pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
世界のエアルの乱れを糺すため、
世界崩壊の危機を回避する作戦は順調に進んでいた。
作戦の概要は、世界に存在する全ての
その裏で、ユーリら
これまでの経緯について情報共有するため、ユーリは王城でフレンと会っていた。
「物質の基本元素である地、水、火、風。それを総括する源。その精霊が揃ったんだね」
「ああ。まだ
「今後、エアルからマナに切り替えることを考えたら、出来るだけ多くの属性で、意思疎通が可能な大精霊があった方が利用はしやすい。ソフィアさんからの手記にも書かれていた事だったね」
そう言いふと窓の外を見るフレン。それに続いて空を見上げると、夕闇が深くなる中、所々で星喰みの怪しい光が夜空の星を隠していた。
「お前の考えが当たってたな」
「ユーリ?」
「ソフィアの目的。帝国の腐った部分の掃除をするためだったんだな」
「……でもそれで少なくない被害が出たのは事実だ」
「そうだな。少なくとも…カロルの親父さんが死んだことは、俺は許せそうにない」
一つ息を吐いた後、フレンはぽつりと呟く。
「間に合うだろうか…」
「間に合わせるんだろう?」
「…助け出せるのだろうか?」
「俺は諦めないぜ。第一、下町に顔見せろって文句を言ってないし、誰が居ようが俺たちが進む道の邪魔にならねえって、見せつけてやるって決めたからな」
そういうユーリの横顔を見るフレン。視線に気づき、フレンが居る側の拳を掲げる。
ユーリの拳に向けて、フレンは軽く拳をコツンと軽く合わせた。
§
今後、帝国とギルドで共同で星喰みと言う災厄に当たるため、帝国にもギルドにも属さない街が必要となった。
また今後を考えて、
望想の街「オルニオン」。
帝都でのクーデター騒ぎや、カプワトリムの崩壊、ダングレストの防衛戦から逃れた人たちの一部はヒピオニア大陸まで避難した。廃墟跡すら無いほどの大昔に、
キャナリは街の整備の為に派遣されており、ダミュロンとデュークは精霊の進行状況について情報共有をするために、キャナリに会いに来ていた。
人気のない夜明け前、景色の良い見張り台の上で3人は言葉を交わしていた。
「あと2体、精霊を生み出すことについてはわかったわ。ただ…」
そう言いキャナリは海向こうに見えるザウデに視線を向ける。
闇の中でザウデの巨大な
「……どれくらい保つのかしら?」
「さあね。だが、意地でもこちらの準備が終わるまで、保たせるだろうね」
「そうね…ソフィアだったら…」
そこで言葉を切り、キャナリはダミュロンとデュークに視線を向ける。
「彼女…一度だけお酒の席で言っていたことがあるの…人並みの恋をして伴侶を得る…何より真っ当な騎士としての道を、2人に諦めさせてしまったんじゃないかって…」
「彼女らしい考えだけど、心配無用なんだけどな」
「私もだ。ソフィアの手助けに意味を見出していた訳だから、協力したまでだ」
即答する二人に対して、キャナリは心配と懸念を滲ませた視線を向ける。それに対して軽く笑いながらダミュロンが口を開いた。
「キャナリは前言っていただろう? 『本物の貴族』ってやつ。俺もそれを目指すと言うか…」
貴族の責務は「支配」じゃなくて「統治」。
他者への寄生を正当化するためではなくて、諸所を調整して社会を運営するのが、為政者たる貴族の役目。
ソフィアの考えを聞いてから、ダミュロンは父親のスパルドの見方が変わった。ファリハイドが豊かなのは父が的確な差配をしているからで、その為には平民と自身との線引きが必須であり、それを頑なに守っていることを。ただ、平民相手への高圧的な対応はダミュロンは許容できないことから、自身には無理であることも理解してしまった。
「より良い統治の手助けをするのも、悪くはないかもと思ってんだよね」
「恋愛は?」
「世の女性はすべからく丁重に扱うべきで、これからもそうするつもりだ。広く浅くならば、常に夢を見られる」
「…女好きは相変わらずね……」
「デュークの旦那の方はどうよ? クロームからは、それなりの好意を向けてんじゃない?」
突然話題を向けられ、デュークは少し眼を見開いた後、少し眼を細める。
「親友の娘だ。それに
そこで言葉を切り、デュークはザウデへと視線を向けた。
「同じ重さを返すことはできぬのことは理解している。それに対して私は、罪悪感を抱かないかと言われると、そう言う訳にはいかないだろう…」
「ソフィアとの関係は?」
「…悪くないと思っている。むしろ…適度な距離で、心地よさを感じていた」
「デューク…」
「…情報共有は終わった。ここで失礼する」
そう言いデュークは、
彼が去った跡を何となく見つめていたダミュロンに対して、キャナリは静かに話しかけた。
「ダミュロン貴方…なんか辛そうだけど…大丈夫?」
「いやいや、いつも通りで…」
そう言い戯けた表情をするダミュロンを、キャナリはため息一つで一蹴する。
「どれだけの付き合いと思っているのよ…ダミュロン、貴方は…貴方の思いに反した事を、やろうとしているんじゃないの? だから…」
「……やるしかないでしょう」
「ダミュロン?」
「俺がどうしたいか、ソフィアがどうして欲しいか…それが相反したものだったら、どちらを選んだとしても、結局のところは…」
大きなため息を吐き、繕うことなくダミュロンは頭を掻きむしった。
「クーデターの一件で、少なくない犠牲が出たんだよ。カロルの親父さんや、ハリーの親父の若首領、他にも何人も亡くなっている。ソフィアのことだ、絶対自分を責めるだろう。命で償いたいって懇願されたら…」
「………」
「でも俺は……ソフィアに生きて…幸せになって欲しいんだ…彼女個人だけが報われないなんて、俺には納得できやしない…」
その時、明るくなった東の空から太陽がのぞかせた。
深い藍色の水面の波が朝日の光を帯び、きらきらを無数の輝きを灯し始めた。
その輝きに視線を移しつつ、キャナリが静かに口を開いた。
「…生きていても償えるわ」
「それで幸せと言えるか?」
「その上で幸せにすればいいわ」
「俺には荷が重すぎる」
「できるかどうかじゃなくて、やろうすることが重要じゃないかしら。それに貴方だけに任せる気はないわ」
「……キャナリ?」
「大丈夫よ。私も共犯者になるから。もうこれ以上…喪いたくない…」
キャナリの言葉を聞き、ダミュロンは彼女の兄のフィアレンのことが脳裏に浮かぶ。
「…そんな顔しないで。私でさえ気づかなかったし、止められなかった。それに…クーデターを唆してカクターフ派を一掃しようと考えたのは、多分兄だと思うわ」
「あいつ…大将に情報流すために、敢えてカクターフらの腰巾着やってたからな。ただ見ているだけと言う葛藤がどれだけあったものやら…」
カクターフらの所業を間近で見続けたフィアレンの心の闇は、今となっては想像することしかできなかった。
「ソフィアも兄も…私たちに明かして背負わせてくれれば良かったのに…」
「キャナリ……」
「だから…ソフィアのことは、彼女や貴方だけに背負わせやしない。私だけじゃないわ。アレクセイ騎士団長も、デュークも同じ気持ちのはず」
「そうか…そうだな……」
そう言うダミュロンの顔には、微かな決意が浮かび上がっていた。
精霊関係は、TOP、TOS、TOX、TOX2をベースに設定しました。