そして世に(銀髪薄幸美少女傭兵との)純愛のあらんことを   作:アリマリア

63 / 84

 ていうか近接型のENパイル使ってみたかったなぁ……
 鬼強パルスライフルも使ってみたかったなぁ……





ああ、俺も……特務機体に乗りたかったなぁ……

 

 

 

 中央氷原、封鎖機構がベイラムから接収した、ヨルゲン燃料基地。

 今その中を、一機のACが荒らしまわっていた。

 

『コード5、敵ACを補足した!』

『身元の照会を開始、システムに増援を再要請。コード78C』

 

 ローカル通信に乗る封鎖機構構成員たちの会話を聞きながら、AC「フォーアンサー」のコックピット内、617は素早く周囲を観察する。

 

 戦いは進んで、いよいよ最終局面。

 遥か遠くに見えていたエネルギー精製プラントは、いよいよ彼女の目の前に迫っている。

 

 しかし当然ながら、そこには封鎖機構による警備が敷かれていた。

 

 向かって右手と左手に、それぞれミサイルを発射する固定砲台が数機。

 これ自体の耐久性は低く、牽制用マシンガンの弾丸2、3発で壊れてしまう程の脆弱さ。

 だが、放たれる垂直ミサイルは高い誘導性を誇るため、足を止めれば甚大な被害を強いられるだろう。

 

 そしてそれらの砲台を守るように、軽量MTが数機付いている。

 封鎖機構が運用するそれらは、企業が使うBAWS製軽MTとは性能が大きく異なる。

 レーザーガンやマシンガンの他、スタン弾ランチャー等の搦手も用いることのあり、単発のクイックブーストすら可能とする、小型ながら高い性能を誇る兵器だ。

 

 それらによる防衛網は、MT群どころか下手なAC乗りすら優に跳ね除け得る戦力。

 

 ……だが、やはりと言うべきか、彼女を止めるには到底足りない。

 

 「フォーアンサー」が、それまでのブースト移動から一転、素早くその身を躍らせる。

 ブォンブォンと、連続して左右に切り返すようにクイックブーストを噴かすことで、垂直落下してくるミサイルを回避し。

 MTの放つレーザーガンは甘んじて受け、代わりに足を止めたMTをマシンガンで確実に始末していく。

 

 主目的であるエネルギー精製プラント、直前。

 ここまでで既にLC機体を4機鉄屑にしてきた彼女に対しては、この程度の戦力は足止めにすらならない。

 マシンガンの乱射とマルチロックミサイルの爆風によって、30秒と経たず全滅に追い込まれた。

 

 

 

『このまま、プラントを』

 

 617は足を止めず、そのまま打ち上げ用の垂直カタパルトを用いて跳び上がる。

 

 そうして、あるいは封鎖機構の攻撃によってだろうか、破損した外壁。

 その中のエネルギー精製プラントへと直接、プラズマミサイルを撃ち込んだ。

 

 緩く弧を描くミサイルの弾道は、狙いを過たずプラントへと走り……。

 着弾。

 プラズマ爆発の衝撃によってプラントは完全に破壊され、大きな爆発を起こした。

 

 爆風を背景に、ドスンと地面に着地する「フォーアンサー」。

 そのパイロットの脳内で、変異波形が声を発する。

 

【目標の完全破壊を確認した。本来なら、ここで仕事は終わりだが……】

 

 その台詞に反し、ナインも、そして617自身も、全く警戒を解いてはいない。

 

 「ミッションはセーフハウスに帰るまで」と、ウォルターから口を酸っぱくして言われていたし……。

 何より、今回のミッションは恐らくそれで終わらないだろうと、ナインが予測していたから。

 

【……やはり、ナインの危惧通りになりましたね。遠方上空に熱源反応、高速で接近しています!】

 

 脳内の赤い光の言葉に、リンクスは一層意識を引き締める。

 

 ナインが提示した、このミッションについての危惧……。

 

 それは、敵の増援だ。

 

 封鎖機構の戦力は企業のそれとは比べ物にならず、その分布も広く手厚い。

 そのため、比較的近傍にも戦術拠点を築いていたし……何より。

 今回の作戦開始から10分程度。この短時間でも基地間を横断できるだけの、凄まじい機動性を持つ機体を、封鎖機構は所有しているのだから。

 

『ひとまず、作戦区域離脱を目指します』

 

 両手のマシンガンをリロードし、ENを回復させつつ、617は早急に基地から離れようとするが……。

 

 その進行方向、1km程前方に、彼方から飛来した2機の敵機が降り立った。

 

『コード23、ヨルゲン燃料基地に現着』

『……照合完了。ウォッチポイントからの情報通りだな。

 識別名リンクス・ウィズ・カラー。奴に次ぐ、優先排除対象だ』

 

 その機体は、企業の作る兵器にはまず見られない、特徴的な形状をしていた。

 細長い円盤のような胴に手足こそ付いており、かろうじて人型を思わせるが、ヘッドパーツはコア部分に埋もれており殆ど窺えない。

 その形状はまさしく、「自ら思考はせず、システムに全判断を依存する」という、封鎖機構の在り方を暗示していた。

 

『排除、開始する』

 

 それらの名は、AAS03: EKDROMOI(エクドロモイ)

 LC機体を筆頭とする執行機体よりも更に性能を向上させた、特務機体と呼ばれる存在だ。

 

 

 

 封鎖機構勢力において、LCやHCといった執行機は、言うならば通常戦力の中核だ。

 分隊における隊長、あるいは艦隊における旗艦と例えればわかりやすいだろうか。

 他に比べて高い性能を持ち、軍を率いて戦うことを想定して作られた、群体の頂点である。

 

 しかし、それらが頂点であるのは、あくまで「通常」戦力の中での話だ。

 「特務機体」の名の通り、エクドロモイを筆頭とするそれらは、通常戦力とは区分が異なる。

 

 密集体型を定石とする古の戦の中、単身で突出し敵を遊撃・奇襲する兵科の名を付けられたそれは、まさしく一個体での軍(ワンマンアーミー)

 他機体とは比にならない速度で戦場を駆け、FCSを振り切る程の攪乱と高火力の武装を以て数多の敵を撃破、単独で戦況を塗り替える……。

 そんな活躍を期待され、そして実際にそれを為し得る、戦術兵器である。

 

 

 

 エクドロモイに乗る構成員、特務少尉の語った、ウォッチポイントからの情報。

 それは恐らく、617と621が壊滅させたウォッチポイント・デルタから寄せられた、ハウンズたちの素性と脅威度の情報だろう。

 想定外のコーラル逆流によって撤退を強いられたウォルターには、消す予定だったハウンズの痕跡に手出しをする余裕がなく、封鎖機構はそれらを目敏く見つけてシステムへと報告していた。

 

 そしてそれらから推し量られた脅威度は、現れた独立傭兵リンクス・ウィズ・カラーに対し、このエクドロモイを2機向かわせるという決断を取らせたのだ。

 たった一機でも戦場を壊滅させ得る兵器2機を以て、徹底的に叩き潰すべし、と。

 

 

 

 2機の戦術兵器という、617の退路を塞ぐ、絶望的と言ってもいい壁。

 

「ふぅ……」

 

 それらを前にして、「フォーアンサー」内にいる617は、緩く操縦桿を握り直す。

 その手の中には、隠しようもない発汗があった。

 

 エクドロモイ。

 実のところ、617はこれまでに何度か、それらと矛を構えたことがある。

 実戦でも、再現データでも、彼女はエクドロモイを撃破した経験があるのだ。

 

 ただし。

 シミュレーターの上で、一度二度と、それに敗北したこともあったし。

 ナインによる介助がない状態で、2機同時に相手取ったことは、一度もない。

 

 ACSへの負荷が鍵を握る現代機動戦において、一体多の状況は非常な不利を招く。

 その上、相手はACを遥かに超える性能を持つ、特務機体だ。

 客観的に見て、この戦況に最も似合う言葉は「絶体絶命」である。

 

 

 

 ……が、しかし。

 赤と青の髪飾りを煌かせる少女が、その胸を絶望や悲嘆に浸しているかと言えば、それは否。

 

『……エクドロモイを突破し、基地より離脱します』

 

 その胸にあるのは、闘争本能。

 目の前の敵を撃破し、ミッションを遂げるという、ただその一念。

 

 父のような存在や、おにいさまによる援助のない、一人きりの戦場。

 だからこそ、「自分の力で2人のために戦える」ことへの興奮と緊張が、情緒を取り戻しつつある彼女の胸を震わせていた。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 戦端を開いたのは、やはりと言うべきか、機動性に長けたエクドロモイ側だった。

 

 エネルギーパイルを装備した近接型の機体を前衛、プラズマライフルを装備した遠距離型の機体を後衛とし、柔軟に陣形を変えながら外敵を射程に捉えんと迫る。

 

 1kmの距離をほんの数秒で埋める程の、凄まじい機動力。

 その猛攻に対して、617が選んだのは──やはり、こちらも接近だ。

 エクドロモイが敵を射程内に入れようとしたように、彼女もまた、超至近距離という有利圏に自機を押し込もうと前へ出る。

 

『────!』

 

 あるいは、特務少尉……通常の階級であれば大尉に相当する地位にまで上り詰めた経験からか。

 先に戦ったLC機体たちとは違い、エクドロモイのパイロットは、617の想定外の動きに機敏に対応を返してみせた。

 

 驚愕よりも先に立つ反射的な機体捌きで、横へとブーストを噴かす。

 その凄まじい推進力を証明するように、近接型エクドロモイは進行方向を大きく歪め。

 殆ど正面衝突するはずだった2機は、すれ違うように再び少しの距離を離すこととなった。

 

 相手のブーストを見て、すぐにマシンガンの乱射を止めた617。

 アサルトブーストをキャンセルし、ブーストでその慣性を殺す彼女が、次に聞き取ったのは……。

 

 ピー、ピー、という、COMが響かせる警告音。

 

「!」

 

 咄嗟にクイックブーストを噴かすことで「フォーアンサー」は機体を躍らせるが、それでも完全に回避することは不可能だ。

 

 メインカメラが捉えられない死角から、遠距離型エクドモロイが放った、プラズマの輝き。

 それは広範囲に広がり、逃れようとした「フォーアンサー」の装甲すらも捉え、ガリガリと焼いていく。

 

 

 

「っ……」

 

 その凄まじい火力に、疑似的にACと感覚を接続している617は思わず怯んでしまう。

 

 しかし、いつまでも怯んでいれば待つのは死だ。

 彼女は後方へとブーストを噴かし、今もプラズマ吹き荒れる攻撃圏内を脱し。

 

 まるでそんな彼女を落ち着けるように、脳内には赤い声が静かに響いた。

 

【咄嗟の判断と高度な連携……凄まじい練度です】

【そしてやはり、プラズマライフルの高濃度圧縮射撃は驚異だな。

 気を付けろ、リンクス。油断すれば簡単に死ぬぞ】

 

 どうすればいいかを教える教導ではなく、淡々とした分析。

 2人が選んだのは、リンクスが一人でこの苦境を越えると信じるが故の、静観だった。

 

 その信頼に応えようと、リンクスの脳が鈍く、けれど確かに回る。

 

 

 

 それぞれがACを遥かに越える性能を持ち、高火力の兵装を備えた敵が2機。

 正面からぶつかれば、負けることはないとしても、苦戦は強いられる。

 

 であれば、どう戦うべきか?

 

 リンクスの積み上げて来た戦闘経験は、その疑問に、速やかに答えを示した。

 

『あの時みたいに……!』

 

 真っ当な戦いが始まる前に、アドバンテージを確保すべき、と。

 

 

 

 

 体勢を立て直し、再び敵へ襲い掛かろうとするエクドロモイの前で。

 ガキュッと音を立て、AC「フォーアンサー」はクイックターンし……基地の外を向く。

 そしてそのままアサルトブーストを起動。基地最奥の外壁の上を飛び去り、その下へと姿を消した。

 

 そしてそれは、封鎖機構側からすれば、決して奇妙な選択とは言えなかった。

 

『逃げる気か。エクドモロイの速度から逃れられると思ったか!』

 

 特務機体2機が相手だ、それこそアーキバスのエースパイロットやベイラムの歩く地獄でもなければ、到底この局面を突破することはできない。

 であれば、戦うのは諦めて逃亡を図る。……それは十分、彼らの常識の内にある行動だった。

 

 とはいえ、理解できるからと言って、それを許すわけではないのだが。

 

 エネルギー精製プラントを守れなかった以上、封鎖機構の今の目標は、それを為した下手人の排除にシフトしているのだ。むざむざ逃亡を見逃すはずもない。

 

 特務少尉の乗る近接型を先頭として隊列を維持し、2機のエクドロモイはACの後を追ってアサルトブーストを起動する。

 

 エクドモロイの単純推力は、並みのACの五倍近い。

 内部の人間の安全維持やACSへの負荷軽減を考えれば、戦闘中にそこまでの高速は出せないが……。

 それでも、逃げるAC相手に追いつくくらいは、あまりにも容易だ。

 

 エクドロモイが「フォーアンサー」に追い付くまで、そう時間はかからない。

 その時が、独立傭兵リンクス・ウィズ・カラーの最期となる。

 

 

 

 ……そのはずだった。

 

 617が本当に、「逃亡」を選んでいたのなら。

 

 

 

 壁の上空をアサルトブーストで突き抜けたエクドロモイは、しかしその直後。

 

『何っ!?』

 

 壁によって妨げられた死角、その直下から飛び出した「フォーアンサー」に……。

 より正確に言えば、その左腕から突き出た杭に、その進行を止められ、弾き飛ばされた。

 

『ぐうっ……!?』

 

 ガコォォオン!!

 

 パイルバンカーの一点特化した超火力は、エクドロモイの推進力を捻じ曲げて余りある。

 

 凄まじい轟音と衝撃に、特務少尉は何が起きたかもわからず、混乱したまま……。

 近接型エクドロモイごと、外壁へ叩き付けられた。

 

『待ち伏せか!』

 

 近接型に続くもう一機、プラズマライフルを装備する遠距離型のエクドロモイは、即座にそれに対応する。

 アサルトブーストによる強い慣性の中で無理やりに姿勢を捻じ曲げ、垂直方向に半回転。

 チャージしておいた主武装を殆ど真下に向けて放つ、曲芸にも近い射撃を見せた。

 

 上から降ることで正しく雷となったそれは、過たず「フォーアンサー」へと迫り……。

 

 けれど、617は避けようとせず、それを甘んじて受け入れる。

 

 ナインをして「驚異的」と言わしめる雷は再び「フォーアンサー」の装甲を焼き。

 けれど、一発でACSを焼き切るまでは行かず、AP4割程を残して健在。

 

 そのコックピットの中で、617の唇は、小さく笑みの形に歪んだ。

 

 上から撃ち下される状態では、クイックブーストでこの攻撃を避けきれない。

 そうして無駄にするくらいなら……この一瞬を別の形に使うべきだ、と。

 彼女の直感が、そう叫んでいる。

 

 

 

 遠距離型エクドロモイの持つライフルは、今の射撃でオーバーヒートして、暫く使えない。

 他の武装は両肩の8連ミサイルだが、これは発射から命中までにしばらく時間がかかる。

 つまり遠距離型エクドロモイは、この瞬間、これ以上の攻め手を持たない。

 

 そして近距離型エクドロモイは、壁に叩き付けられて前後不覚、瞬間的に反抗に移ることはできない。

 ACSによって軽減したとはいえ、クリーンヒットしたパイルバンカーによる一撃はその装甲を大きく凹ませ、実に半分程度のAPを消し飛ばした。

 

 機敏に飛び回り攻撃を避けて来る、エクドロモイ。

 けれど今、その片割れは、完全に無防備な状態になっている。

 

 であればここは、回避でも防御でもなく、攻撃をするべき。

 

 その直感と本能に従い、彼女は甘んじて危険へと踏み込んだのだ。

 

 

 

 その選択は、確かな意味を成す。

 

「こ、こッ!!」

 

 「フォーアンサー」はその両腕のマシンガンと右肩のプラズマミサイルを、壁に叩き付けたエクドロモイに対して一斉に掃射した。

 

 パイルバンカーから突出した釘、壁に叩き付けられた衝撃、殆どゼロ距離で乱射されるマシンガンの銃弾の嵐に、遅れて炸裂したプラズマ爆風。

 それらに襲われれば、如何なエクドロモイと言えど、スタッガーは避けられず……。

 

『ぐっ!』

 

 姿勢制御機能が完全にショートして、その動きを停止させた。

 

 617はそれを後目に、二丁のマシンガンの弾を撃ち切るとすぐにアサルトブーストを噴かし、その勢いをキックに乗せて更にエクドロモイを壁へと叩き付ける。

 

 攻撃に続く攻撃、攻撃、攻撃。

 一気呵成の攻勢により、残りAPは僅か1割。

 

 ナイン直伝の畳みかけは、確かな有効打となってエクドロモイを追い詰めた。

 

 

 

 ……が、しかし。

 

 これで終わりだと、特務少尉は分析する。

 

 両腕に持つマシンガンはリロード中。

 パイルバンカーとプラズマライフルは冷却中。

 「フォーアンサー」の攻め手は、最後のキックを以て途絶えたはず。

 

『……まだ!』

 

 同時、エクドロモイのACSが再起動したことで、攻守は逆転する。

 

 反転攻勢を試みる近接型エクドロモイ。

 その右腕に装備されたエネルギーパイルが、青白い輝きを放ち出す。

 

 最接近し、キックから体勢を戻す最中であり、なおかつほぼENを枯らし切った「フォーアンサー」には、もはやこれを避ける術がない。

 

 そして同時、上空の遠距離型エクドロモイが放った16発のミサイルもまた、足を止めた「フォーアンサー」へと迫っていた。

 その腕に抱えるプラズマライフルの冷却も終わりかけ、既に体勢も整えた今、照準は「フォーアンサー」を捉えて離さない。

 

 それらは、「フォーアンサー」の残り4割のAPを削り取るには、あまりに十分な火力だ。

 

 

 

 勝った、という確信を抱く。

 

 

 

 封鎖機構と独立傭兵、その両者が。

 

 

 

 「フォーアンサー」のコアパーツを、エネルギーパイルの反撃が穿つ、その瞬間。

 そして数多のミサイルが直下の敵機へと降り注ぐ、その瞬間に。

 

『今』

 

 焦りもなく、迷いもなく、自ら立てたプラン通りに。

 617は最後の一手を放った。

 

 ACが持つ、最後の切り札であり。

 封鎖機構の兵器には搭載されない、盲点。

 

 即ち……ACの拡張機能、アサルトアーマーを。

 

 

 

 「フォーアンサー」の周囲に、パルスの爆風が吹き荒れる。

 

 それは、敵機へ迫っていたミサイルと共に、エネルギーパイルを突き立ようとしたエクドロモイのAPを、完全に消し飛ばした。

 

『この判断速度……やはり、ただの独立傭兵、では……!?』

 

 そんな言葉と共に、近接型エクドロモイは力尽き。

 落下しながら、その機体を爆散させた。

 

 

 

 白く、目を焼くような閃光が消えた後。

 戦場に残ったのは、前衛を欠いた遠距離エクドロモイが一機と、リペアキット使用によって削れたAPを取り戻しているACが一機。

 

 圧倒的に封鎖機構優勢であった戦局は、独立傭兵の奇襲によって、完全にひっくり返った。

 

『コード31C、少尉が撃破されました。

 ……了解。任務続行します』

 

 半ば自らの死を直感しながら、しかしそれでも、残された封鎖機構特務一級士長は冷静だった。

 

 その判断の全てをシステムに依存する彼らからすれば、確かな正義のために殉じることは、決して間違いではない。

 ルビコン星系の、ひいては世界と人類の秩序のため、文字通り身命を賭す。

 その覚悟は、既に決まっているのだから。

 

 

 







 本日の傭兵事情

・識別名
 Rb31 独立傭兵「リンクス・ウィズ・カラー」
 ランク19/D(2↑)

・アセン
  『フォーアンサー』

 右腕:MG-014 LUDLOW(実弾軽マシンガン)
 左腕:MG-014 LUDLOW(同上)
 右肩:Vvc-706PM(六連装プラズマミサイル)
 左肩:PB-033M ASHMEAD(パイルバンカー)

 ヘッド:HC-2000/SOS HOUND EYE(オリジナル)
 コア:EL-TC-10 FIRMEZA
 アーム:NACHTREIHER/46E
 レッグ:NACHTREIHER/42E

 ブースター:ALULA/21E(高性能高燃費)
 FSC:FC-008 TALBOT(近中距離改良型)
 ジェネレーター:DF-GN-06 MING-TANG(中容量高補充)
 コア拡張:アサルトアーマー(3回)
 リペアキット:使用可能(3回)

・収支
 +664,855c

[燃料基地襲撃]
 +240,000c(基本報酬)
 +74,400c(汎用兵器撃破)
 +32,000c(砲台撃破)
 +108,000c(軽MT撃破)
 +54,000c(LC機体撃破)
 +160,000c(燃料貯蔵タンク破壊)

[経費]
 -19,110c(武装修理費)
 -32,010c(外装修理費)
 -6,822c(内装修理費)
 -50,508c(弾薬費)
 -5c(必需品購入)
 -310,000c(Vvc-706PM購入費)
 -1c(ウォルターには秘密。617と621甘味代)
 ─────────────────────
 +914,799c(249,944cの黒字)



《ナイン追記》
 俺の愛弟子が最強すぎる件。
 確かにここまでに色々教えてきたが、完璧な不意打ちマニュアルパイルから10割セットプレイで震えが出たね俺は。
 遂行時間的にSランクは厳しいかもしれんが、基地内の敵はきっちり全員仕留めてるし、Aランクは間違いないでしょ。
 初見でこれを成し遂げるのはマジで快挙だよ617。俺の弟子才能の塊すぎてビビるよ617。

 アーキバスもしっかり金出してくれたし、COAMにも余裕できたな。解放戦線からすればやや不謹慎かもしれんが、やはり戦時需要というヤツは凄まじい。
 これまではパーツは極力制限してきたが、ここからは617に色々選んでもらおう。
 ……あまり指示厨して嫌われないようにしたいが、彼女を生き残らせるのが最優先だからなぁ。ちょっと塩梅が難しそうだが、心がけねば。



《617追記》
 おにいさまとエアにすごいほめてもらった!
 ウォルターも621もすごいって言ってくれた!
 うれしい、うれしい。やった!
 パイル、練習してよかった。やっぱりパイル。火力はすべてをかいけつする。全じんるいパイル使え。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。