pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
ダングレストで、カロルの父親の葬式を含めて、今回の騒動で犠牲になった人たちの葬儀が行われた。バルボスについての措置はもめたが、命を賭けてダングレストを守ったことから、罪は相殺となり共に弔われた。
その数日後にフレンがダングレストで合流を果たした。
フレン隊はソディアに任せ、フレンはエステルの護衛のために同行すると言う。そしてフレンは、ファリハイドに居るゲアモンとヘルメス、そしてヘリオードのソムラスが集めた情報を皆に説明した。
反乱勢力はエステルの身柄の確保に躍起となっていること、その理由はエステルが持つ「満月の子」の能力が、作戦の最終段階で必要不可欠という話であった。
古代ゲライオス文明はクリティア族の手で生み出されたものであるため、ヘルメスからクリティア族の里テムザの長老に会う事を助言された。
テムザがあるのはデズエール大陸。ギルドユニオンと同規模のギルドである
フレンが合流した翌日、ユーリらはダングレストを出立した。
アイフリードの部下が船を出してくれて、トルビキア大陸からデズエール大陸へと渡る。ノードポリカから行くと砂漠越えが必要になることから、テムザ近くの海岸から行くことになった。
テムザの研究所跡地を通り過ぎて、テムザ山にあるクリティア族の里に着いた一行。そこで長老と話したところ、ここでは無くクリティア族の故郷、ミョルゾを訪ねるように助言した。
「ミョルゾは空にあるとかで、場所が分からないとかでどうしたものかと思いましたが…」
「バウルに感謝ですね」
フレンとエステルの会話に同意するように、頭上から鳴き声が聞こえる。ユーリらが乗る空を駆ける船、それを運んでいるのは成長期間を終えたバウルであった。
「バウルって…まさかこんなに大きいとは、おっさん想像出来んかったよ」
「前はこんなに大きくなかったよ」
「カロルの言うとおり、二人乗るのが限度だったんだが…暫く見ない間にでっかくなったな」
ユーリの言葉に同意するように、頭上のバウルは声を上げた。
「褒めてもらえて嬉しいみたい」
「本当に意思疎通ができるのね…」
「あらリタ。妬いてるの? バウルは大事な友達だけど、貴女は私の大事な妹よ」
「ば…バカね…そう言うわけじゃ…」
「戯れ合うのはいいけど、進路はちゃんと合ってる?」
そういうカロルに対して照れ隠しなのか、リタは容赦なく本の角を頭にぶつけた。
「もう少しで着くそうよ」
「にしても、よく知ってたな」
「よく分からないけど…バウルの同族だって…」
「空飛ぶ鯨の上に街があったりするのかねえ?」
「そういえば鯨のお腹の中に人が住んだって言うお話、読んだことがあります」
「おじさま、エステル。何度も言っているけど、バウルは鯨じゃ無いわよ」
笑みを浮かべるも全く笑っていない眼を見て、レイヴンとエステルはジュディスとバウルに謝るのであった。
「おっさん。随分な寄り道になるが大丈夫か?」
「これならノードポリカに行くまでほとんど時間かかんないし、ベリウスに会えるのは新月の夜だけって決まってるから、今行っても無駄足になるだけよ。副官のナッツには次の新月に会いたいって連絡入れてるから、大丈夫大丈夫」
「だったらいいんだが…」
「それに情報仕入れないと、対策を考えられないできないでしょうが」
「地方貴族の反抗を切っ掛けに、騎士団から抜けてヨーデル殿下とナイレン隊長へ合流している騎士が少なからず存在しています。相手は、掌握に失敗したと見ていいのでは?」
「カプワ・トリム、カルボクラムそしてダングレスト。同時多発的に甚大な被害を与えた相手が、そんなヘマをするかちょっとねえ…」
「あの騒動は反乱勢力がやったっていうのか?」
「カプワ・ノールで魔物嗾けておっ死んだと住民が言ってたヤツ、ガデニア卿って言うのはカクターフ派の貴族よ」
「カクターフ…反乱勢力の中心人物」
「でもって皇帝陛下を弑いた人物は、人相から言ってバルボスに間違い無い。だが、騎士団を再編成しているのも事実だろう。その隙に情報を集めて、ヤツらの言う『計画の最終段階』の全容を掴んだ上で対策考えないと…」
そう言いレイヴンはユーリとフレンの視線を感じて、二人を見やった。
「どっしたのよ、青年たち」
「いや…その……レイヴン…さんと似た人を知ってる気がして」
「奇遇だな。俺もどっかで会ったような気がするぞ」
「え…な……何よ⁈ そりゃあ俺様はギルドユニオン筆頭の
「あー‼︎ あれじゃない?」
突然カロルが声をあげ、これ幸いにとレイヴンはユーリらの追及を避けるように、船前方へと移動した。
興奮したようにカロルが指差す先には、巨大なクラゲが浮かび上がっていた。
ジュディスがテムザの長老から預かった鈴を鳴らすと、巨大クラゲの下部に穴が開く。そこを通り抜ける形でバウルが中に入ると、クラゲに覆われた街…ミョルゾが姿を現したのであった。
クリティア族の街、ミョルゾ。
テムザはミョルゾから地上に降りたクリティア族が造った街であると、ユーリらは長老から話を聞いた。
ミョルゾは
そしてヘルメスの推察通り、ミョルゾでは千年前の古代ゲライオス文明の伝承が残されていた。そしてユーリらは知った。
その果てに「星喰み」を生み出して世界は危機に陥り、人と
そして、当時の満月の子たちが命を引き換えに、星喰みの災禍から逃れたこと…
伝承を知った直後、エステルは逃げるように伝承の壁画のある長老の家から飛び出してしまった。
エステルは取り乱した様子であることから、下手な接し方は逆効果になりかねないと判断して、長老から一夜の宿として提供してもらった隣の空き部屋へとユーリたちは移動した。
「何となく見えてきたかな…相手さんの目的」
沈黙を破るように、レイヴンはポツリと呟く。
「本当、おっさん!」
「その星喰みと言う化け物を倒した強力な魔導器が、まだ残ってるんじゃないの?」
「おいおい…まさかそれを手に入れようとしているんじゃねえよな⁈」
「…それだったら、騎士団とかの兵力は無視できるから、掌握に積極的じゃない事も頷ける」
レイヴンの言葉の意をいち早く察したユーリの言葉を聞き、フレンは頷ける事実があることに気づく。
「でも…それとエステルはどう関係あるのさ」
「その強力な魔導器を復活させる、もしくは使うのに『満月の子』の力が必要…とか?」
カロルの疑問に即座に答えるジュディス。ここまでくると、より信憑性が増していた。
「ちょっと待ちなさいよ! 今までの無茶な改造してた魔導器もそうだけど、そんなモンがバンバン使われたら、千年前の二の舞になるじゃない⁈」
リタの予測にユーリは思わず眉を顰めた。
「知らずにやろうとしてんだろうが、えらい迷惑だぜ」
「知っててもやるんじゃないの?」
レイヴンの言葉にリタは噛み付く。
「はあ⁈ 将来的に滅びるとわかっててするバカが何処にいんのよ⁈」
「俺様の知り合いの言葉なんだけど『今日の快楽のため明日滅んでも構わないと考える人間は一定数存在する。権力に固執する者は、そう言う考えを持つ傾向が大きい』ってさ」
レイヴンの言う「権力に固執する者」と言うのは、まさに反乱勢力の中核をなしている。
「まさに気狂いに刃物ってヤツだな…こうしちゃいられないな…」
「でも、具体的にこれからどうするの?」
今までの話を聞いて、心配そうにカロルが尋ねる。
「反乱勢力を潰す…は戦力不足で無理ね。となると、相手さんの戦力増加を妨害するって言うのが無難かね」
「妨害するって?」
「一つ目、嬢ちゃんを守り切る。二つ目、相手さんが聖核を得るのを妨害する。三つ目、こちら側の結束を強化する」
「一つ目は言われるまでもない。だが他は具体的にどうする?」
「三つ目は
「フレンちゃん正解。で、二つ目もアテはある」
「
「カロル、バウルも始祖の隷長よ。魔物って思ってるのかしら?」
「あ、いや…そうじゃないよジュディス。バウルは僕らの仲間だけど、他の始祖の隷長は僕らのことをどう思ってるのかなぁって…」
カロル同様にフレンも厳しい表情をする。
「…あんまりいい印象を持って無いだろうね。星喰みを生み出した
「まま、そこんとこも実際聞いてみようや」
「聞いてみるって…始祖の隷長に⁈」
「ちょっとおっさん。そんな気楽に…」
「言っておくけど、バウルは他の始祖の隷長の知り合いは居ないわよ」
カロル、リタ、ジュディスが矢継ぎ早に言うのに、レイヴンは笑みを浮かべる。
「大丈夫大丈夫。ドンの伝手でね、話ができそうなのがいんのよ」
「ドンか…それなら信憑性は高いな」
「うん。ドンだったら始祖の隷長と友達でも、可笑しくないよね」
「…ドンの名前出した途端に信じるなんて…おっさん複雑…」
「で、どこへ行けばいいんだ?」
「どちらにしても、行き先はノードポリカよ」
§
ミョルゾの街は補修を繰り返すも、使われていない区画は放置されて崩れている場所も存在した。
その近く、ミョルゾを包み空へ浮かべているクラゲ様の
すでに日は沈み、海上を通っている様子で、ただ深い闇が眼下に広がっていた。
「そこ、危ねえぞ」
声が聞こえてエステルが振り返ると、そこにはユーリの姿があった。
「明日、ノードポリカに向かう。反乱勢力を潰すのが先だからな」
「そうですか…」
消え入る様な声でそう呟き、エステルは天色の瞳を再び夜の海に向けた。
「…反乱を抑えても、
「そうだな…ま、それも反乱勢力を潰せば少しはやりやすく…」
「そして私も…」
「……エステル?」
「私は…魔導器と同じようにエアル操れます。その魔導器が世界のエアルを乱したというなら…私自身も世界のエアルを乱すのではないのでしょうか?」
思い詰めたようにそう語るエステルの言葉を聞き、そこまで考えていなかったユーリは思わず口を閉ざす。
「だからミムラは私のことを『世界の毒』って……それはそういう意味だったんじゃないですか⁈」
「落ち着けエステル」
「そうだとしたら、私が居る限り世界のエアルは乱れてしまう…だから千年前の満月の子たちは……だったら私も……」
次々と天色の瞳から涙を溢すエステルの肩を掴み、ユーリは自身の方を向かせた。
「例えお前の言うことが正しかったとしてもだ、全部背負い込む必要はねえんだよ! 何のために俺たちが居る⁈」
「ユーリ…」
「そもそも今お前が言ったことは、ただの想像だろう?」
「でも……」
「万が一そうだとしてもだ。リゾマータの公式が解明できれば、エアルの操作ができるようになるってリタは言ってたぜ。つまりお前の力が世界に影響しないように、出来るってわけだ」
「ユーリ……」
「リタを信じてやれよ。あいつ、エステルの役に立つならって、嬉々として研究進めるぜ。それに…」
星空の様な紫水晶の光を灯す黒い瞳が、エステルの瞳を縫い止める。天色の瞳から溢れる涙を拭いつつ、ユーリは言葉を続ける。
「お前が誰かを傷つけそうになったら、俺が責任を持って止めてやる」
「ユーリ…」
その時、地上から眩い一筋の光が放たれ、クローネスを貫いた。
ミョルゾを内包したまま、クローネスは近くに見えた砂漠の地に向かって、急速に高度を下げ始めた。
賢者・満月の子やトリウィアという呼び方は捏造です…
凛々の明星がブレイブ(勇者)ヴェスペリアであることから、その対になる形で設定してみました。
テムザのクリティア族の村が残っている事、ヘルメスが解析の補助をしてくれていることから、かなりサクサク解明が進んでいます。ゲームの世界ではリタ1人に色々と背負わせ過ぎていると思うわけで…