束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

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さて、答えを聞こうじゃないか

 

 

 

「……弟くんっ。身体の具合は大丈夫?」

 

「実験とか確認とか他諸々と称して身体を斬り刻みまくって来た人の言う言葉じゃ無いと思うんだが、姫姉」

 

 第6アリーナの研究室にて、満面の笑みを浮かべた姫舞に対して若菜は心底呆れた様な様子でそうボヤいた。2日間の間、『防腐処理』の効能の確認と言う名の名目で人体実験お付き合いツアーに放り込まれる羽目になったのだ。

 

「電動ドリルで腹をブチ抜いたり、腕や脚をギロチンでぶった斬る所はまだ理解出来るけど、幾らなんでも姫姉のIS、『ベテルギウス』の簡易版とは言え冠罰をブチ込んで来るのは流石にやり過ぎだろ⁉︎ 俺じゃなかったら死んでいたぞ‼︎」

 

 理解が及ばない?彼女が本気になった時の『冠罰』は数日前に若菜がIS学園全土を爆破し第1アリーナを吹き飛ばした『兇星』を上回る被害と範囲を誇る大技と言えば良いだろうか。

 

「切断面が綿状になっていたから大丈夫だねっ♪」

 

 そんな抗議を姫舞は華麗にスルーした。あの、人の話を聞いてください。

 

「……今後はアレをぶち込まれ続けんだろーか」

 

 そう考えると真面目に恐怖でしか無い。やっぱり『防腐処理』は人体実験をやりたがる連中にとって好都合な人体改造なのかも知れない……。

 来て欲しくも無い未来に戦々恐々としつつも研究室を後にするべく扉を開けた時。

 

「若菜。姫舞達に随分と可愛がられたみたいね?」

 

「伽羅さん……冗談でも勘弁してくれやしませんかね? すぐに直る(・・)とは言え、痛いモンは痛いんですから」

 

 怪我した箇所は即座に白い綿状に変化して止血こそするのだが、それでも痛覚は健在。痛いモノは痛い。腹をドリルでぶち抜かれたりノコギリで抉られたりする体験は懲り懲りである。

 

「……その時が来ればあの子達にも『防腐処理』をしておきましょうか。それならば多少、無茶な訓練も可能になるでしょうし」

 

「……………」

 

 そして相変わらずの目を向ける若菜であった。伽羅もいい加減、慣れた模様で特に反応は返さなかった。

 

「……と。積もる話は後にしましょうか。今回の件、良く頑張ったわね。貴方にもちゃんとご褒美を用意しているわ」

 

 伽羅の『頑張った者や苦労した者には報酬と賞賛を』の精神は当然ながら若菜にも向けられる。今回の一件で最も頑張ったのは言うまでもなく若菜である。

 

「……さっそくと言いたい所なのだけど、先に片付けて置きたい要件が出来たのよ」

 

「要件?」

 

「……織斑 千冬が今回の一件に関しての事情聴取をしたくて五月蝿いのよ。貴方が倒したOVTが搭載された『打鉄』の集合体の件に関してでしょうね」

 

「ああ……成程」

 

「貴方の機体に関しての質問は禁則事項として通達はしているから聞き出す事は認められないから其処は安心してちょうだい。最も織斑 千冬がそれを破ったら……8組全員を自主退学させて全員でエストレヤへ移住しましょうか」

 

 さりげなくトンデモ発言を言い出した。あの……この人は何を言っているんだ?

 

「ん⁉︎ 伽羅さん、俺達は元々その算段ですが……黒糖達も連れて行くんですか?」

 

「ええ、まだまだヒヨッコ同然だけど……私の目に狂いは無かったわぁ。磨いて、鍛えれば……きっと、自分の『人生』を見つけられる筈だから」

 

「……家族とかの問題は?」

 

「ううん。あの子達に家族は居ない。いや、居た……かな。此処まで言えば君は分かるでしょう?」

 

「……予想はしていましたが、やはり……其処の点を条件に選別していましたか」

 

 深くは詮索はしない。その情報だけで凡そ察する事が出来た。

 

「うん。あ、仮に移住した際のあの子達の生活費に関してはあの子達から身体で払って貰いなよ。そう言う意味でも悪くない取引だと思うよ?」

 

「勘弁してくれませんかね? そう言う提案は医療関係者連中だけの専売特許にしてください」

 

 下世話過ぎる。その一言に尽きた。なんて物騒な事を言うんだ、この人は。その時はちゃんとしたバイト先なり、ストライカーの仕事を斡旋しておこう。

 

「……取り敢えず、その事情聴取とらの後に俺もちょいと要件がありますので今日明日は欠席します」

 

「うん? また、私達に隠れて何か暗躍するつもりなの?」

 

 暗躍する事は確定事項らしい。まぁ、確かに誰にも内緒で暗躍はしているのは事実だし。

 

「まぁ、そんな所です。エストレヤのレーキュ(クソヤロー)や十蔵寺に要件がありますので……」

 

「ふぅん、分かった。その様に事務処理はしておくよ。船着場で待っているから織斑の要件を手早く終わらせて来な。

 で、君が明後日に登校した時にご褒美を渡す様にしようかな。ふふ、きっと驚くから期待しておきなさいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伽羅と別れた後、織斑 千冬が待つと言う談話室へと向かった。

 

「来たか、篠崎。まぁ、座れ」

 

「どーも、シグルドリーヴァ殿」

 

「その呼び名は金輪際止めろ、馬鹿者」

 

 軽口に対して千冬は溜息を吐きながら怒る。

 

「さて……『VTシステム』による暴走した件について色々聞きたい。率先して鎮圧してくれた事に関しては感謝はしている……二次被害は酷過ぎたがな」

 

「そりゃどうも。で?根幹部のシステムの出所を知りたいのですか?」

 

 根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だ。故に此処で話の主導権を握って余計な事は有耶無耶にするに限る。

 

「…………。第1容疑であった『白式』や『打鉄』の開発元である倉持技研から何一つ、証拠らしい証拠は出なかった。ソレが分かるなら苦労はしない」

 

 まぁ、フィーリリアが倉持技研のデータベースをクラックした結果、何も出て来なかったからな。倉持技研は完全に被害者と思われる。

 

「じゃあ、本人から聞きゃあ良いでしょう」

 

「何……それはどう言う意味だ?」

 

「……そのシステムが搭載された『打鉄』のISコアに直接聞けば良い。搭載した奴の顔くらい見ているでしょうから。その件、俺も気になっているからな」

 

「待て……‼︎ 篠崎、お前は……コアと対話が出来るのか⁉︎」

 

「ああ、出来る。ISコア・ネットワークを介して色んなコアの意識が騒いで来ますから。中には会話する気無い奴もいますが」

 

「……‼︎ まさか、専用機のコアも……⁉︎」

 

「『白式』に搭載されていたコアに関しては知りませんね。アレは引き篭もりだから今までコア・ネットワークに出て来る事は無かった」

 

 先手を打っておく。現時点では既に束の手元にあるだろう。此処で悟られるのは得策では無い。

 

「そ、そうか。それで……VTシステムが搭載されていた『打鉄』のISコアに話が出来る。と、見て良いのか?」

 

「ああ……今、この場で聞いてやりますよ。邪魔は無用でお願いします」

 

 そう言い暝目して件の要件コアに対して対話を試みる。

 

「ああ……終わったら言ってくれ」

 

 数日前の『OVTシステム』の件なんだが……アレは何処から……あん? ふむ……3組の担任教師?……また変な謎が出て来たな。

 っておい、ノリノリで乗っかってたのかよ。俺と本気と戦いたかった? まぁ……地球上じゃあ、余程の事か絶対天敵とか湧いて来ねぇ限り完全展開する機会はほぼ無いからな。

 

「成程……」

 

 其処で若菜は目を開いた。

 

「対話出来たのか?コア達は何と言っていたんだ?」

 

「統括すると『3組担任教師が搭載して来た』と、言っていましたね。4人とも同じ意見だったので先ず間違いないでしょう」

 

「3組の教員が VTシステムを仕組んだ……。状況的にも充分考え得る……‼︎ ただ、如何やって手に入れた……?」

 

 千冬はそう思案する。教員の中に良からぬ事を企てる者が存在していたのは残念でならないが、あり得ない話では無い。女尊男卑の最中な上にISライセンスの取得に失敗しての腹癒せと言う線も捨て切れない。教員であろうともライセンス試験に合格出来た者は殆ど居ないからだ。

 

「後で3組の教員に問い詰めておこう。どう言う思惑で生徒達を危険な目に遭わせたのか……」

 

「もう良いすかね? この後にも急用があるもんで」

 

「あの天瓦先生の教育課程は過密スケジュールなのか?」

 

 良い具合に誤認している様だ。ならば乗っかっておこう。

 

「まぁそんな所です」

 

「……本当はお前の専用機の云々を聞きたいのだが、天瓦先生や束から差し止められているからな……反故にすれば、学園内のコアを停止させられるわ、自主退学させられる羽目になる」

 

 ああ、IS学園は確かライセンス取得者が一定数現れないと廃校の危機に瀕していたな。その頭数に俺とシノアも加えて計算してんのかね。

 

「……取り敢えず VTシステムの出所が掴めそうな点は有益な情報には感謝する。……ただ、次はもう少し暴れる際は控えめで頼む。アリーナとかランドマークタワーをついでと言わんばかりに破壊するな」

 

「ならば俺が出しゃばって来る様な状況を作らないで頂きたい」

 

 それは暗に千冬に対して『俺達を戦力として数えるな。数えるならば被害を覚悟しろ』と宣告した。千冬から見て若菜はまず間違いなくIS学園で最高戦力と言っても過言では無い。

 生徒会長や代表候補生が歯が立たない相手に有効打を与えられるからだ。

 

「……事件と言うのは交通事故みたいに突然、発生するモノだ」

 

「言い得て妙ですね。ならば各自対応出来る様に教育した方が良いですよ。自分の身くらい、自分で守れる様に」

 

 若菜はそう千冬に言い残して談話室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、若菜。おかえり、何、仮病?」

 

 伽羅に船で送迎されIS学園から久し振りの自宅へと帰宅した。玄関口を開けるや否やユリエがリビングで棒アイスを口に咥えながらそう言ってきた。

 

「ユリエこそ、何で居るんだ?」

 

「んくっ。定期考査で午前中で終わったからよ。そう言うアンタこそ、こんな辺鄙な時間に帰って来たのよ?」

 

 棒アイスを齧り咀嚼し飲み込んでユリエはそう答えた。ユリエは近所の公立校に通っている。勿論、束の娘と言う事実は伏せて通っている。確実に騒動に発展するからだ。

 

「色々立て込んでいるんだよ。ユリエ、リーリスのアホから『白式』に搭載されていたコアは何処に安置されているか知っているか?」

 

「あー、一昨日辺りにリーリスが来てお母様に渡したみたいね。それ案件?」

 

「それもある。他にも今日中にエストレヤへ発つ。十蔵寺とレーキュ(クソヤロー)に直に会う必要のある要件があるからな」

 

「ふぅん、暇だから私も着いて行って良い?」

 

 残りの部分を食べ終わり棒に書かれた『当たり』の文字を見て笑みを浮かべた後にユリエはそう言って来た。

 

「定期考査とか言ってなかったか?」

 

「ソレは今日までよ。定期考査終われば後はどうでも良いわ。学校には適当に家庭の事情で欠席しとくから安心しなさい」

 

「自由かよ……」

 

 この家庭は自由人ばっかりだ。人の事は全く言えないのだが……。かく言う母上も自由人だし、親が親なら子も子か……。

 

「良いじゃない、偶には私ともデートしなさい。学内デートとかも乙じゃない?」

 

「……行く所はデート向きじゃねぇだろ」

 

 だって馬鹿と阿保しか居ない場所だぞ?明らかに選択を間違えている。

 

「だったらデート向きな場所を考えて置きなさい。アンタの要件が終わったら声を掛けなさいよ。……勝手に1人で行ったら、追い掛けてぶった斬るわよ」

 

「何処を⁉︎ 何処をぶった斬るつもりなんだよ⁉︎」

 

 そして、俺が知っている女子は皆、何処かしらヤバい連中しか居ない気がする。え?今更……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリキャラの設定集とか必要?

  • 主にモデルやモチーフが知りたい
  • 予想が出来る為、必要無い
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