束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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始めての射撃訓練

 

 

「他のクラス代表を秘密裏にトーナメント当日までに出場出来ないレベルの再起不能か行動不能に追い込む。或いは暗殺等の殺害による物理的排除」

 

 永世が提示したのは斜め上かつぶっ飛んだ提案であった。対戦者が消えれば自ずと勝者が決まる。そう言う如何にも常識を疑う物騒な考えであった。

 

『うわぁ。伽羅が選別した様だから、可能性は考えられたが……マジでいやがったよ。同類が』

 

 脳内でガイアがドン引きしているが、1人や2人。そんな思考回路を持つ奴が現れても不思議じゃ無いだろう。

 

「平時であれば認めていたけれどね。殺害に関しては後始末が面倒極まりないから今回は却下。再起不能に関しても狭い環境故にバレる可能性が高いから却下よ」

 

 流石に殺害による物理的排除は認められなかった。理由が後始末が面倒って、合理的な理由じゃなくてせめて良識に則って欲しかった。……あ、無理だ。この人はそう言う人じゃなかった。

 

「……つまりバレない程度なら容認する、と?」

 

「そうね。急病による欠席程度ならば認めましょう。ただ、1組を狙うのは控えるべきね。何故なら、腐っても世界最強のクラス。獣の感覚は侮れないわ。かと言ってそれ以外のクラス代表を全員無力化するの得策では無いわね」

 

 いや、行動不能程度は容認するのかよ。やっている事がいよいよ庇えないレベルになって来たぞ……。エストレヤだったら人体実験の口実になりそうだな。

 

「……分かりました」

 

 永世はそう言い引き下がった。彼女は如何にも思考回路は相当、エストレヤ寄りな気がする。

 

「でも、着眼点は評価出来るわ。

 戦闘と言うのは其処に至る迄に積み重ねて来た事の帰路であるわ。クラス代表対抗トーナメントに至るまで『何をする』のか、それを含めて戦闘態勢と見做す事が出来る。

 何が必要で、何が不要で、何が重要か。各々が理解しなければ勝てぬものも勝てない。他人任せとは言うけれど、自身の命を容易く他者に委ねちゃダメよ。考えるのを止めてはならない。己が己として生きていたくば。自分の『運命』を簡単にクラス代表(たにん)に預けてはいけないわ」

 

 伽羅はそう述べる。事前準備の大切さを改めて教える。クラス代表対抗トーナメントは担任教師が出来る事は殆ど何も無い。

 クラス代表対抗トーナメントと言うのは何もクラス代表や専用機持ちだけが活躍するイベントでは無い。

 恐らく、1組の生徒は男子生徒と同じクラス故か或いは完全に浮かれているのか完全にクラス代表である一夏に任せきりであろう。その様な者は既に考える事を止めている。

 このイベントの主役は生徒各位であるからだ。

 

「はい。此処まで言えば後は貴方達各位で考えられるでしょう? 教えを乞う事に関しては悪いとは言わないけど、深く依存すると自分で考えない思想に陥るから注意する事。そんな無責任な態度は捨てる様に。これにてホームルームは以上。

 今日から実技授業を執り行う。1時間目は、早速だけど射撃場へと集合して貰うわ。遅れないように」

 

 朝のホームルームが終了し、8組は5月初めの授業へと移る事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園の本校舎地下1階に併設されている射撃場。其処には多種多様、かつ細部に至れば多岐に渡る銃火器が試射出来る態勢で保管されている。拳銃や散弾銃、狙撃銃、短機関銃や小銃も揃っていた。その射撃場に8組の生徒、23名が伽羅の前に立っていた。

 

「……ISの兵装は主に近接兵装と射撃兵装に大別されるわ。

 実弾が宇宙空間で運用可能かと問われると時と場合に依ると答えるしか無いけれど、何れはエネルギー兵装も手に取る時が来るでしょう。先ずは基礎の一つとして銃火器兵装の扱いにも慣れて貰うわ」

 

 何事も基礎が重要である。土台が盤石で無くば砂上に過ぎない。

 

「一先ず、この場にある銃火器に一通り触りなさい。全員が最低限、扱える様に訓練を行うわ」

 

 伽羅はそう言い、一挺の拳銃を手に取り射撃場の奥にある人型の的へと向けて振り向きざまに発砲。的には首に該当する箇所に命中した。間違いなく致命傷に当たる箇所であった。

 

「良い? いつでもベストコンディションで行動出来るとは限らない。そして、いつでも手慣れた得物で戦闘に臨めるとも限らないわ。

 その場の状況に応じて各々が対応しなくてはならない事も起こり得る。この点に関してオリエンテーションの時で理解はしている筈よ」

 

 その場にある得物で対処しなくてはならない時も起こり得る。

 

「……では、先ずは拳銃から始めましょう。拳銃にも多数の種類が存在するわ。リボルバーからセミオート、重量にも構造や弾種、一通り扱いに慣れて貰うわ」

 

 射撃場にて射撃訓練が開始された。

 拳銃を始め小銃や狙撃銃、散弾銃などもレクチャーして行く。その中で最も適性があるモノを見出しより深く理解を深めて行く。当然ながら得意武器種以外にも最低限扱える様に学習が必要だ。必ずしも手元にあるとは限らない。

 場合によっては有り合わせで切り抜けねばならない時も起こり得る。だからこそ、得手不得手はあれど、ある程度は扱える程度に訓練をしておく。

 一先ず手段は多い方が良い。この点、思想は数多くあれど絶対的な正解は出て来ないだろう。当人がどう言う扱い方によって威力を発揮するかは厳密に異なるからだ。

 

「取り敢えず最初の目標は6発中、3発。何処でも良いから命中させる事。弾代に関しては気にする必要は無いわ。気が済むまで繰り返し訓練を続けなさい。

 右も左も分からない貴方達がするべき事は先ず数を熟す事よ。そして自信を身に着ける事。分からない点は私や若菜達に聞く様に」

 

 生徒各位は先ず最初に拳銃を手に取り射撃場の立ち位置に立つ。狙うは正面奥に設置された人型の的。今は静止した状態ではあるが、何れは動く的。そして、自分も動きながら当てねばならない。

 

「では、始めなさい‼︎」

 

 その号令の後に多数の銃声が射撃場に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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