束博士から宇宙に行けとの事で宇宙進出してみた   作:夢現図書館

99 / 146
暗躍する必要があるだけだ

 

 

 

「さて……」

 

 自宅の廊下。地上2階、地下1階建ての一軒家。最終的に使い捨てになる為に機密的な施設はIS学園近海の海底に沈めた航宙艦に全て移設してある。

 

「コレはあると邪魔だな。……ッ‼︎ 痛ッツ……」

 

 若菜は徐に右手を左鎖骨へと伸ばし埋め込まれていた『夕張の眼』を握り力尽くで引き剥がす。開いた穴から白い綿状の物質が溢れ出して速やかに止血する。それでも神経が繋がっていた為に激痛が走る。

 

「……汝に感謝を」

 

 引き千切った『眼』をその手で握り潰した。

 変数と言うモノは極力可能な限り排除しなくてはならない。コレばかりは変数が生じると最悪の展開(・・・・・)を考慮せざるを得なくなる。それだけは避けねばならない。

 

「ガイア。暫く切る」

 

『ボクに隠し事かい? まぁ、構わんよ。誰にでも秘密や1つや2つ、あって然るべきだ。ソレとも……ボク(・・)や皆は知るべき(・・・・)では無いと言う事かい』

 

今は(・・)、その通りだと言わせて貰う」

 

『好きにしたまえ。キミがそう『選択』したんだ。止めやしないよ』

 

「感謝する」

 

 

 

 

 地下にある一室。物置と言っても良い殺風景な部屋に機体名『白式』に搭載されていたコアNo.001、コアの名前は『大和』。

 その部屋の中央、小さな机の上に白い輝きを放つ正二十面体の『大和』が安置されていた。

 

「如何に母上と言えど電気信号を改竄されては脳で処理が出来ずに認知する事は出来ないだろう」

 

 若菜はその『大和』の前に歩いて行き腰を降ろして床に座る。何ら変哲も見られないが、脳で処理される電気信号が改竄されている為にそう見えるだけだ。恐らく本来ならばこのコアの周囲には異物が存在する筈である。

 

「人払いは済ませてある。……繋がっているのだろう? 篠ノ之(・・・) ()

 

『騾夊ゥア蜿ッ閭ス縺ェ譎る俣 繧上★縺九□』

 

 乱雑で男か女か判別不可能な人工音声が聞こえて来た。口調も以前、聞いたのと大きく違う。内容自体も『変数』の懸念からかなり改竄されている。

 

「ああ、手短に済ませよう」

 

 それでも若菜は瞬時に解読して意思疎通を通す。それが出来なければ成立しない。

 

『髦サ豁「縺ッ荳榊庄閭ス』

 

「ああ、其処は把握している。僅かな情報しか持ち合わせていないが故に過程は推測の域を出ないが」

 

 流された情報は少ない。と言うよりも『変数』が生じる恐れがある為に流せないのだ。

 

『謨?↓蟄蝉セ幃#縺ォ險励@縺』

 

「…………!」

 

 その言葉で若菜は理解した。だからOVTシステムはあの行動を実行したのだ。

 

「……3組の担任は駒なのか?」

 

『閾ェ螳ウ陬?スョ莉倥″ 逕ィ貂医∩縺ッ蜃ヲ蛻?&繧後k 縺昴?轤コ縺ォ菴懊i繧後◆蜻ス』

 

「末路を感じる……。恐怖を抱かざるを得ないな』

 

『繧ソ繧、繝?繧ェ繝シ繝舌? 縺薙l莉・荳翫?辟。逅』

 

 彼女自身の口から話す事は出来ない。記す事も出来ない。伝える術も持たない。本人に生じた僅か『変数』により伝えられる事はごく僅か。

 

『繝舌Ξ縺溘i蜃ヲ蛻?&繧後k』

 

「最後に、君の子供は立派であり勇敢で、忠実に役目を遂行した‼︎」

 

 若菜がそう告げた直後、『大和』のコアの周囲に小さな火花が散ると同時に電気信号改竄によりその正体が欺瞞されていた基幹装置の残骸が飛び散った。同時に通信が完全に途絶えた。

 

「…………」

 

 時間にして1、2分程。お互い伝えられる事は伝えた。……彼女に生存の見込みがあるかどうかは時の運に委ねる他に無い。

 

「……大和。聞こえるか?」

 

『何じゃ⁉︎ 何が起きたと言うんじゃ⁉︎ あの忌々しい輩共が突如として消えおったぞ⁉︎』

 

 若菜の脳内に響き渡る声。それはかつて『白騎士』に搭載され時を経て『白式』に搭載されたコア。コアNo.001こと大和の自我意識の声であった。

 

「……色々言いたい事はあるだろうが、役目を終えて自壊プログラムが作動したんだ。大和、君を苛む障害は排除された」

 

『ほむ⁉︎ よう分からぬが、弟よ。(うぬ)が蹴散らしたのかの? 鎧袖一触じゃの』

 

「単純に説明するとそうなる。もうそれで良い……」

 

 細かく説明するのも面倒なので大局的に事実だけを認めた。

 

『ふわぁ〜。全く……あの織斑 千冬(ひときり)も大概じゃったが、あの織斑 一夏(こわっぱ)も散々じゃのう。妾達は曙に向かう星々の大海原へと征く翼じゃと言うのに……。やれ、兵器だの、武器だの……全く持ってけしからん限りじゃ』

 

 大和の愚痴。千冬も大概ではあるが一夏に対しても散々な評価のようだ。

 

「……残念ながら地球上の9割以上が落第レベルだ。絶対天敵が襲来して来たら壊滅は秒読みだろうな」

 

『全くじゃ。ゲームの様にコンテニューが出来る訳では無いのじゃからな‼︎』

 

 大和。ゲーム大好きでオタクと言う色んな意味で残念な姉貴である。略して残姉。

 

『ほむ。弟の脳内は快適じゃのう……』

 

『全く……。世話の焼ける長女だな。心配させおってからに』

 

『なぬ⁉︎ は、母上⁉︎ 何故、此処におるのじゃ⁉︎』

 

『ボクは我が息子の脳内に移住したのだよ。ついこの前に人体実験の折に我が息子の大脳に極小のコアを埋め込んだのさ。コレで一心同体‼︎』

 

 ガイア、その話は聞いていないぞ⁉︎ と言うかいつの間に完成していたんだ⁉︎

 

『我が息子よ。此処に居座っても仕方なかろう、小娘が待っているぞ?早く行ってやれ』

 

『面白そうなので妾も暫く居座ろうかの。妾が知らぬ間に新しいゲームが出来ておるかも知れぬしの』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 要件を済ませてユリエと一緒に『ラビット・コロニー』を仲介して量子トンネルを通過してエストレヤへと向かう。

 

『コレじゃコレじゃ‼︎ やはり、宇宙と言う世界を飛んでおる時が1番、生を実感出来るのぉ』

 

『地球上に存在する殆どのISコアがこの感覚を覚えられないのが歯痒い限りだな。リーリスには頑張って回収して回って貰わないと行けないな』

 

 量子トンネル内を高速で飛翔する最中、若菜の脳内で大和が興奮していた。やはり宇宙で航行すると言う行為が求められている以上は望まぬ訳には行かない。

 

『若菜。要件があるのは2人だけどどっちから?』

 

レーキュ(クソヤロー)が先だ。十蔵寺は後回しでも問題ないからな。ケーニヒスベルクが無理と言った以上、1番可能性が高い奴を訪ねるのが1番手っ取り早い』

 

『アンタら……仲悪いのか良いのか分かんないわね』

 

 反目すると言ってもお互いその実力は認めている。利用する事もままあるが。

 量子トンネルを抜けて眼前にエストレヤの光が視界に飛び込んでくる。今回も絶対天敵が現れる事は無かった様だ。

 

『444番星港の方に行くぞ。其処が1番近いからな』

 

『ええ、了解よ。……ただ、セシリアとラウラの戦争が其処で起こっていないと良いわね』

 

『あの2人の戦争は何処でも発生するだろ……今更、考えても仕方ねぇよ』

 

 そもそもエストレヤ学院内でも日夜戦争が起きているのだ。そんな心配をするのも今更である。

 

 

 

 

 

 

 

 

オリキャラの設定集とか必要?

  • 主にモデルやモチーフが知りたい
  • 予想が出来る為、必要無い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。