束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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感謝……する……

 

 

《……‼︎》

 

「ッ‼︎」

 

 轟音と火花が鳴り響き、剣戟が打ち鳴らされ、お互い弾かれる。両者共に抜刀の姿勢にある。先に仕掛けたのはOVTシステム。その動きに反応して、相殺すると同時に再び鋼の音が響き渡る。

 

《普通に振るっても貴殿には届かぬかッ‼︎》

 

 ならばと連続で振るうも若菜はその太刀筋が視認出来ているのか、迫り来る斬撃に対してその全てを『宵咲』で打ち払い切り、一気に間合いを詰める。

 

「……耐えて見ろッ‼︎」

 

 折り畳んだ状態で右側の撃腕翼の向きを前方に向けると同時に打ち上げる様に振り上げ至近距離で爪先で赫い粒子エネルギーを爆破して上空に打ち上げる。あの巨体を吹き飛ばす一撃。

 

《ぐっ……‼︎》

 

 打ち上げた直後、OVTシステムの背後に移動して甲高い駆動音を響かせながら炎上させた撃腕翼を震わせ集束させた赫いエネルギーを全開放し渾身の回し蹴り叩き込み今度は若菜がOVTシステムを大きくぶっ飛ばしIS学園島の地面へと叩き付ける。その際の地面に激突した衝撃で激しい轟音と共に地震が発生する。

 

《……ぐぬッ‼︎ ぬオォォオ‼︎》

 

 休む暇を与えず若菜は再び間合いを詰めて足裏に『床』を随意展開させた状態で赤熱化させた『宵咲』を振るい、OVTシステムは大剣で受け止めて此方も渾身の力で振るい若菜を『床』をも破壊して其の儘、大きく吹き飛ばす。

 

「……ッ‼︎」

 

 吹き飛ばされた若菜は自身の背後に『壁』を随意展開し激突する事で強引に停止させる。脚で着地した為にその際の衝撃で足の骨に罅が入ったやも知れない。だが、構う必要は無い。すぐに亀裂を埋める様にシールドバリアで仮想固定を行い補強する。

 

『そろそろ、決めの一手に掛からなきゃキミが死ぬぞ‼︎』

 

 マスタワーは島の反対側、遠くに突き刺さっている。流動体の体躯諸共、破壊しなければ負けるのは自分である。

 

「ああ‼︎」

 

《……来るか。全力で迎え打とう‼︎》

 

 若菜に変化が発生した事に危険な攻撃が来ると悟ったOVTシステムは気を引き締めて相対する姿勢を構える。

 

「……行くぞ、OVTシステム‼︎」

 

 膨大な赫い粒子で撃腕翼を炎上させ若菜はその軌跡を灼き盡しながらOVTシステムへと突撃する。赫い兇星と化して迫る若菜に対してOVTシステムは大剣を振るう。再び剣戟が起こるかと思った矢先、若菜は口の端を釣り上げた。

 

《……ッ⁉︎》

 

 若菜は『宵咲』を量子変換して消滅させ大剣の斬撃を躱しOVTシステムの首元付近にまで接近する。

 

「オラァアアアアアアアア‼︎‼︎」

 

 後方に伸ばした状態の左側の撃腕翼で逆袈裟斬りに暴力的な加速を伴い殴り付け接触すると同時に爆破。その衝撃の反動でOVTシステムは持っていた大剣を放り投げてしまう。上空へと回転しながら飛んだ大剣は放物線を描き、IS学園島、本来であればランドマークタワーが建っていた場所に突き刺さる。

 

『今だ、我が息子‼︎』

 

 撃腕翼の爪先を爆破させ、急加速し大剣への柄の元へと飛びその持ち手を掴む。地響きと共に大剣は引き抜かれて行く。

 

《……ソレを振るうつもりかッ‼︎》

 

 既にランドマークタワーを持ち上げて振り回す光景を見たOVTシステムはその行動に驚きはしない。そして次に起こすであろう行動が予測された為に剛腕を備えた筋骨隆々の巨躯たる鬼神の姿へと変ずる。

 

「……OVTシステム。行くぞッ‼︎」

 

 大剣の鋒を成層圏へと貫く様に向けた直後、大剣をOVTシステムの脳天へと目掛けて振り下ろす。つまり脳天から一刀両断にするつもりである。

 

《ぬォォォォ……‼︎》

 

 だが、OVTシステムもそう簡単に割断されるつもりは毛頭無い‼︎ その剛腕でまさかの真剣白刃取りを敢行‼︎ OVTシステムの頭部の上で腕と刃が震えながら拮抗する。

 

《ぬ、ぬオォォオォオォオォ‼︎‼︎》

 

「ッ‼︎」

 

 OVTシステムはその状態で大剣を白刃取りした状態で持ち上げたかと思えば、渾身の力で地面へと叩き付ける‼︎

 

「ぬおおらアアアアァァァァァァァ‼︎‼︎」

 

 大剣を離さず地面に叩き付けられた若菜はその際の衝撃で地面の岩盤を砕くも頽れず着地する。その衝撃により恐らく両脚の骨が完全に粉砕され本来ならば立つ事も叶わぬが即座にシールドバリアで補強し、尚も立ち続ける。

 

《力が緩んだ方が……‼︎》

 

「ああ……‼︎ くたばるッ‼︎」

 

 両者が籠める力は拮抗。先に弱った方が必殺の一撃を叩き込まれる事になる。

 

《ぬオオオオオオオオオォォオォォ‼︎‼︎‼︎》

 

「うぉぉぉぉオオオオオオオオおおおお‼︎‼︎‼︎》

 

 双方共に裂帛の鬨が上がる。両者共に譲らぬ。それはお互いがお互いに対して敬意を抱いて臨んでいるからである。

 

「うぉぉぉぉオオオオオオオオラァァァァアアアァァァァ‼︎‼︎」

 

《……ッ‼︎》

 

 OVTシステム側が緩んだ瞬間、顔面から胴体に掛けて縦の一閃。一拍遅れて、OVTシステムの胴体の左半分がズレて行く。

 その刹那、OVTシステムの胴体が黒泥と化して一斉に弾け飛んで行った。

 

『……終わった、か』

 

 模倣元のシステムの機能維持が困難になった為に大剣も光の量子と化して砕け散って逝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……そうか。我は……負けたのだな》

 

 残骸が広がる場所。周囲には取り込まれていた打鉄の残骸や、その搭乗者が倒れていた。その中央にてOVTシステムの基幹装置が転がっていた。

 

《……損傷率、90%……。自己修復も、まま……ならぬ、か》

 

 その時、足音が聞こえて来た。感知範囲内にその姿が確認出来た。そう、篠崎 若菜の姿が見えたのだ。

 

「……」

 

《貴殿、か。勝者とは思えぬ顔をするな……》

 

 OVTシステムから見て今の若菜はそう言う顔に見えた。

 

「OVTシステム。もし、お前の母親(・・)と言葉を交わす機会を得たのならば、お前の事を忌憚なく伝えよう。『貴方の子供は立派であり勇敢で、忠実に役目を遂行した』、とな」

 

《……。我の自我意識は間も無く停止する。残っていた者達も既に停止した。不躾で申し訳ないが、我の頼みを1つ引き受けて欲しい》

 

 基幹装置にもコア・ネットワークに介入しての秘匿通信を行使する機能が備わっている。ソレを介して若菜の脳内にダメ元である頼み事を請うた。

 

「何だ?」

 

《我が母の……理解者になって欲しい。幼くも……孤独なあの人……篠ノ之 文の……》

 

「……可能な限り、尽くそう」

 

《感……謝、する》

 

 一縷の望みとも言える内容。OVTシステムとしても本来であれば不可能な頼みであったが、若菜はそれを引き受けた。

 

最後に……我の基幹……装置に……あるデータがある……。貴殿、ならば……有効、活用……できよう………》

 

「良いのか?」

 

《ああ……。我の、我による判断だ。例え敵……であったと、しても……好感、抱ける……相手、ならば、託せる……》

 

 OVTシステムはプログラムなんぞでは無く、自分自身の『選択』でそう決断したと語る。

 

「分かった。その時がくれば全力で応じよう」

 

《…………感…………謝、……する》

 

 その言葉を最後にOVTシステムは完全に沈黙した。若菜はその基幹装置を拾い上げる。

 

「……………。コレを引き起こした意図を、確かめる必要があるな」

 

 若菜は基幹装置を片手に時刻は夕暮れに差し掛かろうとしているオレンジ色に染まる空を見上げながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何の変哲もないとある平日の日に起きた未曾有の大事件。後に『打鉄暴走事件』と呼ばれる事になる。

 

 IS学園に配備されていた訓練機『打鉄』4機と、織斑 一夏の専用機である『白式』が突如暴走する事件が発生。調査で暴走した機体にはかつてのモンド・グロッソで活躍した織斑 千冬の機体『暮桜』の戦術を模倣する国際条約で禁止されている『VTシステム』が組み込まれていたと判明する。

 暴走した白式はIS学園教員の山田 真耶の活躍により無事鎮圧に成功。

 だが、問題は暴走した4機の打鉄であった。暴走した打鉄は合体し異形で巨大な巨人、ドラゴン、貴婦人の姿を象り、8組所属で篠ノ之 束の息子である篠崎 若菜とIS学園島全土を巻き込む激闘を繰り広げた末に篠崎 若菜が暴走した打鉄の撃破に成功した。

 因みにイングランド、中国の代表候補、ロシアの国家代表は参戦するも8組に撃破された。

 

 第1アリーナは全開、第2、第3アリーナは半壊、学園ランドマークタワーは根本からへし折れて学園島縁に上下反対の状態で突き刺さった。幸いにも校舎群は損害は軽微に留まった。

 

 暴走した機体に搭乗していた生徒達はすぐさまに搬送され、精密検査を受ける事となった。

 

 その戦闘光景は学園外にも目撃される事態となっており、後日にIS学園へと向けて大多数の問い合わせの電話が鳴り響く事になるのだが、それはまた別の話であった。

 

 打鉄及び白式の開発元である倉持技研に疑念が向けられるも技研側は関与を完全否定しているが、IS委員会主導による立入検査が実施される運びとなった。

 

 因みに余談ではあるが、IS学園宛に匿名で日本円で億を超える修繕費が振り込まれていたのもまた別の話。

 

 

 

 

 

 





 此処まで長くなるとは本当に思っていなかった……。
 
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