ウマ娘〜想いを背負って繋いで〜   作:にゃんころもち(黒糖)

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29話〜休む者、進む者〜

 

 菊花賞翌週。

 10月31日。

 東京レース場にて行われた秋の天皇賞に出走したダイワメジャー。

 

 競い合うのは昨年の皐月賞でネオユニヴァースと最後の直線で競り合うも、惜しくもアタマ差で破れたサクラプレジデント。

 

 今年の桜花賞を制したダンスインザムード。

 

 春の天皇賞にてダイタクバートラムやダンツフレームに勝利。

 続けて宝塚記念ではタップダンスシチーやネオユニヴァース、シンボリクリスエスを下して勝利するもその年の秋に右足の繋靭帯炎を発症し、1年の療養を経て今回の秋天で復帰となったヒシミラクル。

 

 トリプルティアラを目指し、桜花賞、オークス、秋華賞に出るも届かず。

 それでも勝利を目指して走るアドマイヤグルーヴ。

 

 この4人の他にも12人のライバルがダイワメジャーと競った秋の天皇賞。

 

 その結果は……

 

『やったゼンノロブロイ! やったついに決めたGⅠ勝利ー!!』

 

 ゼンノロブロイが1番人気に応え、昨年9月の神戸新聞杯以来1年ぶりの勝利を収めた。

 勝ちタイムは1分58秒9。

 2着のダンスインザムードととは1バ身と1/4差をつけての勝利となった。

 

 18人のウマ娘が駆け抜けた2000m。

 

 そのレースでのダイワメジャーの結果は……

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……クッソ。チクショウッ」

 

 彼女の番号は掲示板に載らなかった。

 彼女の順位は17着。

 17人が走っての17着。

 そしてタイムは2分2秒9と、1着のゼンノロブロイと4秒差でのゴール。

 

 17人中14人がシニアクラスのウマ娘とはいえ、皐月賞ウマ娘の走りとは思えないレース。

 その姿にファンは心配そうに視線を向けていた。

 

 

 

 そしてレース後。

 いつもならファンに自走への意気込みだったりを言っていた彼女だが、今回はそれをする余裕は無く、ただ軽く手を振るだけが精一杯だった。

 

 そして控室に戻った彼女は

 

「ほら……」

 

 トレーナーの雅弘から酸素スプレーを受け取ると椅子に座り、酸素を吸っている。

 

「メジャー……」

 

 控室に入るなり一気に疲労を見せたメジャー。

 レース後にファンに見せた姿でも、ギリギリ踏ん張っていた姿だったのだ。

 

「メジャー……」

 

 もう一度彼女の名を言う。

 こんな苦しそうにするのなら無理やりにでも出走を止めるべきだった。

 そう思ってしまう雅弘。

 だが

 

「……ふぅ。それじゃあ今度は、トレーナーとの約束を守る番だね」

 

 メジャーは顔を上げて、笑って見せた。

 

 

 

 その頃、トレセン学園では……

 

「も、もう上がりましょうよ師匠〜ッ!」

 

「ハアァァァァァッ!!」

 

 練習用コースを走り続けるハーツにヘトヘトな様子のワンアンドオンリーが言うが、相手はやめる様子を見せない。

 

「師匠〜ッ!」

 

 何度目か分からないほど呼びかけるとやっと足を止めるハーツ。

 だが

 

「帰りたいなら先に帰れ。オレはまだやる」

 

 そう言って再び走り出してしまった。

 菊花賞での敗北後、何かに取り憑かれたかのように激しいトレーニングをするようになったハーツ。

 

 今も両脚に負荷をかけるためにアンクレット型の重しを着けて走っている。

 

 時々水分を補給して、すぐにトレーニングに戻る。

 明らかに疲労は限界を迎えている。

 現に疲労の色は顔に出ており、滴る汗は止まる気配が無い。

 

「師匠〜ッ!」

 

「おいハーツ! そろそろ上がれ! これ以上は消耗するだけだ! なんの実にもならねぇぞ! おいハーツ!」

 

 オンリーと文三が言うがハーツは止まらない。

 

(クソッ。クソッ……クソクソクソッ!)

 

 そんな彼女の目に映るのは自分の前を走るキングの幻影。

 その幻影が見せる背中。

 追いつきたい背中。

 追い越したい背中。

 

(待て、待てよ……オレは)

 

 疲労が限界に達した脚がもつれ、そのまま芝の上に転ぶハーツ。

 するとキングの幻影は走るのをやめてハーツの方を見る。

 

 なんだ、その程度なのか。

 私に追いつけないのか。

 そう言うような目でハーツを見る幻影は、吹き抜けた風にかき消されるように消える。

 

(お前を……必ずお前を超えてみせる……)

 

 超えてくれと、言われたから……

 

 

 

「おいハーツ! なんだあれは! なんのためにメニュー組んでると思っている!」

 

 部室に戻ったハーツを待っていたのは、文三の説教だった。

 だが

 

「うるせぇよ」

 

 そう言うだけ言うとハーツは自分の荷物を持ってさっさと出て行こうとする。

 そんな彼女の肩に手を置いて引き留める文三。

 

「おい待て! 何をそんなに焦っている」

 

 すると

 

「焦る? ハッ! オレはもう負けちゃいけねぇんだ。あぁそうだ……もう、負けられねぇんだよ」

 

 闘志とは違う、それでいて勝ちを望む感情を宿した目で文三を見るハーツ。

 その目に思わず手を離した文三にハーツは言う。

 

「オレは負けない。負けられないんだ……」

 

 そのままフラフラと、まるで幽鬼のように部屋を出て行ってしまった。

 

「あいつ……何が……」

 

 キングとのやり取りを知らない文三としては、突然の変化に戸惑うばかりかのだった。

 

 

 

 翌週の日曜日である11月7日。

 メジャーは生徒会室を訪ねていた。

 

「珍しいね。君が来るなんて」

 

「用があればどこへでも行きますって」

 

 ソファーに座り、シンボリルドルフが淹れた紅茶を飲むメジャー。

 

「それで用件は、って聞くまでもないか」

 

「まぁ、ね。しばらくレースは休む事にしたよ」

 

「……やはり、喉かい?」

 

 ルドルフの問いにメジャーは無言にて肯定する。

 

「そうか……ダービーウマ娘に続いて皐月賞ウマ娘も離脱とは。痛いね」

 

「私の場合はまず治療だけどね。その後の経過次第で復帰かどうかを決める……もう、ファンをがっかりさせたくはないからね」

 

「……そうか」

 

 とあるネットのコメントにあったダメジャーという一言。

 それをルドルフも目にしていた。

 

「夏の内に治療すべきだったのかもねとも思うよ。でも、時計の針は戻せないからさ……」

 

 喉の不調が出た時。

 あの時すぐに治療をしていたら未来は変わっていたのだろうか、と。

 

「後悔はしているよ。でも……」

 

 手術が怖かったのかもしれない、と迷っているかのようにメジャーは言う。

 喘鳴症の手術は簡単と言われている。

 ただ術後、症状が完全に治ったとしても発症前のパフォーマンスに戻る例は非常に稀。

 ゴールドアリュールやある年のダービーウマ娘であるタニノムーティエ、メジャーの姉であるスリリングサンデーも患い、前者2名はそれが原因で引退している。

 

 一流ウマ娘でも引退する喘鳴症。

 一応、トゥインクル・シリーズを運営するURAや学園から手術等の際に補助が出るので彼女が手術を受けるのは簡単だ。

 

 だが彼女が迷っているのは術後の事だ。

 先にも言ったように、手術をすれば治りはする。

 だが、治ったからといって発症前のパフォーマンスに戻る可能性は低い。

 

 とある医者の言葉では、手術後に競争能力が戻るのは1割か2割程度と言われている。

 これは競争能力が戻る確率であって、発症前のパフォーマンスが戻る確率ではない。

 

 そもそもここに来る前。

 秋天の後に彼女は一度検査を受けに行っていた。

 その際に聞かされた検査の結果。

 医師曰く、症状を5段階で表したら4から5。

 正常時の6割から7割しか空気を吸えていない。

 むしろこの体でよく走れたな。

 というものだった。

 

 これでも日常生活を送るのには問題は無い。

 激しい運動をしなければ平気だろう。

 ただ、手術をすれば治す事はできる。

 だがここまで症状が悪化しているとなると、治っても走れるようになる保証はできない。

 そう言われたのだ。

 

 その話を一緒に聞いた雅弘は引退も視野に入れ、メジャーと話した。

 その話の時にメジャーは少し考えたいと言い、雅弘もゆっくり考えてくれと言ったそうだ。

 

 そして今日に至り、彼女はルドルフと話をしているのだが……

 

「結局私は、治っても戻ってもファンの声援に応えられるかが怖いんだろうね」

 

 ゴール後の心配そうに自分を見るファン。

 勝った姿を見せて喜ばせてあげたいのに、真逆の事をさせてしまう。

 それがとてつもなく恐ろしい。

 そう思うメジャーにルドルフは口を開いてこう言った。

 

勇往邁進(ゆうおうまいしん)だよ」

 

 勇往邁進とは目標に向かって一心に突き進むという意味のことわざである。

 

「……え?」

 

「私から言えるのはそれだけだ。それと、私に意見を求めくて来たのであればそれは間違いだよ。メジャー」

 

 生徒会長の椅子に座り、デスクの上で手を組んでルドルフは言う。

 

「確かに、いろいろな相談は受ける。でも、その事に私から言える事は何も無い。だってそうだろう。もし私が、手術を受けた方が良いと言ったら君はどうする? 受けるのかい? 受けないにしてもきっとその会話が君の中で影響を及ぼすだろう」

 

 そんな事は無い、と言いかけてメジャーは言葉を飲む。

 

「つまりはそういう事だ」

 

 メジャーはルドルフに決めてもらいたかったのだ。

 受けるか受けないかを。

 相談ではない。

 選択を委ねようとした。

 

 そうすれば楽だから。

 皇帝ルドルフが手術を勧めたから、ルドルフが引退を勧めたから。

 だからこうしようそうしよう、と。

 

 だがそれは

 

「間違いではないと思うがね」

 

 ルドルフは肯定もした。

 

「君はファンのために応えようと懸命に頑張った。だからこそ、誰かに頼りたくもなったのだろう。それが今日の今だった。だが、頼る相手を間違えているんじゃないかな」

 

 そうだ。

 メジャーが今頼るべきなのはルドルフではない。

 

「何のための、トレーナーなんだい?」

 

「は、ははっ……」

 

 そうだ。

 そうだ。

 なんのためのトレーナーだとメジャーは確かにと思った。

 

「……おや、行くのかい?」

 

「まぁね。大事な用ができたから。お茶、美味しかったよ」

 

 そう言ってソファーから立ち上がるメジャーに、ルドルフは言う。

 

「あぁそれと。もし私が何か言って、それがきっかけで君が手術を受ける受けないを決めるのだとしたら……」

 

 スッと、ルドルフの雰囲気が変わる。

 その変化に思わず振り返ったメジャーに、ルドルフはこう告げる。

 

中央(ここ)無礼(なめ)るなよ。みなここで、夢を叶えるため必死に戦っている」

 

 ルドルフの迫力に、メジャーは思わず後ずさる。

 もし他人の意見で手術を受けるのなら、その程度の熱量の者がライバル達に敵うと思うな。

 受けないのなら、その程度の熱量の者は初めからレースに出るべきではない。

 そう受け取ったメジャーは

 

「は、ははっ……良いねぇ」

 

 笑みを浮かべていた。

 それも、目を若干見開いて、牙を剥くような笑み。

 

「決めたよ生徒会長。今決めた。私は手術を受ける。あなたの言葉とかそんなん関係無い。私が見たい景色が今見えた!」

 

 両腕を左右に広げて彼女は言う。

 

「このザマに成り果てた私が、再びGⅠを取る様を! ファンに! トレーナーに! 日本中に届ける! そんな私を見るみんなを、その光景を見たい! だから」

 

 ルドルフをまっすぐ見て言う。

 

「見ていてよ皇帝。私が再び返り咲く所を……皐月賞ウマ娘の私が復活する様を!」

 

 そう宣言するメジャーを見るルドルフの口元は、かすかを笑っていた。

 

 

 

 その後部室に戻ったメジャーは雅弘に手術を受ける事を伝えると、雅弘は雅弘でお前がそう決めたのならと受け入れるのだった。

 

 

 

 そして翌日。

 メジャーは練習用コース横の芝でゴロンと横になって日向ぼっこをしていた。

 そんな彼女の前をハーツが駆け抜ける。

 

 ハーツの次走は11月28日に予定されているジャパンカップ。

 東京レース場で行われる芝2400mのGⅠレース。

 それも海外からウマ娘を招待して行う国際レースである。

 カツラギエースやルドルフが勝ったレースでもあり、オグリキャップとタマモクロスが敗れたレースでもあるジャパンカップ。

 かつてエルコンドルパサーを凱旋門賞で破ったモンジューを、日本総大将スペシャルウィークが撃破したレース。

 世紀末覇王として覚醒したテイエムオペラオーが打ち立てた年間全勝の内のひとつ。

 そしてそのオペラオーをジャングルポケットが下したレースである。

 

 それにハーツは出るのだ。

 彼女だけではない。

 コスモバルクやデルタブルースも次走はジャパンカップとしており、秋の天皇賞で勝ったゼンノロブロイも次走としている。

 

 そんなジャパンカップの記録だが、オグリと競い合ったフォークインというウマ娘が打ち立てた2分22秒2。

 一応ジャングルポケットが優勝した翌年に、海外のウマ娘が2分12秒2の記録を出したが、その時は東京レース場が改修工事中だったので中山レース場で距離2200mで行われている。

 そのため、2400mのジャパンカップの記録としてはフォークインの記録がレコードとして扱われている。

 

 そして東京レース場で距離2400mといえばダービーと同じ距離。

 ハーツはこのレースで、キングカメハメハがダービーで出した2分23秒3を超える事で彼女を越えようと考えていたのだ。

 

 そんな彼女に

 

「頑張ってるね〜」

 

 と、日向ぼっこ中のメジャーが声をかけた。

 

「……あ?」

 

「いやいや、そんな睨まないでよ」

 

 体を起こし、立ち止まったハーツに返すメジャー。

 

「この前の菊花賞は残念だったね。でも、かっこよかったよ」

 

「……んな事話すために声かけたのか?」

 

「まぁまぁそんな怒んないでよ。あ、聞いたよ? 次はジャパンカップなんだってね。頑張ってね」

 

「……お前は出ねぇのか?」

 

「ん? 私? 私は……」

 

 皐月賞ウマ娘でダービーにも出たメジャー。

 喉の事はあれど症状がどれほどなのかを知らないハーツはそう尋ねてしまう。

 その問いにメジャーは

 

「出ないよ」

 

 軽い調子で返した。

 

「喉がもう限界でね。一旦お休み。手術して治してもらってくるよ」

 

「……冗談のつもりなら笑えな」

 

「真面目だよ。この前の秋天、見なかった? 私のあの走り。到底、シニアでは通用しない走りだったよ」

 

 秋天はハーツはジャパンカップに向けて激しいトレーニングをしていたため見ていないので、メジャーがどんな走りをしたのかを知らなかったのだ。

 

「……悪い。そんなに悪いのか」

 

 見ていない事の謝罪と相手の現状についての問いにメジャーは

 

「まぁ、ね。普通に暮らす分には平気なんだけど」

 

 と明るく返す。

 が

 

「でも、レースに出るには治さないともう無理って言われたからさ。だから」

 

 芝から立ち上がってハーツに言う。

 

「私はしばらく休むよ」

 

 休む、という事は戻る気があるのだと読み取ったハーツ。

 だが彼女もウマ娘。

 喉鳴りこと喘鳴症の事は知っている。

 もちろん、治っても今まで通りの走りができるとは限らない事も。

 

 それが顔に出ていたのだろう。

 メジャーは

 

「大丈夫。私は必ず戻るから」

 

 強い決意を感じさせる口調で言う。

 

「大丈夫。必ず戻る。それも、もっと強くなって戻る。もうダメジャーなんて言わせない。流石は皐月賞ウマ娘ダイワメジャーだって言わせてみせる。必ず」

 

 母と姉が成せなかったクラシックタイトル獲得。

 シニアでも活躍してみせる。

 

「それに、夢もあるからね」

 

 夢とは妹であるダイワスカーレットと共にレースで走る事。

 その夢を叶えるためにも必ず戻ると、彼女の勝負服の青のように、晴れた青空を思わせる笑顔で言うメジャー。

 

「私は必ず、戻る。喉鳴りなんかに負けない。勝つよ」

 

 そう宣言するように言うメジャーに、ハーツは思わず尋ねる。

 

「なんでそんな事を言えるんだ?」

 

 と。

 未来なんて分からないのに。

 もしかしたら復帰できないかもしれないのに。

 その問いにメジャーはこう返す。

 

「だって、楽しい未来の方が良いじゃん」

 

 未来がどうなるかなんて分からない。

 だったら楽しい事を考えた方が気が楽になるとメジャーは言う。

 

「だから私は、喉も治ってレースに戻れるって信じてる。なにより、その方が私は楽しいから。楽しくない事を考えるより、楽しい事を考えた方が良いでしょ」

 

 と、笑顔で言う。

 その言葉にハーツは

 

(楽しい事を、か……)

 

 と思うのだった。

 

 

 

(楽しい事……)

 

 日は経って11月17日の土曜日。

 ハーツは気分が乗らないと言って練習を切り上げ、学園外に散歩に出ていた。

 

 メジャーに言われて以来、楽しい未来について考えるようになったハーツ。

 

(そういや小さい頃はそうだったよな……)

 

 思い出すのは小さい頃に描いていた夢。

 漠然とした、なれるかも分からない夢を叶えられると無邪気に信じていたあの頃の事。

 

 確かにあの時は楽しかった。

 友人と将来は何になるのかを話したり、ごっこ遊びでそれをやってみたり。

 思い出せばそれはメジャーが言っていた事と同じなのだろう。

 

(……夢、か)

 

 クラシック三冠は叶わなかった。

 なら次は何を夢とするか。

 キングに託された、彼女を超える事だろうか。

 テイエムオペラオーしか達成できていない、秋の天皇賞、ジャパンカップ、有マ記念の秋シニア三冠もあるし、同じくテイエムオペラオーが達成したシニアクラス年間全勝もある。

 なんなら凱旋門賞も……

 

 そう思った時だった。

 

 

 

『速報です。皐月賞ウマ娘のダイワメジャーさんが喘鳴症を理由に当面の間休養すると発表いたしました。また喘鳴症の治療について、近い内に手術を受けると発表されました。繰り返します。皐月賞ウマ娘のダイワメジャーさんが……』

 

 駅前の街頭テレビでメジャーの事が速報として流されていた。

 

(ハハッ。流石は皐月賞ウマ娘。話題になるねぇ)

 

 画面を見上げてそう思いつつ、歩き出すハーツ。

 

(……待ってるからな。メジャー。必ず、帰って来いよ)

 

 まずは目の前に迫ったジャパンカップ。

 それに集中しようと思ったちょうどその時、街頭テレビの内容がジャパンカップ関連に切り替わる。

 海外から招待されたウマ娘が来日したという内容だ。

 

 今回の招待人数は5人。

 フランス、イギリスから2名ずつ。

 アイルランドから1名。

 

 もちろん全員勝つ気満々である。

 

(……世界のウマ娘と走れる貴重な機会)

 

 そこで何かを学び取って成長に活かす。

 必ず……

 

(あぁ、分かってるよ……)

 

 だって

 

(オレがアンタを超えるんだからな……)

 

 目指すのはキング。

 彼女を超える事なのだから。

 

 

 

 メジャーから言われた事。

 楽しい事を考えた方が楽になる。

 だがそれで解放されるほど、背負ってしまった物は軽くはなかった。




お読みくださり、ありがとうございます。

果たして、メジャーは戻って来れるのか……

次回もお楽しみに!
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