束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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一先ずは安心……か?

 

 

 

「ぐっ……⁉︎」

 

 此処は、何処だ⁉︎ 白い……天井……?

 

「一夏⁉︎」

「一夏さんッ‼︎」

「一夏ッ‼︎」

 

 軋む様な痛みと共に三者三様の声が鼓膜を叩いた。頭を動かせば其処には見知った顔……箒とセシリアと鈴音の三人娘が心配そうだが喜びを抱いた顔で此方を覗き込んでいた。ただ、セシリアと鈴音に至っては湿布や包帯を巻いていたのが気になる。

 

「すぐに千冬さんに連絡して来る‼︎ 少し待て‼︎」

 

 箒がそう言い医務室の外へと飛び出してから数分後に医務室に千冬が入って来た。

 

「……織斑。目が覚めたんだな」

 

 千冬の舌鋒はやや鈍い。実の家族の安否が確認出来た事に安堵したからだ。

 

「千冬姉……俺は、う゛っ」

 

 上体を起こそうとするも鈍い痛みを感じてその動きが中断される。何時もならば出席簿が飛んでくるのだが今回は無かった。

 

「……全身に対して長時間に及ぶ負荷が掛かった影響による肉体疲労だ。……無理はせずに安静にしていろ」

 

「千冬姉。何が、起きたんだ?」

 

 一夏の問いに対して千冬は一瞥する。鈴音やセシリアは兎も角、完全部外者の箒が居る事が問題であった。

 

「篠ノ之、済まないが一時退室してくれないか?」

 

「え⁉︎ 何故ですか⁉︎」

 

「一夏に事の経緯を説明する際にその内容には機密事項が含まれている。……如何に束の実妹と言えど今のお前の立場は『一般生徒』だ。故にお前には聞かせる事が出来ない」

 

「…………。分かりました」

 

 箒は不服そうな顔をしたが軈て諦めて医務室から退室する。その後ろ姿を見届けた後、千冬は一夏に向き直りこの場に居る全員に対して口を開いた。

 

「『VTシステム』。織斑には聞き慣れない言葉だが、凰とオルコットは知っているだろう」

 

「は、はい。ヴァルキリー・トレース・システム。過去の優秀な……それこそモンド・グロッソで入賞する様なIS操縦者の動きを再現するシステム、でしたわね」

 

「でも、操縦者と機体に対して無理な負荷が掛かると言う事でIS条約で、使用や研究、開発に至る全ての事項が全面的に禁止されている、と」

 

 千冬の言葉に対してセシリアと鈴音が解説と補足を加えて一夏に説明する。

 

「ああ、その説明で問題無い。それが、3組の実技訓練の授業に使われる訓練用の『打鉄』と、織斑。お前の専用機である『白式』に搭載されていた」

 

「何だよ、ソレ……‼︎」

 

「『打鉄』と『白式』の開発元は倉持技研だ。故に倉持技研がVTシステムを搭載した疑惑があり、委員会主導で立入調査が行われた」

 

 当然ながら技研側は容疑を否認していた。そんなシステムを搭載する理由が無い、と。

 

「が、確固たる証拠は出なかった。洗いざらい調べたのだが……VTシステムに関連する資料は何一つ出なかった。

 

 その為、証拠が無い以上は追求出来ない為、一応の容疑は晴れた形となった。

 

「となればIS学園内で秘密裏に搭載された可能性があるとして、今も調査を続けている……」

 

 千冬の語尾は少し萎んでいた。次に話す内容をどう説明しようか悩んで居るからだ。

 

「……織斑先生。何か言い難い事でも?」

 

「…………。織斑、以前に『怪盗アルセーヌ』にIS学園内のISコアが狙われているとの事で専用機持ちを集めて作戦会議をした事を覚えているな?」

 

「あ、ああ。あの良く分からない予告状を見て、さ」

 

「……結果だけを言おう。怪盗アルセーヌはまんまと『白式』のISコアを盗み出した。奴の狙いは『白式』のISコアだったんだ。

 奴は山田先生に変装して暴走した『白式』を鎮圧して、検査と言う名目で回収し山田先生の姿で盗み出したんだ。この事実に気付いた時は既に事が終わった後だった……」

 

「え⁉︎」

 

「山田、先生に……変装していたのですか⁉︎ 一体、いつから……?全く気付きませんでしたわ……」

 

「何だよ、ソレ……⁉︎」

 

 理解出来ないが、ソレが現実であった。

 

「お前達が気付かなかったのも無理は無い。私も完全に騙されていたんだ……」

 

「ち、千冬姉。じゃ、じゃあ……『白式』は……?」

 

 ISは心臓部たる『ISコア』が無ければIS足り得る事は出来ない。ただの『白式』と言う名の等身大の金属製のプラモデルに成り下がる。

 

「落ち着け、織斑。この事態を受けた倉持技研は代替案として倉持技研が保有する残る1つのISコアに『白式』の予備パーツを使用して再構成する形を取る事で急ピッチで組み立て作業を進められている。作業は2日前から始まっており学園への到着は明日の予定だ」

 

 『ISコア』があれば予備パーツを使いほぼ完全な機体を組み上げる事が可能。まぁ、この場合は修理と言うよりも再造と言った形となる。

 

「そ、そうか。良かった……。な、なぁ…………気になっていたんだけどよ、セシリアと鈴は何故、怪我をしているんだ?」

 

 『白式』の件はひと段落ついた所で話題はセシリアと鈴音の怪我の件に移る。

 

「……簡単な事は聞いているがやはり本人の口から聞きたい所だな。此処で話せる内容で構わない、話してくれるか?」

 

「じゃ、じゃあ私から……。VTシステムで暴走した一夏さんの機体以外、暴走した『打鉄』は合体して巨大化。その暴走した『打鉄』の集合体は篠崎さんがIS学園全土を舞台に激闘を繰り広げていました」

 

「合体?巨大化?それに、若菜が⁉︎ まるで意味が分からねぇよ⁉︎」

 

「……私もその点に関しては理解が追い付かないんだ。その辺はもう言葉通りとしか言いようが無い」

 

「暴走集合体と交戦中に明らかに致命的な攻撃を受けたであろう篠崎さんの機体の反応が途絶えました。其の儘では危険と判断した織斑先生が、生徒会長含む私達を派遣したのですが……」

 

「……あの暴走した集合体。私達の攻撃がまるで聞かなかった。まるで水面に砲撃とか攻撃しているみたいだったわ」

 

「……その最中、篠崎さんが復活して現場に到着。共闘を申し上げた所……」

 

「アイツ……『邪魔だ、退け』と言い出したのよ⁉︎ 見るからにボロッボロの状態のクセに‼︎」

 

 その直後であったのだ。8組の生徒達に突如として攻撃されたのだと言う。

 

「私は狙撃されていましたわ。懇切丁寧に全てのビットを撃ち落とされて、両腕両脚を撃ち抜かれた挙句にスラスターを破壊されて撃墜。スナイパーとして矜持がズタボロですわ……」

 

「……私の場合はあろう事か8組の生徒達に四方八方から撃たれ捲ったわ‼︎ 本当に意味が分からなかったわ‼︎ それに……アイツらが使っていた弾。アレ、絶対に普通の弾丸じゃない。

 何かしら特殊な銃弾を使っていたわ。じゃなきゃ、タカが銃弾相手にシールドバリアがあんなにゴリッゴリに削られる筈が無いわ」

 

 生徒会長に至っては会議の時に若菜と一緒に同席していた女子生徒に完封された挙句に冷凍保存か或いは氷像の様な状態にされて墜落させられたと言う。

 

「何だよ……仲間割れ見たいじゃねぇかよ⁉︎ 若菜の奴は何も言わなかったのかよ⁉︎」

 

 同じ学園の仲間同士。敵の前で仲間割れ同然の行動は流石に擁護出来ない上に理解したくは無かった。

 

「少なくとも……止める気は無かったわね」

 

「その件は私からも8組の担任に抗議したのだがな……躱されてしまったよ。結果的に事件は解決したとは言え、今後はこの様な足切りみたいな真似はされては堪らんな」

 

 千冬はそう締め括る。

 

「……やはり篠崎からも事情聴取しなければな。アイツが1番、今回の件について知っているだろうからな。あの『VTシステム』の暴走した機体と1番長く交戦していたからな」

 

 それ以外にもIS学園上空で大暴れと言っても良い程の暴れっぷりを見せつけた。ランドマークタワーを振り回し、成層圏から流星群かと見紛う砲撃を放ち、常識の埒外の機動力を発揮していた。

 世界広しと言えどあの様な規格外の機体は類を見ないだろう。使用制限が設けられる程の規格外の機体性能……恐らくは世界各国から情報開示が求められる事だろう。最も束が応じるとは思えないが。

 

「……そもそもアイツは何故、第3アリーナに居たのよ? その時、第3アリーナは3組しか使って居なかったんでしょ?」

 

 鈴音の素朴な疑問。何故、若菜は第3アリーナに居たのか?

 

「……奴の行動は読めん。そもそも8組の天瓦先生は篠崎の行動を特に制御していない。偶然……と言う可能性もあるがな……」

 

 そもそもこの場に居る誰もが若菜の事を良く知らないのが1番の理由であった。

 

「良く考えなくても俺達、アイツの事を全然知らないよな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほ〜☆ りっくん、お疲れ様〜」

 

 その頃、束の家にて1人の来訪者が訪れていた。束はその人物の来訪を歓迎していた。リビングのテーブルを挟んで座っている。

 薄い青みがかった白いミディアムヘアの髪。耳が髪で隠れており耳の後ろ付近で二つ結びで腰にまで伸ばすと言う男性としてはかなり奇異な髪型。顔も容姿も女の子同然の童顔であるからこそ、許される。そんな容姿の為か若菜からは『女装野郎』と言われる事がある。

 

 リーリス・ハウテハロデ・セレスティェリア。フィウの兄であり『怪盗アルセーヌ』の正体である。

 

「束博士。要件であった『白式』のISコアです。いいえ、大和(・・)と呼んだ方が宜しいでしょうか?」

 

 テーブルの上には『白式』に搭載されていたコア。『大和』が置かれる。

 

「うんうん。キミはちゃあんと分かってるね。詳細はガイアからは聞いているよ。それに……わーくんが、裏で何か暗躍しているっぽいしね〜」

 

 それを見て束は自分の息子が裏で自分以外に隠れて何をしていると話す。

 

「……聞きませんよ。彼が自分から巻き込む時は殆どの場合、無差別に大多数を巻き込む大事件に発展しますからね」

 

「にゃはは〜確かにそれは言えてるかもね〜。普段から皆が挙ってわーくんを巻き込むからね。その意趣返しって奴かも」

 

「それじゃあ、僕はコレにて。まだ他にもやるべき事が沢山ありますので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 裏話:実はフィウがリーリスにIS学園の情報をリークしていた。

オリキャラの設定集とか必要?

  • 主にモデルやモチーフが知りたい
  • 予想が出来る為、必要無い
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