束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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何事も基本から始まるモノよ

 

 

 

 

 

「昨日の途中から記憶が無ぇ……。何か凄え酷い目にあったような気がする……‼︎」

 

 翌日。ゴールデンウィーク初日。

 本来であれば此処、IS学園であろうとも祝日扱いとなり授業も訓練も存在しない日ではあるのだが伽羅が管轄する8組ではその枠組みに囚われる事は無い。

 

「わ、若菜君。無理に思い出さない方が良いと思うよ……?」

 

「そう、ですね……はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……皆。遅刻せずに集合出来て偉いわね」

 

 第6アリーナ。

 ゴールデンウィーク中はその場所にてISの実技訓練が行われる。そのアリーナの中央にはIS学園が保有するIS、『打鉄』と『ラファール・リヴァイヴ』。

 各10機、合計20機が横に並ぶ形で鎮座している。8組の生徒数は23名。若菜達を除けば全員がちょうど同時に搭乗出来る形となっている。

 

 そして、伽羅の前に集まった8組の生徒達。当然ながら昨日、支給された若菜製のISスーツを身に纏っている。スクール水着と同等の露出度を誇る学園指定のISスーツと違い、此方は手や首から上以外は全てスーツに覆われている為、それはそれで目のやり場に困ると言う声も出そうではあるが、今更気にした所で仕方のない問題である。

 

「……欠員無し。若菜もちゃんと復活出来たようね。なら問題無いわね」

 

 シノアとフィウもISスーツを着用しているが、個別の特注品。シノアとフィウの2人とも皓色が基調としており、指先まで覆うタイプのボディスーツであった。ソレに対して若菜のみ、相変わらずのフード付きの上着を羽織っていた。個人の服装関連に関しては伽羅は特に何も言わない。

 

「それじゃあ早速、始めましょうか。もう理解しているでしょうけれどもう一度言うわね。巫山戯た真似をすれば怪我じゃ済まない事を自覚するように。では、1から教えるから順番に搭乗して貰うわ」

 

 アリーナへ待機状態として鎮座している打鉄とラファールへと全員が搭乗して行く。総勢、20人がISに搭乗して並ぶ光景は中々、壮観な光景と言えた。

 

「それじゃ先ずは初歩中の初歩から歩く動作から始めようか。両手両足が大きく感じて感触的に異物感があるでしょう。例えるならば靴や手袋と同じ感覚の延長線と考えなさい」

 

 先ずは地上生物としての初歩中の初歩。先ずは『立つ』、『歩く』動作から始める。伽羅は色んな意味で容赦が無く理不尽に思えるが何処ぞの暴力教師の様にいきなり実戦に放り込んだり地上生物では未知の世界の飛行行為を強要はしなかった。

 

「若菜、シノア、フィウ。貴方達は補佐を担当してちょうだい。あくまで補佐よ。根本的には本人に自力で解決させるように」

 

「「「了解」」」

 

 若菜達は部分展開すらせず生身で8組の面々の訓練の補佐を担当する事となった。元々、束の子供と言う事もあり本来ならばIS学園と言う茶番染みた専門学校の猿真似に拘う必要性は無い。フィウも指導が必要なレベルでは無い。

 

「先ず心構えとしては意識はしない事。変に意識すると動き辛いと錯覚するから、自分の身体の延長であると認識しなさい。そうね……先ずは手を開いて閉じる動作を試して見なさい」

 

 伽羅の指示に従い、各々のペースで動作を試してみる。一応はIS学園へ入学出来た者達、飲み込みは早い様である。

 

「じゃあ、早速歩いて貰いましょうか。この第6アリーナの外周を5周くらいして貰いましょうか。先程の腕の動きを思い出して同じ様に脚を動かして見なさい。なお、ゆっくりで構わないわ。何事も回数を熟して行く事が何よりも重要よ」

 

 何分ゴールデンウィーク全部丸ごと使って行う実技訓練だ。平日の実技授業ではとても足りないだろう。

 伽羅の指示に従いゆっくりではあるが8組の面々が機体に乗って歩き出す。

 

「にゃはは〜やってるみたいだね〜」

 

「姫姉、普通に心臓に悪いからそんな形で姿を出さないでくれ……」

 

 外周を歩いている久里達の姿をアリーナの壁際。

 その場所から遠目に眺めていた若菜の背後から皆のお姉ちゃんこと、姫舞が上半身(・・・)のみ乗り出して若菜の後頭部に豊満な胸を押し付ける形で姿を現していた。翼の部分も視認は出来ない。恐らく体内に引っ込めているのだろう。

 対する下半身はと言うと腰付近から光の量子と化しておりその間近は歪んだ空間が断面図となって空間に溶け込んでいる。

 

 分かり辛い?簡単に言おう。彼女は自身を自身のIS『ベテルギウス』の拡張領域内に量子変換して格納して上半身のみ任意の座標にて随意展開している……と言えば良かろうか。

 もっと噛み砕き更にイメージし易く言ってしまえば拡張領域の扱い方の応用による瞬間移動(ワープ)と言える。

 ISコア・ネットワークの機能を活用すれば『通信』の電波に乗り、任意の機体の近くに瞬間移動も理論上可能である。

 つまり、ストライカー(IS操縦者)は絶対に姫舞からは逃げられない事を意味している。

 

 不意を突いたり、躱し切れない攻撃を躱したり、必殺の一撃をしたりと使い勝手が良さそうに思えるが、無論全てのIS操縦者がこの技能を習得出来る訳では無い。空間把握能力と座標計算、他にも負荷に耐えられるかどうかの問題も高度なレベルで付随してくふ。

 ストライカーでこの技能を会得しているのは御巫 姫舞と菟篠 シノアの2人だけである。

 

「ふぅん、あの子達が伽羅先生の教え子達?」

 

 姫舞は若菜の頭の上に乗せようとするが自慢の胸が邪魔で思う様に行かない模様。あの、変に動かれると左右からの胸圧が凄い事になる……。

 

「ああ、30人居たが10人脱落した。IS学園にある機体が20機だから、どの道20人にするまで無理難題を吹っ掛けるつもりだったんだろうけどな」

 

「え〜、その10人。実験に使いたかったぁ……ドリルで穴を開けたり、薬物投与したり……他色々と……」

 

「……」

 

 冷ややかな視線を送りたかったが背後に居る上に彼女の胸が邪魔なので断念した。

 

「それで、姫姉。何か用なのか? 後、昨日受けてやったんだから実験は絶対に嫌だからな」

 

「大丈夫大丈夫♪ 暫くは弟くんで人体実験はしないよ♪」

 

 暫くと言う事は何は行うと言う事の裏返しでもある。それはそれで恐怖だ。それでも回避するには誰かを生贄にしなければならない。

 

「……伽羅先生から『手伝って欲しい』と言われたから来星したの♪ 新しい研究と実験が出来るし場所も提供してくれるとなれば、乗らない手は無いよね♪(>ヮ<)」

 

「……頭痛と胃痛と腰痛が立て続けに起こりそう」

 

 主にマッドサイエンティスト共の所為で……如何してこの手の連中は災害クラスの騒動を平然と起こすんだ。そして、何故俺がそれに巻き込まれるんだ……⁉︎

 

「弟くん?頭痛いの?ならお姉ちゃん製薬の『お姉ちゃん特製頭痛薬』を処方してあげるね♪」

 

「姫姉。それは果たして規格合格品なのだろうか?」

 

 名前からしてヤバそうな配合がされてそうで怖い。何なら成分自体が未知の内容で埋め尽くされていそうで内容成分を聞くだけでも怖い。

 

「大丈夫大丈夫超安全な頭痛薬だから♪お姉ちゃんが配合したしお姉ちゃんが認定したから合法の薬剤だよ!」

 

 いや、世の中ではソレを職権濫用と言うんだ……。

 

「大丈夫♪ もし、万が一何かあったら最上級医療を最優先で受け付けるから♪」

 

「いやそれは治療と言う名の人体実験を行う口実に体良く利用しているようにしか聞こえねぇよ⁉︎」

 

 意地でも服用したくねぇ‼︎ ナニが起こるんだ⁉︎ 頭痛薬の名を騙る劇薬か何かなんじゃねぇだろうな⁉︎

 

「……はぁ。で? 結局は姫姉も彼女らの訓練様子を見学にしに来たのか?」

 

「うん♪ やっぱり未来の実験体の顔とか覚えておかないとね♪」

 

「…………」

 

「……それから万が一、あの娘達が怪我とかしたら私が直してあげるから安心、超安心♪」

 

 ちっとも安心出来ない……。100%の確率で人体実験とかしてくる。

 

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