束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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悪巧みをしている時が1番、生を実感出来ますねぇ

 

 

 白い部屋の中で、どれ程の時間が流れただろうか? 部屋内には時間の流れを示す時計すらも存在しない為に正確に把握する事は出来ない。

 無音、無味、無変だけが支配する空間。

 

「辛うじて測れるのは、食糧配給の間隔を直感で把握するしか無い……か。ソレよりも何もする事が無いと言う事自体が1番、キツいな」

 

 勿論、紙も無ければペンや鉛筆の類も無い。然も配給される食糧も白米と豆腐、卵白と見事に皓尽くしと言う手の入れよう。食器や箸も当然の如く、皓色。

 更に加えて誰かが精神崩壊するか耐えかねて自殺するまで解放される事が無い事実の方が何よりも残酷に思える。誰も死ななければ何時迄もこの白い部屋での軟禁状態が続く事となる。

 

「……永劫の孤独、っスか」

 

 本当に何もする事が無い。真っ白なベッドに横たわり久里はシミ1つ無い天井を見ながらそう呟く。

 

「群衆の中での孤独か、或いは思考放棄の末の孤独か……。確かに気が狂うかも知れないな」

 

 出来る事は何1つ無い。外部から音が聞こえて来る事も無い。あるのは擬似的に作り出された永遠の孤独と言う現実だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初日5時間程度じゃ、まだ動きに変化は無いわね〜」

 

「明日になってからが本番ですよ」

 

 IS学園の第6アリーナ。ケーニヒスベルクの研究所。その一角には多数の小型化された空間投影ウィンドウが規則正しく並べられた状態で表示されていた。

 それら空間投影ウィンドウに表示されて居るのは特別試験に参加している8組の生徒達を収容している白い部屋の様子であった。

 まだ初日とだけあり、精神に異常を来たしている者は見受けられない。

 

「……くひひ。ウチとしちゃ、早めに解剖とか改造とかしたいから誰でも良いからさっさと脱落して欲しいわね」

 

 伽羅との裏取引。

 今回の特別試験の準備の対価として特別試験に不合格(正気を失い発狂した者、自殺した者)になった元生徒を人体実験のモルモットとして夕張に譲り渡すと言う取引を交わしていた。

 大した労力も無く地球人のモルモットを確保出来る事とあっては乗らない手は無いとして夕張は快く快諾したのだ。

 

「……正気を失ってその後始末が面倒に感じる位ならば私達の実験の糧になる方が何倍も有益ですからね。実に合理的かつ効率的な消費方法です」

 

「さてと角とか翼とか生やしてあげようかしらね。或いは脳髄を弄ってみたいわ。新たな人種の母体にして新人種を創造するのも悪くは無いわね」

 

 倫理観を投げ捨てて居る2人の狂気的な会話が続いている。

 

「ああ、そうそう。例の件の進捗は如何程でしょうかね?」

 

 初日なので8組の生徒達の動きに変化はまだ見られない。その為、並行して進めていた次の『イベント兼実験』の進捗の確認をしておく。

 傍に新たな空間投影ウィンドウを展開する。

 ケーニヒスベルクは研究と実験の効率化及び利害の一致故に伽羅と共同で束博士の契約に便乗している。だからこそ、今回の特別試験の管理を請け負う事を快諾した。

 

「……伽羅先生が計画して居る次回のイベントにはウィキッド・ウェィメレン・アルゥツィオーネ第一王女殿下の『赫絲』が絶対に必要なんですよね。然もそれなりに纏まった量が」

 

 しかし、当の王女殿下からは自分達は嫌われている(理由は不明)為に幾ら誠意を見せても首を縦に振ってはくれず、下賜される機会はまず無い。だから別の者に自分達の代わりに下賜されて貰う必要があった。

 その時、件のブリテンから若菜達宛に『ワルプルギス』の招待状が届けられた。

 またと無い機会と見たケーニヒスベルクと伽羅は、ブリテンに対して裏取引を持ち掛け、成立に持ち込む事に成功した。

 

「……『赫絲』を下賜して頂くその条件がウィキッド姫をより楽しませる事、でしたからね。

 まぁ、若菜さんの行動は読み易いので展開の操作は簡単。まぁ、手を加えずとも勝手に傍観者が望む展開になってる事もままありますからねぇ」

 

 空間投影ウィンドウには無数の《エリちゃん砲》の砲撃の瀑に対してギリギリで躱し続ける若菜の姿が映し出されていた。光量が凄まじい所為か、蒸発現象が起きて非常に姿が捉えにくいが特徴的な赫い粒子が確認出来た。

 

「うわぁ……。ドン引きとも言える光景ね。あんなの躱し続けるなんて無茶を通り越して無謀じゃない」

 

 たった1人に対して行う攻撃の規模では無いと、夕張はドン引きしていた。それも自国に対しての被害も全く考慮していない点も含めて。

 

「いやぁ、何度見ても絨毯爆撃も真っ青な砲撃量です。アレらの跡地でも普通に生き残れるし、ブリテンの民は異常としか言いようがありませんよ」

 

 地球ならばペンペン草すら生えない不毛の大地と化すだろう。

 流石、ブリテン。草の根に至るまで生命力が強過ぎる。

 因みに邪教徒からすれば過剰とも呼べる砲撃の雨霰の世紀末染みた光景は地球人、特に日本人で言う『花火大会』と同じ類のブリテンの風物詩である。この光景を見物する為に観光客が訪れる事も多い。

 流石、ブリテン。住民も観光客も神経が異常過ぎる。

 

「『ワルプルギス』でも《エリちゃん砲》による絨毯砲撃が『ワルプルギス』の目玉行事の1つとして1人をターゲットにして撃ち込み続ける『エリちゃん砲爆撃ラッシュ』が行われる様になったんですよねぇ」

 

 因みに対象は大体がブリテンの騎士の1人が身体を張って行うとの事。この惑星滅亡クラスの砲撃に対して生き残れた者は大いなる名誉を賜る事になると言う。勿論、失敗れば大怪我では済まないだろう。

 

「それでその対象に若菜が選ばれた、と?」

 

「まぁ……。遅かれ早かれ女王陛下の逆鱗に触れるのは確定的でしたし、必要事項を纏めて熟せる、それに若菜さん程の実力であれば盛り上がるのは間違い無いでしょう。誰にとってもWin-Winな結果を得られるでしょう‼︎」

 

 若菜からすれは巫山戯るなと言いたくなるだろう。1番、損しているのは言うまでも無く若菜であるからだ。

 

「多分、騎士達も女王陛下の暴走の1つが自分達じゃなくて部外者に向いた事に胸を撫で下ろしている事でしょう」

 

「本人は堪ったモンじゃ無いと叫ぶでしょ」

 

 

 

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