束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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してやられた……‼︎

 

 

 

「……はぁ。随分とまぁ派手にやったモノだな」

 

 翌日、IS学園の職員室では千冬を筆頭に暴走事件の後始末が進められていた。

 脅威が全て鎮圧され職員、生徒達がIS学園島に帰還出来た。外部から丸見え状態であった為にその時の戦闘光景はもはや激戦と言って良かった。巨大なISと見た事も無い機体が全力で戦闘行為を行っていると言う大戦規模を凝縮したかのような戦闘が繰り広げられていたからだ。

 事件其の物の調査もさる事ながら、日本政府や領事館を通じての各国政府からの問い合わせの電話が引っ切り無しに鳴り響き今、ひと段落が着いた所であった。

 

「……事件が解決したのは良いのですが援軍として専用機持ち達を派遣したのに仲間割れみたいな状況に持ち込むのは流石に抗議したいですよ、天瓦先生」

 

「私は手出しは無用と最初に告げましたよ? なのに、寄越すだなんて……攻撃されても文句は言えないでしょう」

 

 終盤、セシリア達を暴走機体の鎮圧の為に派遣したのだが、あろう事か8組の生徒達から攻撃されてしまうと言う堂々過ぎる同士討ちが発生したのだ。然も完膚なきまで叩きのめされてしまうと言う為体(ていたらく)

 楯無は急速冷凍からの氷像に変えられ、セシリアはビット兵器を全て撃ち落とされた挙句に狙撃の腕で完敗に期して撃墜、鈴音に至っては数の暴力で文字通り蜂の巣にされた。

 味方である筈の存在から攻撃された挙句に排除されてしまっては文句を言うなと言う方が無理があった。

 

「……はぁ、8組の無茶苦茶さは頭痛の種ですね」

 

「頭痛薬を常備した方が良いでしょう」

 

「誰の所為だと思っているんですか……。それから、篠崎から事情聴取は何時頃に認可が降りますか?」

 

 激闘の後、若菜もまた別口で緊急搬送された。何故ならば両手両足が複雑骨折しており各種筋肉も断裂、肋骨も折れていると言う重傷クラスの怪我を負っていた事が判明したからだ。

 その為、VTシステムに取り込まれていた一夏よりも遥かに危険度が高い状態である事は明白と言えた。

 

「倉持技研や、暴走した機体のコアの問題もありますし、手を付けれる箇所から捌きたいのです」

 

 現在、暴走した白式のコアや打鉄のコアは精密検査の為に調査中であった。機体に『VTシステム』と言う違法システムが搭載されていたとは言えコア自体にも異常が発生していないか調査が必要だった(と言ってもコア自体、ブラックボックスなので出来る事は殆ど無いのだが)。

 開発元である倉持技研が仕込んだと言う疑惑が浮上しており関連部署に対して立入検査が行われている。

 

「……あ、織斑先生。おはようございます」

 

「ああ、山田先生。って、どうした?そのお土産みたいなモノは……?」

 

 その時、職員室に白い買い物袋を持った山田 真耶が入って来た。

 

「何って、お土産ですよ♪ 私がゴールデンウィーク前に冠婚葬祭を理由に有給を取って地元に帰ってから地元名産のお土産ですよ。ちょっと、帰りの道で交通トラブルで遅れちゃいましたけど……」

 

「え?」

 

「はい?」

 

 その時、千冬の時間が止まった。真耶は一体、何を言っているんだ、と。

 

「えっと……山田先生。貴方は昨日、暴走した『白式』を撃破、鎮圧したんじゃ無いんですか? その後、織斑を負ぶって私達と合流し、白式のコアを精密検査の為に隔離区画に運んだのでは?」

 

「はい? 何の話なんですか?昨日はまだ高速道路で車を走らせていましたよ?」

 

 話が噛み合わない。

 

「織斑先生こそ、何を言っているんですか?私は確かにゴールデンウィーク前に織斑先生に有給申請の書類を手渡しで渡しましたよ? 織斑先生も『分かった。偶には羽を伸ばして来い』って言っていたじゃないですか」

 

「待て、私は山田先生から有給休暇の書類を受け取って居ないぞ⁉︎」

 

「ええ⁉︎ じゃ、じゃあ……私が渡した相手は、一体……?」

 

「「……………」」

 

 無言でお互いの顔を見る千冬と真耶。真耶が書類を渡した千冬。千冬がゴールデンウィーク中から昨日まで見て居た真耶。その何方も偽物だった、と。

 

「まさかッ⁉︎」

 

 千冬は思わず自身の職員机の引き出しを片っ端から開けていく。そして上から2段目の引き出しの中にその答えがあった。

 

『『破滅を抱きし煌めく太陽』、確かに頂戴致しました。 by怪盗アルセーヌ』

 

 と言う文言のカードと共に真耶が用意した自身の有給休暇届が入って居た。千冬はそのカードを片手にわなわなと腕を震わせていた。

 

「してやられた……‼︎ まさか、まさか……怪盗アルセーヌが私と山田先生に変装していただと……‼︎」

 

「あーらら、事件が解決したと思ったら……上手い事利用されちゃった見たいね。ご愁傷様」

 

「そんな悠長な事を言っている場合ですかッ⁉︎」

 

 暴走事件の隠れがちであったが、それ以前に『怪盗アルセーヌ』から予告状が届けられて居た。破滅を抱きし煌めく太陽とは『白式』のISコアを指していた。そのコアを教員に変装していたアルセーヌにまんまと盗み出されてしまったのだ。然も男性操縦者の専用機のISコアを、である。

 

「え、えーと……織斑先生、話が……」

 

「あ、ああ。済まん……事情を掻い摘んで説明するとだな……」

 

 千冬は真耶に昨日の内容を説明する。一先ずアルセーヌの件は起こってしまった以上、どうする事も出来ない。……代替案を模索しなければ。

 

「大問題じゃないですか……‼︎ 通りで彼方此方に工事用のブルーシートや作業車が入って来ていると思いましたよ」

 

「ああ。お陰で午前中から各国政府からの電話が引っ切り無しに鳴っていたんだ」

 

 因みに若菜関連は伽羅に回されていたが、その受話器を伽羅が握り潰した為に物理的に遮断された。

 

「……学園としても不可解な点が多くて早急に解明に取り組んでいる。その為には当事者の篠崎から話を聞きたいのだが、奴もかなりの重傷らしくてな、面会謝絶の状態なんだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「……コレばかりな。被害を被った織斑達は目立った外傷は無いがまだ昏睡状態が続いている。今は篠ノ之やオルコット達が着いている。今は我々の仕事を行わねばならん」

 

「分かりました、私も手伝います」

 

「復帰早々に済まないな。人員を思いっ切り投入して急ピッチでアリーナや倒壊した施設の建て替え工事を進めているのだが……クラス代表対抗トーナメントを1週間程、後ろに倒すしか無いな」

 

 中止……する訳には行かない。何せ、今年での初の来賓を招いてのイベントである。男性操縦者の存在を直に目の当たりにしたい要人も数多い。ただ……。

 

「篠崎をどう扱うか、だな」

 

 今回の事件で判明した若菜の専用機の性能。更に同じく束の娘であるシノアの専用機。その性能は既存の常識を悉く凌駕している。常識を逸脱した加速、破壊力……『ISがあれば周辺一帯壊滅する』と言う与太話を実力で体現していた。

 その力が素人同然の操縦者に向けられれば成す術も蹂躙されてしまうだろう。そもそもアリーナ自体、持ち堪えられるかどうかすら怪しい。

 現に国家代表である楯無がシノアに成す術も無く敗北した。それ以前に高度な訓練を受けている代表候補生相手に人数差があると言えど生身で制圧して見せた8組の一般生徒達も他のクラスの生徒達とは比べ物にならない程の練度と実力を備えていると来た。コレが天瓦 伽羅の指導力だと言うのかと思うと身震いすら覚えた。

 束が自身の子供2人に対して地球上での使用厳禁を課した理由が鮮烈に証明された形となった。

 

「……今後も今回の事件の様なクラスの奴が現れないとは限らないのが頭の痛い話だな」

 

 代表候補生達を派遣するも今回の事件の暴走機体に対して何一つ有効打を与える事が叶わなかった。千冬から見ても驚異的な性能を誇る若菜の専用機を持ってしても周囲に甚大な被害を齎す激闘、そして当人が重傷を伴った末に撃破に持ち込んだ……。

 つまり、今後もあのレベルの敵が現れないと言う保証は一切存在しない事を意味している。もし、次回以降今回の敵以上の存在が現れた場合……8組の若菜やシノアの様な千冬基準で規格外の者しか対抗出来ない事を意味する。

 

「……ええ。それもそうね、その時……貴方達IS学園はどんな『選択』を取るかしら?」

 

「…………」

 

「私はあの時『自衛出来ない非戦闘員』を逃がせと言ったけど、殆どの生徒を避難させましたね? つまり、戦える人間は8組以外に居ないのでしょうか?」

 

「……銃火器の扱いの授業はしている。……だが、試合に限定される。実戦を考慮していません」

 

「……此の儘の教育カリキュラムだと何れは死人を出す事になりますよ。IS委員会もその事を考えないのでしょうかね」

 

 伽羅の笑みを見て千冬は視線を外した。今回の一件、全体的に見れば8組の若菜が解決した事になる。物的被害はあったが、匿名の資金提供により補填が効いた。

 

「……貴方は殺伐とし過ぎだ」

 

「戦いにドラマを求めないでちょうだい。戦闘とは美しくも無ければ格好の良いモノでは無いわ」

 

 世間一般が魅せられるIS同士の試合は華々しく見えるのだが、それは試合と言う形式で極力安全に配慮しているからだ。

 だが、伽羅の方針は『実戦』に基づいている。8組の生徒達はまるで殺伐とした戦闘員の様な目をしていると、千冬は感じている。まるで、生還が絶望的な死地へと赴く覚悟を抱いている様な……とても10代の花の女子高生とは思えなかった。

 

「貴方は、何を見ているんだ……⁉︎」

 

「そう言う貴方こそ、何を見ていればそんな事を考えられるのですか?」

 

「え、えっと……?」

 

 相容れない教員2人の間に挟まってしまった真耶は狼狽する他に無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫舞さんの診立てでは本来ならば全治1ヶ月程、と言う事ですが」

 

 第6アリーナ。整備室兼研究室の奥に勝手に魔改造されて造られた医療室。

 

「えー、左右の大円筋と僧帽筋の裂傷及び断裂、項靭帯も断裂、肩甲骨や鎖骨、肋骨の粉砕骨折。右腕が粉砕骨折しているにも関わらず無理に動かした影響で重度化、左腕も同様。それから両脚も強過ぎる負荷により複雑骨折……」

 

 その一室にて医療用のベッドには病衣姿の若菜が包帯を巻かれた状態で寝かせられていた。

 

「ぶっちゃけると、普通に考えると死んでても可笑しくない為、漸く完成した『防腐処理』の処置を行う事を検討されています。良かったですね、実験体第一号ですよ」

 

 病床の隣に立っているケーニヒスベルクがカルテを読み上げながらそう目を輝かせていた。

 

「その『防腐処理』ってのは信用出来るんだろうな?」

 

 断ると言う選択肢自体、潰されている為に敢えて受け入れるしか無い。

 

「はい。何百人ものの地球人(モルモット)で実験した所……問題無いと言う結論が出ました。いやぁ、実に楽しかったですねぇ〜」

 

「聞かなかった事にするわ……」

 

 既に犠牲者が何人も出ているようだ。多分、途中でエゲツない人体実験を行っていたのだろう。一応、聞いたが姫舞を始めとした医療関係者の腕は確かである。……未だに対応出来ていないのはカンザシ・サラシキの侵蝕汚染くらいである。

 

「一応事前に説明しますと、仮に出血を伴う怪我をしたとしても瞬く間に白い綿状に変化して止血します。防腐剤を大量にブチ込む為に汗を始めとした体臭は無くなります。

 怪我や損傷に対して対応可能な範囲はかなり広く、手足は勿論、髪の毛や一部を除いた臓器も対応可能となっています。それは治療と言うよりも修復と言う表現に近いでしょう」

 

「……羽とか尻尾とか生やされるよりはマシだな」

 

 人体実験されまくっている為か、ちょっとの事では動じなくなって来た。

 

「若菜さん、結構な頻度で大怪我して帰って来ますからね〜。元はと言えば若菜さんのような命知らずの為にこの研究が行われていたんですよ?」

 

「ソイツは悪かったな……」

 

 現に若菜は今回の戦闘行為で両手両足の複雑骨折を伴う怪我を負った。然も荒っぽい応急処置で更に行使し続けた為、更に病状は悪化している。今後も同様の真似をすれば壊死の可能性も視野に入って来る。

 

「若菜さん以降、シノアさん達にも処置を行う予定となっています。あ、効能確認と称して態と腕とか脚とかぶった斬るような真似はしないでくださいよ?」

 

「誰がするかッ‼︎」

 

「……それから若菜さんから受け取った今回の一件でOVTシステムが託して来たデータに関してなのですが」

 

「何か分かったのか?」

 

「申し訳ありません。私共では畑違いで対応し切れません。研究者と言えど……全ての分野に精通している訳ではありません。実に口惜しい限りです」

 

「……となりゃあ」

 

「ええ、この件はやはりブリテン第1王女殿下……ウィキッド・ウェィメレン・アルゥツィオーネ殿下と、Dr.レーキュこと、レーキュ・リューネハイム・ツィオーネさんに訊ねた方が1番の解決策かと存じ上げます」

 

「何方も面と向かって会いたくねぇなぁ……」

 

 災害。その一言に尽きる。

 ウィキッド……。専ら『ウィキ姫』だの『うに姫』だの愛称で呼ばれているが、接触するには危険が伴う。

 レーキュ。人格がイカれた研究者であり、若菜と反りが合わず仲が悪い。此方も此方で危険人物である。

 

 は?エストレヤの連中全員が危険人物ばかりだと? 勘の良い奴は嫌いだよ。

 

「……ま、約束は約束だからな。他に候補(アテ)が居ない以上、仕方ない」

 

 3日間の間、研究室の奥の医療室にて入院生活を送っていた若菜だったが、入院4日目にて姫舞手動による人体実験の準備が整ったとの事で『防腐処理』こと肉体改造の人体実験が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜い♡ お姉ちゃんにぜーんぶ任せてね〜♪」

 

「コレで心配の種が減ると良いのですがね」

 

「うんうん♪ お姉ちゃんとしても傷付く姿は余り見たくないからね」

 

「まぁ、同感ではありますね」

 

「それじゃ、始めるよ」

 

 手術灯が灯された。

 

 

 

 

オリキャラの設定集とか必要?

  • 主にモデルやモチーフが知りたい
  • 予想が出来る為、必要無い
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