束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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馬子にも衣装だな、我が息子

 

 

 

「早速、始めましょうか。ほら、礼服のサイズを測るから袖を通して頂戴な」

 

「……其処まで本格的にするものなのか?」

 

「何を言っているの?やるからには本気で取り組むわ。だらしない格好の写真じゃ示しがつかないわ。それでフロックかモーニング、何方にする?あ、タキシードやテールの方も撮るからそのつもりでいて頂戴な」

 

『我が息子よ、エストレヤに移住したら生真面目王女や暴走皇女、ヤンチャな姫巫女とか暴走姫やら後は何処ぞの魔境王国の女王陛下に謁見する羽目になるであろうから試着がてら1番格式高い奴にしておけ。

 昼間ならモーニングコート、夜間ならテールコートが最も格式が高い。あの王族、皇族連中相手にプロトコル失敗ると後で地獄を見るぞ』

 

 ガイアからそうアドバイスを言われる。何故、そんな連中の相手をしなければならないのが確定しているのか理解はしたくは無かった。

 

「モーニングコートとテールコートで頼む」

 

「へぇ……君、意外とそう言う所に顔を出す系?」

 

 スタッフの軽口を聞き流しながら支度を済ませる。男性の支度は簡単である。女性の方が何かと大変と言うのは日頃から痛感していた。

 藍里の支度が終わったと言う事で撮影する為のフロアへと呼び出されたのはアレから1時間後であった。

 

 写真撮影をする為の場所はチャペルを思わせる内装の大広間であった。その広間にて複数人のスタッフが機材を持ち込み写真撮影の準備を整えていた。

 

「若菜君、どうかな? 似合ってる……?」

 

「お、おう……」

 

 壇上の上、その場所に藍里は立っていた。純白のフィッシュテールスカート状のウェディングドレスをその身に包んでおり、本人も気恥ずかしさからか、はにかんでいるのが分かる。

 

「コラ、折角のドレス姿なんだからちゃんと褒めなさい。失礼でしょ?」

 

「若菜君も似合ってるわよ。普段は黒系の服が多いけど、白系のスーツ姿は中々、新鮮ね。あ、後で写真1枚貰えないかしら?」

 

 若菜も礼服と言う事でモーニングコート姿だ。それに合わせて髪もオールバックにしている。

 

『ククッ、やっぱり馬子にも衣装って奴だな、我が息子よ』

 

 大きなお世話だ。つーか、こう言う服は俺には余り似合わない気がするんだがなぁ。

 

「さて、新郎新婦役が揃った所で、写真撮影を始めましょう。皆、此処が分水嶺の正念場‼︎ この仕事の出来の仕方で私達の未来は決まると言って良いわ‼︎ 気合いを入れなさい‼︎」

 

 

 

 

「はい、次のポーズを行って見ましょうか」

 

 スタッフの指示でアレコレとポーズを変えながら写真撮影を進めて行く。今は夜間用と言う事でテールコート姿で撮影に臨んでいる所である。

 

「じゃあ、次はお姫様抱っこをして階段から降りるシーンを撮りましょう」

 

 段々、最初の思惑とは全く異なる内容にズレて行っている気がしなくも無いが、取り敢えず合わせておく。

 

「若菜君、重くないかな……?」

 

「問題ない」

 

 言われるままに藍里を抱き上げて金色の鐘をバックに階段を一歩ずつ降りる。

 

「彼氏君、仏頂面は映えないから少し笑って‼︎」

 

 が、仏頂面であった事に注意された。因みにコレで22回目である。

 

『……表情筋が死んでるのは何とも言えないな。1回、抱いた方が良いかも知れないな。或いはエロ本でも読ませるか』

 

 ガイア、人の頭の中で如何わしい記憶を植え付けないでくれ。真面目に頼むから……つか、存在しない記憶を植え付けるな⁉︎ 何処から持って来たその情報は⁉︎

 

 そのタイミングでシャッターが切られる。

 

「うん、良いわね。その動揺した表情は初々しく思えてグッと来るわね」

 

 ガイアが余計な事を言った所為で動揺してしまっていたらしい。そのタイミングで写真を撮られたが、案外ソレが良かったらしい。

 一応、写真を撮った為に藍里を降ろす。

 

「それじゃあ、次の衣装に着替えて頂戴‼︎」

 

「まだ撮る気なのか?」

 

「大丈夫、次で最後だから。場所を変えるわよ」

 

 

 撮影場所が変更となった。

 

『ククッ、やはりお前は和装が様になるな』

 

 チャペルとは打って変わり鳥居が設けられた温室へと場所を移した。宛ら神社の境内を思わせる模造の和婚式場と言えるだろう。

 

「……ま、さっきの堅苦しく窮屈な格好よりかはマシだな」

 

 それに倣い若菜は黒五つ紋付き羽織袴をその身に包んでいた。やはり此方の方が気楽で良い。

 

「若菜君。この衣装は如何かしら⁉︎」

 

 暫く待っていると着替え終えた藍里が会場に入って来た。白衣に緋袴……あれ?流れ的に白無垢じゃないのか?

 

「……白無垢じゃないのか?」

 

「折角だから、気になっていた衣装を手に取って見たの。スタッフの人達も違う展開も悪くないってね」

 

『本人が納得しているのだから、別に良いんじゃ無いのか?』

 

「……まぁ、動き易さ的には悪くは無いかもな」

 

「若菜君は、本当に機動力全振りね〜。セッカチとも言えるのかしら?」

 

「さてと、撮影準備に入るわよ‼︎ 本当は白無垢が良かったけれど、時代の流れとも言うし当人の希望に添えて行うのが我らが使命‼︎ と言う訳で新たな門出の一石へと投ずるわよ」

 

 少々風変わりだが和婚の写真撮影が始まる。

 

「そうね。2人とも武器を手に取った状態で撮影しましょうか」

 

「……どんどん趣旨から離れていないか?」

 

 それを結婚式の情景と言えるのだろうか、甚だ疑問に思えて来た。何処の戦闘民族の結婚式だ。

 

「良いのよ。棒立ち写真なんて骨董品も良い所‼︎ 時には躍動感ある内容を宣伝して行かなきゃ、顧客は増えないわ‼︎ そうね、戦場に舞う夫妻と言うイメージで、撮りましょう」

 

『……数打ちゃ当たるとか考えてんのかね。人類とは本当に時々、訳の分からない行動を起こすよな』

 

 スタッフから模造の武器を渡された。

 刃挽きされた日本刀と薙刀だった。見た目は兎も角、握った限りその強度はお世辞にも良いとは言えないだろう。最も、模造品である為に其処まで強度は求められていないが故か。

 

「藍里、長柄の使い方とか分かるよな?」

 

「薙刀と言うのは初めてだけど、問題は無いわ。そう言う若菜君は?」

 

 藍里は薙刀の柄を掴んで振るい刃風を鳴らしながらそう訊ねて来た。

 

「脇差、太刀、大太刀の扱いは慣れている。何、俺にとっちゃ問題は無いさ」

 

 鞘から抜き、一頻り3度振るった後に再び納刀する。模造品故に構成物質の都合上による軽さが気になるが、まぁ問題は無いだろう。

 

「え、えーと、君達……何を言っているのかしら?」

 

 2人の会話について行けないスタッフは疑問符が隠せない。何、その理由は直ぐに分かる。

 

「躍動感が欲しいんだろ? 誰も注文しても居ないのにお誂え向きのエキストラが直ぐに来るからさ」

 

「そう言う訳だから、貴方達は少し離れていた方が良いと思うわ。カメラの位置も少し離れていた方が良いわね。私は兎も角、若菜君は周りを巻き込み易いから」

 

 藍里は片目を閉じてそう忠告した。って、好きで色々、巻き込んで破壊している訳じゃないんだが……。

 

「え?エキストラ?巻き込まれ易い?え、え?如何言う事?」

 

 スタッフ一同が困惑する中、後方の入り口。乱暴な音を立てながら扉を開いて撮影会場に招かれざる集団が土足で乱入して来た。少なくとも30人以上は居るだろうか。

 その何もが飽くなき傲慢さを顔に貼り付けた女性権利団体と呼ばれる癌細胞である。

 

「……何とも穢らわしい場所だわ‼︎ 男が、視界に入る場所に男が居るだなんて‼︎」

 

 先頭に立っている毳毳しい化粧をした女が開口一番にそう騒ぎ立てる。

 

「この美しい京都にまだ男が生息していただなんて、信じられないわ……‼︎」

 

「然も、結婚式だなんて……万死に値するわ‼︎

 其処の醜い男もそうだけど、この結婚式場をセッティングした者達も女尊男卑として相応しく無い‼︎ そんな女共は女尊男卑至上主義のこの世界には必要ないわ‼︎」

 

「穢らわしい男と契りを結ぼうだなんて……恥を知りなさい‼︎ 男なんて女性にのみ許された神器、ISの聖なる光によって浄化されるのが世の常識よ‼︎」

 

 コイツラナニイッテンノ? 誰でも良いから通訳してくれ。

 

『おい、若菜。あの薄汚い雌豚共を屠殺してしまえ。ボクの娘達のハイパーセンサーにあんな粗大ゴミ共を映したくないぞ』

 

 原初たるISであるガイアからそんな事を言われた。もう完全に見限られてんじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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