束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

22 / 146
この国の人間が望んだ結果だろ

 

 

 

 清水寺を後にした辺りで時刻は昼間の12時頃となった所で外食チェーン店で、昼食を摂る事にした。午後の3時頃に伽羅と合流して帰宅する予定にしていた。

 

「やっぱり、客足は少なさそうね」

 

 イタリア料理のお店であり、藍里はカルボナーラ、若菜は海老グラタンを其々、食べていた。

 昼間の時間帯だと言うのに客足は疎らとなっており、閑散としている。思えば、街中を歩いてもすれ違う人も然程多くは無いと言うのは観光名所の京都では異様な光景に見えた。

 

「観光業、飲食業も甚大な被害ってか……。どれだけ自滅したいのやら」

 

 更に極め付けには価格転嫁により値段が高騰している事だ。人手不足、少子化の邁進、給料格差の拡大、更には女尊男卑推進党が推し進めたつまらない増税により利益を出す為に物価高騰の煽りを受けているのだ。

 故に飲食店も経営難に陥っているケースが多くなり、潰れる店も増えている。

 

「……若菜君?」

 

 その時、若菜は咄嗟に身を屈めた。店内の窓ガラスの外を見れば多数の女性が徒党を組んで練り歩いている様子が見えたからだ。言うまでも無く彼女らは女性権利団体と呼ばれるこの星の病魔たる癌細胞である。

 相変わらずISライセンスの試験内容の改善を目的にデモ活動を行っているようである。本当に飽きないな、あの手の連中は。

 

「全く……オチオチ外も歩けないな」

 

「若菜君、今のは?」

 

「女性権利団体とか言うこの星を腐らせる癌細胞だよ。自分達の行動がどんな影響を及ぼしているのか理解出来ていないんだよ」

 

 女性権利団体は自分達さえ良ければ良いと考えている。それ以外……特に格下と見做す存在は排斥して然るべきと宣う。

 

「……其処まで酷いの?」

 

「無政府化、或いは……国家分裂まで秒読みかも知れないな」

 

 それが女尊男卑が起因する内容であるのならば非常に笑えない話だ。現にその動きが見られるとフィーリリアが言っていた。

 

「……反対意見が消滅するまでの殲滅作戦。に発展しかねないわね」

 

 惑星1つが国家となるには反対意見を殲滅するしか無いのだ。若菜が知る惑星国家は何れもそのような形で統一された。

 

「地球じゃ現実的な話じゃないな。その話はもう良いや。関わるだけ時間の無駄だ」

 

「ええ……。伽羅先生からも聞いたけど、話が通じる相手じゃなさそうね」

 

 折角のデートだと言うのに、存在するだけで周りに不快感を与えてくる女性権利団体は普通に考えて迷惑な存在としか言いようがない。

 ふと、視線を店内の方へと向けた。相変わらず伽藍堂とした店内であったが、自分達以外の席の1つに1人の女性が座っており、溜息を吐いていた。

 

「はぁ……どうすれば良いのよ、全く。……もう結婚を考える余裕なんて無くなったのかしら。そうよね……男性の人も、冷め切っているでしょうし……少子化対策とか言っているけど、効果は無いでしょうに」

 

 20代半ば、外回りの為かレディーススーツをその身に纏っている。だが、暗雲とした溜息を吐いている。顔を上げたその女性が丁度、若菜と藍里の姿が目に映った。

 

「あ、貴方達‼︎」

 

「……あ?」

 

 今更ではあるのだが、今やこの国の常識では『女性=女尊男卑』と言う割と洒落にならない先入観認知が広まっている。若菜もまた地球上で身内以外に対してはぞんざいな態度にもなる。寧ろ、全員が敵だと考えて構わない程だ。

 

 男性が昼間に出るのは夜間に外を出歩くより危険だと言う認知も広がっており、人心荒廃の一環と化し深夜徘徊の増加という社会問題に発展している。

 この認知は当然ながら女尊男卑ではない女性に対しても容赦無く牙を剥いている。人間関係構築の妨げになっているのだが改善の余地は無い。

 

「バイトしない⁉︎」

 

「はぁ?」

 

 若菜の態度に目もくれず、その女性はそんな事を宣った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳で結婚式の宣伝写真のモデルになって欲しいのよ」

 

「はぁ……」

 

 その女性は所謂、ブライダルコンサルタントと言う職種であった。

 

「その……昨今は女尊男卑だし、若い男性の人も凄く少なくなっている上に、男女のカップルも殆ど絶滅危惧種レベルにまで少なくなってるの……」

 

「そりゃ女尊男卑で、何時、人生破滅コースになるか分かったもんじゃない。だったら、傷付いて破滅するくらいならば初めから孤独で過ごした方が気楽だろうよ。仮に結婚しても苦痛しか見えないのならば尚更だ」

 

「それ言っちゃお終いじゃない……」

 

 女性の嘆きの言葉に対して若菜はバッサリと切って捨てた。所謂、恋愛恐怖症が男性を中心に急速に拡散、広まっているからだ。

 日本政府が幾ら少子化対策だの呼び掛けだの機会を設けるだの何だの叫ぼうが、そもそも政府其の物に対して信用が無いので、誰も聞きやしないのが現実。この国の若者は未来を見る事を諦めかけている。

 

「でも君達は一緒に食事していたじゃない⁉︎ 今ではもはや、中々お目にかかれない『デート』って奴じゃないの⁉︎」

 

 その言葉自体、死後になりつつあるのが恐ろしい限りだ。何れは結婚と言う単語自体、失われるのかも知れない。知った事では無いのだが。

 

「まぁ……デートみたいなモンだけどな。そもそも写真を新調した所で、客足が伸びるとは思えないが?」

 

 そもそも物価高で、結婚式に掛ける資金が勿体無い筈だ。それ以前に、男女が共同で仕事や行動する事自体、今や避けるべき危険行為と化している。自殺祈願や希死念慮と言った無敵ならば躊躇わないだろうか。

 

「でも、行動を起こせば何かが変わるかも知れないじゃない‼︎」

 

 若菜の素っ気ない態度に意に貸さず女性は意気込む。今回の件は若菜にとっては余り興味は無かったのだが藍里が乗り気になってしまった(地球の常識とエストレヤの常識の差異が生んだ喜劇)ので、本人が望んだ為に付き合う事にした。まぁ……コレも経験として納得しよう。

 

『ククッ、馬子にも衣装だな。返り血を使えば様になるな』

 

 ガイア、脳内から茶化さないでくれないか?

 

「……それで? どうすれば良いんだ?」

 

「取り敢えず色々なパターンを撮りたいから、此方の指示に従ってポーズを取ってくれれば良いわ。単純に棒立ちって言うのはインパクトに欠けるから」

 

 どうやら、単純に写真を撮るだけでは終わらなさそうだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。