束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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獣、大空にて荒れ狂うのみぞ

 

 

 

 

 IS学園の上空。

 薄い膜の様な翼を広げ4本の腕をも広げてOVTシステムは飛翔する。巨人の時と比べて小型とは言えど充分な巨大な体躯が大空を滞空し飛ぶ姿は凄まじい威圧感を放っている。その後方から若菜は赫い軌跡を描きながらその後を追う。

 

『何て速度だ……‼︎ キミの飛翔速度と比類するんじゃないか?』

 

「学習し成長しているんだよ、今、この瞬間にな‼︎」

 

 凄まじい速度でIS学園の上空で飛翔して行くOVTシステム。その速度は若菜の『フォーマルハウト』の加速と速度を再現しているかの様であった。戦えば戦う程、学習し強くなる。もうこの時点でVTシステムの弱点を克服していると言って良い。

 

《まさか、追い付けぬとは言うまい⁉︎ 篠崎 若菜‼︎》

 

「吐かせッ‼︎」

 

 若菜を挑発して更に加速して距離を離すOVTシステム。だが、その挑発とは裏腹に若菜は爪先を爆発させ猛加速してOVTシステムと並走する形で飛ぶ。

 

《そう来なくてはならないな‼︎》

 

 OVTシステムは畝る様な動きで飛びながら、自身の周囲の空間を歪ませたかと思えばミサイルの様に取り込んだ瓦礫の群を射出して来る。

 

『拡張領域内から半分量子変換させ、その上で拡張領域内で火薬を炸裂させ、擬似的に大砲の原理で射出しているのか⁉︎』

 

 理論上で言えば態々、銃火器を装備、展開せずとも弾丸と衝撃さえあれば、誰でも好きなタイミング、角度で砲撃を行う事が可能となる。

 

「そんなやり方をする奴が俺達以外にも居たとはな‼︎」

 

 次々と飛来して来る瓦礫の塊。幾つかは回避したり『宵咲』で斬り飛ばして散らし、正面から飛来して来た瓦礫を——。

 

「ほらよ、返すぜ‼︎」

 

 左の撃腕翼で思い切り叩き付け、OVTシステムの横顔目掛けて殴り付けるかの様に叩き返した。

 

《ッ⁉︎ 理解したか我の急所を……‼︎》

 

『胴体は黒泥の流動体だがやはり頭部はシステムの基幹部の様だ‼︎』

 

 流星の如く飛来した瓦礫が直撃し、OVTシステムは身体を大きくくねらせながら蹌踉めく。だが、この程度で墜落する程、柔では無い。

 蹌踉めいた瞬間に距離を詰めるも、OVTシステムは蛇行しながら高度を上げたり下げたりして速度を上げつつ不規則な飛行で飛んで行く。飛行の範囲はIS学園島の上空のみならずその周囲の海上にも及ぶ。

 

《あるモノは使え……‼︎ 我はそう学習した……‼︎》

 

 OVTシステムはIS学園島の近海(東京湾)の海中へと突っ込み浸水したかと思えば直角で直ぐに浮上し東京湾の海中に没していた廃棄され沈没した廃漁船の残骸を持ち上げそれを投擲して来る‼︎

 

「この程度で止められると思っては」

 

 若菜は錐揉み回転しながら『宵咲』の刃を赫い粒子で溢れる撃腕翼で擦り研ぎ『宵咲』の刃を赤熱化させた刹那、廃漁船を真っ二つに割断。

 

《思っては居らぬ……‼︎》

 

「ッ‼︎」

 

 叩き割られ重力に従い落下を始める廃漁船のその後方には拡張領域内から射出された多数の瓦礫群が眼前にまで迫っていた。その光景に若菜は目を見開く。

 

『我が息子‼︎』

 

「舐めんなッ‼︎」

 

 若菜は足裏にハニカム状のシールドバリアを随意展開、足の設置面を形成し、反力を受け流す体勢を取り更に『宵咲』をバリアに突き立てアンカーの代わりにする。

 撃腕翼を前方に向けて前方に向けて膨大な赫い粒子エネルギーによる極太のビームを彷彿させる瀑撃砲を轟音と共に放ち飛来した瓦礫群を纏めて溶解させる。

 

《見事ッ‼︎ だが、砲撃後は隙が生じろうッ‼︎》

 

 若菜の砲撃後を明確な隙と判断したOVTシステムが眼前にまで間合いを詰めて鋭利な爪を展開した前右腕を振り上げ若菜の足元に展開されたシールドバリア諸共、叩き潰そうと振り下ろす。

 

「反動とは、使いようだ‼︎」

 

 その直前、若菜は『宵咲』を引き抜くと同時に撃腕翼の爪先に赫い粒子エネルギーを爆ぜさせその反動で後方に宙返りしつつ吹き飛び、OVTシステムの爪の一撃はその場に残されたシールドバリアの『床』を空を切ったかの様に砕く。

 

《……ッ‼︎》

 

 次に明確な隙を晒したのはOVTシステム側。OVTシステムが前右腕を振り下ろした直後、若菜は既に次の行動を移す事が出来た。OVTシステムの眼前へと肉薄した若菜はOVTシステムの顔面を鷲掴みにする。

 

《ぬぅ……うお⁉︎》

 

 若菜はOVTシステムの頭を掴みながら撃腕翼の爪先から赫い粒子の軌跡を放ちながら飛翔する。OVTシステムの巨体を片腕で掴んで振り回す様に飛行する蛮力に流石のOVTシステムも驚愕する。

 

「オラァああああッ‼︎ ぶっ飛べやァァァァぁああああ‼︎‼︎」

 

 IS学園の上空にて遠心力を利用しフルスイングでOVTシステムの巨体をぶん投げ、IS学園のほぼ中央に聳え立つ捻れたランドマークタワーへと叩き付ける。

 

《お、おぉ……‼︎‼︎》

 

 OVTシステムが再現した胴体は黒泥の流動体と言えど激突の衝撃はその姿全体に伝わる。轟音と激突時の衝撃で激突面にて粉塵が舞い、OVTシステムの巨体は蹌踉めきつつ再び上空へと舞い上がる。

 余談ではあるが巨体が激突したにも関わらず未だに健在なランドマークタワーも中々、大概な耐久性だ。

 

『もう、無茶苦茶だ‼︎』

 

 言ってろ言ってろ、言わせとけ‼︎ 俺に暴れさせたらどうなるか、IS学園の上層部と政府の鳥頭共と女性権利団体(カスども)に思い知らせとけ‼︎

 

『我が息子、アドレナリンが出過ぎだ‼︎ もう暴走の域だぞ⁉︎』

 

《今のは、流石に効いたぞ……‼︎》

 

 上空へと舞い上がりその軌跡から空間が歪み、多数の瓦礫が高速で流星群の如く飛来して来る。若菜は敢えてその瓦礫群へと突っ込む。進行方向以外の瓦礫は無視し、正面に見える瓦礫を撃腕翼で叩き飛ばして再びOVTシステムを追走する。

 

《同じパターンでは勝てぬ‼︎》

 

 再び追走戦が展開されるかと思いきや、OVTシステムは旋回した後、Uターンして若菜の方角へと突っ込むやいなや左前腕を振り下ろす。

 

「チッ⁉︎」

 

 若菜の反応が少し遅れその左腕に掴まれる。OVTシステムは判断が遅れればカウンターされると学習(・・)している。そもそも若菜本人のみならず『フォーマルハウト』は断熱圧縮により超高温を帯びており触れる事すら憚れる。故に直ぐに次の行動に移った。

 

《お返しするぞ……‼︎》

 

 OVTシステムは自分がぶつけられたランドマークタワーへと目掛けて若菜を投擲。投擲された若菜は一直線に飛びランドマークタワーに激突して其の儘、貫通して地上の方へと墜落するかと思えば地面スレスレで低空飛行し空気の壁を粉砕しながら二筋の赫い軌跡を残しながら遥か、遥か上空へと急上昇する。

 

《何だ……?》

 

 遥か遥か高く、超高高度。即ち『成層圏』に届こう高度にて若菜は煌々と赫い星と化していた。その姿を目の当たりにした直後、燦爛と成す光が放たれたかと思えば遥か上空から無数の赫い光を放つエネルギー弾が文字通り本物の流星群となってIS学園島全体へと降り注ぐ。

 その幾つかはIS学園の上空の至る所に随意展開されたシールドバリアの『床』に着弾する。

 

《こ、コレは……⁉︎》

 

 『床』はOVTシステムの周辺に展開され、着弾した赫いエネルギーは暫く靄状と化したかと思った直前、一斉に爆発した。

 OVTシステムの周囲に随意展開された『床』諸共、IS学園島全体に降り注いだ赫いエネルギー弾も全てが一斉に起爆し、IS学園の地上、上空問わず超広範囲が爆轟に包まれた。一瞬で地獄の様な様相に様変わりした。

 

《ッ‼︎ コレは、拙い‼︎》

 

 OVTシステムが意図に気付いた刹那、赫い兇星が断熱圧縮により真っ赤な光を伴いながらOVTシステムの頭上から襲撃し其の儘、IS学園の中央にある1番広大な第1アリーナへと自らと共に落下。

 アリーナの地面に激突すると同時に天を劈き地を砕かん爆轟と共に、周辺地域全体の空が一瞬だけ一足早い夕日に彩られるかの如く赤く染まり、第1アリーナは落下の衝撃によりその全てが放射状に粉砕され吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

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