東方冒険録   作:らずべる

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思ったより長くなりました…
前編のあらすじ:波音はスペルカードを学んだ。波音にトラウマを持った人が増えたよ。


第二章 紅魔館 後編

皐月四日丑一時 紅魔館 廊下

 

波音が庭を抜けて紅魔館の中に入ると、再び咲夜が現れた。

 

「またあったわね、咲夜さん。」

 

「図書館はこっちよ。お嬢様もいるけど別に気にしなくていいわ。」

 

「ありがとう。」

 

波音に連絡を済ませた咲夜は時間を止めて帰ろうとした。

その時、咲夜はいつもと何かが違うことに気づく。

 

 

違和感の原因はすぐにわかった。

 

 

波音が動いているのだ。

 

時間を止めているにも関わらず、波音は図書館の方に歩き続けている。

咲夜が窓の外を見ると、鳥が羽ばたいた格好のまま空中に止まっていた。

時間は間違いなく止まっている。

一体何故?咲夜は不安を覚えながら波音に話しかけた。

 

「貴女は何故、時を止めても動けるのかしら?」

 

すると波音は今気がついたように

 

「あら、いま時間が止まっているのね。」

と呟いて、言った。

 

「何故って、私の時間の流れを咲夜さんの時間の流れに合わせたからですよ。

貴女が時間を止めたとしても、私の時間は止まりません。」

 

「貴女、本当に人間?」

 

咲夜は身構えるとナイフを取り出した。

 

「ナイフをしまってくださいよ。私は人間です。少し不思議な能力を持っているだけじゃないですか。」

 

「それが異常なのよ。」

 

「まず、貴女についていろいろ聞かせてもらうわよ。」

 

そう言って咲夜は波音を引っ張って、ひとつの部屋に向かった。

そして時間が動き出した時、廊下には誰もいなかった。

 

 

皐月四日丑二時 紅魔館 とある一室

 

そこでは波音が咲夜の質問に答えていた。

 

「まず、貴女の種族は?」

 

「外の世界の人間ですよ。

ひいひいじいちゃんが妖怪だったらしいですけど。」

 

「つまり、妖怪の子孫ってことね。

次、能力について詳しく。」

 

「『波を操る程度の能力』といえばいいのかしらね。

波や流れと名が付くものを自由に操れるわ。」

 

「流れ…だから時間を止めても動けたのね。」

 

「あ、でも咲夜さんの時間と合わせている時以外は普通に止まりますよ。

時間を止められて、ナイフに囲まれる事態を避けたかっただけですから。」

 

「なるほどね。それじゃあ貴女の両親や祖父母には能力がないの?」

 

「その事なんですけど、私の母の先祖が妖怪なんだけど母にはなにもなくて。

あとおじいちゃんは今行方不明で能力を持っているかどうかもわからないのよ。

私の先祖が妖怪だってのも家の古い資料を調べるまでわからなかったしね。

ここに来たのもほとんど資料がなかった先祖の妖怪について調べるためよ。」

 

「へぇ…両親その他に能力はない…

それじゃ次が最後ね。貴女は何故幻想郷に観光にきたの?」

 

「何故観光に…?

外の世界は私みたいな不思議な能力を持ってる人がいなくて、外の世界に飽きてきちゃったのよ。

そこに幻想郷に関する資料を手に入れて、面白そうだからやって来たってわけ。」

 

「ちょっと待って、そんな本が外の世界にあるの?そしてそこに私達が載っているってこと?」

 

「さっき最後って言いましたよね。

まぁ、そうなんですけど。」

 

「これですよ。」

 

そう言って波音は鞄から一冊の本を取り出した。

 

「この本は昔誰かが書いた幻想郷に関する本を今の技術で印刷して増やしたものよ。」

 

波音から本を借りてしばらく読んでいた咲夜は不思議な点に気づいた。

 

「この本、霊夢や魔理沙、早苗まで載ってる。」

 

「それがどうかしましたか?」

 

「おかしいのよ、妖怪は長く生きるから昔の本に書かれていてもおかしくないんだけど、霊夢や魔理沙、早苗は人間。18年位前には存在してないはずよ。

それに早苗が幻想卿に来たのはつい2〜3年位前、それより後に書かれなきゃ載っているはずがないのよ。」

 

「確かに、不思議ですね。原本は魔本なんでしょうかね?」

 

「いえ、それにしては写本なのに魔力が全く入ってないわ。」

 

「外の世界では印刷機というものが何の感情もこめずに写すから、元が魔本でも魔力はないはずよ。」

 

「不思議なものね。」

 

こうして数分後、ようやく咲夜の質問を終えた波音は本来の目的のため大図書館へと向かった。

 

 

皐月四日丑二と半時 紅魔館 大図書館

 

ようやく大図書館に到着した波音はパチュリーと話をしていた。

 

「話はさっき咲夜から聞いたわ。確か波を操る妖怪に関する本を読んだことがあるわ、これね。」

 

そういうとパチュリーはたくさんある本の中から一冊の外の世界の妖怪をまとめた本を取り出した。

波音がパラパラとめくってみると紫や幽香達と一緒の所に波を操る妖怪について書かれている所があった。

 

「ありがとうパチュリーさん。これ外の世界の大百科なんだけど良かったらどうぞ。」

 

そう言って波音は鞄から一冊の本を取り出してパチュリーに渡した。

 

「ふむ、これは今まで見たことのないようなことが沢山載ってるわね。

ありがとう、いただくわ。」

 

そして近くで不思議そうに波音を見ていたレミリアにラム肉と紅茶を渡した。

 

「あなた、この館の御主人様よね。これはお土産です。」

 

「へぇ、あなた感心ねぇ。このお茶は外のものかしら?

咲夜!これを淹れて頂戴!」

 

そして波音はその本から先祖の妖怪がかなり高位の妖怪だったこと、紫の師匠のような存在だったこと、幻想郷が出来たときにはすでに高齢で寿命と外の世界を見守ることを理由に、外の世界に残ったことを知り、しっかり本を返してから大図書館を後にした。

 

 

皐月四日丑三時 紅魔館 廊下

 

大図書館を後にした波音が廊下を歩いていると前方から吸血鬼の少女が飛んできた。

 

「あなたは確か…レミリアさんの妹のフランドール・スカーレットさん、だっけ?」

 

「あれ?私のことを知っているの?この前の異変の人間?

ねぇ、一緒に遊ぼうよ。」

 

「えっ、まぁいいけどレーヴァテインは使わないでね。」

 

そう言って波音は鞄から先端にガラス細工が付いた杖を取り出した。

 

「むー、まあいいや、いくよ〜!

禁忌『クランベリートラップ』!」

 

フランは遊んでくれるとわかると大量の弾幕を放ってきた。

 

「うわっと、波符『吸収の型』!」

 

波音がそう唱えると波音の回りに不思議な板が現れた。

するとその板に当たった弾幕が板に吸収された。

 

「なにー、効かないー!?」

 

フランは更に弾幕を増やした。

 

「さて、こっちからも弾幕を出さないとね。光符でいいかしら?

光符『シャイニングブレイズ』!」

 

波音が唱えると沢山の光で出来た長い弾幕が飛んでいった。

 

「こんなのは効かないけどただ打ってるだけじゃ面白くない!

禁忌『レーヴァテイン』!」

 

そう言うとフランはレーヴァテインを取り出して向かって来た。

 

「やっぱりこうなるのね…

音符『超微振動砕波』」

 

波音がそう唱えるといきなり杖のガラス細工が砕けちった。

 

「おりゃー!」

 

フランのレーヴァテインと波音の杖が触れた瞬間、金属が削れるようなキィーンという音が鳴り響いた。

 

「うわっ!うるさい!」

 

あまりに不快な音にフランは耳と目をふさいだ。そして次に目を開けたときフランの目の前には根本の辺りでポッキリと折れたレーバティンが転がっていた。

 

「!?」

 

「ダメだよ、レーヴァテインを喰らったら私死んじゃうから…」

 

そう言った後、波音はその場に崩れ落ちた。

 

 

皐月四日寅二時 紅魔館 医務室

 

波音が目を覚ました時、そこには咲夜とフラン、そして永琳がいた。

 

「ここは…?」

 

「紅魔館よ、貴女霊力不足で倒れたのよ。

あまり無茶したらダメよ。」

 

「私のレーヴァテイン返せー!」

 

「妹様、約束を破ったのだから仕方ありませんよ。」

 

「あぁ、ごめんね。折る以外に方法が思い付かなくて。」

 

「いえ、こちらこそ妹様がご迷惑をかけてしまってすみませんね。」

 

「んーはい、レーヴァテインはないけどレバ肉あげる。」

 

そう言って波音は鞄からレバ肉を取り出して、フランに渡した。

 

「むー、ありがと。」

 

 

こうして紅魔館を後にした波音は博麗神社に戻ると、文句を言っている魔理沙を無視して霊夢に見送られて外の世界に帰って行った。

 




キャラクター紹介
主人公
名前:鈴風波音(すずかぜはのん)
種族:人間(妖怪の子孫)
住んでるところ:京都
能力:『波を操る程度の能力』
説明:波や流れを自由に操ることができる。
スペカでは火を操る火符、水を操る水符、風を操る風符、音を操る音符、光を操る光符、闇符、熱を操って加熱したり冷却したりする熱符、電気を操る雷符、そしてどれにも当てはまらない時に使う波符などがある。

霊力や妖力、魔力、神力も波として捉えるため、吸収したり反射させたりすることも可能。また、今回登場したように自分の時間の流れを他人に合わせることもできる。

一章でルーミアを倒したのは普通に光を出した。
二章でチルノに使ったのは熱符(加熱)。
波符『吸収の型』 波を吸収して自分の霊力や妖力にする。弾幕やビームは吸収できるが斬撃などは防げない。
光符『シャイニングブレイズ』白い弾幕が鬼のように降り注ぐ。熱い。
音符『超微振動砕波』コウモリにも聞こえないほど高周波の超音波を発し、触れた物を削ることができる。霊力の消費が大きく、吸収の型で霊力を貯める必要がある。 数十倍霊力を貯めれば音波で物体を消滅させることもできるらしい。

あくまで人間なので霊力はかなり少ない。霊力を貯めなければ弾幕は常にeasyモード、そして10分も持たない。

京都に住んでいても標準語なのは、作者が関東の人だから。

チートに見えるけど外の世界の人間が幻想郷に観光に行くにはこの位ないとすぐに妖怪に喰われます。多分…

長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さり有難うございました。
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