束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
若菜達は8組の教室を後にして部活棟の『裁縫部』の部室にて、自分達の制服の製作の続きをしていた。その最中、脳内ではガイアが話掛けてくる。
『さてと、昨日は話の途中で途切れてしまったな』
決闘騒ぎとか何ちゃらだったな。
『ボクが説明するよりも本コアの意識に説明して貰う方が早いな』
はい……?
ガイアがそう言うや否や、脳内にまた別の意識が浮上して来た。
『ごきげんよう、お兄様。今現在、私はブルー・ティアーズの機体装甲を纏っています』
『ふふん♪驚きたまえよ、キミの脳をちょっと弄ってみてISコア・ネットワークの応用で他のコア意識を招待出来るようにしてみたぞ♪』
呆れている。
と言うか人体実験マニアはケーニヒスベルクや夕張、
『ふむふむ、成程。お兄様はこう言う事にご興味が……後、この銘柄の紅茶にはフィッシュ&チップスが似合いますよ♪』
後、人の脳内を勝手に物色するの止めて貰ってくれやしませんかね⁉︎ 気分的には自分の部屋に女友達が来て知らぬ間に本棚を漁られて仕舞われている本を乱読されている気分だ‼︎ 後、そのアドバイスは採用させて頂く‼︎
脳内に進入されている為、情報は筒抜けも良い所でありプライバシーもクソもあったモノでは無いだろう。
『……他にも彼女の制服のデザイン案のこのスカートの裾のデザインは少し抑えた方が瀟洒感を演出出来ますよ。洗濯の時に痛めかねませんからね』
アドバイス有り難う‼︎ と言うか早く本題に入ってくれ‼︎ どんどん秘密を漁られている気分で居心地が悪い‼︎
『だ、そうだ。余り目移りしては若菜の薬物依存が加速してしまうからな』
『……お兄様の場合、既に手遅れな気がしますね。こほん……。ではお母様とお兄様にお話しましょう』
ブルー・ティアーズのコアの話を聞くと事の発端は『クラス代表』を決める時だそうである。
クラス代表とは、各クラスの代表者と言う位置付けの生徒を指しており、各種イベント毎に代表参加者として参加する者との事。
イベントと言えば大体がISに搭乗しての模擬戦によるトーナメントとの事。他にも各種会議への出席が求められる立場らしい。うん、早い話が面倒臭い役職だろう。
『其処で2人の候補者が対立しました。1人は男性操縦者と目される織斑 一夏。
そしてもう1人は私のコアが搭載された『ブルー・ティアーズ』の暫定搭乗者であるイングランド暫定代表候補生セシリア・オルコット』
同姓同名の奴は何処の世界にも存在している。とまぁ、翼が生えているか生えてない、ミドルネームの有無、他にも人種と言った違いがある為、余り気にはならない……と言うかこの前のライセンス試験で落とした気がするわ。纏めていた履歴書の1番上にあったし。
因みにISライセンス試験は日本国内でしか行っていない。政府其の物が不正する可能性が高いと言う理由からだ。その為、外国籍の人間は試験の為だけに来日する事になる。……最もその殆どが不合格となり重い足取りで帰国となるが。
『IS学園は特例措置としてライセンスが無くても敷地内であれば我が母に申請を通して許可を得られれば外部から持ち込んだISにも搭乗可能だからな。
機体は開発した、IS適性の人間も確保した。しかし、ライセンスが取得出来なければ搭乗出来ない。その為、各国政府は莫大な予算を組んでシミュレーター装置を開発して擬似的な訓練を施すしか無い』
最もシミュレーションで幾ら訓練しようと現実でその通りに動けるとは限らないが。
日本ではIS学園に来る者は未来がほぼ無いが留学して来る者は殆どが暫定代表候補生と言う役職兼機体性能のテストパイロットの側面があり、境遇が大きく異なる。
ライセンスが取れなければ代表候補生レベルの人間であっても操縦者の資格は無いに等しいがIS学園内であれば、機体の実践データは収集可能だった。何時、取得出来る者が現れるか分からない以上、データ位は取りたいと言う思惑があるのだろう。……最も3年の内にライセンスが取れなければ代表候補生の立場がどうなるかは知った事では無いが。
『事の発端はクラス代表を決める際に担任の教員が生徒達に判断を委ねた結果、面白半分で男性操縦者に票を投げる者が現れ、その事実に反発したのが暫定代表候補生のセシリア・オルコットです』
その後はお互いがお互いの国家を侮辱し合う餓鬼の喧嘩同然の諍いに発展。終局的に、担任教師が『ならばIS同士の決闘で決着を着けろ』と言う判断でその喧嘩はその場で終わらせたと言う。
『とまぁ、そんな経緯だそうだ』
何と言うか……どっちも馬鹿じゃねぇの? だと言うのが若菜の意見であった。そもそも代表候補生がどんな立場なのかは知った事では無いが……影響力と言う意味では言動には気をつけた方が良いのでは無いのかとも思う。
『正直に申し上げますと、私と共に飛ぶには相応しくありません。あの様では……光の海へ漕ぎ出すのは難しいでしょう……』
『その結果、学園内ではその話題で持ち切りになっているみたいだな。……他にやる事あるだろ、と言いたいのに浮き足たった連中ばかりで呆れて何も言えんな』
『全くですね……。私もお噂に聞く『キヴォトス』へ至りたいものです』
取り敢えず経緯は聞いた。別に俺達や8組が関与する事じゃ無いだろう?
『まぁ、そうだな。ただ……な。我が息子、キミはアレだ。どうしようもない程に良く巻き込まれる性質だ。キミは興味がない事にはトコトン無関心だからな。こう言う事にも一応、耳に入れておいた方が良い』
距離を取れば問題は無い筈……と思いたい。
『……。煩わしいですね、どうやらセシリア・オルコットが機体を展開しそうになっています。不躾で申し訳ありませんが、私はコレにて退脳させて頂きますね、お兄様』
そう言い残してブルー・ティアーズのコア意識が若菜の脳内から消え去った。
「若菜君。どうしたの?」
「いや、何でも無い」
クラス代表。そう言えば8組の場合はどうなるのだろうか? そんな疑問が浮かぶすぐにその概念は無意味と化すと判断した。何故ならば、殆ど意味を為さない。
IS学園にはクラス対抗のイベントがあるみたいだが……束博士がIS学園の授業関連は無意味だと扱き下ろしている以上、何らかの形で妨害或いは除外の措置を仕組んで来そうだ。……伽羅が先手を打ってくるかも知れないが。
「……良し。完成、だな」
脳内でガイア達と話している間にも裁縫は続けていた。そして、遂に制服の製作が完了した。手縫いの箇所はシノアとフィウに任せていたがミシンの箇所は若菜が行っていた。
「あ、完成したんですねっ」
「流石に色々と細々とした注文が重なっていたからな……。藍里の考えるデザイン以上に手間取ってしまった」
若菜は赫いフード付きの黒系統の上着、シノアはクラシカル調のナース、フィウはサスペンダーが特徴的で機動性と女の子らしさを両立させた上着。と言った具合でありシノアが1番、重装備かつ目立つ意匠の服に仕上がった。
「……弾薬ポケットやら裏ポケット、他にも注射器や鋏のホルスターとか構想を入れていましたからね」
「抜糸の確認をしてから、着替えるとしようか。やっぱり、白系の服はワイシャツとかだけで充分だな……」