pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
お見合いを終えたラピードが合流し、ユーリたち
「あんまし良い依頼は無いな…」
「ワフぅ…」
ギルド仲介所でユーリがラピードと共に仕事の物色をしていた所、袋を持ったジュディスが受付から帰ってきた。
「ユーリ、
「お、サンキュ」
「カロルは?」
「ああ。ボスは託児施設の方に顔出してる。次のカロル先生の授業日の調整だと」
そう言いユーリはギルド仲介所の中を見渡す。カロルの元教え子の少年少女が所員として忙しそうに働いている様子が見えた。
「何を見ているのかしら?」
「ん? いや、上手く回ってるなと思ってな」
「後ろにいる人を考えたら、いくら子供だからといって、乱暴な態度は取れないでしょう?」
それもそのはず。ギルド仲介所の所長は、首領の座をハリーに譲った、ドン・ホワイトホースその人であったからだ。
託児施設とギルド仲介所は、正式にギルドユニオンの組織に組み入れられた。つまり、ギルド仲介所をギルドユニオンの事務方として確立されたのだ。
その切っ掛けは、貴族との契約が増え、貴族に騙されたり支払い拒否されるなどトラブルが多発し、その対応を主にしていた
結果、教養のある人材が担当する窓口を作ることになり、候補に上がったのは託児施設での教育を卒業した子らが働くギルド仲介所であった。
「あのー、すみません」
その時、所員の少女が声を掛けてきた。
「
「ああ。そうだが」
「先ほど
特に急ぎの用は無かったため、ユーリらは所員と共に応接室に向かう。そして先方とカロルを呼びにいってくると、所員は一礼をしたのちに部屋を後にした。
応接机の上には、紅茶と菓子が既に用意されていた。
「確かに有能だな」
依頼主とカロルが来るまで、ユーリとジュディスはお茶を楽しむ。相変わらず紅茶に大量に砂糖を投入するユーリに苦笑しつつ、ジュディスはリタの近況について話していた。
マナを用いた空を飛ぶ機械を発明し、それでリタは帝都まで飛んでエステルに良く会いにいっているらしい。
「故障が多いって話だったが、大丈夫か?」
「最近は殆どないわ。それに氷と光属性以外の属性の精霊魔法が使えるようになったから、墜落や不時着した時の対応くらい、どうとでもできるわ」
「そりゃまた凄いな。だが、やっぱり大精霊の居ない氷と光属性は難しいか…」
「
「氷魔法が使えなくなってから、暑い季節の食べ物の保存とか大変だったからな…」
「ソフィアさんの研究メモから、少しの圧力で液体になるガスを冷媒に利用した、冷却装置の案が見つかったみたいだから、リタはその研究も進めているみたいよ」
「ったく…なんでも有りかよ。どこまで見据えてたんだろうね。ソフィアは…」
そう呟きを落とした時、応接室にカロルが入ってきた。
カロルが合流して程なく、ユーリらの依頼人…
真っ先に駆け寄ったラピードの頭を撫でつつ、レイヴンはへらりと笑う。
「お待たせ。ジュディスちゃんの美しさは相変わらずで、おっさん嬉しくなるね!」
「…おっさんは相変わらずだな…」
「レイヴン久しぶり!」
「
レイヴンからの賛辞をスルーしてジュディスは尋ねる。
「何とか軌道に乗ってきたところね。時々ドンが顔見せるし、お嬢が後見やってるから、ハリーも少しずつ自信が付いてきたところよ」
レイヴンが言う「お嬢」とは、ドンの娘でハリーの母親である。かなりのやり手とユーリは噂で伝え聞いていた。
「おじさま、ちゃんと休めてる? 目の下の隈、酷いわよ」
「ギルド仲介所が商売関係、
「そ…その引き継ぎで…ず…随分と無理されてましたが…」
吃りつつ話す声を聞き、ユーリらはレイヴンの後ろにいる人物に気がついた。
「あ、ラーギィさん。こんにちは」
「知り合いか、カロル」
「うん。
「ええ……で…でも、みなさんとは初対面では…あ…ありません」
そう言いラーギィは、青い髪を押し込めていた帽子と眼鏡を外し、猫背から背筋を伸ばして髪を整えた。
「
気弱な雰囲気が一掃され、ウインクを決めた姿を見て、カロルは驚き声を上げる。
「え⁈ ラーギィさんって、イエガーだったのお⁈」
「こう言う場合は、ステル副隊長っていうより、イエガーと言う方がいいか?」
「どっちでも構わないよ」
そういう口調はステルに近かったが、ギルド内と言うことで「イエガー」呼びでユーリは統一しようと考えた。
「で、依頼内容を聞いていいか?」
まだ驚き声を失っているカロルに代わって、ユーリが尋ねた。
騎士団からの依頼でイエガーが
「伝言ってなんだ?」
「ミョルゾの長老が、できるだけ直ぐに会いたいんだと」
「それからお嬢からレイヴンへ伝言デース。当分の間は、
「いや…でも仕事が…」
「レイヴン無しで取り回せるよう、ハリーはエクササイズが必要デース。あと、ユーはオーバーワークね。マイロードからも休むよう、言われてマース」
「アレクセイの大将も了承済みなのね…了解。てなわけで、よろしく頼むわ」
こうしてレイヴンはユーリら
ユーリらが向かったのはクリティア族の街、ミョルゾであった。
ミョルゾを取り込んで空に浮かべている
「ちょっと見て欲しいもんがあってのう…タンスを掃除してたら、こんな物が出てきたんじゃよ」
やってきたユーリらを家に招き入れたミョルゾの長老が、そう言い見せたのは一振りの剣であった。
「これはどう言う剣なの?」
カロルの問いに答える長老の話によると、古代ゲライオス文明の最盛期に造られた、伝説の九つの最強武具「魔装具」の一つと言う話であった。
「でも、そんなものが何故タンスの中に?」
「それがさっぱり思い出せんのじゃ。なんせタンスの掃除なぞ何十年振りじゃからのう」
「もう少し頻繁に掃除したら?」
「少年も定期的にカバンの整理したら? またカビたパンが出てくるのは勘弁よ」
「で、この魔装具をどうするつもりかしら?」
そう尋ねるジュディスに、長老は少し困った表情を見せる。
「正直見つけたはいいがどうしたものかと悩んでおったんじゃ。ワシらには不要な物じゃし、と言って適当に扱って良いとも思えんし。その点、お前さんたちならうってつけじゃろう」
「ボクらに引き取って欲しいってこと?」
「確かに
「他にも8つあるんだっけ? 俺たちが集めちまった方がいいかもな」
レイヴンの言葉にユーリは賛同した。
「他の魔装具の情報について、何かないかしら?」
「言い伝えでは、9つは互いに引き合うんだとか…なら、もしそれが本当に魔装具ならば、他の魔装具に反応するかもしれん」
そう言われたユーリたちは、取り敢えずリタかヘルメスに見せようと言う意見で一致した。
アスピオはタルカロンの復活時に一部崩壊したが、無事だったところを中心に復興が進んでいた。
幸いリタの家は崩壊を免れており、今まで通り住んで生活していた。しかし自宅にも研究施設にも、リタとヘルメスの姿は無かった。
その時、ジュディスの通信機に連絡が入る。
リタからの連絡で、ユーリらは
「あれ、お前は…確かウィチルだったか?」
クーデター騒ぎと星喰みの一件で協力してくれた、研究員のウィチルがリタと共にいた。そしてその場には、エステルとフレンの姿もあった。