pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
花の街ハルル。
街に聳える大木は、
読書好きで書物から得た知識を披露したエステルであったが、街の様子を見てその表情は一気に曇ってしまった。
ハルルの街に着いた一行が見たのは、魔物の襲撃を受けた街の姿であった。街の魔物は傭兵ギルドにより駆逐されたが、ハルルを守る
傷ついた街の人を自身の治癒魔法で癒していくエステル。そして結界を失った街を「放っておけない」と訴え、それに応えたユーリとフレンは解決策を探ることになった。
そして得られた情報から、樹を蘇らせるために必要な薬を作るため、ユーリたちは材料の一つを手に入れるべく、アスピオへと向かっていた。
「で、なんでこんな所まで来てるんだ?」
先ほどハルルの街で会った、鳶色の髪と瞳の少年、樹を治す方法を教えてくれたカロルがついてきていることに気づきユーリが尋ねる。
「いや…その…ちゃんとアスピオまでの道がわかるかなーって、心配してついてきたんだ」
「大丈夫だよ。僕は一度行ったことがあるから」
フレンにそう言われ、カロルは立ち竦む。
「そ…そう?」
「だからカロルは、貴方の仲間と一緒にエッグベアの爪を…」
「……一人じゃムリだよ…」
「え? 傭兵ギルドの仲間の『魔狩りの剣』の人たちにお願いして、一緒に取りに行くって…」
「……エッグベア狩りでクオイの森へ行くより、先を急ぐってその…」
エステルの言葉に対して、カロルはしどろもどろになりつつも答える。
「…つまり、置いて行かれたんだね」
「違うよっ! そもそも、大樹を弱らせた土の穢れは、『魔狩りの剣』が倒した魔物が流した血が原因なんだ。だから責任取らなきゃいけないって言ったんだけど…」
「聞き入れてもらえず、追い出されたってことか」
ユーリの言葉が合っていたらしく、カロルは酷く落ちこんだ。
「……別にいいよ。そろそろ違うギルドに移ろうと思ってたし」
「でも、エッグベアの爪はどうする?」
「…しゃあねえな…アスピオの研究所で魔導樹脂を貰ったら、後でクオイの森へ行ってサクッと倒しちまおうぜ」
ユーリの言葉を聞き、カロルの表情が明るくなった。
「うん! ありがとうユーリ! あ…でも本当はボク一人でも倒せるんだからねっ」
「はいはい」
「ソウルグラスとメディカルハーブはもう持ってますし、材料が揃ったらすぐにパナシーアボトルを作ってもらいましょうね」
「穢れた土が浄化されて、大樹が元気になって結界が元通りになったら、一件落着だね。満開の花を見せたら、きっとナンも…」
「ナン?」
「な…なんでもない! 早く行こう!」
はぐらかす様にそう言い、カロルは先だってアスピオへの道を進んだ。
アスピオへの入場は、エステルが持っていた紹介状ですんなり通ることができた。
その紹介状を書いたというのは、エステルに課題を出した先生との事で、アスピオに居る研究者と知り合いとのことだ。
「で、その知り合いの研究者を頼れって話か…至れり尽くせりだな」
「名前は…モルディオさんだそうです」
モルディオはアスピオでは有名らしく、すぐに家の場所は分かり、ユーリらは無事に薬の材料を集めることができた。
そしてハルルの樹を見事蘇らせ、結界を復活させた一行に二人の仲間が新たに加わった。
「……なんでついてきたの?」
そのうちの一人、カロルは大きな肩掛けバッグを持ち直しつつ、栗色の髪を短く切り揃え、利発そうな碧の瞳を持つ少女に視線を向ける。
「決まってるでしょう。研究のためよ! 追い求めていた『リゾマータの公式』の手がかり、逃す手はないわ!」
「リタが一緒に来てくれて嬉しいです。同世代の女の子と知り合うのは初めてですので」
そう言いエステルは、新たに加わった仲間…リタに対して表情を綻ばせた。
「アスピオの研究者は帝国に所属して、許可なく出ることは禁じられているはず。本当に大丈夫だろうか?」
「大丈夫よ。その『リゾマータの公式』の解明は最優先事項だから、多少の無茶は通る様になってるわ。パパだってそれで色んなところに行ってるし。今だってシャイコス遺跡で調査してるわ」
「ヘルメス・モルディオ博士だっけ? 薬の材料探しで行ってみりゃあ、本人は留守でその娘がついてきた…と」
「ちゃんと魔導樹脂は渡したでしょう! それに、私を誰だと思ってるの? 天才魔導士、リタ・モルディオよ‼︎」
フレンに続いて口を挟んできたユーリを軽く睨みつつ、リタはそう言い放つ。
「自分が言っちゃうところがさあ…」
「うっさい。ガキんちょの方がお荷物じゃない。エッグベアとの戦闘の時、最初逃げようとして…」
「わーわーわー!!」
必死にリタの言葉を妨害しようとするカロル。
「でも、ちゃんと最後まで戦ってくれました。それに、ハルルの樹が枯れた原因を教えてくれたのはカロルです。一緒に来てくれて心強いですよ」
「ハルルの樹……ね」
ユーリはハルルの樹が蘇った時の事を思い出す。
樹と融合した
しかし、樹も結界も復活しなかった。
皆が諦めかけたその時、エステルが放った治癒魔法で樹は復活したのであった。
「……なあ、フレン。あの時
「……ユーリ、分かってる。でもこのことは…」
「…そうだな」
「何ごちゃごちゃ話してんのよ?」
リタに密談を気づかれ、話を誤魔化そうとした時、上空に浮かぶ
「お、街じゃねえか? あそこがダングレストか?」
「違うよ。あそこはペルレストだよ。ダングレストへは海を渡らなきゃいけないから、まずは港があるカプワ・ノールに行かないと」
「ペルレスト…確か、ナイレン隊長の故郷じゃなかったかな」
「フレン。お前、良く知ってんな」
「…ユーリ、見習いの時にお世話になっただろう?」
「そうじゃなくて、出身地とか良く知ってたなと思って」
「ナイレン隊長って…親衛隊長の?」
「親衛隊って……ねえ、エステルって何者?」
カロルの問いには誰も答えず、一行は西へと足を進めた。
エフミドの丘。
遠目で水面の波まで見渡せる眺め、そこで広大な海を目の当たりにして、エステルは思わず声を上げる。
初めて見る海の広大さに圧倒されるも、ユーリは視界の端に映った者に視線を向けた。
そこには、絵画から切り取った様な白金の髪と紅の瞳を持つ美丈夫が、一人で佇んでいた。
「……デューク?」
続いてその存在に気づき、名を呼ぶエステル。その声に気付き、デュークはユーリらの方を見た。
「誰?」
「知り合い?」
「前の…親衛隊長です」
リタとカロルの問いにエステルが答えている間に、デュークはこちらに歩み寄り、距離を縮めた。
「エステリーゼか?」
デュークの問いかけに、エステルは淑女の礼で応える。それを一瞥した後、デュークはユーリとフレンの方を向く。
「騎士のようだが所属は?」
「エルカバルゼの守備隊、ソムラス隊所属、フレン・シーフォです」
騎士の礼を取りつつ、フレンは答える。一方ユーリはエステルと共にデュークから距離を取り、カロルやリタを庇う形で立っていた。
「ソムラス……キャナリの部下か…この手紙を隊長のソムラスに渡してくれ。『梟』と言えばわかる」
「ふくろう?」
意味が分からないまま、フレンはデュークから手紙を預かる。
「出来ればアレクセイ、もしくはキャナリか ダミュロンに、必ず直接渡す様に伝えてくれ」
「承りました」
フレンの言葉に頷くと、デュークは静かにその場から立ち去っていった。
暫くした後、ユーリは息を吐きつつ構えを解く。
「わりぃフレン。対応させちまった」
「いや……殺気までとはいかなかったけど…」
「随分ピリピリしてたな…」
そう言いユーリは、フレンが受け取った手紙を眺める。
暫くして、先へ進む様促すカロルの声で我に返り、ユーリとフレンはカプワ・ノールへの道を進めた。
ゲーム開始の時間より1年ほど早いですが、序盤のハルルの樹のイベントです。
水道魔導器の盗難とシャイコス遺跡はスキップとなります…