pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
カクターフら一部貴族による反乱。
星喰みによる世界滅亡の危機。
それらの対処を終えて、世界から
カクターフ派の反乱や星喰みの一件で、処罰や除隊が相次いだ結果、騎士団の騎士たちは3割以上減少してしまった。特に貴族で構成されている部隊は壊滅的とも言え、中隊を形成する程の人員を確保することは困難となっていた。
一方で、帝位についたヨーデルにより「ギルドと騎士団の混成部隊」が提案され、騎士団の組織は大幅に変わる必要が出てきた。
結果、キャナリは予定通りに副団長となり、フレンは混成部隊の騎士側を束ねる中隊長に就任し、ダミュロンが混成部隊全体の顧問になるという形で収まった。
「5年後を目安に、アレクセイ騎士団長は団長の地位から退くと言っておられた」
そうフレンが切り出したのは、久しぶりの休暇が重なった折、フレンがユーリの下宿先である帝都の下町にある「箒星」を訪ねた時であった。
「あいつがそんな事言ってたのか?」
「ユーリ…団長を『あいつ』呼ばわりは…とにかく、アレクセイ騎士団長が目指していた騎士団と評議会の改革は、達成までの道筋が見えてきたわけだからね」
今回の一件で貴族の1/5が取り潰し、当主が入れ替わったのが1/4、最終的に議員数は1/2近くまで減少し帝国における評議会の影響力は著しく低下した。
それでも、ヨーデルの国政改革やアレクセイの騎士団改革に対して、利己的な理由で反発する者は少なからず居る。しかしカクターフ一派と道連れに多くが失脚し、中核となる存在が不在となった隙に、ヨーデルは評議員の貴族を一部を自身の陣営に引き込むことに成功していた。結果、完全に掌握とまではいかなくとも、評議会への根回しは以前に比べて容易になっていた。
「だから閣下は近いうちに、精霊魔法やザウデ探索と言った、研究業務に集中したいと言っておられた」
「なるほどな」
アレクセイがソフィア救出を目指している事に、ユーリはすぐさま気づいた。
ザウデの地下から出ようとした化け物を、半ば捨身で封印したソフィア。髪や瞳の色が異なっていた理由は、ザウデの
「で、後任は?」
「ダミュロン隊長首席はギルトとの二足の草鞋を理由に、キャナリ副団長は子育てを理由に辞退を申し出ている」
「取り合ってるんじゃなくて、押し付け合いかよ…」
権力に目が眩んでいる不適格者ほど地位を欲して、義務を遂行しようとする適格者ほど責務の大きさから拒絶するものであった。
「で……キャナリ副団長が若い方がいいんじゃないかって…ダミュロン隊長首席も『5年で務められるくらいに育てる』って…アレクセイ騎士団長もその気になっているんだけど……初めての平民出身の中隊長になって、そのさらに上だなんて…」
押し付け先をフレンにすることで、
「あー…なんつーか…御愁傷様?」
平民を蔑視する貴族を取り残す形で、世界は大きく様変わりを見せている。
平民にも多少は普及していた
また、今回の事件で投獄された者から継いで新たに当主となった者は、
これまで貴族が独占していた帝国評議会は、この「衆議院」と今までの評議会の残存議員による「貴族院」の2議員制へ、5年を目処に改変される予定となっている。
なってはいるが、今だに平民の地位は低い状況なのも事実で、フレンとしても上に上り詰め、アレクセイ達の掲げる理想の手助けをすることは吝かではないのだが…
「いくらなんでも早すぎるっ! 5年って…なんの冗談だ⁈」
そうブツブツ呟くフレンに対して、ユーリは苦笑いするしかなかった。
§
休暇を終えたユーリは、デイドン砦近くの草原でカロルと合流した。
「ユーリ、ラピードは?」
ユーリの側にいつも居る、隻眼の元軍用犬の姿が見えず、カロルが尋ねた。
「ん、ああ。アイツはお見合いだ」
「お…お見合い⁈」
「騎士が減って、城内警備の増強で軍用犬を増やしたいって、親衛隊のナイレン隊長に頼まれたんだ。今頃、騎士団本部で綺麗どころに囲まれて、鼻の下でも伸ばしてんじゃねえの?」
「レイヴンならともかく、ラピードじゃ想像つかないや…そうだ。
そう言いカロルは大きなバックの中から、光る球をユーリに手渡した。
ユーリはカロルに礼を言いつつ、無属性2、火属性と風属性を各1ずつ、計4つを荷物袋に放り込んだ。
「エルシフル…精霊オリジンには感謝だな。無属性の術技は大抵扱える」
「だからと言って無茶しないでよね。ユーリの守護方陣は、使えないんだから」
「いつまで先週の事を引っ張ってきてんだよ…」
「1年経っても普通に使おうとするからだよ。ボクの活心ヒールスタンプで回復できたから良かったけど…」
そう文句を言いつつ、カロルは大きなバックから複数の紙を取り出す。
「依頼だけど、シゾンタニアの拡張計画のお手伝いだよ。街のもう一つ外側に魔物避けの塀を作る資材運び。これはすでにジュディスとバウルが依頼先に向かってる。後は、近くの川から水を引くから、その工事の人を魔物から守る護衛。期間は1週間。できれば調薬器具用の素材も集める。これがボクたちの仕事だよ」
こうして
「川から水を引くって、そりゃまた大仕事だな。井戸を掘るんじゃダメなのか?」
「街中や周辺に井戸を増やせそうな場所はないんだって」
「水源より
「地下水脈マップのお陰で、無駄な労力使わずに済んだって言ってた。そうじゃなかったら、当てずっぽうで穴を掘ってただろうって」
ソフィアが
「ホント、何処まで考えていたのやら…」
精霊中継筐体についての補足。
魔導中継筐体の開発時、ソフィアはエアルからの属性を持たせたエネルギーにおいても、接続した外付け機関を中継させて条件を整えさせれば、エアルへの還元を介することなく属性の転換は可能であることを、実際に見せました。そこから魔核の書き換えで無理やり属性を変えずとも、引き出した属性エネルギーを外付けの中継機で転換させれば良いと言う発想を得て、ヘルメスは魔導中継筐体を発明しました。
ゲームの世界でヘルメスは、エアルの形態変化として実体化との中間に「マナ」の存在を考えていました。その設定から本作では、魔導中継筐体は本来の属性エネルギー(実体化)→マナ(中間体)→特定の属性エネルギー(実体化)という仕組みという裏設定です。つまり、マナを用いた機関への転用は容易というわけで…
人魔戦争その後の世界の危機に関与する「ヘルメス式魔導器」の開発の阻止だけでは無く、魔導器が無くなった後も考えた発明品だったと言えます。