束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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そろそろ決着を着けようぜ

 

 

 

 

「何なのよ、コイツ……⁉︎」

 

「私達が3人掛かりでも……まるで手応えがありませんわ……‼︎」

 

「まるで水に銃弾を打ち込んでいる様にすり抜けて行ってしまっているわね……‼︎」

 

 OVTシステムと交戦開始した3人は早くも苦戦を強いられていた。各種特殊兵装を駆使して攻め立てるもOVTシステムにダメージらしいダメージを与える事は叶っていないからだ。

 

《……》

 

 目視可能で形成されている流動体の胴体は幾ら攻撃しても無意味。その内部で絶えず動き回っている基幹装置を攻撃しなければ決定打とならない。

 だが、外部から視認するには特定の電気信号を脳で処理しなければ視認出来ない。楯無達はその電気信号を認識する事が出来ない為に攻撃を与える事が出来ない。

 

《お前達は蒙昧だ……‼︎》

 

 OVTシステムは交差していた両腕を広げると同時に周囲に複数の鋲が順次展開されようとして行く。何も白い煌めきを伴っていた。

 

「ッ‼︎ 2人とも、気を付けて‼︎」

 

 その光に危険と判断した楯無は鈴音とセシリアに警告を向ける。そう発した瞬間、遠くで轟音が響き渡り、自然保護区の森林地帯から二筋の赫い軌跡が上空へと立ち昇って行くのが見えた。

 

《来たか……‼︎》

 

 その赫い光を見たOVTシステムは思わず歓喜の声を浮かべ、意識を其方に向けた。やはり生きていてくれた。その事実が何よりも嬉しい。

 目の前の3人など脅威に全く持って値しない。擦り傷すら負わせられない存在などもはや邪魔でしかないのだから。

 

「何ッ⁉︎」

 

「あの光は……?」

 

 赫い兇星。赫焉と(かがや)く星は轟音を響き立てながら此方へと向かって突っ込んで来た。OVTシステムへと向けて‼︎

 

「こっちに来る⁉︎」

 

 刹那、撃腕翼を炎上させながら『宵咲』を構えて突っ込んで来た若菜と大剣を構えたOVTシステムが凄まじい体格差であるにも関わらず拮抗する形の鍔迫り合いに転じた。

 

「よう、一時退場して悪かったな‼︎」

 

《何、暇潰し程度の下等生物が湧いて来ただけの瞬間に過ぎなかった‼︎》

 

 ぎぃぃいん、と言う鈍く重くそして歪な音を掻き鳴らし、赤熱化しているが故に火花を散らしながら両者は鍔迫り合いをしつつお互い叫ぶ。代表候補生や国家代表ですらOVTシステムにとって『暇潰し』程度の存在でしか無かった。

 

「ハッ‼︎ お前()にとっちゃ専用機持ちなぞ、塵芥に過ぎんか‼︎」

 

《コア達も影で泣いておろうな⁉︎》

 

 其処でOVTシステムが僅かに退いた否や、横薙一閃で若菜を吹き飛ばし間合いが離れ、楯無達の後方にて静止した。

 

「それが貴方の専」

 

「邪魔だ、退け」

 

 セシリアの言葉を遮断して簡潔に若菜は言いたい事を言い切った。心底、本当に邪魔でしかないからだ。

 

「え⁉︎ ちょ、アンタ何言ってんの⁉︎ アンタはもう既にボロボロじゃない⁉︎」

 

 その言葉に対して鈴音は若菜の状態を指摘する。得物を手に持つ腕には包帯が巻かれているわ、頭にも応急処置をしたのか額に包帯が巻かれている。

 

「腕が捥げようが頭が砕けようが骨が壊れようが終わらねぇんだよ。理解したらさっさと退け」

 

「引く意志が無いのは分かってけど、せめて一緒に」

 

「邪魔だと、言っている……‼︎」

 

 その言葉の直後、3人の専用機持ちに対して次々と攻撃が飛来して来る。

 

「なっ⁉︎」

「ちょ⁉︎ 何処から⁉︎」

「お、お待ちになって下さいまし⁉︎」

 

「若菜君の邪魔はさせない‼︎」

 

 若菜の近くにシノアが撃楯翼を広げて到着し、楯無に対して凍てついた槍を投げ付けて攻撃を仕掛ける。

 

「あ、貴方⁉︎ 如何して私に攻撃するの⁉︎」

 

 件の『アルセーヌ対策会議』で顔合わせをした。特に発言はしなかったが8組のシノアである事は知っていたが、何故彼女から攻撃されるのか理解出来なかった。

 

「狙撃⁉︎ ですが、ああ⁉︎ ビットが⁉︎」

 

 セシリアは姿が見えない狙撃手から狙われており特殊兵装であるビット兵器である『ティアーズ』を破壊されて行く。ティアーズは小さ上に絶えず動いているにも関わらず正確に射抜いていると言うその光景に仰天していた。

 

「ちょ⁉︎ って、アレは8組の連中⁉︎ 何で私が狙われているのよ⁉︎ しかも、シールドエネルギーがあり得ないくらい減ってるんだけど⁉︎」

 

 そして鈴音は眼下、瓦礫があちこちに散乱している地上から銃火器で武装した8組の生徒達の集中砲火に晒されていた。

 普通の銃火器程度ではISのシールドバリアに阻まれ傷は付かない。にも関わらず強力な一撃を立て続けに受けたかの様に凄まじい勢いで機体のエネルギーが減少して行く。エネルギー減少もそうだが、何故8組から攻撃されなければならないのか分からないと言う感情の方が強かった。

 

『若菜君、生徒会長は私に任せて‼︎ 絶対に邪魔はさせないから‼︎』

 

『若菜さん、イングランドの暫定候補はお任せ下さい。スナイパーの格の違いを思い知らせておきます』

 

『若菜。邪魔者はあの子達に任せておきなさい。貴方は貴方の行動を起こしなさい』

 

『篠崎さん。2組のクラス代表は此方で対応します‼︎』

 

『専用機相手にガチバトルか。良いね、漸く生きているって感触がするよ。此処らはオレらに任せて、先に行け‼︎』

 

『専用機相手に何処まで持ち堪えられるか分かりませんが……やるだけやって見ます‼︎』

 

 秘匿回線でシノア、フィウ。それから伽羅や久里達、各人から激励の言葉が投げ掛けられる。何も知らない第三者から見れば仲間割れを引き起こしている様に見えるのだが8組一同からすれば当然の行動であった。

 

『皆、任せた……‼︎』

 

 突然の事態に混乱する専用機持ち達を尻目に若菜は前へと進んでいき、その光景を邪魔せずに静観していたOVTシステムの姿を見やる。

 

「実に酷い醜態を晒してしまったな……‼︎」

 

 若菜は『宵咲』を振るい構え直してOVTシステムと相対する。わざわざ『床』を随意展開して歩いて赴く。

 

《……いや、構わない。敵よりも無能な味方の方が何倍も有害だ》

 

「……そうだな。どんな世界(・・)でも脚を引っ張る連中が居るものだ」

 

《……。我は貴殿が、篠崎 若菜達が羨ましい。その姿が、その姿勢が》

 

 OVTシステムはそう言う。若菜とその仲間達が彼を支えるように行動を起こす姿が心底、羨ましかった。そして、信頼するその姿が。確認出来た時間はごく僅かながらもその姿が眩しく映った。

 

《……奇跡。救世主。絶対者。世紀の大天災。栄光。それは名ばかりの檻に過ぎなかった》

 

 貴婦人の姿から鬼神の姿へと態々変化して口を開く。その様子からどうやらクレイヴを模倣する基幹部がリーダー格らしい。

 

「…………」

 

《我が母にも、貴殿達の様な人達が居たら……》

 

 OVTシステムの情景に悲痛な姿の光景が浮かぶ。その光景は本当に見ていられなかった。だが、叶わぬ願いだと断じて良いのだろうか? その迷いが過ぎる。

 

《あの世界(・・)に守る価値は、戦う価値はあるのだろうか?》

 

「そんなモノ、自分で決めろ‼︎ ()のお前にはソレを決める権利があるだろうがッ‼︎ 部外者の(たにん)に正解を求めんじゃねえ‼︎ 誰の為に何の為に生きるのか、テメェ自身で決断しろ‼︎ プログラムされた通りに生きるのがテメェの生き方なのか⁉︎」

 

 その問いに対して若菜はそう答えた。

 

《……やはり、貴殿と話が出来た事。本当に嬉しく思う》

 

 その返答を聞いてOVTシステムは再び貴婦人の姿へと変じつつそう答えた。だが、決着を着けねばならない。楽しかった時間も何れは終わりが訪れる。その時はもうすぐ目の前にまで迫って来ていた事を双方共に悟る。

 

「……決着(ケリ)着けようぜ。OVTシステム‼︎」

 

《勿論だ……‼︎ 篠崎 若菜‼︎》

 

 両者共に得物を構え、神速の速さで得物を振るいその刃が激突した。

 

 

 

 

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