性操縦者が入学した年度の卒業生、在校生合わせて15名以上、ISライセンスを新規取得や所持している事が条件です』
15人。
たかが15人。コレが多いか少ないかと言われると千冬にとっては充分、多いと言える。寧ろ多過ぎる。
何せ、ISライセンスの取得為の試験は5桁単位の人数が受験して1人受かるかどうかのレベルだ。それが15人となるとそれこそ、天文学的数字に思えてくるのが恐ろしい限り。
在校生でライセンスを取得しているのが1人だけいるのだが、それでも残りは14人である……。
『出来なかった場合、通告通り政府からの助成金は撤廃となります。IS学園の各種設備の維持費の関係から廃校が余儀無くされるでしょう。
尚、織斑 一夏君に関しては政府の国営研究機関にて保護される事になります』
そして、IS学園が廃校となれば一夏は政府直属のIS研究の機関に預けられる事となる。その先で何があるのかは全く予想はできない。中には過激な人体実験やら解剖やらの話が飛び交っており、女尊男卑と言う風潮柄……あり得ないと言いきれない。
この事実はまだ千冬を始めとしたIS学科の教員にのみ通達されている。IS学園の教育方針が間違っている……と言われればそれまでだが、改善して行かなければ本当に廃校の憂き目に遭うだろう。
「……何とか、打開策を講じなければ」
IS学園が存続する為には実績が必要だ。一般的な学校ならばコンクール等で入賞や部活動の一環での大会での優勝等と言ったモノが実績に含まれるだろう。IS学園にも部活動は存在しているが、IS訓練の方が優先される為にその線での実績に結びつけるのは難しい。
やはり、IS学園らしく『IS』に関連した実績を示すしか無いだろう。
「……ISライセンスを所持している者、か。国内だけで何人居るんだ? 合格者は個人情報保護に則り氏名とかは公表は一切されないからな……」
1番最初に考えたのはISライセンスを取得出来た者をIS学園へ入学や転入させる事だった。そうすれば試験内容が難しい事に変わりは無いがライセンス試験を経ての新規取得による人数のハードルが下がる。
だが、ISのライセンスを持っていると言う事は国際的なトラブルに直面する事と同義。故に合否発表時には人数のみ公表され、合格者には個人電話のみで通達される形式となっている。
本人が公表しない限り、誰がライセンス所持者かは分からないのが実情だ。
「……となれば1番、有力な候補は束の子供達だ。しかし……束からこっ酷く断られたからな」
それでも千冬は半ば確信している事がある。それは束の養子である子供達だ。彼女達は恐らく確実にISを与えられている。当然、ライセンスの所持者と言えるだろう。
だが、束からIS学園への入学を拒絶されてしまっている。
「だが、背に腹はかえられん。此方も切羽詰まっているんだ……何としてでも折れて貰わねば」
千冬はそう心に決めて束宛の番号へと通話を試みるのであった。