東方冒険録   作:らずべる

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何故かいつもより長いのにいつもより早い更新です。
今回は守谷神社に着いたとこからです。
それでは本編へどうぞ。
前回のあらすじ…山登りして文に盗撮されかけた。



第五章 妖怪の山 後編

神無月五日午一時 守矢神社 境内

 

「ここが守矢神社ね」

 

守矢神社への階段を登りながら波音は呟いた。

 

「あら、こんにちは」

 

「こんにちは、早苗さん」

 

階段を登りきると境内を掃除していた早苗に声を掛けられた。

 

「あれ?何で私の名前を知ってるんですか?

はっ!さては貴女最近噂の波音さんですね!」

 

「えぇ、はじめまして。

確か早苗さんも少し前まで外の世界に居たんですよね?」

 

「そうですよ。5年位前に幻想郷に来たんです。

あっ!外の世界って今どうなってるんですか?

少しだけ気になります」

 

「外の世界ですか?5年前からあまり変わってない気がしますけど…

あっ、そうだ!スマホっていう携帯電話が出来たんですよ!」

 

そう言って波音はポケットの中から波音のスマホを取り出した。

 

「スマホ…?これ、ボタンどこにあるんですか?」

 

「タッチパネル式だから画面自体がボタンですよ」

 

波音はそう言ってスマホの電源をつけて早苗に渡した。

 

「おお!凄いですね!これ、河童なら再現できたりしないですかね?」

 

「渡してきたからそのうちできてるかも知れないですね」

 

「おーい、早苗〜誰か来たの?」

 

神社の中から誰かが声を掛けた。

 

「あら、諏訪子様が呼んでいますし、神社の中で話の続きをしましょうか」

 

「え、いいんですか?」

 

そう言って波音と早苗は神社の中に入っていった。

 

 

神無月五日午二時 守矢神社 室内

 

「はじめまして、鈴風波音です」

 

波音は神奈子と諏訪子に会うと正座で礼をした。

驚いた顔をして二人もあわてて正座でお辞儀する。

 

「そんな畏まらなくていいよ、逆にこっちが構えちゃう。」

 

恥ずかしそうに立ち上がった神奈子が頭を掻きながら言った。

 

「こっちではあまり敬語とか使わないんですか?

紫さんにも似たこと言われたんですが…」

 

「そうねぇ…上下関係が激しいとこだと敬語じゃないといけないとかあるけど、あんたは外の世界から来たから上下関係がないんだよね。

それと私達よく霊夢や魔理沙から呼び捨てにされるしねぇ。

なんか違和感があるのよ。」

 

「だからまぁ霊夢と同じように接してくれればいいよ。」

 

「そう…なんですか?」

 

波音は少し不思議そうに首を傾げた。

 

「あ、そうだ波音さん、もうすぐお昼の時間ですし、一緒に食べませんか?」

 

早苗が提案した。

 

「いいんですか?」

 

「えぇ、いいですよ」

 

「早苗〜お昼なに〜?」

 

「うどんですよ」

 

「また?」

 

「今日のはきつねうどんですから昨日とは別物です。

文句言うなら諏訪子様にはあげませんよ。」

 

「あーうー」

 

 

神無月五日未一時 守矢神社 室内

 

「ごちそうさまです」

 

全員がうどんを食べ終わり手分けして片付けをはじめる。

片付けが終わったあと暫く波音と早苗は楽しく話し合っていたが、ふと波音が早苗に疑問をぶつけた。

 

「あれ?そういえば早苗さんって人間ですよね。それももともと外の世界の。」

 

「現人神ですけどね…どうかしたんですか?」

 

「早苗さんって何で飛べるんですか?

霊夢さんは能力なのはわかるんですけど、早苗さんは能力じゃないですよね?」

 

暫く早苗と波音の間に沈黙が生まれる。

 

「そういえば…そうですね。

私何で飛べてるんでしょう。」

 

「外の世界に居たときは飛べたんですか?」

 

「…覚えてない

でも今飛べてるのは確かだから波音さんも練習すれば飛べるんじゃないですか?妖怪の子孫なんですし。練習してみます?」

 

「教えてくれるんですか?」

 

「教えられるかどうかはわかりませんが手伝うことはできるはずです!

奇跡でもなんでも一度コツ掴めば飛べるはずです!

そうと決まれば行きましょう!」

 

早苗は一人で完結させると立ち上がり、波音の腕を引っ張って歩き出した。

 

「うわっ、行くってどこに?」

 

転びそうになりながらも立ち上がった波音が聞く。

 

「…外の湖でいいんじゃない?」

 

一瞬立ち止まって考えていたがすぐに放棄した早苗は波音を引き連れ湖に向かった。

 

 

神無月五日未二時 守矢神社 湖

 

「それじゃ、いちにのさんでいきますよ…」

 

「わかったわ」

 

波音と早苗は湖のそばで練習を開始していた。

 

「いちにの『飛べっ』!」

 

早苗の掛け声とともに波音が跳ねる。

すると波音の体はすぐには落下せずふよふよと落ちていった。

 

「浮いた〜」

 

「う〜ん、滞空はしましたけどこれではまだ飛んだとは言えませんね…もう一回やってみますか」

 

「お願いします!」

 

「いちにの…『飛べっ』!!」

 

再び波音が跳ねる。

すると今度は落ちずにその場にとどまることが出来た。

 

「浮いてる!…でも動けないです」

 

「あとはイメージですよ!

しっかりと飛ぶイメージをして体を動かせば自然に動けるはずです!」

 

「しっかりイメージして…きゃぁぁぁっ!」

 

おそるおそる波音が足を動かすと勢い余って回転を始めてしまった。

 

「波音さん!!?」

 

急いで早苗が波音を止める。

 

「足は飛びたい方向に傾けるだけでいいんですよ。

なれないうちはバランスを崩したらだめです」

 

「えぇ…わかったわ…せーの…うわっ!」

 

今度はしっかり前に進むことが出来た。

 

「おぉぉぉぉ、飛べてる〜!」

 

「やりましたね、波音さん!」

 

早苗も飛び上がりどこかに飛んでいってしまいそうになっている波音の手をつかんだ。

 

「多分、一回飛べたので今度からは奇跡がなくても飛べるはずです!体が覚えるんです!」

 

「ありがとう、早苗さん。…それにしても下からだとわからなかったけどここから見ると景色がいいわね」

 

「そうでしょうそうでしょう!私、これが見せたかったんです!」

 

するとその時山の麓の方で何かが飛び去って行くのが見えた。

 

「ん?あれは…」

 

「あれは…多分鬼人正邪さんね。」

 

「鬼人正邪!!?」

 

「どうかしたんですか?」

 

「知らないんですか?最近有名なお尋ね者です!

捕まえれば何かあったはずなので捕まえてきます!」

 

早苗はそう言うと正邪を追って行ってしまった。

 

「あちゃ〜、ああなっちゃったら暫く帰ってこないね」

 

「諏訪子様!?」

 

いつの間に後ろに立っていたのか諏訪子が波音に声をかけた。

 

「多分捕まえるか見失うかするまで追い続けるだろうから、もう暗くなるしそろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 

「…そうですね。そろそろ帰らないとですね。

早苗さんが帰ってきたら私の代わりにお礼を伝えて下さい。」

 

「うん、わかったよ。それじゃ気を付けてね」

 

諏訪子と別れた波音は神社の階段を下って行った。

 

 

神無月五日酉二時 魔法の森

 

波音がしばらく森の中を歩いていると何か建物を見つけた。

少し古びた外見の店で看板には香霖堂と書かれている。

 

「香霖堂…お店なのよね」

 

波音はそう呟くと香霖堂のドアを開いた。

 

「いらっしゃい」

 

奥にいた銀髪の青年が声を掛けた。

 

「ここは…?」

 

「ここは香霖堂。僕が拾ってきた珍しい物からガラクタまでいろいろ揃ってる雑貨店だよ…

ってちょっと待って、その鞄に刺さってる杖、ちょっと見せてくれる?」

 

「え?いいですけど今日魔理沙さんにもらったやつなので壊さないで下さいね」

 

「魔理沙に…そうか、魔理沙が渡したい人がいるっていってたのは君だったのか」

 

「どういうことですか?」

 

「この杖を作ったのはね、僕なんだ」

 

「そうだったんですか!?魔理沙さんあたかも自分が作ったかのように話してましたけど…」

 

「そんなこと言ってたのかい?魔理沙は変わらないな。

じゃあ僕が代わりにその杖について説明してあげよう。」

 

「お願いします」

 

波音がそう言うと青年は立ち上がって喋り出した。

 

「その杖は魔法の森の中でも長寿で、魔力の籠った木の枝を切って、何か色々霊力や魔力が上がりそうなマジックアイテムを溶かした液体に一晩中浸けておいて、それにその液体を金属に流し込んで柄の部分を作って組み合わせた物なんだ。

魔理沙みたいな魔法使いが使えばかなり強力なはずなんだけど…」

 

「私、魔力持ってませんよ?」

 

「魔理沙から聞いたよ。杖を作った後にね。

でもまあ、霊力もかなり上がるはずだから君が使っても効果はあるはずだよ」

 

青年は説明を終えるとまた椅子に座った。

 

「あ、ところでお名前は?」

 

波音がまだ名前を知らないことに気付き名前を聞いた。

 

「僕は森近霖之助。君は?」

 

「鈴風波音です」

 

「波音ね。その杖大事に使いなよ、もしなにか違和感があったら直してあげるからここに来るといい。」

 

「ありがとうございます」

 

波音はしばらく霖之助と話していたが話終えると香霖堂を後にした。

 

 

神無月五日戌二時

 

博麗神社に戻ってきた波音は既に開かれていた焼き芋の宴会に途中参加した。

 

「波音はお酒飲まないのね」

 

霊夢がお酒を持って波音のとこにやって来た。

 

「私は明日学校がありますから。

それに外の世界では20歳までお酒を飲んではいけないんですよ」

 

「ここは幻想郷だからいいんじゃない?」

 

「…それもそうかもしれませんが二日酔いが怖いので今日は止めておきます」

 

「…仕方ないわね」

 

「あ、ほらお芋焼き上がりましたよ〜!」

 

そうして暫くお芋を楽しんだ波音は少し早めに切り上げて帰っていった。

 

 

第六章 人間の里 に続く

 




さて、これで第五章は終わりです。
冒険録の終了は七章を予定しているのでそろそろ終盤になります。
冒険録が終わり次第少し文の形式が違う波音の別の話を投稿しようと思ってるのでこれからもよろしくお願いします。
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