束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた 作:夢現図書館
「状況は⁉︎」
「は、はい‼︎ 第2アリーナでは噂の専用機に搭乗した篠崎君が異常変化を遂げた訓練機を相手に今も交戦中です‼︎
第2アリーナから第3アリーナに移動した異常暴走した『白式』に搭乗する織斑君と山田先生が交戦中‼︎」
千冬がその事実に気付いたのは第2アリーナにて3組の生徒達と特例措置で一夏が参加してのIS実技訓練にて使用していた訓練機に異常が発生。異常な変化を起こして搭乗者を取り込み変貌を遂げて暴走を起こした、と。取り込まれた生徒以外の生徒達や3組担任は第2アリーナから無事に避難し、3組の担任からその報告が飛んだのは発生から20分後であった。
この事から千冬はIS学園に配備されていた量産機『打鉄』に秘密裏に何らかのプログラムかシステムが仕組まれておりソレが何らかの形で起動したと見ていた。
特別参加であった一夏は鎮圧を試みるもあろう事か一夏が搭乗する『白式』にも同様の変化が発生し呼応する形で暴走してしまうと言う図らずにも連鎖被害が発生。
「山田君は何時、気付いたんだ……?」
その様な緊急事態に突如としてIS学園教員である山田真耶が教員用ラファール・リヴァイヴに搭乗し速やかに現場に駆け付け異常変化を遂げた機体群と交戦開始。
と、同時に経緯は不明だがなんと8組のクラス代表の篠崎 若菜が闖入、真耶に加勢したのだ。
束が重く見る程の緊急事態と判断されたのか誰も見た事が無い専用機を駆り VTシステムに侵された機体相手に交戦を開始したとの事。思わぬ形での援軍……。
「いや、今考えても仕方ない‼︎」
今は状況の対処を行なってくれている2人に対して援軍を送る事が最優先である。やはり数を揃えて対処するのが1番の安全策だ。
山田先生の実力は疑うべくも無いが、篠崎 若菜の実力に関しては完全なる未知数。あの束が養子にした程である事から実力は保障はされていそうだが、実力がハッキリとしない為に不安が残る。
万が一の事があれば……あの子煩悩の束の琴線に触れる処か切り裂いてしまう。そうなれば何を仕出かすか予想出来ない。それ以前に教師としても人間としても生徒を見殺しにする訳には行かないのだ。
「戦闘教員部隊の出撃まで後、どれくらい掛かる⁉︎」
「戦闘配備から交戦地点である第2、第3アリーナに向かうまで最短でも後、20分は掛かります‼︎」
「遅過ぎるッ‼︎」
思わず壁を殴ってしまった。なんだこの
「くっ……‼︎ オルコット、凰、更識‼︎」
千冬は秘匿回線で個別に専用機持ち達に連絡を取る。余り気乗りはしないのだが今即応可能なのが専用機持ち達だけなのだ。
「緊急事態が発生した‼︎ 第2、第3アリーナで暴走したIS学園配備の訓練機及び織斑の機体を鎮圧しろ‼︎」
『お、織斑先生⁉︎ じょ、状況が分かりませんわ⁉︎ それより一夏さんの機体が暴走⁉︎』
『何かの間違いではありませんかッ⁉︎』
「私も目を疑ったが事実だ。今現在、第2アリーナでは篠崎が、第3アリーナでは山田先生が暴走した機体と今も交戦中だ。お前達には2人の加勢をしろ」
『……どう言う経緯で篠崎君が戦闘するに至ったんですか?』
「そんなモノ私が聞きたい。ただ確かな事は束が使用制限を設けていた篠崎の専用機の使用を許可した事……。つまり、相応の理由があり今回の件は束は重く見ていると言う事だ」
束が相手ではIS学園の状況は筒抜け……と言う事実は伏せておく。あの天才が相手では此方の小細工は子供騙しに過ぎない。
『……随分と対応が遅いんじゃないですか?織斑先生』
その時、秘匿回線に割り込む形で第三者の通信が開通される。その声は8組担任の天瓦 伽羅であった。
「天瓦先生……。どうやって……いや、今は」
『今回の件、8組が対応するわ。寧ろ変に援軍を寄越さないでくれませんか?』
「何……?」
『若菜の方に下手に援軍を寄越すと……流れ弾ならぬ流れ刃で致命傷を負うわよ?
元々、若菜の戦い方は環境とか周りとか全く考慮しないし。そもそも、若菜と動きを即席で合わせられる?』
そう指摘を受けてしまう。自分達にとっては未知の機体、それを即席で動きを合わせられるのか?と。
『既に8組の生徒達に若菜と山田先生への援護及び支援に向かう様に手配しました。今回の件は私も把握しています。訓練機は同様の細工が疑われる為に生身での作戦行動となります』
「ッ⁉︎ 天瓦先生‼︎ 貴方は戦場に子供を向かわせたとでも言うのですか⁉︎」
その言葉に千冬は鬼気迫る気迫で伽羅に叫ぶ。8組は専用機持ちと目させる若菜とシノア以外は一般生徒達で構成されている。それに4月の間に複数人、自主退学した事も聞いている。
生徒用の他の訓練機に乗せるにしても同様の異常が発生しかねない為に使えない。
『……あの天瓦、先生ですか? 流石に生身でのISの……然も暴走した状態での戦闘区域に派遣するのは自殺行為です』
『そうですわ。仮に銃火器を装備してもISのシールドバリアに阻まれますわ』
生徒会長である楯無と代表候補生のセシリアから苦言が呈される。
学園内とは言えISが暴走すると言う緊急事態……対応出来るのはIS以外に他に無い。
『あの子達が選んだ選択。あの子達は今、その人生の上を歩いているの。生きる為、生かす為……あの子達は得物を手に取ったわ。自らの意志で』
理由は多岐に渡れど当人が『選択』したのだ。若菜から伽羅から『そう言う人生となる』事を明確に告げられた上で、その選択を選び取った。
自主退学した子達も自らの意志で『その道』を選んだ。その何方も尊重して然るべきである。
「…………」
『だからあの子達の邪魔を出来るだけしないでちょうだい。命を冒涜しているのはどちらなのでしょうね?』
下手に連携が取れない援軍は却って邪魔となる。寧ろフレンドリーファイアへと発展しかねないのだ。
「対応……出来るのですか?」
『出来なければ何人か……或いは全員犬死にね。無論、当人達も覚悟の上よ』
失敗すれば作戦参加者は死亡する可能性を孕んでいる。ISの火力に晒されて五体満足の死体でいられる保障は無い。
「……ッ‼︎」
その言葉に千冬は思わず歯軋りした。『何方が命を冒涜しているのか?』と此方が返してやりたい所である。
『……正気とは思えませんね』
『そう思える方が幸せになれるわ。……貴方は幸せになりなさい』
楯無の皮肉に対して伽羅は意味深にそう返した。その意図までは汲み取れなかった。
「分かりました。今回の件、貴方方に委ねます」
『織斑先生⁉︎』
「既に伽羅先生の命令で8組が展開されている。お前達は8組全員の顔を知っているのか?」
『それは……』
「伽羅先生と言えど、ズブの素人を戦場に派遣はしないでしょう? つまりそれなりの理由があるから決断した、そうでしょう?」
オリエンテーションと言う名目で素人同然の状態で紛争地域に放り込んだ件に関しては千冬は知らない。
『聡明な判断に感謝します。ただ暴走した機体の搭乗者の生存関連に関しての保障は出来ません。何せ暴走機体の搭乗者の現状がどう言う状態なのかは外部情報では判断しかねます。
場合によっては助けられない可能性も考慮しておいてください。暴走した機体に乗り続けて搭乗者自身に掛かる負荷は莫大なモノになると予想されますから』
「ああ……。其処の点は此方も理解しています」
『他に要請する事と言えば……自衛出来ない非戦闘員をIS学園外へ今すぐに避難させた方が良いでしょう』
『え……?』
『今は第2、第3アリーナでの戦闘ですが……その様な狭い空間で戦い続ける程、若菜は利口ではありません。少なくともIS学園全域が戦場となると考えた方が良いですよ』
「其処までの暴れようなのですか⁉︎」
『地下シェルターも若菜の攻撃の余波が届きかねません。避難先でお陀仏……となれば目も当てられませんからね』
「分かりました。聞いての通りだ、これより全生徒の避難行動を開始する‼︎ お前達は、生徒達の避難を急がせろ‼︎ 天瓦先生、後は頼みます」
『ええ。作戦終了後の報告をお待ち下さいな』
「さてと……突発的な状況だけど、折角の機会だし大いに利用させて貰いましょうか」
千冬が今回の件に関しての横槍を防いだ後、伽羅は微笑む。
「伽羅センセ〜。こっちも準備OKだよ〜」
空間に歪みが発生しその歪みの断面から姫舞が上半身を飛び出させる形で伽羅の前に現れる。
「ええ。姫舞が居て助かったわ、ケーニヒスベルクと共同で宜しく頼むわね」
「にへへ〜。フィーリリアちゃんやレーキュ君みたいな意地悪なアルゴリズムじゃないから簡単だよ〜」
姫舞はにぱ〜と言った形で咲っていた。余程、簡単だったらしい。
「いざと言う時に首根っこを掴んで置けばIS委員会も変な事は出来ないでしょうからね」
「伽羅センセ〜、悪役みたい〜」
「……酷いなぁ。皆、極悪人か犯罪者か社会不適合者みたいなモノだよ。この地球上ではね」
伽羅「IS学園全域が戦場になるでしょう(愉悦)」
IS学園「え゛ッ⁉︎」