東方冒険録   作:らずべる

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皆さんお久しぶりです。
長い長い言いながらそんなに長くないことに気づいた今日この頃です。
前回のあらすじ:永遠亭から帰ってきた。 筍はほとんど幽々子様が食べました。


第四章 幽香の花畑

長月十五日巳一時 博麗神社

 

霊夢は遊びに来ていた萃香とともに境内を掃除していた。

 

「なぁ、霊夢?」

 

「な〜に?」

 

「最近外の世界から誰かが遊びに来ているみたいじゃないか。」

 

「波音のこと?」

 

「そうそう。そいつと一度戦ってみたいな〜って思ってさ。」

 

「いくら波音でも、鬼相手じゃ勝てないと思うわよ。」

 

「そうなのかー、じゃあ戦うのはやめておこうかな〜」

 

「そうしなさい、そのうちあの子も地下に行けるようになるだろうからその時に戦えばいいじゃない。」

 

「なるほど、そうするか。」

 

そう言うと萃香は持っている酒を一口飲んだ。

その時、人形から波音が来たことを知らせる声が聞こえてきた。

 

「ん〜どうかしたのか〜?」

 

「波音がやって来たのよ。」

 

霊夢がそう言って鳥居の方に向かうと、結界を塞ぎ終えた波音が現れた。

肩に乗っている人形はクッキーを食べている。

 

「その人形も、すっかりなついたわね。」

 

「というよりなつくんですね。人形って。」

 

「それにしても波音、結界塞ぐのうまくなったわね。」

 

「そうですか?」

 

「ええ、最初に来たときとは大違いよ。」

 

「そうなんですか。」

 

「この子ほんとに人間〜?」

 

「ええ、人間ですよ。萃香さんでしたっけ?まぁ先祖は妖怪ですけど」

 

「お〜私の名前知ってるのか〜」

 

「大体の方々は本に書いてありましたから。」

 

「すごい本なんだな〜」

 

「ところで、貴女は今日はどこに行くのかしら?」

 

「今日は花畑があるとのことなので、花畑の外から花を眺めようかと思いまして。」

 

「花畑、ね。幽香には気を付けなさいよ、あいつ怒ると怖いから。」

 

「花を荒らさなければ大丈夫ですよね…あっそうだ、これお土産です。」

 

そう言うと波音は鞄の中からお茶と漬物を取り出した。

 

「今回のは宇治抹茶ね。」

 

「たくあんだ〜」

 

「今日は抹茶にしてみました。ところで私お酒飲めないのでお酒に合うものとかわからないんですけど、大丈夫ですか?」

 

「ん〜?お漬物は美味しいから好きだよ〜ありがとね〜」

 

「それはよかったです。」

 

しばらく霊夢達と会話していた波音は花畑の方に向かって出発した。

 

 

長月十五日巳二時 花畑への道

 

波音がしばらく歩き続けるとどこかから綺麗な音楽が聞こえてきた。

 

「誰かしら?」

 

波音が音がする方向に向かうとそこでは三人の少女が楽器を弾いていた。

 

しばらくの間演奏を邪魔しないようにしながら音楽を聞いていると、三人の少女のうちの一人が気づいて波音の方を見た。

 

「あら?観客がいたのね。」

 

少女が呟くと、残りの二人もこちらに振り返った。

 

「はじめまして、リリカさん。」

 

「貴女は…波音さんでしたっけ?」

 

「リリカ、知ってるの?」

 

「ええ、最近幻想郷に来ている外の世界の人間よ。」

 

「そんな物好きもいるのね…それより貴女、貴女が聞いていたのが鬱や騒、幻想の音じゃなくてよかったわね。下手したら狂っていたかも知れないわよ。」

 

「危険なものかもしれないから、何か気づいても不用意に近づいてはダメよ。」

 

「そうなんですか。教えて下さりありがとうございます。」

 

「いいのよ。ところで貴女はこんなところでなにをしていたの?」

 

「ちょっと花畑に行ってみようと思いまして。」

 

「花畑ね。今の季節は秋桜でも咲いているのかしら?

まぁ気をつけて行きなさいね。」

 

「はい、それでは。」

 

波音はプリズムリバー三姉妹と別れると、先に進んだ。

 

 

長月十五日巳二と半時 花畑の近く

 

「メルランさんの言っていた通り、コスモスが満開ね。」

 

「綺麗でしょ」

 

波音が花畑から少しはなれたところでコスモスを見ていると、不意に後ろから声をかけられた。

 

「幽香さんですか。花畑は荒らしませんよ。」

 

「ええ、そうであってほしいわね。別に荒らさなければ中に入ってもいいのよ。」

 

「ありがとうございます。でもしばらくここでコスモス見てからにしますね。」

 

「ええ、別にいいわよ。ゆっくりしていきなさい。」

 

そう言うと幽香はどこかに立ち去っていった。

 

しばらくコスモスを鑑賞していた花畑は満足すると花畑の中に慎重に入っていった。

 

 

長月十五日巳三時 太陽の花畑 なぜかある鈴蘭エリア

 

波音が花畑に入ってしばらく進むとなにもない場所に出た。

 

「ここは…何かしら?」

 

土に雑草は生えておらず、ここが花畑だということは解るが花どころか草も生えていない。

波音が辺りを探索していると前方から少女がやって来た。

 

「ここは鈴蘭畑よ、今すーさん達は球根で眠っているのよ。」

 

「あら、あなたは…」

 

「メディスン・メランコリーよ。」

 

「そうだったわね、それでここは鈴蘭畑だったのね。」

 

「ええ、そうよ。ここから向こうは球根しかないから咲いている花が見たいのならあっちの方に行くことをお勧めするわ。

秋桜や彼岸花、菊とか桔梗が咲いているわよ。」

 

「コスモスはもう見たからキキョウとかの方に行ってみようかしら。

ありがとね、メディスンちゃん。これ、お礼ね。」

 

波音はそう言うと鞄の中から何かの種を取り出した。

 

「これ、なんの種?」

 

「マリーゴールドよ、家の花壇で取れたやつだからしっかり花は咲くと思うわよ。」

 

「へぇ、ありがとー」

 

「それじゃ、またね。」

 

そう言ってメディスンと別れた波音は咲いている花畑目指して先に進んで行った。

 

 

長月十五日巳三と半時 太陽の花畑 おなじく彼岸花エリア

 

「ここは…彼岸花が咲いているわね。」

 

波音がしばらく歩いていると彼岸花が咲いている場所に出た。

 

「そういえばもうすぐお彼岸だったわね。」

 

そう呟きながら少し歩くと、花に囲まれた小さな広場で一人の女性が寝転んでいた。

赤い髪と青い服の人で、そばには鎌も落ちている。

 

「あら、あの人は…」

 

波音は寝ている人が誰だか気づくと声をかけようとした。

その時女性の近くの空間が歪んだかと思うと、そこから一人の少女が現れた。

 

「おや、貴女は最近幻想郷に出入りしている人間じゃないですか、こんなところで何をしているのです?」

 

「花畑に花を見に来たんですよ。四季映姫様。」

 

「様は付けなくてもいいわよ。皆付けませんから。

それで、ここに来たら小町が寝ていた、と。」

 

「ええ。」

 

少女、四季映姫は一つ大きなため息をつくと女性、小野小町を起こした。

 

「えええ映姫様!?何でここに!?」

 

「何でもなにも小町の姿が探しても見付からなかったからです。

こんなところでサボってないでさっさと職場に戻りなさい!

説教は向こうに行ってからです!」

 

「すみませんでしたぁ!」

 

映姫は小町に喝を入れると、歪みの向こうに帰ろうとして何かに気づくと波音の方を振り向いた。

 

「そうそう、鈴風…波音さんでしたっけ?」

 

「えっ?何でしょう?」

 

「貴女、このままだと妖怪化しますよ。」

 

「えっ」

 

映姫が言った一言に波音が固まった。

 

「貴女は人間とはいえその体には妖怪の血が混ざっています。

なのでこのまま貴女が幻想郷を訪れ続ければ、いつか妖怪になってしまうのですよ。」

 

「………」

 

「もし貴女がそれを望まないなら、貴女はもう幻想郷に来るべきではありません。」

 

「…私は、それでも構いませんよ。

ただでさえ普通の人間じゃないんですから。

それにもし妖怪になったとしても外の世界での暮らしは変わりませんし。妖怪が信じられていない外の世界では、妖怪でいることにデメリットはないんですよ。

…普通に過ごしていれば。」

 

「そう…ですか。

では貴女はもっと善行を積むべきです。

貴女は人より寿命が長い。

死ぬまでの間に出来ることは多いはずですよ。」

 

映姫は波音にそう伝えると、ふと何かを思い出して口を開いた。

 

「そうそう、一つ伝え忘れていました。

貴女の曾祖母が地下で貴女を待ちわびているようですよ。」

 

「私の曾祖母?ってことは半人半妖ってことですか?」

 

「えぇ。さて、私が伝えることは伝え終わりましたし、帰ることにしましょうか。」

 

映姫はそう言って歪みの向こうに帰っていった。

 

「私の…ひいおばあちゃんか…どんな人なんだろう?

地底だから会いに行くには飛べるようにならなくちゃね。」

 

波音はそう呟くと再び花畑を歩き出した。

 

 

長月十五日巳四時 太陽の花畑 桔梗エリア

 

「キキョウはもう終わっているわね。」

 

辺りを見渡した波音はそう呟いた。

辺りに生えているキキョウの花はもうほとんど萎れかけている。

その時波音のすぐ横をものすごい速さで誰かが飛んでいった。

 

「あれは…魔理沙さんかしら?」

 

波音が通り過ぎていった魔理沙を眺めていると後ろから誰かがやって来た。

 

「し〜ろ〜く〜ろ〜」

 

その声は怒気を帯びており、波音は驚いて飛び下がった。

 

「幽香…さん?」

 

「あぁ、波音ね。あの白黒うちの秋桜を盗んでいきやがったのよ。

追い付いたらたらぼこぼこにしてやるわ。」

 

そう言った幽香は魔理沙が飛んでいった方向にものすごい速さで走っていった。

 

「…あれなら数十秒後には捕まってるわね。」

 

そう呟いた波音は花畑を抜けると神社に帰っていった。

 

 

長月十五日午一時 博麗神社

 

「お帰りなさい、波音。

丁度お昼を作ってるところよ。

分けてあげるから手伝いなさい。」

 

「ただいまです、霊夢さん。手洗ってきますね。

それと魔理沙さんはお昼はこれないみたいですよ。」

 

「あら、そうなの?面倒事が減って助かるわ。」

 

「幽香さんに追いかけられていましたから。」

 

「魔理沙…懲りないわね…」

 

その後、霊夢と一緒にお昼を食べた波音はしばらく博麗神社でのんびりした後、夕方頃に外の世界に帰っていった。

霊夢は神社に戻ると抹茶を作り始めた。

 

第五章 妖怪の山 に続く

 




さて、最近波音のスペカの概要がようやく決まりました。
それに伴いスペカ名を一新しました。
月一投稿にならないように気をつけます。
追記:なんとなく幽香の花畑に様々な花を置いてありますが、作者の勉強不足です。
でもさすがに一度に太陽の丘と無名の丘と無縁塚に行かせるのは無理なのでこのままです。

それでは、第五章でお会いしましょう。
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