束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
明けまして御目出度う御座います。……何故、元旦早々に体調が崩れるのやら……‼︎
量子トンネル内を通過してトンネルの出口となる地点へと到達した。
『シノア、ユリエ、フィーリリア。生きてるか?』
『私は大丈夫』
『問題無いわ』
『リリアさんも大丈夫っスよ』
通信で3人の安否確認をしておく。無事に量子トンネルを通過は出来たが、その……一応の確認である。以前、量子トンネルを外れ落ちる羽目になったからだ。
『さてと……相変わらず凄い事になってんな。ブリテン』
全員生存が確認出来た所で、前方へ視線を向ける。視界の先の宇宙空間に1つの惑星が浮かんでいた。その惑星には太陽系の土星の様に環が形成されている。然も此方は2つの環が交差する形状を成している。
その遠くには光を放つ恒星が見える。
『アレら全てが岩石や金属の破片なんかじゃなくて人工衛星砲なのだから恐ろしい限りだな』
ガイアの言う通り、ブリテンの環を形成しているモノは全て《エリちゃん砲》と呼ばれる人工衛星砲である。アレら全てが絶対天敵に対する初動対応の防衛機構として機能している。
その数、実に10,000以上であり環を形成しているモノ以外にも存在している。幾らなんでも打ち上げ過ぎだろーが。昨日、廃棄予定の奴を俺に目掛けてぶつけて来ただろ。
『人工衛星砲の間を潜り抜ける飛行は危険だね』
若菜と並走する形でシノアが前に出て来た。カラーリングは若菜の『フォーマルハウト』と類似している。
非固定で浮かぶ一対の翼、《撃楯翼》はシノアの身体を覆える程の大きさを誇っている。装甲密度も若菜の機体と大差なく余計な部分は大幅に削られているのが分かる。
『アルフェルグ』、それが彼女の機体の名前であった。
『図体が小柄な俺達ならば兎も角……と言いたいが、下手に弾幕張られるのも面倒極まりないと言うのが本音でもあるな』
其の儘、前進しエリちゃん砲が位置していない場所を選んで飛行しブリテン本星へと向かう。
『大気圏突入するぞ。着陸地点に関しては……まぁ、其処は適当で』
『1番肝心な所を考慮しておきなさいよ‼︎』
人工衛星の環状地帯を抜けてブリテンの地表へと向けて大気圏突入を実行する。本来、ISは宇宙空間での活動を大前提としている。故に大気圏突入に生じる超高温にも耐え得る設計となっているのが
『他の人達も大気圏突入に移ってるみたい。着陸地点が被ると事故になっちゃいそう』
ハイパーセンサーで周辺地域の情報を確認するとブリテンへの地表に向かって大気圏突入を実行しているISが多数見えた。地上から見れば流星群の様に見えるだろうか?ある意味では壮観な光景と言えるだろう。
外気圏、熱圏を通過し中間圏へと突入する。下方には雲海が見えており、そろそろ地表が見えてくる高度となる。
『恒星の位置関係から着陸予想地点は夜になる。そもそもブリテン自体、自転が遅い為に昼夜の切り替わりも遅いから、差したる違いは無さそうだがな』
『他の惑星だと環境や文化もそうだが時間感覚が狂ってくるんだよな……』
中間圏を抜けて遂に成層圏へと突入する。着陸予想地点は夜の時間帯故に暗がりが広がってくる。狙うべきは海洋地点の方が安全か。なるべく建物の照明が無い場所を選ぶべきだろう。
『森林地帯なぞに降下してみろ。キミの場合、無事に降下出来たとしても火災待った無しだ』
それ以前に断熱圧縮により高温を帯びている事からどのISでも条件は同じでは?と言いたかったが変なカウンターを喰らうのも馬鹿らしい為に言わない事にした。
『あの辺りは港湾地域みたい。あの辺りに降りよう』
成層圏から対流圏の中間地域から見えた港湾地域。その近辺で降りれば被害は最小限に抑える事が出来そうだ。何故なら港湾地帯ならば埠頭があり周囲に対して二次被害を起こさずに着陸出来るからである。
『俺は海の方に行く』
『海面を蒸発させて地形を変えんじゃ無いわよ』
『分かりました。私達は埠頭の方へと行きますね‼︎ 私が逆に海面へ行くと……生態系に支障が出ちゃいますから』
『シノアさんも若菜さんも、環境破壊上等なのは変わらないっスよ……』
若菜の機体は特別高温になりがちな為、大気圏突入をした状態で陸地付近へ着陸すると、熔解させてしまう事がある。……過去に1回やってしまった事があり、それ以降は極力、充分な水位がある場所に降下する様にしていた。
『着陸態勢、減速し地表付近で停止に移行‼︎』
『『『了解‼︎』』』
若菜は宣告通り3人と離れて海面の方へと向かって急降下。そして、海面上空にて撃腕翼の向きを下方に向け爪先から赫い粒子を逆噴射の要領で放出し減速及びホバリングの状態に移行し急停止する。……その間に海中温度が異常に上昇しかねないがこの際、我慢して貰おう。
「若菜君、こっちこっち‼︎」
埠頭の方に視線を向けると無事に地上に降り立ったシノアが機体を量子変換で解除した状態で埠頭の縁側で手を振っているのが見えた。……埠頭の一部が凍っている様に見えたのは見なかった事にした。
『……キミ達って災害みたいじゃないか? 尚更、地球で展開すると文句ばかり言われそうだな』
ガイアから改めて言われる。自覚があるから地球上じゃ展開しないんだよ、と言いたくなる。兎も角、シノア達の方へと向けて徐行程度の速度で飛行して若菜も埠頭へと降り立つ。降り立つと同時に量子変換で自身の機体を拡張領域内へと収納。
無事に全員が『ブリテン』の地上へと降り立つ事に成功した。