束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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ハニトラは間に合ってるんでお引き取り願います

 

 

 

 

「……8組の面々が木偶の坊で無くて一先ず一安心だな」

 

 放課後。部活棟の『裁縫部』部室において若菜は、ミシンを動かしながら久里の采配を間近で見てそう評した。昼間に感じた悪寒は気の所為だと無理矢理納得させた。

 

「他の皆さんも行動を開始していますね。協力の姿勢が整うのは喜ばしい事です」

 

「情報が集まれば対策も取り易くなるからね」

 

 フィウとシノアも針を通しながら会話に加わる。彼女達も行動を起こしている。ならば此方も『勝つ為に』動かねば無作法と言う物だ。

 

「……秘密裏にセコンドを用意するのもアリでしょうか?バレなければ合法とも言いますし」

 

「別に構わねぇんじゃないか? 格闘技だってセコンドが認められてるんだ。試合と銘打っている上に武装でのガチバトル状態なんだから、問題無かろう」

 

 観客席だからこそ見える光景はあるだろう。その情報はアドバンテージに繋がる。IS操縦者は孤独な環境に身を投ざねばならないとは言え、流石に常時とは言わない。

 

『ゴールデンウィーク中はIS学園にある20機、全てが事実上の貸切状態だ。その数日で付け焼き刃と言えようと基礎を叩き込む他に無いな』

 

 訓練時間のアドバンテージとは言うが油断は出来ない。現実とは何が起こるか分からないのだ。

 

「……1番の懸念事項が伽羅さんと言う事実があるからなぁ。身内が1番の不安要素ってどうよ?」

 

「『赫絲』の事ですね」

 

 若菜が懸念している不安要素。

 代表候補生とマッチング? 勝ち進めば自ずとぶつかるのは必定。と言うか、若菜がクラス代表と仮定して対戦カードを組んでる節があるから考えるだけ時間の無駄。

 母上が煙たがっている織斑とか政府とかの存在? 殆ど伽羅さんが阻止しているから、その時はその時。

 

 では、何か?それは伽羅本人だ。

 ケーニヒスベルク達と共謀してエストレヤの管理法に則った資格法に則った特別な資格。取り扱うにはⅫ型極特級危険物取扱管理資格が必要な特級危険物『赫絲』をウィキ姫から下賜されてしまったからだ。

 因みにこの資格の保有者は当たり前だが生成本のウィキ姫本人。御巫 姫舞とDr.レーキュ、あとケーニヒスベルクの4人しか居ない。と言うか本人は兎も角、明らかに手に渡っちゃマズい面子のオンパレードなんですが。

 

「……絶対、陸な事にならないよな」

 

 シャルロットから聞いたウィキ姫の癇癪の末に惑星1つを滅ぼしたと言う話。シャルロット本人も余りの恐怖で断片的にしか記録していなかったが、掻い摘むと。

 

・何らかの理由でウィキ姫を激昂させた。

暴走したウィキ姫は(規制済み)を(規制済み)に引き摺り込み、(規制済み)にした。また、(規制済み)に殺された者は(規制済み)され、(やが)て(規制済み)となった。

・突発的に発狂する者が増加した。

・(規制済み)によってその惑星は滅んだ。

 

 情報が隠匿されているが邪教徒の狂気具合を考慮すると、凡そは予想出来るが回避は不可能と言う結果になる。何が起こったと言うんだ……?

 

「今、考えても仕方ありません。対応出来る様に備えておくのが1番の解決策と言えるでしょう」

 

「予想の斜め上を行かれるとどうしようも無いんだけどなぁ……」

 

 時々理解不能な展開を持ち込まれる時がある為、思考放棄したくなる。

 

「……胃薬飲んどこう。考えれば考える程、頭が痛くなってくる」

 

 考える事は止めた。胃薬と頭痛薬を纏めて飲んだ。水無しで飲める『狂式胃痛薬』と『壊式頭痛薬』である。両方同時に併用可能であり、良く使っている。

 

「そろそろ船着場に行こうか。伽羅さんも仕事が終わる頃合だろう」

 

 暫くした後、今日の部活動を終了させた。若菜達は自宅通いの為、寮棟には行かない。そして部活棟から行き帰りの船を停泊させている船着場に行くには本校舎を突っ切るのが1番の近道であるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「若菜。中国の暫定代表候補生が貴方に接触を図ろうとしているわ」

 

 自宅への帰る為の漁船にて、伽羅は若菜に対してそう告げる。

 

「中国? 特に知り合いとか居ねぇけど」

 

「大方、以前に束博士が例の会議でボロクソにされて会話にならなかったから貴方と懇意になって、目的を果たそうとしているんじゃないかしら? 所謂、ハニートラップって奴ね。勿論、蹴り飛ばしたけど」

 

 この様子から伽羅が先手を打って出鼻を挫いたらしい。その候補生は災難と言える。

 

「……母上がダメなら今度は俺達ってワケですか。面倒な女はもう腹一杯なんですけどね」

 

 束から件の会議の顛末は聞いているし、ニュースでも話題になっていた。相変わらず『束博士に対して粘り強く交渉を進め働き掛ける事を続ける』と言う前向きさを押し出した主張をしているが、その実態が色情を利用したハニートラップだとするなら笑える。

 

「……そうね。貴方の周りには扱いが難しい女の子が沢山居るものね」

 

 伽羅は若菜にそう皮肉を投げる。周りには精神的にも物理的にも難物な女の子ばかりだ。気が触れていたり、物理的に扱いが難しかったり、性格的に難物であったりと、取扱説明書が欲しいくらいである。

 それに加えて伽羅が選別した8組の生徒達も癖が強そうな面々が揃っていると来た。

 

「……大方、ライセンス試験とコア絡みと情報絡みなんでしょう? 母上に嫌われている事を承知している癖に何故、嫌われる真似をするんでしょうね」

 

 束は若菜達、自分の子供達を溺愛しているのは周知の限り。なのに、誑かすような真似をして会話が成立すると思っているのか?

 

「さぁ? 若菜と仲良くなって〜、或いは子種を奪ってからの、脅迫するって算段じゃないかしら? その事を突いたら明らかに動揺したし」

 

「その前にシノアに目玉と内臓を抉り出してから首を捻り斬られる未来が見えますね」

 

 多分、閲覧規制が入りそうな描写になるだろう。

 

「あら、其方の方が良かったわね。見せしめと言う意味で」

 

 恐ろしい事を言う伽羅。午前中に告げた後始末が面倒と言う発言は何だった?

 

「……勘弁して下さい。8組が血も涙も無い戦闘民族と思われるじゃないですか」

 

「元からそのつもりだけど? 例えあの子達がISライセンス試験に落ちて宇宙に出れなくなったとしても、行き場所(・・・・)くらいは用意するわ」

 

 ISライセンスが取得出来なかったIS学園卒業生の末路は悲惨である。何処の企業にも就職出来ず、路頭に迷うのが席の山。エリートとは言うがIS学園の信用性の低さから並の高卒の方がマシである。

 

「確かに、戦闘関連の素養が認められれば民間軍事会社辺りならば入社出来るかも知れませんね」

 

「……既にあの子達は日向で生きる資格は失ったわ。自分で選択した。だから私に出来る事はあの子達の背中を押してあげる事よ。自分で生きれるように」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

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