TOV 黎明の残月 宵闇の盈月   作:桐錠

80 / 100
 
 pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
 ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
 ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
 ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。



世界新生(クリア後に裏ボスの封印が解けそう)

 

 ザウデ不落宮。

 諸々の準備が整い、星喰みへの対応をすべくユーリらは再びザウデ不落宮に足を踏み入れた。

 ユーリら凛々の明星(ブレイブ・ヴェスペリア)に加えて、エステル、リタ、レイヴン、フレン、そしてデュークとアレクセイもメンバーに加わっていた。

 

 水が流れる石の台座の転移術式を作動し、ザウデの頂上である台座に辿り着いた。

 台座の中央に沈み込み、かろうじて引っ掛かる感じでザウデの聖核(アパティア)は輝きを保ったまま鎮座していた。

 頭上を見上げると、地上より大きく見える星喰み。

「ここだったら届くよね?」

「ここでダメだったら、どこも無理じゃないの?」

「レイヴンの言うとおりですよ。この星で一番高い場所に位置する場所ですから」

「バウルやミョルゾからでは、彼やクローネスに影響を与えたしまうからムリよ?」

 エステルに引き継いで、ジュディスがそう答える。

「それ以前に、ネットワークシステムでエアルではなくてマナを一時的に集積するには、ザウデの聖核(アパティア)以外じゃできないわ」

 そう言いリタは、ザウデの制御盤を出現させる。

「何…これ?」

 疑問を口にするリタの背後から、アレクセイが制御盤の表示を見る。

「星喰みのデータだ…中枢部分が結晶化していて、そこを集中的に叩くのが一番いいだろう」

「ソフィアさんが用意してくれたんでしょうか?」

 フレンの問いにアレクセイが一つ肯く。

「そうだろうな……幸い、2時間後にこの頭上を最接近する見込みだ」

 

 準備を整え配置に着くユーリたち。

 ザウデのシステム制御をリタとアレクセイが行い、エステルは満月の子の力を解放、ジュディスはナギーグを用いてエアルやマナの流れを読み取ってフォローに入る。

 ユーリは複製宙の戒典(デインノモス)の解放、デュークはその力の術式展開を受け持つことになった。

 残るラピード、カロル、レイヴン、フレンは皆の護衛に入る。なぜなら…

「結界、解除っ‼︎」

 結界を解くと同時に、ザウデへ星喰みが集まり始めた。

 台座まで辿り着いた星喰みを、ラピードとカロルが一箇所に集め、レイヴンの詠唱をフレンがフォローし、レイヴンの風魔法で吹き飛ばしていく。

 合間を縫って、ラピードがアイテムを配り、カロルやレイヴン、フレンが回復に術技を用いて凌いでいく。その時、リタとは独立して制御盤を操作していたアレクセイが声を上げた。

「全魔導器との接続および同期化が完了した!」

「わかったわ! 精霊化の術式構築に入る。エステル、お願い! ジュディスは補助に入って!」

「はい!」

「任せて!」

 ザウデの聖核(アパティア)とエステルの足元に円形の陣が光る。それを中心に台座全域へと、リタは魔方陣を構築していく。

「……大丈夫、そのまま流して!」

 ジュディスの指示に従って、アレクセイは複数の制御盤を起動させ、並列作業で複数の命令式を加えて行く。

「行ける!」

「星喰みの中核は予測射程内に入った。およそ100秒後に最接近する見込みだ」

 リタに続いて、作業の合間に数値を確認していたアレクセイも声を上げた。

「おっしゃああ‼︎」

 ユーリは複製宙の戒典(デインノモス)を掲げて力を解放し、同時にデュークは操作盤を起動させる。そしてエステルは、今まで生み出された7体の精霊の力を解放した!

 

 ネットワークを介した命令式に従って、全世界の魔導器(ブラスティア)から、魔核(コア)が精霊へと転化して行く。

「すごい……」

 無数の精霊は光となり、流星群の様にザウデへと集まっていった。

 7体の大精霊の元、精霊たちはザウデのマナを受けて精霊魔法を構築して行く。そして精霊の導きにより、純白の光り輝く羽根の姿へと構築された。

「うおぉおおおおおっ」

 羽根は星喰みの核に届いた。

「いっけぇえええええ‼︎」

 そして羽根が振り下ろされるに従って、星喰みの集団は裂かれた場所から次々と精霊となり、世界中へ光と化して散っていった。

 

 星喰みが消え、頭上には突き抜ける青空が広がっていた。

「終わった…のか?」

 それを証明する様に、複製宙の戒典(デインノモス)も自身が持つ武醒魔導器(ボーディブラスティア)からも魔核(コア)は失われていた。

「まだよ。ここからソフィアを救出するんでしょう?」

 そう言いリタは、残されているザウデの聖核(アパティア)を指差した。

 

 そしてリタとアレクセイがザウデの聖核(アパティア)の操作盤を起動させたその時であった。

 轟音と共に眼下に見える地上の石舞台が、突然吹っ飛び粉砕された。

「な、何⁈」

 カロルの声と同時に石舞台に空いた大穴からナニカが現れる。

 それは白い巨体の生き物…

「な…なんだあ⁈」

 頬を引き攣らせレイヴンは思わず呟く。

 

 紅く光る瞳を除き口や鼻はない顔。

 白く覆われた体躯から伸びる大きな掌の両足。

 蝶の様な四枚羽を構築する大きな掌を背に背負っていた。

 大きな掌の先に小さな手がついており、それらが独立して動き、大穴の縁を掴んで地上に上がろうとしていた。

 

 底知れぬ力を感じたジュディスは、槍を構えて化け物を見据えた。

「気をつけて…凄い力を感じるわ!」

「こんなタイミングでギガントモンスターかよ⁈」

 直後、化け物は台座に向けて魔法を放つ。

 ダメージを覚悟したが、咄嗟にエステルが満月の子の力で、化け物の魔法を霧散させてくれた。

「エステル⁈」

「う…大丈夫…です!」

 武醒魔導器(ボーディブラスティア)が無くなった今、対抗する力があるのはジュディスとエステルだけであった。

 ジュディスが槍先を化け物へ向けて牽制する中、エステルは皆や周辺に防御魔法を重ねがけしていく。ソフィアを救出後に撤退し、対応策を考えるしかないとユーリらは考えた。

 しかし…

「なに……術式が勝手に…」

「…こっちの指示を受け付けない⁈」

 操作していたリタとアレクセイの手を離れ、ザウデの聖核(アパティア)が集約し、人の姿を形作った。

 

 周囲を穏やかな光が駆け抜ける。

 その中心に佇む光のレースを纏う女性。

 エステルに似た桃色の髪に深緑の瞳。

 

 化け物は女性を見て驚愕し静止する。

 そして戦慄きながらその名を呼ぶ。

 

「トリウィア⁈」

 

 言葉に意を介することなく、トリウィアは無詠唱で連続して化け物に向けて魔法を放った。

「もしかして…賢者・満月の子(セイジ・トリウィア)⁈」

 エステルの知識の中で思い至った人物が居た。それは、古の災厄を鎮めた兄妹の妹の名前…

「おいおい…じゃあ、ソフィアはどうなったんだよ?」

 ソフィアを救うはずが、全く違う者が姿を現し、ユーリをはじめとした一同は激しく混乱した。

 その間にもトリウィアは、容赦なく魔法を連続して放ち、堪らず化け物は穴の縁を掴んでいた羽様の大きな手を放してしまう。

 落下する化け物を追撃する形で、レビテーションを利用してトリウィアも地下へ降りようとしたその時…

 

「ソフィア⁈」

 

 アレクセイの言葉を聞き、トリウィアの動きが止まった。

「ソフィア…なのだな」

 続いて同じ名を口にするデューク。

 名を呼ばれたかの様に、ゆっくりとデュークを見るトリウィア。その透度の高い笑顔は、言いようのない不安を掻き立てるもので…

「おい、待…」

 レイヴンの制止する声を無視し、トリウィアは一瞬で大穴の中まで降下する。そして穴に少し入ったあたりで浮遊し、自身を取り囲むように無数の立体術式を構築していった。

「マナで構築された術式? でもあれは……まさか⁈」

 

 強烈な光と共に突風が吹き荒れた。

 

 それらが収まり地上を見下ろすユーリ。

 再構築され、何事もなかったように仄かに光を放つ石舞台の姿が、ただそこにあった。

 





 ゲームの終幕まで進みました。
 この後、追憶の迷い路、十六夜の庭、オーマやスパイラルドラコ戦へと続きます。
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