TOV 黎明の残月 宵闇の盈月   作:桐錠

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 pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
 ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
 ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
 ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。



不撓不屈(カロル少年の見せ場も外せない)

 

 最初に、私の我儘に付き合ってくれた事に対して礼を言いたい。

 今まで本当にありがとう。

 

 この世界の時間が輪環に閉じ込められており、大体30年ほどの時間を繰り返しているとフィアレンから聞いた。ループの終着は人類の滅亡。それを回避する手段を模索するための時間のループであると、フィアレンは言っていた。

 そもそも私は、本来起きていた悲劇を回避するために動いてきた。1000年前の過ちをなぜ何度も繰り返すか。その原因は局所しか考えず、発生した問題を先送りするか、その場限りの対応しかしない事が原因であると考えた。

 己自身しか顧みず、帝国しか顧みず、ギルドしか顧みず、始祖の隷長(エンテレケイア)の使命しか顧みず、星の環境しか顧みず、目の前の者しか顧みず、法の観点でしか顧みない。それでは事態を解決する事はできないと私は考えた。

 その全ての過去現在未来こそが星そのもの。包括的に考える必要があるが、その個々の考えや生き方を、己が手で思うがままに変える事は不可能である。だからこそ、主観で判断した道を強要するのではなく、未来に至る多くの選択肢の種を蒔こうと考えた。その考えを元にした行動と皆の協力で、全てとは言えないが多くの悲劇は回避できたと思う。

 しかしフィアレンが語る近い未来で起きる人類滅亡を回避するには、生半可な方法では不可能であると思い知らされた。星喰みの対応には、始祖の隷長の生命、人間の積み上げた文明を全てを賭ける以外に、方法は見つからなかった。そしてそれで起きる反発への対処に失敗すれば、今までフィアレンが見てきた人類滅亡へ一直線である。

 フィアレンの話とそれを裏付ける古文書の情報から、ザウデ不落宮の対星喰み結界は数年も保たないのは明白。稀有な人材がいる今を逃して、成功する未来を見出すことができなかった。

 だから、今この時に星喰みの解放と対応、魔導器(ブラスティア)の全廃棄を行うべきと決断した。

 

 世界の急変で発生する犠牲に対して、民衆の不満の吐口が必要だ。悩んだ末に、自身がその生贄になる覚悟をした。問題は自分が消えた後、新たな世界運営を妨害するであろう貴族への対処であった。ヨーデル殿下やエステリーゼ姫に政治や経済関連の教育を施したし、ギルドを含めた市民への教育をしてきたから人材確保はどうにかなるだろう。しかし、少なくともカクターフ公とその一派を残すのは、やはりリスクが高いと言えた。成功率は限りなく低いがカクターフらをどう説得するかと悩んでいたその時、フィアレンから提案を受けた。

 近視眼的で私腹を肥やす奴らを人類の敵に仕立て上げ、生贄にした方が一石二鳥ではないかと。未来を潰しかねない者たちの炙り出しを行い、言い逃れができない罪状を犯すまで追い込んだ結果、被害と犠牲が出てしまった。

 

 後悔したところで何も変わらない。

 だから最後まで私は抗うことにする。

 一人でも多くの者が未来へ進めることを、切に願う。

 

 星喰み対策は、きちんとこの世界での言葉でまとめた。しかし詳細は、以前の私が使っていた言語で記載した状態である。日記を読むためにミムラの処刑を止めて協力を仰ぐか、日記を読めなくとも良いからとミムラを極刑に処すか、それは皆に任せたいと思う。

 書面のこの場で明かさせてもらう。

 私の中身と言うか魂はこことは異なる世界、異世界から来たものだ。いわばソフィアの身体を乗っ取り、寄生しているのに過ぎない。兄様…アレクセイ殿を始め、皆にとって非常に不愉快だったかもしれない。紙面上で申し訳ないが、謝らせて欲しい。

 思えば異物である私が異世界の価値観を、この世界に押し付けた事が多々あった。この世界に合わないものに関しては、脅威の排除後は自身の軌跡を消して貰えればと思う。

 

 色々と迷惑をかけたことに心からの謝罪を。そして時間がないからと押し進め、無茶をしてきた私を支えてくれたことに、心の底から感謝申し上げます。

 時間の流れと共に私の存在を過去のものとして、より良き未来が迎えられる事を切に願っております。

 

 

 ソフィア・ディノイア

 

 §

 

 手紙を読み終え、ダミュロンは周囲に視線を向ける。

 ソフィアがダミュロンに託した収納魔導器(チェストブラスティア)。その中で4通の手紙が見つかった。それぞれの宛先となっているアレクセイ、デューク、ダミュロン、キャナリを呼び集め、ダミュロンが託された手紙を渡したのは先程のこと。皆、遣る瀬無さや哀しみを滲ませた表情を見せている。

 

 リタやジュディスの話から、ザウデのメイン制御システムと同化して、星喰みを防いでいる結界をギリギリのところでソフィアは維持している。その状態らしいソフィアを、ザウデのシステムから切り離す方法はまだ見つかっていない。

 それ以前に…

「始祖の隷長の聖核(アパティア)を全て精霊にする…だったな」

 卓に肘を置き、頭を両手で支えるように俯いていたアレクセイが、静かに声を発する。

「はい。クーデター派が確保していた聖核は、大半はソフィアから預かった収納魔導器の中に、大型のもの二つは隠し場所を記載した地図も見つけました」

「大型のものは既に確認済み。地図の信憑性は確認されたわけだな」

 エルシフルと〈暗きもの〉の聖核は非常に大きく、それぞれ別の場所に隠されていた。隠し場所の近くにエアルクレーネが確認されており、精霊化に向けてソフィアがお膳立てしてくれたことは容易に想像できた。そして実際にエルシフルの聖核で、源の精霊オリジンは無事に誕生していた。

「ダミュロン、奴らは派手に高出力魔導器を作っていたが、狩った始祖の隷長の聖核を使ったのではないのか?」

「王宮で保管されていた、術式紋が刻まれていない魔核が使われたのであろう」

 ダミュロンの代わりにデュークにそう答えるアレクセイの言葉を聞き、驚いたようにキャナリが口を挟む。

「そんなものがあったのですか?」

「代々皇帝が引き継いでいたそうだ」

 アレクセイの話によると、エアルを用いない武醒魔導器(ボーディブラスティア)開発を報告した時に、その研究の促進目的で下賜され、その存在を知ったと言う。

「エアルを用いない武醒魔導器?」

「生命エネルギーを代用した方法で一応できたのだが、エネルギーが集積しやすい心臓近くに装備する必要がある上に、エアルを介した干渉で装備者の自我を奪える危険性があると言う事で、実用は見送られることになった」

 ダミュロンは思わず自身の胸に手を置く。ソフィアが取り付けた魔導器は、まさにそれであったと気づいた。

「腕や足への装備は、魔導器の義肢という形で研究は進めてはいた。精霊化へ向けた標識付けをするため、先日ヨーデル殿下とその保管庫を確認したのだが、一欠片も残されていなかった」

「貴重な遺産を根こそぎ奪われた訳ですが、代わりに聖核が無事だったのは不幸中の幸いでしたね」

 キャナリの言葉に、その場に居た者は深く同意したのであった。

 

  §

 

 闘技場ギルドの戦士の殿堂(パレストラーレ)のトップ、統領(ドゥーチェ)ベリウスに呼ばれ、ユーリら凛々の明星(ブレイブ・ヴェスペリア)はドンと共にノードポリカへ呼ばれた。

 ベリウスはフェローと共に、ユーリらがザウデ不落宮へ突入する際に囮になってくれたが、深傷を負って床に伏せていた。副官のナッツを筆頭に、戦士の殿堂(パレストラーレ)のギルド員に後事を託し終えたと言い、聖核(アパティア)を託すために呼び寄せたとの事であった。

 星喰みを倒すには始祖の隷長(エンテレケイア)を転化させた精霊の力が必要とのことで、万が一ザウデ不落宮が復活して不測の事態が発生したら、聖核を凛々の明星(ブレイブ・ヴェスペリア)に託して欲しいと、ソフィアから願われた事を言った。

 そしてベリウスは、最後にドン・ホワイトホースと2人きりで言葉を交わした後、聖核…蒼穹の水玉(キュアノシエル)へと姿を変えたのであった。

 

 蒼穹の水玉(キュアノシエル)を精霊に転化するためには、エステルの満月の子の力、複製宙の戒典(レプリカ・デインノモス)、理論を完成させたリタ、そして豊富なエアルが確保できるエアルクレーネが必要であった。

 エルシフルの聖核から精霊オリジンを生み出すのに成功したが、使用したエアルクレーネは安定化を通り越して鎮静化してしまった。そのため新たなエアルクレーネを見つける必要があったが、始祖の隷長(エンテレケイア)であるバウルがその地点を把握することができていた。

 安全性から比較的安定しているエアルクレーネということで、ゾフェル氷刃海へ向かうことになったが、メンテナンスをしていた複製宙の戒典に不具合があることをヘルメスが確認した。修復の協力をするエステルとデュークは後で合流する事となり、ユーリ、ラピード、カロル、リタ、レイヴンが先行してエアルクレーネの状態を調べる事となった。

 

 ゾフェル氷刃海。

 古に海賊との海戦があった跡地であり、様々な武器が氷山に刺さっている土地。

 ジュディスはバウルと共にエステルたちを迎えに帝都に戻る事となり、ユーリらはイキリア大陸北部の氷冷地、流氷に覆われた地域に降ろされる。

 程なくエアルクレーネを見つけたが、エアルの噴出は起きていなかった。最近になって枯れたのかと思いきや、それは魔物「バイトジョー」の仕業であった。

 

 海中から飛び出て飛行する様を見て驚く間も無く、バイトジョーはエアルクレーネを操り、エアルを噴出させた。

「うっ…」

 周囲に高濃度エアルの光が立ち上り、身体の自由が効かなくなる。

「っ‼︎」

 咄嗟の判断で、ユーリは隣にいたカロルに体当たりをし、エアルの光が舞っていない離れた流氷へと弾きとばした。

 自分だけ罠から逃れた事に気づいたらカロルは、慌てて立ち上がる。

「カロル、逃げろっ‼︎」

 言外に近づかないように警告するユーリ。

「そ、そんな…みんな食べられちゃうよっ‼︎」

 魔物相手に離脱も攻撃もできない状況。このままでは全滅するのは目に見えている。だがカロル一人で勝てる相手ではないと判断し、カロルに逃げるように訴えた。

 

 しかし…

 

「ボクがやらなきゃ……今やらなきゃ……」

 震える手を気合いで押さえて、カロルは武器を握り直す。

「今やらなくていつやるんだあっ‼︎」

 カロルはユーリらに被害が行かないように誘き寄せ、単身でバイトジョーに戦いを挑んだ。

 

 遠距離攻撃では効果は低い。

 近づくと水魔法を受けてしまう。

 

 ボロボロになりつつも考え攻撃した結果、接近戦がメインの自分一人で倒すのは不可能であるため、仲間を解放するのが先決とカロルは判断した。

「エアルクレーネからエアルが出た時を思い出すんだ…」

 エアルクレーネが光る前、光始めた時、違うところは?

「角が光っている……そうか!」

 思い至ったカロルは、裂旋スマッシュで武器の重さを加えて振り回してバイトジョーの頭にある角に当てる。

 

 ガンっ‼︎

 

 壊すどころか跳ね返されて吹き飛ばされ、カロルの手から武器が離れて海中に落ちてしまった。

 ユーリたちは見ていられないと逃げるように何度も叫ぶが、カロリは意に介することは無い。

「ただの攻撃じゃ壊せない…」

 その時、ナンから教わった技がカロルの脳裏浮かぶ。

「あれなら…でも武器が……」

 その時、使えそうな大剣が近場にあるのを見つけて、回収するために動く。それとカロルを空中へ突き上げようとバイトジョーが攻撃を仕掛けたのは同時であった。

 大剣を掴んだ直後、カロルの小さな体躯は空中へ突き飛ばされる。空中で体勢を整えて、カロルは刃を下に重力に従って落ちる。

「ボクの勝ちだっ‼︎」

 身体を捻って追撃を擦り抜け避けると同時に、カロルはバイトジョーの角を砕き割った。

 

 高濃度エアルからユーリらが解放されて、合流してバイトジョーを倒すまで、そこまで時間を要することはなかった。

 

 戦闘後、安心して気が緩んで倒れたカロル。休息を取るため、簡易結界内に防寒仕様のテントと廉価版暖房魔導器で中を暖めてカロルを休ませた。

 そして合流したエステルからの治療を受け、目を覚ましたカロルに対して、ユーリは尋ねた。

「なあ…どうして逃げなかったんだ?」

「だって…みんなが後ろにいたから…ボクがどんだけやられても、ボクは負けることはできないって思って…」

「そうだとしても、無茶しすぎです!」

 皆から経緯を聞いていたエステルは少し怒りながらカロルにそう言った。

「うん…でも…ボクのギルドなんだから守らなきゃいけないと思って。それに闇雲にやった訳じゃないんだ。『魔狩りの剣』にいた時、ボスに聞いたことあるんだ。勝てない相手と戦わないといけない時、どうすればいいかって」

 ティソンは「根性だ」とか言っていたが、ボスのクリントは「自分が勝てる条件に持っていく。初見でも瞬時に魔物の特性を見極める目を養うように」と助言をしてくれたそうだ。

 皮肉にも今回の戦闘で思い出した言葉の数々、「逃げ回るだけの無意味な行動ではなく、特性を見極め倒す算段をつける回避行動をとれ」、「戦闘中の無意味な行動の代償は仲間や自分の命」。

 与えられたそれらの言葉とクリントなりの配慮に、今ようやくカロルは気づくことができた。そして今まで自身が経験したことが、無駄では無かったことも…

「今考えてみると、魔物生態記録係を任された理由はそうだったんじゃないかって思うんだ。あの時は素直に受け入れられなかったけど…でも、ここで活かせて良かったよ」

 器用貧乏な自身が嫌であったが、そんな自分だから皆を守れた。虚勢を張らなくても、見栄を張らなくても、仲間を守ることができ、それに仲間が応えたくれたことに対して、カロルはようやく首領としての自分に自信が持てたような気がした。

 

 その後、蒼穹の水玉(キュアノシエル)から、オリジンの時と同様に、ベリウスの人格を引き継いだ精霊ウンディーネが誕生した。

 

  §

 

 ザウデが維持展開している星喰みから星を守る巨大な結界魔導器(シルトブラスティア)

 その機能が低下しているらしく、無数の八角形の結界の集合体の中で、一部が消え、また一部が復旧するを繰り返すも、消えた結界部分の範囲が少しずつ大きくなってきた。

 星喰みが結界内へ侵入する回数も増えている。しかし、星喰みも同様に精霊に転換するとなると、術式展開の補助に必要な精霊は不足しているのが現状であった。

 

 そして今、ユーリらのザウデ侵入時の囮となり、深傷を負った始祖の隷長(エンテレケイア)のフェローがその巨体を横たえていた。

『世界の命運は決し、我らはその務めを果たせず終わる…無念だ……』

 星喰みが見え隠れする、崩壊しかかって歯抜け状態の結界を見て、フェローは苦しげに言った。

「長年頑張ってきた割に諦めが早いんだな。悪いけど、まだ終わっちゃいないぜ」

 崩壊と復旧を繰り返す結界。必死にソフィアが時間稼ぎをしてくれているのは明白であった。託したことをやり遂げてくれる。ソフィアの自身らへの信頼を、ユーリは痛いほど感じていた。

『……星喰みは帰還しつつある』

「まだ望みはあります。世界を救う方法を託してくれた人が、命懸けで時間を稼いでくれているんです」

『人間も我らも昔日の力はない。これ以上、何ができよう?』

「なんとかできる方法があるのよ。そのために、エアルをより制御できる存在、精霊へと貴方に転生して欲しいの」

 エステルに引き継ぎそう説明するリタに対し、フェローは鋭い視線を向けた。

『転生……我が命を寄越せというのか?』

「あんたの聖核(アパティア)が必要なんよ。精霊へと転生させるためにね」

 リタを庇うようにレイヴンがそう答える。

「〈猛きもの〉…フェローよ。世界を人の手で変えるようなやり方…正直私の乗り気では無かった」

『デューク…』

「だが…エアルを調整し続けた果てに星喰みとなり、今まで千年間世界から追い出しつづけた貴殿の同胞らを、世界のための尽くしてくれた者たちを、再びこの世界に帰還させたいのだ。人も始祖の隷長(エンテレケイア)も星喰みも…世界の一つなのだから」

「星喰みを精霊に転生させるの。そのためには、多くの精霊が必要になるわ」

「だからボクたちに協力してほしいんだ」

 デュークに続き、ジュディスとカロルも説明する。

「俺らの言葉は信じなくても構わねえ。だが、一人背負い込んで考え抜いて、今も身を削って時間を稼いでくれている奴が託してくれた、世界を救う方法なんだ。そいつの心は信じてくれねえか?」

 

 ミムラが解読した日記の写しを、アレクセイはユーリらにも渡してくれていた。

 簡潔にその日にやった研究の概要が記されている合間に、ソフィアにとって記憶に残った日常が少し記されていた。ソフィア個人やその未来を言及した内容は殆どなく、家族や友人、知り合った人々との思い出、皆を取り巻く社会をどのように改善していくかという彼女の考えが淡々と記されていた。

 より良い世界を創ることに全てを捧げてきた軌跡から、星とそこに生きる全てにより良き未来をと言うソフィアの意思を、ユーリは感じ取っていた。

 

 暫しの間、ユーリの紫水晶の視線を受け止めるフェロー。そして深く息を吐くように言葉を発した。

『心で世界は救えぬが、世界を救いたいと言う心を持たねば、また救うことは叶わぬ…か』

 そしてフェローの身体が光を発する。

『遠からず果てる身…そなたらの心のままにするが良い』

「…すまねえな……それから、今までありがとうな」

 ユーリの礼の言葉に一瞬眼を見開き、そのままフェローは聖核(アパティア)へと姿を変えた。

 

 こうしてフェローから火の精霊のイフリートが、ソフィアから託された聖核(アパティア)となっていたクロームから風の精霊のシルフ、グノシスから地の精霊のノームも誕生したのであった。

 

 クーデター騒ぎの時にヨーデルを庇って傷を負い、エステルの治癒術で暴走した末に命を落とした騎士団長特別諮問官のクローム。

 新生したシルフにエステルは泣きながら謝り礼を言い、そんな彼女を優しく頭を撫でて慰めた後に、クローム…シルフは他の精霊と同様にエステルとの繋がりを維持したまま姿を消した。

 姿を消す直前、シルフは仲間に囲まれているデュークに対して、慈愛に満ちた笑みを浮かべたのであった。

 





 ゾフェル氷刃海でのカロルの見せ場をここに組み込みました。
 王城でエステルに吹き飛ばされるイベントはなかったので…
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