前回のあらすじ:紅魔館に行ったよ。霊力切れで倒れたよ。
文月二十五日酉二時 博麗神社
博麗神社の屋内で、霊夢は紫と話をしていた。
「ねえ霊夢、貴女鈴風波音についてどう考えてる?」
「はあ?何言ってるのよ?
どう考えてるってあの子は観光に来たって言ってるし、人間なんだから特に恐れる必要は無いんじゃないかしら?」
「いえ、そういうことじゃなくてね、あの子の能力は少し彼女には強すぎるのではないかと思うのよ。」
「どういうこと?」
「『波を操る程度の能力』、この能力は彼女の先祖、私の師であってもいいような高位の妖怪から引き継いだもの。
でも彼女はほぼ人間。今は霊力がないから余り大きなことはできないけど、もし彼女が妖怪になったらどうなるかわからないわ。
あの能力は下手をすれば幻想郷やあの子自身もを滅ぼしてしまうかもしれないものなの。」
「で?」
「で?ってもし彼女がこのまま幻想郷に来続ければ妖怪の子孫である彼女はいつかは妖怪になってしまうのよ!
もしあの子が暴走でもしたら幻想郷は大変なことになるわよ!」
「妖怪になったとしても悪さするようなら退治すれば良いだけじゃない。
それに彼女が暴走するのが怖いなら貴女が稽古をつけてやればいいわ。」
霊夢がそう言うと紫は気がついたように
「それもそうなのかもしれないわね。私の考え過ぎかしらね。」
と、落ち着きを取り戻した。
その時、鳥居の方から人形の騒ぐ声が聞こえた。
「人形が騒ぎだしたわね。」
「結界が破られたわ。」
二人が鳥居に向かうと、結界を修復した波音が人形にクッキーを与えていた。
「いつそんなに仲良くなったのよ…」
「霊夢さん、お久しぶりです。この前来たときですよ。」
「はじめまして、私はこの幻想郷を作った張本人の八雲紫よ。」
「御名前は伺っております。八雲紫様。」
波音がお辞儀をすると、紫は困ったように
「"紫"でいいわよ。それにそんなかしこまらなくてもいいわ。」
と言った。
「それじゃあ紫さん。」
「なあに?」
「私に稽古をつけてくれませんか?」
「…!いいけど、何で急に?」
「私はこんな能力を持っていますが、霊力とかが低くて力の使い方とかがわからないんですよ。
またこの前みたいに倒れてしまったりしないように力の使い方を学びたいんです。
それに夏休みで暇な時間は多いですから。」
「まぁ、いいわ。学ぼうとする気持ちは大切だものね。それじゃあ今日から特訓ね。」
「ねぇ、波音。夏休みって何?」
「えっとですね、外の世界ではこの時期になると寺子屋が休みなんですよ。」
「貴女、寺子屋に通ってるの!?」
「寺子屋よりも難しいことを学びますけどね。
外の世界では霊夢さんくらいの人も寺子屋に行くんですよ。」
「へぇ、私には行く意味が解らないわね。」
「行かないと外の世界では生きていけないんですよ。」
「大変なのね。」
「あっそうだ、はいこれお土産です。」
そう言って波音は鞄からお茶とアイマスク(蒸気タイプ)を渡した。
「今日のはしかじしま…かごとうかしら?」
「鹿児島です。」
「あら、これは面白そうね。」
こうして波音は夏休みの間紫に稽古をつけてもらうことになった。
葉月十三日酉二時 博麗神社
満月のこの日、紫の稽古を受けていた波音は、稽古を終わらせると筍狩りに出掛けた。
「あの子、飲み込みがいいわね。
もう無茶はしなくなったわ。」
「まぁ、竹林で倒れたら妹紅が助けてくれるでしょうけど。」
「出られるかどうかは心配だけどね。」
葉月十三日酉二と半時 竹林へと続く道
波音が道を歩いていると、突然近くの森から虫の声が聞こえてきた。
「この時期に鈴虫かしら?」
波音が森の方をよく見ると、森の中に一人の少年、いや少女が虫を相手に指揮をしていた。
「リグル…リグル・ナイトバグね。」
彼女の声を聞き虫たちの鳴き声が止まった。
「やぁ、はじめまして。私の名前を知っているってことは、最近やって来た波音って子ね。」
「えぇ、竹林に筍狩りに行く途中でこの時期に聞こえないような虫の声が聞こえてきたから気になったのよ。」
「少し蟲達の演奏会をやってみたくてね。」
「すごいわね、がんばって。はい、これどうぞ」
そう言って波音は鞄からスイカを一玉取り出してリグルに渡した。
そうしてリグルと別れた波音は再び竹林に向かって歩きだした。
葉月十三日酉三時 竹林へと続く道
波音が道を歩いていると今度は不思議な歌声が聞こえてきた。
「こんな時間に誰かしら?」
波音が声の方に進むと、そこには一匹の鳥人間がいた。
「あ、ミスティア・ローレライか。」
そう呟いて波音が立ち去ろうとすると、ミスチーはそれに気づいて向かってきた。
「久しぶりに人間がかかったわ。」
そう言ってミスチーは波音に襲いかかってきた。
「見つかったわね。仕方ない、
熱符『ヒートヘイズ』!」
「うわっ、火!?
もう、食料は弾幕を打たない!」
「食料じゃないわよ。
めんどくさいし一気に片付けるわよ。
CO2『完全燃焼』!」
その数秒後、辺りにいい匂いがしてきたところで決着がついた。
葉月十三日酉四時 竹林へと続く道
「まだ着かないのね、結構遠いわね。」
そう呟きつつ道を歩いていると緑色の髪をした牛のような人がやって来た。
「ん?君、人間かい?
こんな時間に外を出歩くのは危険だぞ。早く家に帰るといい。それとも道に迷ったのか?」
「いいえ、上白沢慧音さん、でしたっけ。
筍狩りに行く途中ですよ。
身を守る術はあるので大丈夫です。」
「大丈夫っていったって…」
「それでは」
ものすごく心配そうな慧音をおいて波音は先に進むことにした。
葉月十三日戌一時 竹林へと続く道
波音がしばらく歩いていると向こうから二人組がやって来た。
一人はレミリアみたいな帽子を被った金髪で紫色の目の少女、そしてもう一人は魔理沙より白黒で元気そうな少女だ。
「あの、すみません。
ここはどこですか?」
突然金髪の少女が話しかけてきた。
「あら、迷子?ここは竹林の近くの森よ。
貴女、里の人間?里はあっちよ。
そして里の人間じゃないならこっちに進むと神社があるわ。」
「ありがとうございます。」
そう言うと二人組は神社の方に向かって行った。
第三章 迷いの竹林 中編に続く。
弾幕はゲームにしたときどうするか位までは考えてあります。たぶん作ることはありませんが。
今回の弾幕
火符『ヒートヘイズ』
熱波を放ち陽炎を発生させる。弾幕が揺らいで見えるため分かりずらい。
ちなみに弾幕であって火ではない。
CO2『完全燃焼』
辺りを赤い弾幕で埋め尽くす。
ほとんどがばら撒きだが、一部は自機にホーミングしてくるため注意。
それでは中編で。