束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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切符は残っていますか?

 

 

 8組の実技訓練は恙無く進んでいる。歩行訓練にて、ほぼ全員が問題無く動ける程度にまで修練は終えた。

 

「歩く動作は概ね出来る様になったわね。では次は実際に飛行して貰うわ」

 

 ISは飛行能力を持つ。地上での並行の動きだけでは無く上昇と下降が加わり三次元の動きが求められる事になる。

 

「若菜、シノア、フィウ。束博士から部分展開の許可は出ているわ。脚部の部分展開をしてくれないかしら?」

 

 若菜達のみならずエストレヤの関係者の駆るISは地球上ではオーバースペックも良い所。地球人の常識を凌駕してしまっており、展開する事は些かやり過ぎ感が否めぬ為に、基本的には展開する事は控える様に通達されている。

 今回の8組の面々の実技訓練を行うに辺り、部分展開と言う制約の元、展開する許可を取り付けた。

 

 久里達の搭乗する打鉄やラファールと違い遥かに小型。脚部装甲と言う強化外骨格……或いは装甲ブーツと言った趣きである。

 いいや、打鉄やラファールがデカ過ぎるだけなのかも知れない。

 

「シノアは中空へ、フィウは更に上空。若菜はシノアよりも下の宙域に待機して貰う。

 飛行訓練としては、先ずはシノアの高度へ向かいその次にフィウ。そして最後に降下して若菜の高度へ行き、最後に地表へと降り立つ流れを只管、繰り返して貰うわ」

 

 上昇と下降を織り交ぜた訓練である。昇りっぱなしだけで無く適切な速度での降下する事も必要だ。下手な場合、降下ではなく墜落し2次被害を齎す事になる。

 

「先に行くぜ」

 

「お先に‼︎」

 

「では、上空でお待ちしています」

 

 若菜達が飛びあがり指定の座標にて待機する。コレからその位置へと向けて目指す事になる。

 

「3人が所定の場所に待機したわ。良い? 先ずはシノアの高度を目指しなさい。ISで飛ぶ動作は基礎の一種。では、飛行訓練開始」

 

 伽羅の号令で生徒一同が一斉に上空へと飛び立つ。真っ直ぐ飛ぶ者も居ればバランスを崩して離陸に失敗する者も居る。

 

「姿勢が良くないわ。それからしっかり飛ぶ意識をイメージしないと飛べるモノも飛べないわ」

 

「は、はいっ……‼︎」

 

 午前中の残り時間は生徒達各位がひたすら飛び回るように訓練が続いた。最初は動きが覚束ぬと雖も、繰り返す内に動きが徐々に良くなっていき12時頃には飛行速度はまだまだ遅いが、ある程度飛べる程度の動きに漕ぎ着いて来た。……最初にしては悪くない動きで順調な滑り出しと言えるだろう。

 

「……そろそろお昼ね。午前の訓練は此処で終了とします」

 

 午前の訓練の終了を告げる伽羅。

 

「皆、初めての訓練にしては中々悪くないわ。初日だから少々、梃子摺るかと思ったけれど……良い意味で予想外だわ。

 お昼休憩を挟み午後13時から訓練を再開するから、それまでにこの第6アリーナへと集合するように、それじゃあ解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我が息子。今は大丈夫だな?』

 

 今は昼休みの時間帯。第6アリーナの観客席の一角に腰掛けた若菜に対して脳内からガイアが声を掛けてきた。

 

「……ん」

 

 皆が戻って来るまで時間はあるが、何かあったのか?

 

『『白式』の件だ』

 

 1組のクラス代表を決める模擬戦。その対戦カードの内、男性操縦者の搭乗機体名が確か『白式』であった気がする。何でも引き篭もっているとか何とか言っていたような……?

 

『……機体名『ブルーティアーズ』のコアの協力で経路の構築に成功した。外部からのアクションに反応が無いのならば此方から乗り込んでやろうと思ってな‼︎』

 

 ISコア・ネットワークを介して他のコア意識へと接続するとでも言うのか?確か……同調機能とナノマシンの信号伝達により仮想可視化して侵入出来る。実際に出来るっちゃ出来るんだが……濫用すれば最終的に廃人化の末路を辿る一種の劇薬だ。

 

『ほむ。が、ボクだけでは流石に説得が難しいかも知れない。其処で我が息子にも手を貸して貰うぞ‼︎』

 

「……昼休みの時間内に目処が立つのか?」

 

『其処の確証は持てない。だが、ファーストコンタクトくらいは取っておきたい。あの長女が引き篭もるなど……一体、何があったのか、気になる』

 

 ガイア、質問だ。コア意識が引き籠る……その状態でコア意識と完全同調など可能なのか? どう考えても両者の関係は乖離(かいり)した状態と言えるのだが……。

 

『完全にソッポを向いた状態で同調などほぼ不可能だ。となれば何かしらの作為的な行為が行われた可能性がある』

 

 ガイア。『白式』の機体の製作元は?

 

『倉持技研だ。世界的に普及している第二世代機、機体名『打鉄』の開発元だな……。そのシュアから俗に言う上場企業と言えるIS企業だな。……『白式』を開発するにあたって以前に請け負っていた開発企画を白紙にしたらしいな』

 

「その辺は頗るどうでも良いな……。良し、フィーリリアの奴はどうせネットゲームをしているから暇だろう」

 

 若菜は通話用の小型の空間ウィンドウを展開してフィーリリアへと連絡を入れる。

 

 

 

『若菜サン、なんスか〜?フィーリリアさん、今はモンハンで忙しいんスよ〜』

 

 案の定、真っ昼間からゲーム三昧の様である。

 

「ゲーム中、済まない。少しクラッキングして調べて欲しい事があるんだ」

 

『調べる?まーた人類が変なポカをしてお母様を怒らせたんスか?』

 

「その一歩手前かもな。倉持技研の裏を漁って欲しい」

 

『倉持ィ? あの、日本政府お抱えのIS企業をスか? まぁ、良いスよ。若菜サンが興味を抱くと言う事はヤバ案件なんスよね?』

 

「確証は無い。調べた結果、何にも無い可能性もあるけどな」

 

 

 

 フィーリリアに倉持技研の事を調べて貰う事にした。やはり餅は餅屋である。

 

『……其処は適材適所だな。かく言うキミはキーボードの操作はヘタクソだからな』

 

 ほっとけ。んで、ガイア。言い出したからには今やるんだろう?

 

『物分かりが良くて何よりだ。出来る限り昼休みの時間内に収まる様にしよう。目的はあくまでファーストコンタクト。その時に理由が判明し解決出来れば御の字だが、そう簡単には行かないだろう。更にかのコア意識を変に刺激する真似も避けたいからな。最初は軽く行こう。……流石に時間を掛け過ぎてキミの遅刻常習犯の箔を高める訳には行かないからな』

 

「…………」

 

『沈黙は肯定、だ。システムをソフトウェア優先処理モードに移行。意識をISコア・ネットワークを介して『白式』のコアの意識領域へと接続する。以前に説明したと思うがコア意識の内部は俗に言う仮想現実の世界だ。それを留意しておいてくれたまえよ』

 

「分かった。コア意識が夢想する世界、か……果たして引き篭もりはどんな世界を覗いているのやら」

 

 若菜はそう返答して暝目する。意識が身体の感覚とズレる。ズレて落ちていく様な感覚を覚える。沈む、或いは落下していくような感覚に包まれ、視界が暗くなって行った。

 

 

 

 

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