束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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それでは改めて学園生活を始めましょう

 

 

 土日の休日を挟んで翌週の月曜日。

 オリエンテーションが想定よりも早く終わった為に特別に自由時間となった日が終了して土日を挟んだ今日から、通常通りの授業が8組でも再開される日でもあった。

 

「……さてと、今日から授業を再開する事になるのだけど」

 

 教壇の上で伽羅は教室内を見渡す。若菜の『8組の在り方』や『本来のIS』、そして『束から望まれている操縦者』の説明を受けて尚も、過酷な道を進む事を決めた候補者達の目を見る。

 

「もう若菜が大体の説明をしてくれたから、今更説明はしないよ。当然ながら、私はそのつもりで貴方達を養成するつもりだから」

 

 IS学園8組。

 それは篠ノ之 束が想定しているISの本来の運用方法として共に宇宙へと飛び立つ者達を養成する為の学級である。

 宇宙空間では何が起こるか分からない……当然ながら死の危険に満ち溢れた世界が広がっており、場合によっては敵対勢力と殺し合わなければならない。故に面白半分の人間から死に絶えるのは自明の理の教室である。

 

「「「…………」」」

 

「……オリエンテーションの時は若菜が機転を活かして全員生還したけれど、()からはそうは行かせないわ。そのつもりでいなさいな。……若菜、邪魔する事は認めないわ」

 

「……まぁ、でしょうね」

 

 伽羅に視線を向けられた若菜はそう答えた。その服装は昨日とは大きく異なっていた。昨日、自らの手で仕立てた裏地が赤色のフードが付いた黒い上着を前を留めずに羽織っていた。

 IS学園の制服は白系統である為に、反対色の黒色の服は否応無しに目立つが、そもそも女子率99%のIS学園だと目立ってしょうがないので今更である。

 と言うか近くの席のシノアは若菜以上に目立つ服装だった。ナース服とエプロンドレスを足して2で割った様な重厚な服で、従来のIS学園の制服とは構造的に大きく逸脱している。

 そしてフィウの場合は色合いこそ白系統だが吊りスカートに紐タイ、その下にはワンピースと幼い顔立ちながら豊満な胸元を強調しておりコレまた目立つ。

 

 次回以降は若菜達の援護は受けられない。つまり、自分達で自発的に行動して挑まなくてはならない事を意味している。それが例え命懸けの授業だとしても。

 

「その代わり他のクラスみたいなお飯事みたいな授業にはしない事を約束するわ。私も本気でやるから、貴方達も本気で望みな。じゃないと……醜い肉塊になるんだから」

 

 8組。総勢26名。

 若菜の説明の後、1人が苦悩の末に自主退学を選択した。その道に幸があるかどうかは分からないが当人の選択を伽羅は尊重し学園から外へと送り出した。

 

「……さてと、つまらない説明会(ガイダンス)はお終い。

 改めてようこそ、IS学園1年8組へ。貴方達が地上を這い蹲る翅になるか……それとも成層圏を越えて宇宙を飛翔する翼になるか、それは貴方達次第よ」

 

 伽羅はそう宣言し締め括った。此処に残った者達は『そのつもり』で臨むと見做した。故に回りくどい確認や説明は必要無くなった。

 此処から先は戯びは無いのである。

 

「……今日の予定だけど、何人かは見聞きしているかも知れないけれど、午前中に1年1組でクラス代表を決める決闘が行われるわ。

 クラス代表を決める際に揉めた結果、IS同士の戦闘行為で決着を付ける事になったそうだわ」

 

「先生。8組は誰になるんですか?」

 

 燐芽が伽羅に対してそう質問を投げる。8組では初日からドタバタ、オリエンテーション、更には自由時間とバラバラな行動が多かった故にその話は1回も出て来なかった。

 

「そうね。オリエンテーションの結果から……黒糖さんに委ねるわ」

 

「……私、ですか?」

 

 名を挙げられた久里は訝しみながらそう反応を返した。

 

「うん。若菜はそもそも向いていないわ。少人数での現場指示は大丈夫だけど、この手の纏める役には問題が出て来るから」

 

『キミの場合は、戦場に殴り込んで引っ掻き回すタイプだしな』

 

 伽羅とガイアからのダブルでのダメ出し。と言うか其処で俺の名前を出すのは、当て付けか、オリエンテーションの時の意趣返しか何かですか?

 

 ともあれ、8組のクラス代表は久里に決まった。恐らく便宜上と言う形式になりそうではあるのだが……。

 

「話が少し逸れたわね。そう言う訳だから今日は1組のクラス代表の戦闘行為を見物に行く事にするわ。痛みなき教育は無意味と言うけれど……見るのも勉学の内……って、若菜、何その目は?」

 

 このやり取りも何回目か。

 

「いや、伽羅さんにしては随分と優しいな……と思いまして」

 

「酷いなぁ……キミのお師匠さんと一緒にしないで欲しいなぁ。一応、コレでも束博士との契約に準拠しているんだよ〜?」

 

「其処は理解はしていますよ。……一応は」

 

 と言う訳で、8組の面々も1組のクラス代表を決める為の模擬戦が行われる第2アリーナへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 第2アリーナ。東側ピット。

 

「なぁ……箒さんや」

 

「何だ?」

 

 その場所ではクラス代表を決める際に白羽の矢を立てられた織斑 一夏が困り顔で、本来ならば関係者以外立ち入り禁止で、部外者である筈の篠ノ之 箒に対してある質問を投げていた。

 

「俺はさ……。ISの事を教えてくれって、頼んだよな?」

 

 織斑 一夏。

 織斑 千冬の実弟であるが、ISに関連する事は千冬の方針で全く知らなかった。故に男性操縦者として発覚した時点ではズブの素人を通り越して無知に等しい状態でIS学園の生活をスタートせざるを得なかった。

 

 その為、一般科目は(IS学園はエリート校と主張)危ういが兎も角、IS学科に関しては大至急とも言える程に知識が不足していた。かと言って女子校同然のIS学園で頼れる者は乏しく、辛うじて見つかった幼馴染の篠ノ之 箒にIS関連について頼ったのだが——。

 

「……此処、数日間。剣道場でお前にシバき倒されていた記憶しか無いんだけど」

 

「し、仕方なかろう‼︎ お前が想像以上に弱くなっていたのが許せなかったのだ‼︎」

 

 かく言う箒もIS関連に関しては篠ノ之 束と言うギクシャク関係の姉と言う存在と、重要人物保護法とか言う当事者の精神性無視した法律により全国彼方此方に飛ばされるわ、IS関連の情報を政府からの聴取と言う名の精神的拷問により、かなり忌避していた為にその知識量は一夏とどっこいどっこいレベルであった。

 

 その為、幼少期から続けていた剣道にのめり込み(しかも全国大会では実姉及び甥や姪にその光景をバッチリ見られていた!)、それ以外に意識を割ける精神的状態では無かった事が要因となり、此処数日間はかく言う一夏に会えた喜びと当人の腕が鈍っていた事による弱体化の嘆き、更には自身を叔母と呼ぶ甥っ子と姪っ子の登場により更に精神面は不安定化し剣道場でその鬱憤を打つける事で時間の消費する結果となった。

 

「……マジでぶっつけ本番でやるしか無いのか」

 

 流石の一夏も、この状況に関しては不安が募る。それに加えて数日前、自分に対して日本政府から『専用機』が用意されると言う話があったのだが、クラス代表を決める模擬戦だと言うのに未だにその到着の目処が立っていない。

 

「だ、大丈夫だ一夏‼︎ 剣道は万物に通ずる‼︎」

 

 箒は箒で自身の行動を正当化したい。が、到着する専用機に搭載されている武装の内容により全くの無意味と化す可能性も否定は出来ないが、それでも自分自身に対して気休め程度には叫びたい。

 

「……遅い。日本政府及び担当の者は一体、何をしているのだ……‼︎ まさか、トラブルでも発生したとでも言うのか?」

 

 かく言うピット内で専用機の到着を待つ千冬も未だに到着の目処が立たない状況に対して苛立ちが募り始める。既に対抗馬であるセシリア・オルコットがアリーナ上空で完全展開の状態で待機している。

 流石に此の儘、彼女を待たせ続けるのも彼女にも悪いし後学の為の見学に訪れた生徒達にも悪いだろう。

 

「……どうするべきか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此処で問題だ!この状況下でどうやって切り抜ける? 3択−ひとつだけ選びなさい

  • 世界最強の千冬は画期的なアイディアを閃く
  • 真耶が現れて専用機を持って来る
  • どうにもならない。現実は非情である
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