束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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マッドサイエンティストのクーリングオフって受け付けているの? え?してない?してないの⁉︎

 

 

 

「……私に恐れを成して逃げ出したと思っていましたわよ」

 

 アリーナの中空。大空を我が物と言わんばかりに中心部にて相対者の到来を待っていたイングランド暫定代表候補生のセシリア・オルコットは、先程ピットから飛び出して来ては反対側のバリアシールドへ頭から突っ込んで激突、落下し蹌踉めきながらも飛び上がって来た織斑 一夏に対してそう告げる。

 

「……へっ。男が逃げて堪るかってんだ」

 

 セシリアの言葉に一夏はそう答える。

 

「先程の無様な姿から、此の儘私と戦っても勝ち目はありませんわよ? 見た所、一次移行すら完了していない状態で、尚も戦うと?」

 

 セシリアの指摘は最もである。操縦が覚束ない上に一次移行すら出来ていない状態で、仮にも代表候補生の相手など務まろうか、と。

 

「ああ、当然だろ?」

 

「そうですか。ならば……踊りなさい‼︎ この私とブルー・ティアーズが奏でるワルツで‼︎」

 

 その言葉の直後、複数のレーザーが一夏へと襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 漸く開始された織斑 一夏とセシリア・オルコットとの模擬戦。見た所、一夏は近接武装、対してセシリア・オルコットは遠距離主体の武装である事が窺える。

 

『翼無しのセシリアは所謂、マークスマンタイプだな。見た目がソックリでも戦法は大きく異なるモノだな』

 

 ガイアがセシリアの姿を見ながらそう評価する。翼がある方のセシリアはそりゃもう、ガンガン行こうぜ見たいな脳筋姫騎士スタイルだしな。対極と言っても良かった。

 

『さてと、彼方の方はもうどうでも良いやと言う態度が明け透けだな』

 

 模擬戦が始まった直後、セシリアはビット兵器を駆使して一夏を追い詰めて行く。速攻で勝負を決めるつもりのようだ。まぁ、最初のアレを見せられては興が削がれるか。

 対する一夏は必死ではあるが意外にも慣れない動きながらも回避を続けており、連続で喰らって即撃墜と言う流れにはならなかった様だ。

 

「オリエンテーションの時もアレ位、銃撃戦になれば良かったのにね」

 

 後ろで伽羅が心底残念そうに告げる。真面目に洒落にならないと邪推しつつ、状況に変化が訪れた。セシリアが放ったミサイルの1つが一夏に直撃し、地面の方へと墜落して行き、落下の衝撃で生じた粉塵が舞い上がる。その直後、粉塵の向こう側から眩い光が放たれ一夏が再び中空へと飛び上がって行った。

 

「一次移行を終えたようね。戦闘中に終わらせるなんて真似……危険を通り越して自殺行為。模擬戦じゃなかったら死んでいたでしょうね」

 

『我が息子、織斑 一夏の機体が分かったぞ。機体名は『白式』。コアは……001。つまり、そう言う事だ』

 

 ガイアの言葉を脳裏に掠めながら、前方の上空で一夏はその手に持つ日本刀を煌めかせて、セシリアに突撃。対するセシリアはまさか復活して肉薄して来るなど思わなかったのか、動揺しており接近を許してしまい、慌てて近接武装を展開しようとする。

 その前に、一夏の刃の方が早い。その鋒がセシリアに届こうとしたその刹那。突如として試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

「……管制塔で両者の機体のエネルギーを観測していた。その結果、何方かの機体のエネルギーが判定ラインを下回った、と言う事ね」

 

 何事かと騒めく面々に対して伽羅は理由を解説した。IS学園の模擬戦や試合では、機体のエネルギー総量が10%を下回った方が負けの判定となる。理由としては機体のエネルギーが完全に枯渇すると絶対防御すら発動出来なくなるからだ。

 IS同士の試合では飛行能力の存在から必然的に空中戦となり、その時にエネルギーが完全に枯渇すると落下、転落死になりかねない。

 故に、絶対防御に回せる余力を残した状態で試合終了する方策が取られている。……試合中に死者が出てしまえばISの健常神話が揺らぎかねないからだろう。

 

「……伽羅さん。もう帰って良いか?」

 

 若菜は軽く伸びをしながら、そう訊ねる。ぶっちゃけた話、今回の模擬戦は殆ど興味が無かったからだ。ガイアの言う『白式』のコアの件は気になるが、今出来る事は何もない。

 

「ええ、良いわよ。それから皆、授業は午後から再開するわ。それまでは自由時間にする。遅れずに教室に戻る事」

 

 午前中は自由時間となり、午後から授業を再開する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くひひ。こんな所で遭遇するなんて、奇遇じゃない」

 

「……何で貴方まで此処に居るんだよ、夕張……‼︎」

 

 第2アリーナの帰り、他の生徒達はまだアリーナで熱に籠っている為に本校舎には人の気配は殆ど無い中、若菜は引き攣った笑みで出会(でくわ)した人物、夕張にそう言う。

 

 絹の様な白銀の髪を星型の髪飾りで左右に丸く纏めた髪型。ゴーグルを髪飾りの様に付けている。赤いスカーフがアクセントの白いエプロンドレスをその身に包んだ赫い(ひとみ)の少女。見た目だけなら、可愛らしいのだが……。

 

「久し振りついでにアンタ達の身体、改造させてくれない? そろそろ耳とか尻尾とか角とか翼とか生やしてみない?」

 

 ケーニヒスベルクと同類の人体実験マニアであった。しかも人体実験のみならず人体改造手術までしてくる始末。え?エストレヤじゃ普通?

 

「出会い頭に人体実験を勧めてくるんじゃない。如何して、エストレヤの科学者や医者や研究員はどいつこいつも、人体実験が好きなんだ……」

 

 若菜は心底、呆れた様子で夕張の提案を拒否した。ケーニヒスベルクもヤバいが夕張もヤバい。ついでに言うがエストレヤの医療機関の職員全般もヤバい。

 

「そりゃ、科学の発展に終わりは無いからよ。シノアちゃんもフィウちゃんも、痛くしないから実験台に寝なよ。ウチと一緒に実験室で気持ち良い事しようよ〜」

 

「え、ええ⁉︎ え、遠慮します……」

 

 ナンパ感覚で実験しようとしてくるな。それで通用すると思っているのか、このイカれマッドサイエンティストは。

 

「んで、何で貴方が此処に居るんだよ。そもそも、部外者がIS学園に居ちゃマズいだろ」

 

「くふ。地球人は視覚情報を電気信号として脳で処理されて初めて認知出来る。その電気信号を改竄すれば、目の前を通ってもバレやしないよ」

 

「……地球での行方不明事件の何割かは貴方も噛んで来そうだな」

 

 理屈は理解したが、彼女も彼女で実験対象を現地調達して来そうで心底、不安であった。

 

「質問に答えると、伽羅から手伝って欲しいと言われて来星したワケ。必要な備品を用意したいからだってね」

 

「……成程、で納得したい自分が居る訳なんだが?」

 

「いやぁ、地球人の人体実験ブームに乗っかって新鮮な地球人(モルモット)を現地調達しようとか思っていないよ?」

 

「いや、思っているだろ。思いっきり」

 

 

 

 

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