pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始から25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
帝国から独立した組織であるギルド。
数十年前の帝国による大規模な弾圧があった時、本拠地のダングレストが騎士団によって制圧されそうになった。その時、中心的な役割を担っていたギルド「
こうして独立を死守した時に生まれたのが、ギルドの連合組合である「ユニオン」であった。そしてギルド・ユニオンの中核を成しているギルドの一つが、「
ソフィアは海を渡り、その
結局、
こうして、
移動時で魔物が出た時は狩りに参加して、休憩時にはカウフマン親子と契約に関する打ち合わせを重ねた。帝都周辺のいつもの狩場から離れ、普段では手に入らない素材を得ることができ、ソフィアにとってはそれなりに楽しい旅路となった。
船で海峡を渡り、カプワ・トリムに着いてから、別大陸での急用が入ったカウフマンと分かれた。
そしてカプワ・トリムに滞在してから3日後、ソフィアはマリーと共に
マリーに案内され、指定された建物へ向かうと、体格の良い精悍な男性が居た。
最初にソフィアは、3年前の自身の救助と両親の遺体引き上げに対して、深い謝意の言葉を告げた。
続けて廉価版
「ちょいと待て、待ったっ! 確認してもいいか? あんたがソフィア・ディノイア自身である事は間違い無いんだな? 書状を持ってきた代理の使者ではなくで」
「はい。先程の名乗りの通りですが」
「
マリーの言葉を聞くも、俄かに信じられない様子で幹部は頭を掻く。
「帝国貴族のディノイア家のご令嬢が、ギルドである俺らのところに、わざわざ礼を言いに来た。結界で守られた帝都を出て、危険な旅路を通って」
「
「……魔物の強さがわかるのか?」
「はい。実際戦いましたので」
「戦ったって…」
「本当の話よ。うちの護衛も腕を褒めてたわ」
同行しているマリーの言葉を聞き、幹部は考え込む。
「
「助けて貰って賠償を請求するって…ギルドから見た帝国貴族は、そんな腐った人間ってことなんですね…」
幹部の言葉を聞き、呆れた表情でソフィアはマリーに話しかける。
「ソフィア様の方が稀だと思いますよ。契約書を作るだの、一方的に要求を突きつけんじゃなくて、妥協点を図るために話し合いをするとか」
「契約書?
「それもあって私も同行したのよ」
「はい。我が一族からの御礼でもあるのですが…」
「面白そうな話じゃな。私も混ぜてもらうぞ」
そう言い金髪を二つのおさげに纏めた女性が姿を現した。
「サイファーだけに、面白い話を独占させたくは無いからのう。それにそちらが礼を見せた以上、こちらも礼を尽くさねば、義に反することになる」
幹部の男性の名を呼び捨てにし、女性はソフィアの方を改めて向いた。
「ウチが首領のアイフリードじゃ」
「……え? アイフリードって……あちらの男性では…」
「対外的には俺が出ることが多いからな…今回は貴族絡みのクレームだと思ったからな」
そう言いサイファーは、特に隠すようなものでは無いと、慌てた様子のマリーに言外に伝えた。
最初は帝都貴族は信用できないと警戒されたが、直に礼を言いにきたソフィアをアイフリードは気に入ってからは、話は驚くほどスムーズに進んだ。
船から陸地へいつでも通信できる
ソフィアは帝都の屋敷に帰還した。
アレクセイも既に帰宅しており、久しぶりに共に夕食を取りつつ、互いの首尾について報告した。
アスピオからの報告もあり、アレクセイはすんなりと皇帝と会うことができた。アレクセイは、ギルド・ユニオンへの借りを返すため、また船舶の動力魔導器専用の通信機の実験台になってもらうため、機能を限定した廉価版
ソフィアもまた、
「これがその概案の写しです。今回の件で、マリーさんは次期社長に確定だそうです。今後の付き合いも考えて、定期的に文通をすることになりました」
「そうか…ご苦労だったな」
「いいえ…兄様、迷惑を掛けてしまってごめんなさい。色々とありがとうございました」
「構わんさ。いつもの事だ」
アレクセイはそう言って表情を緩め、ソフィアから書類を受け取った。
「…
「賠償?」
「ギルドから見た帝国貴族は、救助をして助けたとしても、後で賠償請求する類の人間だそうです。そんな中で、本当によく私を助けてくれたものだと思いました」
その言葉を聞き、アレクセイは盛大に顔を顰めた。
「嘆かわしいが…そう言う類の帝国貴族が多いのも現実だ。相手の善意につけ込み、利用して、切り捨てるような…非常に不愉快であるがな」
「………アレクセイ…兄様」
「ん?」
「兄様は……そのままの兄様でいてくださいね」
「ん? ああ……だが、急にどうした?」
アレクセイの追求を、ソフィアは笑顔でかわした。
海賊ギルド「
女海賊のアイフリードと副官のサイファー以下、統率された船員を率いたギルド。
ゲームの世界では15年程先の未来で、護衛をしていた貴族を皆殺しにして姿を消し、ギルドに汚点を残した悪名を被る事になる。
その真実は、追い込まれて闇堕ちしたアレクセイが画策した人体実験の末、船の搭乗員でアイフリードとサイファー以外の者が全て、魔物に変えられた結果であった。
深傷を負ったアイフリードを救うため、船ごと魔物を港に入れるのを防ぐためにサイファーは、魔物と化した護衛対象だった貴族と自身の部下を全て殺害したのであった。
アレクセイによって利用され、切り捨てられた結果の悲劇である。
もう一つ、気がかりなことがある。
天才ヘルメス。
ゲームの世界では10年程先の未来で、彼は人工魔核と、高出力を誇るヘルメス式
このヘルメス式
それが、複数の街を壊滅させる甚大な被害を齎す、人魔戦争を引き起こすこととなる。そしてヘルメスは己が罪の意識に苦しみながら、人魔戦争に巻き込まれて命を落とした。
既に、自身が知っているゲームの設定から、かけ離れた事態が起き始めている。
その先の未来では、悲劇が回避されるのか、それともより大きな悲劇が起きるのか…
「……でも今更、立ち止まる事は出来ない…」
寝室の窓越しに、少しずつ色を変えていく黎明の東の空、細長い残月を一瞥したのち、ソフィアは深く目を閉じたのであった。
魔導中継筐体についての補足
小説「竜使いの沈黙」から、ヘルメスを含む魔導器を扱う学者は、魔核を操作盤で操作することに固執している様子でした。しかしゲームの世界で、筐体技師のシシリーの発明を見る限りでは、筐体でかなりの自由度が得られる様子が見られました。そこで、魔核の術式の根本を変えることなく、外付け機関で改変できるのではないかと考えました。
続けて魔導器の仕組みについて妄想を膨らませると、1) エアルの吸収、2) エアルの蓄積、3) 目的に応じた属性エネルギーへの転換、4) エネルギーの放出量の調整、5) 発熱や冷却への対処などの恒常性の維持、6) 目的としている現象の顕現、これらを全て魔核で補っているのかなと考えた次第です。
そして魔導中継筐体は転換する属性エネルギーを一種類に絞り込んで、2)〜5)を代替する装置と言う感じです。