束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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だから『インフィニット・ストラトス』と名を与えた

 

 

 

「…………」

 

 翌日。朝方、8組の教室。

 他のクラスでは従来通り授業等が行われる平日。だが、8組では少々、状況が異なる分かれ目となる日とも言えた。

 

 初日では伽羅から申告があった通り『8組は他のクラスと授業の進め方が異なる』旨は言われていた。事実、オリエンテーションでは想像の埒外の展開に放り込まれていた。ソレらの事実から、伽羅は本気だと言う事を自覚したであろう。

 その事実を踏まえた上で篠崎 若菜から8組の面々に対して話があると、オリエンテーション時に一時的、纏め役となった久里を介して通達した。

 

「何人、自主退学するかな?」

 

「……オリエンテーションで命の危険があったのです。己を顧みて引き退るのも勇気です」

 

 初日でいきなり『無理だと判断したら自主退学を推奨』と言い放たれた。当初はタカを括るが、そんな冗談を粉砕して来た。昨日の内に自主退学を決断してIS学園を去った者も現れても可笑しくは無かろう。

 

「……いずれにせよ本人の判断を尊重しよう。自分の人生だ、自分で決めるべきであり他人がどうこう指図するのもお門違いと言えるさ」

 

 教卓の上に腰掛けた若菜は、いずれにせよ当人の判断、決断を尊重をする姿勢だ。本人が最善と判断したのならばそれで良いと考える。正解なんてモノは外部から探しても見つかりはしないのだと、考えていたからだ。

 

 時刻は午前8時20分。

 本来であればこの時、朝のホームルームが始まる頃だ。だが、8組は伽羅の判断で今日も自由時間の期間中だ。1日の行動は各人に委ねられている。登校するかしないかも自由、自習するか、遊びに耽るかも自由である。

 

「……あ、私が1番最初みたいですね」

 

 暫くすると、教室の扉を開き1番最初に8組の教室に登校して来た生徒と目が合った。

 

「順番に意味は無いさ、金子。他の面々が集まるまで待ってやくれないか?」

 

 最初に現れたのはオリエンテーションの時、行動を共にし『覚悟』を抱いた金子 燐芽であった。その言い草から久里から話は聞いているであろう。その後にも8組の生徒達が次々と登校して来た。その中には当然、久里の姿もあった。

 

「コレで、全員でしょうか……?」

 

 8時半頃。入室者の流れは止まった。教室内を見渡せば幾つか空席があるのが見えた。

 

「3人、少ないみたいですね。遅刻でしょうか?」

 

「……いえ、今此処に居ない3人は昨日、天瓦先生に退学届を提出し、学園を去りました。……オリエンテーションの環境で無理だと悟ったんでしょうな」

 

 その答えを久里が答えてくれた。3人、自主的に学園を去った。残るは24人。この面々がIS学園に残る事を決めたのだろう。

 

「そうか。当人達が決めた以上はとやかく言うのは無粋だな。さてと、初日は俺もバタバタしていた上にオリエンテーションの時も満足に話をした事が無かったから改めて、自己紹介だ。

 もう、シノアやフィウ。後、金子や黒糖から聞いているやも知れんが、俺は篠崎 若菜。篠崎でも若菜でも何方でも構わない」

 

 前置きは必要ない。雑談など後から幾らでも出て来るし、今は核心しか必要無い。

 

「自由時間だと言うのに朝早くから集まって貰ったからな……早速本題に移らせて貰おう」

 

『ボクの予想だと、8組の生徒達は入学時に抽選で選ばれた上で配属……と公表(・・)されていた。だが、実際は意図的に取捨選択されていた可能性が高い。

 8組全員が女尊男卑思想(バカ)女性権利団体(はいきぶつ)の子供だと、オリエンテーションの時で壊滅するのは言うまでも無かった筈だし、協力(・・)なんて芸当は視野に入らない』

 

 ガイアが脳内で考察を述べてくれる。かく言う若菜も8組の構成を見て、ランダム性と言うには偏り(・・)が生じていると感じていた。

 なれば此処で、その証明を見出そう。

 

「では、君達に問おう。

 インフィニット・ストラトス(・・・・・・・・・・・・・)。母上……篠ノ之 束博士は一体、どう言う目的でソレを開発したのか? 憶測でも当てずっぽうでも間違っていても何となく感じた印象でも何でも構わない。君達自身の識る解答を見せて欲しい」

 

 若菜が出した問い。

 それは単純にして明快な質問。それは篠ノ之 束が造り上げたインフィニット・ストラトス。その本来の目的かつ本質の世界が何であるか、だ。

 

「えっと……インフィニット・ストラトスのISバトルの競技の為の備品、でしょうか?」

 

「他にも国家代表や代表候補生と言った職種……?」

 

「えっと、分かりません……」

 

「IS操縦者は給料が良いと聞いた事がありますね……」

 

「ライセンスが無ければ意味はありません……でしたね」

 

 色々な意見が飛んで来た。うん、良かった。此処で『女尊男卑の象徴』だの『アクセサリー』だの、『ファッション』だの、単語が飛び出していたら、この場で全員屠殺していたわ。……シノアが。

 

「成程。つまり、君達は本来の目的を良く知らない、と受け取っても構わないだろうか?」

 

「ええ……正直な話。私もIS操縦者=IS競技の選手=代表候補生とか、別パターンで機体のテストパイロット絡み位しか分からないんですよね。後、給料が良い……とか」

 

 生徒達は顔を見合わせる。バラバラであったが、最終的に無言で前を向いてくれた。

 その後に、皆の総意として久里がそう答えた。参考書の時点で察してはいたが改めて当事者達の声を聞くと酷い……。

 このザマで未だに束博士に対して『ISコア量産再開の検討を』とかの打診を試みていると聞けばもはや、笑い話以前の問題だ。

 

 この無様さにコア達もウンザリしているのも頷ける。……地球人に対して叛逆を検討している過激な思考のコアも居るくらいだ。

 と言うか何かの拍子で人類滅亡を実行に移しても不思議に思わない。

 

「……そ、その口振りからすると、篠崎さんは知っているんですか?」

 

 動揺が収まらない生徒がそう質問を投げて来た。何かを怖れているかのような声音だ。

 

「勿論。義理でも仮にも篠ノ之 束の倅だからな。あの世界最強の座に踏ん反り返っている織斑……誰だっけ?」

 

「……織斑 千冬だよ、若菜君。興味が無い事に対しては本当に無知だよね」

 

「その織斑何とかよりもその真奥を知っている」

 

 シノアから名前を教えて貰っても訂正する気は無かったようだ。と言うかぶっちゃけどうでも良い存在だ。世界最強?勝手に名乗ってろ、ちっぽけな地球(ほし)で最強を名乗りたければ名乗れば良い。別に貴方がどんな称号を掲げようと興味が無いから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「インフィニット・ストラトス。

 その本来の目的は篠ノ之 束の夢。『無限の成層圏』……即ち、宇宙への進出を託す為の『』だ。宇宙空間での活動を主目的とした存在。その用途の都合上、大気圏や水中や宇宙空間でも活動可能な機能を搭載している。

 つまり、地球の地上だけで国家の防衛力の要だのくだらない自尊心を満たすだのアクセサリーだのファッションだの、女尊男卑の象徴だの女性権利団体(カスども)の玩具でも何でも無いんだよ。名前負けも良い所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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